著者
須川 修身
出版者
東京理科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

消防設備安全センターの「音声警報のあり方連絡会」が既に警報用シグナルの作成条件として下記の6条件を提示しており、これに基づいて女声による予報、男声による警報音が作成され、実際に一部の高齢者施設では火災を報知する音声として使用されている。【警報用シグナルの作成条件】(1)注意喚起を引く感じであること。(2)音のとおりが良いこと。(3)適度に緊張する感じであること。(4)あまり不安な音としてせき立てないこと。(5)耳障りな音でないこと。(6)ありふれた音でないこと。これらの条件を考慮し、これに高齢在館者に避難の呼びかけを行う「音」を組み合わせて音-音声-音を聞かせて、その認識の良否を直接面談によって5段階方式で評価した。また、呼びかけの「音」についても30種の中から予備的な評価で選別し、火災など異常状態を報知するにふさわしいものを選び、上記の音声との組み合わせを行った。多くの施設ではナースの音声は女声であるため、異常事態になったても親しみのもてる、耳に馴染んだ女声で呼びかけを行ってもらいたいという評価があると同時に、異常時であるとの重大さを認知するには普段とは異なる男声が望ましいとも評価も同様にあり、いずれも報知内容が明確で火災場所がイメージしやすい伝え方で伝達する事が肝要である。異常時を知らせる音質としては、火災のイメージと結びつきやすいサイレンなどの認知が高いが、これは今まで受けた訓練や日常的・経験的な「すり込み」に依るためである。火災を知らせる音(あるいは音声)は、すり込みになっている事が決定的要因である。このため「音(報知音)」を小中学の頃から消防訓練とともに聞かせ、強固な「すり込み」を行って高齢化した場合においてもこれが生かせるようにしておく必要があることが判った。
著者
菅野 素子
出版者
鶴見大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究課題は「イングランドの状況」という時代状況の言説と小説との関係をオイルショック後の1975年から英国が福祉国家としての経済社会構造の大変革を経験した1990年までの15年間にわたって研究したものである。「イングランドの状況」は17世紀後半に始まる産業化の弊害として生ずるネイションの分断に対する懸念の表明だが、現在では一般的にも特殊な意味でも使用される。そこで当該研究期間に発行された新聞雑誌などジャーナリズムにおける一般的な用法および同期間に出版された小説を調査の対象とし、その結果を比較検証した上で関連づけた。こうした再検討は当該期間における「イングランドの状況小説」の再構築につながった。
著者
須曽野 仁志 下村 勉
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

学習者が自分自身へ宛てた手紙をデジタルストーリーテリング(digital storytelling、略称「DST」)で表現する授業設計及び実践にとり組んだ。具体的に、大学生を対象とした実践は三重大学教育学部授業で、中学生対象の実践は三重県志摩市立浜島中学校で行われた。学習者が授業でDST制作にとり組んだ感想を質的分析し、授業デザインのためのコメントをカテゴリー化した。さらに、授業実践を通じて、手紙形式のDSTは人に伝える言語活動を充実するために有効であり、「自分への手紙」をテーマに設定することが学習者自身の生き方を内省することにつながることが明らかになった。
著者
山田 昌孝 長岡 敏彦
出版者
名古屋商科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

構成概念はその意味内容から傾性概念と理論的構成概念の二つに分類される。前者は観察された行動のラベルであり、後者は観察された行動の原因に関する情報(剰余意味)を含んだラベルである。消費者革新性もこの枠組みの範疇に入る。イノベーション採用行動の予測精度の向上を図るには、「理論‐傾性中間概念」を導入し、その測定スケールの開発の必要性を提唱した。本研究は、スケール開発に加えてイノベーション情報の乏しい状況にも対応できるよう「感度尺度」と「心の強い揺れ」という要因を加えてイノベーション採用意思決定過程の再構築を行った。共分散構造分析を用い、3つの採用事例を取り上げ、採用時期予測の向上に成功した。
著者
大久保 茂男
出版者
高知女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

