著者
津止 正敏 斎藤 真緒
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究の焦点はケアとコミュニティである。介護者を中核として組織されるボランタリーなアソシエーション(会や集い等)が、ケア包摂型ともいうべき新たなコミュニティ開発の動力装置として機能するかという極めて実践的なテーマを設定した。近年増加が著しい男性介護者の会や集いにそのフィールドを求めた。活動への参与観察、主宰者へのインタビューや交流等を通して、介護者の会や集いは「ひとりじゃない」という確かな実感に溢れ、同じような立場の人との交流は、介護生活で失いつつあった社会との接点や連帯を修復する「場」となっていることが確認された。
著者
亀井 健史
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

現在わが国では、廃棄物処分の問題が社会問題化し廃棄物の有効利用が急務となっている。本研究では、産業廃棄物(廃石膏、石炭灰、高炉スラグ)からなる複合リサイクル材料の地盤改良材としての有効性を検討している。その結果、複合リサイクル材料の添加率の増加に伴って土の強度変形特性が大幅に改良され。エトリンガイト生成量や形状がその内部構造や強度発現過程と密接な関係があることを解明している。一方、地盤環境工学観点から重金属類(フッ素、六価クロム、カドミウム、鉛等)の溶出量が環境基準値を満足していることも確認し、本複合リサイクル材料のケ袁節材料としての有効性を学際的な面から実証している。
著者
井上 祥史 伊藤 敏
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

仮想空間の中で疑似体験が可能な環境として, 磁場中の導体をマウスで触ってその中の電子の運動の仮想実験, 自分の脈拍と同期して動く心臓の表示, GPSを用いて古代遺跡を再現し鑑賞できる仮想現実システムなどを作成し, 教育利用に向けての評価を行った. またそれらの作成過程でUSB-IO を用いた制御教材およびImageJを用いた画像解析による運動解析の方法を提案し, 教材としての有用性を示した.
著者
磯田 桂史 伊藤 重剛
出版者
崇城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

明治初期、洋風建築が地方へ普及していく過程において、熊本県の場合、二つの伝播ルートがあった。長崎からの伝播ルートと東京からのルートである。当初、熊本側は、能動的に長崎ルートによって洋風建築を取り込み、そのため、東京ルートに数年先んじて伝播した。熊本県内に伝播してきた建築は、両ルートとも、明治10年代までは擬洋風建築であったが、明治20年頃相次いで本格的洋風建築が東京ルートによってもたらされ、それ以降、本格的洋風建築は県内に徐々に普及していった。
著者
村山 昌平 近藤 裕昭 三枝 信子 森本 真司
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

岐阜県高山市の冷温帯落葉広葉樹林において、炭素循環素過程の収支を評価するために、林内外の大気中CO_2濃度及びその酸素安定同位体比(δ^<18>O)、及びδ^<18>Oの変動要因と考えられる土壌中CO_2、降水、土壌水、水蒸気、葉内水のδ^<18>Oの系統的な観測を行った。得られた結果より大気中CO_2の^<18>Oの変動の特徴を明らかにし、その変動要因を考察するとともに、光合成、呼吸に伴う^<18>Oの同位体分別の変動を推定し、^<18>Oの収支からフラックス観測で得られる正味CO_2交換量を光合成と呼吸に分離評価する可能性について検討を行った。大気中CO_2のδ^<18>は、CO_2濃度と比べて複雑な日内変動を示したが、日中乾燥時には、光合成時のCO_2の^<18>Oの同位体分別が増大することに起因すると考えられる顕著なδ^<18>の増加が観測された。日中森林上で得られたCO_2のδ^<18>Oデータの季節変動は、冬季に低い値、春季に高い値を示したが、成長季は年々異なる変動を示した。成長季の変動については、相対湿度と負、日射量と正の有意な相関が見られ、夏季に湿潤であった年には初夏にδ^<18>Oは急減し、少雨で比較的乾燥した年には、初夏に最高値を示したのち緩やかに減少した。北半球中緯度の他サイトとの比較により、後者のような季節変動は、北米・ヨーロッパの多くのサイトで見られたが、前者のような変動は、モンスーンアジア域の特徴であることが示唆された。フラックス観測から推定された光合成・呼吸量と同位体分別を組み合わせてCO_2の^<18>Oのフラックスを推定し、林内1ボックスの収支モデルを用いて、観測されたCO_2のδ^<18>Oの変動と比較したが、推定された^<18>Oのフラックスから観測値の変動パターンを再現できず、光合成・呼吸量を精度良く分離推定するためには、森林内外の各層における素過程を再現する多層キャノピーモデルを用いた解析を行う必要があることが示唆された。
著者
村松 泰子 大竹 美登利 直井 道子 福富 護 佐久間 亜紀 中澤 智恵 谷部 弘子 福元 真由美
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

