著者
石川 輝
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

三重県英虞湾浜島に調査点を設け,海藻類に付着する渦鞭毛藻Gambierdiscus sp.の出現調査を行った。その結果,夏季から秋季にかけて本種の現存量は多くなる一方で冬季にもわずかながら出現するという,周年にわたる季節消長を明らかにした。さらに同調査点から得た細胞株を用いて,その増殖と生残に及ぼす水温の影響を室内培養実験により調べた。その結果により現場における本種の出現機構を説明することができた。
著者
島本 直人 上原 知也
出版者
茨城県立医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

チャンネル・トランスポーター遺伝子は、数百あるといわれ、神経疾患やがんをはじめとする種々の疾患との関連性が指摘されているものも多い。近年、チャンネル・トランスポーターのポリクリロナル抗体やモノクロナル抗体が多く開発されてきており、診断・治療に応用できる放射性標識抗体の開発が期待されている。多くの腫瘍細胞に発現するとされるアミノ酸トランスポーターLAT1 を標的にした中性アミノ酸トランスポーターイメージング剤の開発を検討した。放射性標識抗体の評価実験系として、ヒト大腸がん株化細胞DLD-1 を移植した担癌マウス等とし、 腫瘍組織への集積性を評価することとした。 細胞については、リアルタイム PCR により、注目する主なアミノ酸トランスポーター等およびその補助因子(4F2hc, LAT1, LAT2, LAT3, LAT4, ATA1, ATA2, ASCT1, ASCT2, MCT8, TAT1, B0AT1等) に対して既に確立した方法で発現を確認した。 更に、 放射性標識抗体の評価実験系として、これら DLD-1 や AsPC-1 を移植した担癌マウスでの蛋白レベルの発現を確認し、腫瘍組織への集積性を免疫組織化学的な解析に有用であることが確かめられているモノクロナル抗体を125I 標識した放射性抗体とし評価した。用いたモノクロナル抗体は、ヒトの LAT1 タンパク質の N 末端近傍領域に特異的結合をする抗体であったためか、腫瘍組織切片で内在性レベルのLAT1 タンパク質を検出が可能であったが、インビボでの腫瘍検出には適さなかった。
著者
筒井 隆夫 堀江 正知
出版者
産業医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

暑熱職場で作業している労働者の熱中症を予防するために、作業中の労働者の深部体温を外部から連続モニタリングする手法を開発した。研究当初は作業中に測定可能な深部体温として鼓膜温を検討したが、赤外線を使用した非接触式の鼓膜温計は測定精度に問題があり、また、接触式の鼓膜温計は安全性に問題があるため、耳栓で密閉した外耳道空間の体温を深部体温として評価した。6名の男子学生を被験者として、温度35℃、湿度60%の人工気候室内で、20分間の75Wの運動と15分間の休憩を1セットとし、これを3回繰り返させ、外耳道温、直腸温、食道温、平均皮膚温の推移を測定した。その結果、外耳道温から代表的な深部体温である直腸温を推定することが可能であった。次に、作業者の外耳道温を外部からモニタリングできる装置を検討した。汎用の無線式温度測定用データロガーに外耳道温測定用プローブを取り付け、測定温や環境温を変化させ、熱伝対を使用した標準温度計と比較してデータロガーの校正を行った。その結果、このデータロガーの精度は、測定温度が30度から40度の範囲では、環境温に関係なく±0.2度以内であり、外耳道温の測定が可能と考えられた。そこで、さまざまな暑熱作業として、夏季から初秋にかけてメンテナンス作業、リサイクル作業、焼却炉の解体作業を選び、27名の作業者にデータロガーを使用した外耳道温測定器を装着し、作業中の外耳道温の推移を測定した。その結果、外耳道温の最高値や平均値と作業後の疲れや疲労との間に相関関係が見られた。外耳道温の最高値は暑熱ばく露の許容値を、外耳道温の平均値は暑熱ばく露量を表していると考えられた。外耳道温の最高値や平均値は、熱中症予防の指標に有用であると考えられた。
著者
佐藤 弘夫
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究においては、石塔や金石文を資料として、普遍的で民族固有の感覚とみなされがちな遺骨の重視が、実はこの列島で展開した長い歴史の中でしだいに形成されたものであったことを明らかにした。遺骨に対してまったく関心を払うことがなく、遺骸を放置して省みなかった古代の人々。火葬骨を大切に霊場まで運んだ中世の人々。家の墓を作って骨を収め、定期的に墓参を繰り返した近世以降の人々。この三者に、死者や霊魂についての共通する観念を見出すことはきわめて困難である。それは、「日本人の死生観」という形で総括されてきたこれまでの通説が、根本的に見直される必要性があることを示すものにほかならないのである。
著者
平野 哲 才藤 栄一 加賀谷 斉 田辺 茂雄 伊藤 慎英
出版者
藤田保健衛生大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