中重核領域における典型としてα-^<90>Zr間の相互作用が低いエネルギー領域におけるα粒子散乱の解析から調べられ,この質量領域においても予想外に吸収が強くなく,ポテンシャルを内部領域まで決定できることが示された。この相互作用をもちいて^<94>Moの基底帯の構造がクラスター模型で理解できることが示された。^<48>Crの基底回転帯でみられるバックベンディングのメカニズムおよび閾値付近におけるαクラスター構造が半微視的直交条件2αクラスター模型で明らかにされた。α-^<12>C散乱が低いエネルギーから高いエネルギーまで,^<12>Cに微視的波動関数をもちいたチャンネル結合法で系統的に解析され,フォールディング・ポテンシャルの有用性が示された。α-^<12>C間相互作用と虹散乱のエアリー構造から^<12>Cの第2励起0^+状態の3α粒子ボース・アインシュタイン凝縮が議論された。αクラスターに関係した研究の成果をふまえ,重イオンを含む核間相互作用とクラスター構造の研究が展開された。^<16>O+^<16>O散乱など虹散乱のエアリー構造のメカニズムが内部波・外部波の視点で分析され明らかにされた。気象虹と核虹の類似性と異質性がLunenburgレンズの概念をもちいて明らかにされた。核虹のエアリー構造の理解が低いエネルギー領域,(準)束縛状態における複合系のクラスター構造の解明に大きな役割を果たすことが示された。虹散乱の研究から^<32>Sにおいて^<16>O+^<16>Oクラスターバンド構造が存在することおよびこれらは3本存在しバンド状態は分散していること,もっとも低いN=24バンドは超変形構造をしていることが明らかにされた。典型核において超変形とクラスター構造の関係が明らかにされ,クラスター構造研究はより高い段階へと発展する可能性が開かれた。典型核^<32>S以外において,^<28>Siにおける^<16>O+^<12>Cクラスター構造と超変形の関係が論じられた。
著者
大中 忠勝
出版者
福岡女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

人工環境への非適応者としての「暑がり」の特徴を調査するために、実験室実験とフィールド調査を行った。1)実験室実験20名の青年女子(21.3±0.6歳)を被験者とし、自己申告に基づき暑がり(HS群: 12名)と非暑がり(NS群: 8名)の2群に分けた。被験者は26℃(60% RH)の前室で20分間安静を保った後、28℃、30℃、32℃(50% RH)のいずれかの温度に設定された曝露室で60分間過ごした。実験中、身体7か所の皮膚温、舌下温、衣内湿度が測定され、同時に温冷感、快適感の申告が記録された。28℃への曝露60分目の平均皮膚温は、HS群33.6℃、NS群33.2℃であり、群間に有意差(P<0.01)が認められた。HS群は発汗量が多く、発汗開始時期も早い傾向にあったが、群間に有意差は見られなかった。両群とも、平均皮膚温と快適感の間に有意な相関関係が認められ、HS群の回帰直線の傾きはNS群より大きかった。HS群は平均皮膚温の上昇に伴い、温熱的不快感を生じさせやすい傾向にあることが示された。2)フィールド調査本研究の目的は「暑がり」が生活する住居の温熱環境とその状況での生理・心理反応をあきらかにすることであった。被験者は暑がり10名(以下HS群)、非暑がり10名(NS群)の青年女子であり、彼女らの自宅(もっとも長い時間を過ごす部屋)において調査が行われた。調査は7月から8月にかけて行った。気温、気湿は2分間間隔で1週間にわたり記録した。自宅に滞在時には、約1時間間隔で身体7か所(前額、胸、前腕、手背、大腿、下腿、足背)の皮膚温が放射温度計により測定された。同時に温冷感、快適感、着衣量が記録された。温熱的中立(暑くも寒くもない)を申告したときの室温はHS群27.2℃、NS群28.3℃であった。平均皮膚温と室温の間には両群とも有意な直線関係が認められたが、中立温感が得られると考えられる平均皮膚温34℃が得られた室温はHS群31.2℃、NS群28.7℃であった。被験者が発汗を感じたときの室温はHS群30.2℃、NS群30.7℃であり、両群間に有意差が認められた。室内での着衣量はHS群0.27clo、NS群0.25cloであり、群間に有意差は認められなかった。HS群の被験者は暑さに敏感であり、涼しい環境を好む傾向にあることが示された。また、エアコンを使用して快適環境を構築する傾向にあることも示唆された。
著者
土肥 謙二 大滝 博和 小川 武希 宮本 和幸
出版者
昭和大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本検討の目的は熱中症モデルにおけるneuroinflammationの病態のメカニズムを明らかにすることであった。まず本研究ではいまだ確立されていなかったマウスの熱中症モデルを開発し、生理学的評価、血液学的評価、ミネラル補充の効果について明らかにした。さらに現在は酸化ストレスの評価や水素水を用いた新規治療法の開発に向けた検討を行っている。また、熱中症モデルにおいては腸管のダメージが組織学的に強かったことから重症熱中症モデルにおけるneuroinflammationと脳-腸管によるsystemic inflammationとの関係について再検討している。
著者
飯島 純夫 山崎 洋子 古屋 洋子 芳我 ちより
出版者
山梨大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