ジェンダーの視点からの教員養成のあり方の検討に向け、現状と問題点の把握のため、教員養成系8大学の教員・学生両者を対象に実証的研究を行った。初年次に教員に対する質問紙調査(回答703名)、2年次に学生に対する質問紙調査(回答1209名)を実施、最終年次に両調査の結果を合わせ分析し報告書を作成した。調査内容は、教職観、大学教員の教育活動・学生観、学生の学習活動・大学教員観、教師-学生関係、ジェンダー観などである。結果の一部は、下記の通りである。1)大学教員の7割以上が小学校教師は、経済的に安定・大学院レベルの知識が必要としているが、女性教員の過半は女性向きとし、男性教員の過半はそう思っていない。2)多くの大学教員は、学生の学力・まじめさ・積極性・批判精神・将来性には性別による偏りはないと見ているが、批判精神と将来性は女性のほうが女子学生を高く評価している。3)学生は男女とも、男性教員に「専門的知識の深い人が多い」、女性教員に「まじめな人」「やさしい人が多い」というイメージをもつものが多い。4)一般的なジェンダー観に関して、大学教員では「能力や適性は男女で異なる」に男性の過半数は同意、女性の過半数は不同意など、性別による差が大きい。学生も性別により差が見られる。学生の多くが「男女の違いを認めあうことが大切」としているが、「義務教育でもっと男らしさや女らしさを大切に」教育することには多くが否定的である。5)義務教育段階での教師と児童生徒の関係について「毅然とした態度を取るべき」などの権威的な考え方は、女性より男性教員のほうがやや強く、ジェンダーバイアスが強い教員ほど強かった。学生でも、管理主義的な考え方が男子学生のほうにより強かった。以上の通り、大学教員では、ジェンダーに関わる態度や意識が性別により異なる面があり、学生では男女ともに、意識としては男女平等を志向しながらも、すでにジェンダーを内面化している傾向がうかがえた。
著者
麻生 和江 古城 建一
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

2003年4月からの知的障害者と大分大学学生とのダンスや福祉レクリエーション・サービスを通して、両者の「からだ」への意識変容を検証した。ダンス活動では、活動を進めていく中で、」大学生は戸惑いつつ,障害者との活動を進めていく過程で,知的障害者を観察し,健常者との違いを明確に把握することができた。他者と自分の違いを認識すること,他者の生を実感することは,健常者間でも求められる。しかしながら,知的障害者に実際に接することで,観念的でしかなかった「健常者」「知的障害者」の相違の根拠を認識することによって,自信を持って「他者と接する」ことができるようになった。それはまた自己の改革を導出することにもなった。知的障害をもつ人々の生活をみると,彼らはその障害の特殊性から,生きるための生活そのものも家族やボランティアや福祉施設等の組織的支援への依存度が高い。そういうわけで,福祉レクリエーションの掛け声は少しずつ高まっているとはいえ,生活のなかに,「こころとからだ」の楽しみを日常的に求めることは困難な状態に置かれている等の考察に至った。結論的には、知的障害者と大学生はダンス活動やレク・サービスを媒介とした交流で,「からだ」を実感する様々な体験を蓄積していき,お互いに生き生きとした「からだ」への認識を深めることができたと考えられる。
著者
眞鍋 えみ子
出版者
京都府立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