バランス障害を有する患者23名に対してBEARと従来バランス練習のCrossover studyを行った.BEAR介入前後では,快適歩行速度,TUG,FRT,中殿筋筋力,下腿三頭筋筋力に有意な改善を認めた.1名の患者においてはEqui testを行い,足関節戦略の関与が上昇を示した.健常者7名に対して,3種類のゲームで,4段階の難易度の練習を行い,この時の下肢筋活動を表面筋電図によって評価した.各ゲームの筋活動量は難易度の上昇に伴い増加した.前後への重心移動練習中の三次元動作解析・表面筋電図同時計測を健常者,患者各1名に対して実施した.患者においては,健常者よりも膝関節の運動が大きかった.
著者
鎌田 光宏 大谷 浩一
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

ドパミントランスポーター(DAT)の-67A/T gene polymorphismおよびIntron 8 VNTRの遺伝子多型、およびドパミンβ水酸化酵素(DBH)の-1021C/T遺伝子多型のそれぞれが健常人の人格特徴に与える影響を多人数の健常人の対象として、Temperament Character Inventory (TCI)を用いて評価して包括的に検討した。その結果、DATではIntron 8 VNTRはTCIのいずれの項目にも関与を示さなかったが、-67A/T多型において女性群においてのみA alleleを持たない対象が有意に低い自己指向性と低い協調性を有することが示された。また、DBHの-1021C/T多型においては、女性群においてのみTalleleを有する対象が有意に高い損害回避傾向と関与することが示された。これらの結果から、この二つの遺伝多型が日本人の性格傾向に関与することが示唆された。
著者
中村 圭二 菅井 秀郎
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

電子密度のモニタが可能で,プラズマへの擾乱を最小限に抑制可能な平板型周波数シフトプローブに着目し,プローブ周囲に形成されるシースによる影響を調べた。またシース効果を抑制して測定精度を向上させるとともに、電子温度の算出方法などについて検討した。スリット幅が異なる2種類のプローブについてシミュレーションと実験を行ったところ,シースを考慮せずに算出した電子密度は,真の電子密度に比べて低めに見積もられ,シース幅が厚くなるにつれてその傾向が顕著となった。しかしスリット幅を広くすると,シース効果が緩和されて測定精度が向上した。さらにスリット幅が異なる2つのプローブを用いることで電子温度の算出も可能となることがわかった。
著者
濱田 雄行
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

オンコリティックウイルスAdE3-midkineは陰性荷電であるため(1元)、これに対し陽性荷電のポリエチレンイミン(PEI)(2元)さらには腫瘍特異的なCD44を受容体とする陰性荷電のコンドロイチン硫酸を加工(3元)し、これらをさらに多重加工することにより抗体存在下においてその抗腫瘍効果を検討した。9元目以降で抗腫瘍効果は増大し、13元目で最大となった。B6C3F1マウスと同種由来の卵巣癌細胞株OVHMを用いたsyngeneic mouse modelにおける抗腫瘍効果を検討したところ、腹腔内腫瘍モデルにおいて60%、皮下腫瘍モデルにおいて90%の完全腫瘍退縮が得られた。
著者
山本 政儀 柏谷 健二
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