プログラムは、セルフモニタリング、行動目標の設定とホームワーク、望ましい行動に対する自己強化、自己教示指導、面接によるフィードバックから構成される。チェックシートは睡眠状態、胎動、腹部・出血、体重、食事、運動、生活、気持ち(快適度)、母親イメージ、赤ちゃんと話す(コミュニケーション)の11のチェック項目と自由記述欄からなる。健康行動学習プログラムの臨床的適用を検討するために、妊娠初期の初妊婦を対象に15〜34週までの20週間、健康学習プログラムによる介入指導を行いその効果を検討した。面接指導群20名には、セルフモニタリング(妊娠15週、22週、32週前後)と同一の助産師による面接(妊娠17週、24週、34週前後)を行った。記録群(29名)には、面接指導群と同時期にセルフモニタリングのみ行った。そして統制群34名を設定した。その結果、面接指導群と記録群では、特に食生活や日常生活動作に関するセルフケア行動意図の維持、向上、セルフケア行動の遂行レベルが高いこと、統制群では妊娠末期に不安が若干増強しているのに対し、面接指導群と記録群では妊娠経過と共に軽減するのが認められた。さらに、記録群では介入期間中に20%の者がドロップアウトした。セルフモニタリングは、時間と経済的な面からも効率的な効果が期待される。しかし、1週間の継続したセルフモニタリングができない妊婦はプログラムによる指導の対象外となること、セルフモニタリングの持続には、助産師の個別面接によるフィードバックは有効であることが示された。これらから健康学習指導プログラムは妊娠期のセルフケア行動の向上に有効であると確認された。
著者
岡田 裕成
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、スペインの植民地を中心とする新大陸の先住民像に焦点を当て、その類型と系譜、社会的機能を明らかにしようとするものである。ペルー、メキシコ、およびヨーロッパ各地で調査をおこない、そこで得られた作品および一次資料の分析に基づき、その表象が、自然科学的探査の成果と、古代のテクストなどの典拠に由来する人文主義的関心の双方に依拠して構築されたことを明らかにした。またその人工的なイメージは、植民地の先住民の自己表象の形成に重大な影響を与えたこと、先住民エリートの植民地社会への適応を演出する図像的な装置の役割を、祝祭などの場において果たしたことを明らかにした。
著者
町 博光
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

急激に変容する奄美諸島方言で、いくつかの伝統的な行事に参加した。2時間ほどの行事をビデオに収録することができた。これを文字化して、実際にどのような場面でいわゆる標準語が使用され、どのような場面で方言が使用されているかを観察することができる。開会のあいさつや来賓のあいさつ、また司会進行といった場面では、ほとんどがいわゆる標準語である。それに対して、個人的な呼びかけや話は方言が使われている。奄美諸島における方言の機能を浮き彫りにすることができた。
著者
高綱 博文
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、戦時期(1937~45年)上海の経済・社会の変容と日本の国策会社・中支那振興株式会社の関連性を歴史的に検証することを目的とする。日本政府により華中地域の占領地開発を目的に、1938年11月に設立された中支那振興株式会社に関する史料を調査・蒐集し、その組織と活動の全容を解明するための以下のような基礎研究を実施した。第一に、中支那振興株式会社に関する史料調査・蒐集を国内外で行い、「中支那振興株式会社関係文献目録」を作成する作業に従事した。第二に、中支那振興株式会社の概要については、「戦時上海の経済・社会変容と中支那振興株式会社に関する基礎的研究」等をまとめた。
著者
小場瀬 令二 藤井 さやか 小山 雄資
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

2007年福田首相は「200年住宅」を提唱し、長期優良住宅施策が実現した。他方大都市では土地の細分化が進み、十分使える住宅が取り壊されている。そこで土地の細分化を防止する試みが各地で取り組まれた。東武東上線沿線など幾つかの各住宅地を比較検討を行った。建築協定や地区計画を実施することが有効だが、そこにいたる1歩として規制のゆるい憲章的なものであっても、住民の運動によっては一定の効果があることを明らかにした。
著者
栗林 景晶 渡邉 直樹
出版者
札幌医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

再生不良性貧血(Aplastic anemia;以下AA)は、汎血球減少症を呈する症候群である。本研究では、AA患者血清中に特異的に発現する8種類の自己抗体を同定した。これらの自己抗体のうち3つは、健常人と比べAA患者で上昇していた。また、免疫抑制療法不応例よりも反応例で自己抗体価は高く、また、それらが高いほど免疫抑制療法に対する奏功率も高かった。これらの自己抗体は、汎血球減少症の中から免疫異常を有する患者を抽出し、免疫抑制療法の効果を予測するマーカーとなると考えられた
著者
藤田 幸司 本橋 豊 金子 善博 佐々木 久長
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究は、ヘルスプロモーションの手法であるコミュニティ・エンパワメントの自殺予防対策における有効性を検討するために実施した。積極的な社会参加を促す地域づくり型の介入プログラムを実施した。前後に実施した悉皆調査の結果、コミュニティ・エンパワメントを実施した地域の認知的ソーシャル・キャピタルの向上が認められた。高齢者においては、コミュニティ・エンパワメントによる積極的な社会参加と住民同士の信頼を高める地域づくり型プログラムの実施は、地域のソーシャル・キャピタルを醸成させ、地域力を向上させる可能性が示唆された。
著者
今泉 裕美子
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

①日米政府の刊行・未刊行史・資料、聴き取りから、信託統治への移行期に関する統治及び政策の全体像の提示、②米海軍が収集した日本の統治に関する情報が極めて限定されており、アメリカ文化人類学者の植民地社会分析を日本による統治の実態と突き合わせて検討、③信託統治への移行過程は、米軍の南洋群島占領統治から検討すべきこと、非現地住民引揚げまでで時期区分する必要性を提示、④米の極東政策と信託統治政策との関係を日本兵と非現地住民の帰還政策から分析した。但し⑤新たな史・資料を収集しえたが情報が僅少で、改めて今後の調査方針をたて、⑥当時10代後半以後の中等教育を受けたインフォマントからの情報の重要性を確認した。
著者
木谷 誠一 西川 洋文 柳沢 雄太 和田 萌
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

平成22年国民健康栄養調査によれば若者の脂肪エルギー比率は、20代の年代に多く、とくに飽和脂肪酸の摂取量が増加している。疫学的あるいは臨床的に脂質と健康の関連が報告されているが、本研究は細胞レベルで、特にトランス脂肪酸は炎症惹起作用を、魚油は,それに対して炎症抑制作用をもつことを、明らかにした。アラキドン酸や飽和脂肪酸も炎症惹起作用を持っていた。細胞レベルの知見で、栄養保健と予防医学にひとつのエビデンスを提供した。
著者
牛尾 知雄 金 寛
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

竜巻等の突風,雷放電,局地的大雨による甚大な気象災害の防止に対する社会的要求は,年々その重要性が認識されるようになってきている。本研究では,昨年開発に成功した超高速走査が可能なフェーズドアレイレーダネットワーク,広帯域レーダネットワークそして雷放電の3次元標定装置を核として,大阪,神戸地域を中心に観測網を構築,そのデータ配信処理アルゴリズムの開発とデータ配信システムの構築を行った。
著者
加治屋 健司 池上 裕子 牧口 千夏 粟田 大輔
出版者
広島市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

オーラル・ヒストリーの方法を用いて、1960年代の日本における前衛美術に関する研究を再構築した。地方の美術活動を視野に入れながら、合計47名の美術関係者(美術家、デザイナー、写真家、建築家、音楽家、美術評論家、画廊主、団体職員など)に90回の聞き取り調査を行った。戦後日本の前衛美術運動は、地方の文化や社会、ジェンダーの問題、国内外の他芸術の動向と深く関係しながら、多様な考えと形態を伴って展開したことを明らかにした。
著者
山城 雄一郎 大塚 宜一 永田 智 清水 俊明
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

インフォームド・コンセントの得られた川崎病患児14例中9例の小腸粘膜から,患児末梢血単核球を有意に刺激する4種のグラム陰性桿菌,3種のグラム陽性球菌,3種のグラム陰性球菌を検出した.このうち患児2例からはスーパー抗原活性を有するS.aureusが検出された.また検出された細菌のうち1種は偏性嫌気性菌で通常の咽頭/後鼻腔,便培養では得られない細菌群であった.これらの培養上清を同一患児血清と反応させ,Western blottingにより反応した蛋白成分をIgG抗体を用いて検出した.その結果,9例全例からγグロブリン投与前の血清で検出されなかった各細菌の産生物に対するIgG抗体が投与後の血清にて検出されていた.以上より,小腸粘膜から検出された細菌の産生物が,患児単核球を増殖させ,何らかの免疫学的活性をもたらしていること,しかもその細菌産生物の産生時期は川崎病急性期であること,γグロブリンによりその中和抗体が供給されたことより,川崎病が治癒を迎えた可能性が大きいことが推測され,これら細菌産生物が川崎痛の原因物質であることを強く示唆する結果と考えられた.これらのうち2例から得られた56kDa,47kDa,37kDaの3種のバンドについてのみアミノ酸分析が行い得たが,これらはいずれも細菌の内因性蛋白であった.以上のことから,川崎病の病原菌は単一なものではなく極めてheterogeneousなものであることが推察された.
著者
長崎 百伸 小林 進二 山本 聡 本島 厳
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

新しく開発した入射システムを用い、Heliotron Jにおいて70GH_z第2高調波X-modeによるECCD実験を行い、EC駆動電流が磁場配位に強く依存することを実験的に示した。平行運動量を保存する理論計算結果は実験結果と定量的に良い一致を示し、捕捉粒子の効果について明確な結論を与えた。NBIプラズマで励起される大域的アルフベン固有モード(GAE)にECCDを印加したところ、GAEを抑制することに成功した。モード強度はある磁気シアの強さにおいてモード強度が急激に減少することがわかり、モードの安定化に磁気シアの閾値があることを実験的に示した。