ユーラシア大陸に位置するロシア・バイカル湖,モンゴル・フブスグル湖の長い堆積物コアーから読み取れる種々の指標は,過去から現在に至る環境変化を理解する有用な情報を提供する。本研究は,化学情報,特に化学化石の1つである地殻物質,天然放射性元素ウラン(U)・トリウム(Th)に着目し,それらの同位体測定を通じて,これら元素の堆積挙動,堆積年代への応用,さらに古環境解析に役でてることを目的とし、以下の成果を得た。1)フブスグル湖の最深部付近で掘削(2004年)した長さ81mコアーについて,表層から3cm毎に切断した試料のうち,約350試料についてU,Th同位体を測定した。^<238>U濃度(河川から流入する岩石・土壌由来Uを差し引いた残りのU成分:自生成U)深度分布パターンは,見掛け上酸素同位体ステージの変動とよく似たパターンを示した。この傾向は,バイカル湖の堆積物においても見出しており,温かい・湿潤期(自生成Uが多い)と寒冷・乾燥期(自生成Uが極めて少ない)指標になりうることを明らかにした。^<232>Thは,河川から流入する岩石・土壌の指標として有用である。2)幾つかの深度での堆積物の年代を^<234>U/^<238>U-^<230>T/^<238>U比を用いるアイソクロン法で決定した。3)自生成U濃度変動と気候変動との関連については,間氷期の温かい・湿潤期には湖内有機物生産量の増加,湖水への河川水による溶存Uおよび化学的風化を受けた土壌物質の供給量増加に,一方氷期は上記要因の減少によると考えられた。
著者
三好 宏 前川 拓治
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

生体における臓器虚血再灌流障害は、生命予後を大きく変化させる。臓器保護作用をもつ薬剤として水素の腎保護作用に注目して研究を行った。ウィスターラットを使用し、麻酔施行後、気管挿管・人工呼吸を行い、両側側腹部切開にて腎臓を露出後、腎動脈・腎静脈・尿管を一塊としてクランプする。虚血時間は40分。水素の投与は、低濃度・高濃度群に分けて行った。その後、閉腹し、24時間後、48時間後に採血を行い、血中尿素窒素、クレアチニンを測定した。水素投与により、血中尿素窒素、クレアチニンの上昇が抑えられることが判明した。
著者
小路 純央 森田 喜一郎 柳本 寛子 内村 直尚
出版者
久留米大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

我々は心理教育、認知行動療法、作業療法、軽スポーツからなる復職支援プログラムを実施し、BDI-II、SDS、HAM-D、SASS-Jに加え、今回多チャンネル近赤外線スペクトロスコピー(NIRS)を用いて、客観的評価としての有用性について検討した。プログラム施行前後で、診断名が変更となった方もおり、外来のみでの診断の困難さが示唆された。またうつ症状の改善を評価するだけでなく、社会適応能力を含めた評価が必要であることが示唆された。さらに多チャンネルNIRSより健常者に比較し脳酸素化Hb濃度変動がうつ病群で有意に低く、プログラムにより前頭前野、側頭領域において血流変動が改善することが示唆された。
著者
細川 大二郎
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

近年、多くの植物ウイルスについて、ゲノムの構造や機能が明らかにされてきている。しかし、ウイルスのゲノムの宿主細胞における発現や複製、あるいはウイルスの増殖機構については不明の点が多く残されている。本研究では、電子顕微鏡(電顕)レベルのin situハイブリダイゼーション法を用いて、ウイルス核酸の動態を宿主細胞の微細構造と関連させて詳細に調べ、ウイルスの増殖機構を主に細胞生物学的な面から明にしようとした。現在、まだ電顕レベルのin situハイブリダイゼーション法は十分に確立されたものがないため、固定や包埋法(前包埋法、後包埋法)、核酸プローブや標識マーカーの種類、ハイブリダイゼーション反応やその可視化などについて検討した。供試ウイルスにはタバコモザイクウイルス(TMV)及びジャガイモXウイルス(PVX)を用いた。これらのウイルスを接種したタバコプロトプラストを4%パラホルムアルデヒドと0.5%グルタルアルデヒド混合液で、4℃で、2時間固定し、アルコールで脱水後、Lowicryl K4Mに包埋り、超薄切片を作製したのち、ジゴキシゲニン標識RNAプローブでin situハイブリダイゼーションを行い、抗ジゴキシゲニン抗体と反応後、金コロイド標識抗ヒツジIgG抗体で可視化する方法によりシグナルを検出することができた。そこで、この方法を用いて、TMV及びPVXのRNAのタバコプロトプラスト内における局在を調べ、次ぎの結果を得た。すなわち、TMVでは、プロトプラストの細胞質の一部にやや電子密度の高い部位が生じ、そこに金粒子の標識が認められた。このプロトプラスト内におけるウイルスRNAの局在部位とその合成部位の関連を明らかにするため、[II]-ウリジンの取り込みによる電顕オートラジオグラフィー法を用いて、プロトプラスト内におけるTMV-RNAの合成部位を検討した。その結果、[II]-ウリジンの取り込みによる現像銀がプロトプラストの細胞質のウイルス粒子の集塊の近傍に認められた。PVXではウイルス接種4時間後からプロトプラストの細胞質の一部に金粒子の標識が認められ、金粒子は数個から10個位が集合して観察され、接種後の時間が経過するにつれて金粒子の標識部位はやや大きくなり、数も多くなつた。この金粒子の標識部位は細胞質基質であり、特別の細胞構造は認められなつた。
著者
齋藤 秀敏 藤﨑 達也
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は、高エネルギーX線による放射線治療において患者体内で発生するコンプトン散乱光子の情報を利用して、放射線治療の確かさ向上のための照射位置検出および投与線量分布再構成可能なガンマカメラシステムを開発することである。この目的のためコンプトンカメラに着想し、シミュレーションによりその可能性を示した。また、原型となるシステム構築を目的として、コンプトン散乱光子のエネルギースペクトルおよび発生効率をシミュレーションにより求め、実験的に検証した。これらのデータを利用し、検出器、コリメータシステムおよび再構成アルゴリズムなどに関する基礎的研究を進めた。
著者
福永 信哲
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

ジョージ・エリオットの後期 3 小説(『急進主義者フィーリックス・ホウルト』、『ミドルマーチ』、『ダニエル・デロンダ』)にみる小説テクストのインターテクスチュアリティ(過去および同時代作家のテクストとの影響関係)を文体分析の方法により実証的に裏づけた。これにより、19世紀後半の時代精神たるキリスト教 (聖書の宗教的世界観と科学(進化論と生理学・心理学)の対話・葛藤が小説テクストに深く浸透していることが明らかになった。
著者
藤井 尚子 戸苅 創 鈴木 賢一 小松 弘和 森田 明理 小田 久美子 岩田 広子 小黒 智恵子 村瀬 裕
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、入院患者が着用する衣服である「病衣」について、名古屋市立大学附属病院の看護部や化学療法部の医師と連携し学際的研究チームを構成し、現状の病衣の実状調査をふまえ「脱着容易性」と「患者の回復意欲の向上」に重点をおき、名古屋市の伝統技法「有松・鳴海絞り」の伸縮性を応用する病衣デザインの開発と研究を進めた。成果は以下のとおりである。(1) 国内外における病衣および療養環境の先行研究調査に基づく中長期療養型病衣の提案(2) 容易な脱着性を実現する病衣の基本的構造およびデザイン要件の抽出「有松・鳴海絞り」を活用した病衣プロタイプの製作および検証(3) 病衣デザインの公的発表
著者
猶木 克彦 副島 研造 池村 辰之助 浜本 純子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

EGFR変異陽性肺癌にはEGFR阻害剤が著効するが、多くは1年以内に増悪(耐性化)するため、その克服が重要である。細胞株を用いた検討により、これまで報告されていない繊維芽細胞増殖因子(FGF)および受容体(FGFR)が、EGFR阻害剤耐性に関与することを明らかにした。臨床検体では、FGF9高発現が肺癌患者の予後に関係することを見出した。FGFを肺上皮細胞に導入すると形質転換し、免疫不全マウスでの腫瘍形成が促進し、FGF阻害剤によりそれが抑制された。FGF/FGFR経路が肺癌の予後・腫瘍形成・耐性化に関与しており、治療標的となることを、細胞株から臨床検体レベルまでにおいて系統的に明らかにした。
著者
木原 誠 朱雀 成子 早瀬 博範 吉岡 剛彦 相澤 照明 相野 毅 田村 栄子
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

三年間に亘る本研究の目的は、「国際文化学」の理念構築、及びその建築された理念を速やかに教育現場で実践していくための教育図書を備えた研究の出版にあった。この目的は、一昨年の『ヨーロッパ文化と日本』、昨年度の『歴史と虚構のなかの<ヨーロッパ>-国際文化学のドラマツルギー』(共に昭和堂)の出版において一つの結実をみた(さらに、今年度は『国際文化学と<旅・移動>』という表題で出版を予定)。研究に関してはすでに二冊の教育研究図書刊行により、すでに十分、企図を達成していたことから、最終年度にあたる平成19年度は、やや不十分であった実践的側面に重点をあてることを最大の課題に掲げた。その具体的成果は、佐賀大学文化教育学部に一昨年より新しく開講された「国際文化学概論」での教育の実践、具体的には、本研究により出版された二冊の図書を教科書に用いて、本研究の研究者全員がオムニバス形式で授業を行ない、その後、改善の検討会議を行なうことにより遂行された。また、本年度は、これまでの本研究成果を踏まえて、国際文化学会の研究会を「B面の国際文化学」という表題のもとで、佐賀大学で開催したことも特記しておきたい(尚、本研究の成果のあらましは、国際文化学誌、平成20年度『インターカルチュラル』で、「佐賀大学における国際文化学の歩み」という表題で掲載予定)。
著者
岡本 悦司 神谷 達夫
出版者
福知山公立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

特定健康診査・保健指導によるメタボ医療費の抑制効果を評価するため,医療給付実態調査のレセプトデータより,2010~13年度の4年間に継続して被保険者であった者について,メタボ疾患を主傷病とするレセプトの医療費の伸びを追跡した。突合人数100人以上の1038組合484万6222人を対象とした。4年間のメタボ医療費の平均伸び率の分布は,1.05~1.1に最多の330組合が分布しており,歪度1.81と右側(=医療費増加)に偏っていた。若干の加齢による影響も加味しなければならないが,各保険者がメタボ対策にとりくんだ4年間においても明確なメタボ医療費削減効果は観察されなかった。
著者
重田 謙
出版者
長岡技術科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

後期ウィトゲンシュタイン(Ludwig Wittgenstein, 1889-1951)の言語の意味に関する洞察に基づいて,「意味のデフレーショナリー理論 (DMLW)」という意味に関する独自の理論を提唱し,①解釈の観点から,DMLWが後期ウィトゲンシュタインの意味をめぐる議論と整合的であるかどうかを検証し,②解釈とは独立した観点から,DMLWが意味の理論として妥当であるかどうかを検証し,それによって③DMLWがこれまで提唱されてきている意味論とどのような関係に立つのか,その位置づけを解明してきた.
著者
薮下 聡 森田 将人
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

複素座標法は、量子力学的準安定状態である共鳴状態の位置と寿命を、非エルミートな固有値問題を解くことで直接決定する理論的手法であるが、実際の応用に際して、基底関数の選択など技術的に困難な側面を持つ。本研究は、複素数軌道指数を含む基底関数を用いてそれをエネルギー勾配法で最適化するなど、いくつかの計算科学的な技法の開発によってその問題点を解決するとともに、具体的な系に応用するものである。