患者と看護師に対する病院環境についてのアンケート調査と、病院における騒音、照度、温度、湿度、気流(風速)の環境測定を実施した。衛生状態、騒音、明るさ、総合評価で、看護師に比べ患者のほうが有意に良い回答をしていた。看護師では温度(「暑い」)と湿度(「蒸し暑い」)で、患者では湿度(「蒸し暑い」)と気流(「弱い」)で冬期と比較して、夏期で有意に高い割合が認められた。
著者
三木 成彦 副井 裕 藪木 登
出版者
津山工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

カラー情報を用いて道路標識の検出する方法の開発を目的とし,以下の項目に対して研究を行った.1.いろいろな環境(主に晴れ,曇り,雨)において各天候,各時期,各時間の色分布を調べ,それらの環境に対応できるよう,各環境のデータをまとめ各色毎の分布関数を作成した.さらに,少なめの収集データにおいても分布関数が作成できるように,数式表現で色分布関数を作成できるようにした.これにより,色分布を広めにしたり,狭めにしたりでき,検出実験が行いやすくなり,従来よりも安定した色抽出が可能となった.2.ニューラルネットワークを用いた方法では,画像における各画素の色を検出する方法を開発した.対象標識は最高速度標識とし,検出実験を行った.晴天の場合の検出率は高かった.条件の悪い,雨天・逆光の場合は誤検出が多く見られた.そこで,逆光の場合,暗いところを検出し,そこを明るくして色検出を行うなどして,改良を加えた.まだ十分とはいえないが,色検出はそこそこの結果を得た.3.画像エネルギー関数を考慮したActive Netを用いた標識検出のプログラム作成と実験を行った.従来の方法では,画像の中央付近に対象標識が存在しないと対象を抽出することは困難であったが,Active Netの形状を変更することにより,画像の周囲に存在する対象も抽出することが可能となった.さらに,安定な抽出を行うために,等面積ネット構造を提案した.このネット構造を用いて,道路標識を検出するプログラムを開発し、実験を行い,外側にある対象の対象捕捉率が向上し,良好な結果を得た.4.検出された道路標識の種類を識別する方法については,ある仮定のもとでの予備実験ではうまくいったが,実際の画像を用いた場合は十分実験ができなかった.
著者
藤本 幸夫
出版者
麗澤大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

日本には朝鮮の古書が多く保存されている。これまでそれらに関する研究は十分されていなかった。当人は日本全国の文庫や図書館、必要に応じて英国・台湾所蔵の朝鮮本をも調査・研究してきた。調査項目は28項目で、従来にない綿密な調査である。各書については、出版経緯・刊者・刊地・活字の種類なども詳述し、版が複数の場合には、各版の関係についても明らかにした。朝鮮本の研究は朝鮮学のみならず、中国学・日本学にも資すので、重要である。
著者
北山 陽子
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

原核生物であるシアノバクテリアは、概日リズムを持つことが知られており、光合成活性や細胞分裂が約24時間周期で自律的に振動する。シアノバクテリアの多くの遺伝子の発現は概日時計に制御されており、24時間周期リズムでもって発現していることが知られている。シアノバクテリアの概日時計は、KaiA, KaiB, KaiCという三つの時計タンパク質によって構成されている。本研究では、概日的な遺伝子発現制御の大元である概日時計本体の周期が、どのような仕組みで調節されているのかを解明することを目的としている。概日時計の周期は、一般的に光照度に依存して変化するという性質を持つ。シアノバクテリアは照度が高くなるほど、周期が短縮する。平成27年度は、kai遺伝子に点変異を導入し、その周期が24時間から変化したシアノバクテリアを複数選別し、その周期変異体群から解析に適したものを探した。さらに、変異部位を同定し、光照度に依存した周知長変化の観察および遺伝子発現活性の測定を行った。
著者
大原 隆明 神戸 敏成 中田 政司
出版者
公益財団法人花と緑の銀行
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

北陸地方における菊咲き性サクラ栽培品種群の調査の結果、樹齢40年以上の古木が44個体確認された。中には4新品種が含まれており、3品種をニュウゼンオトメキクザクラ、ショウホウジキクザクラおよびシママチキクザクラと命名した。二季咲き性1新品種は‘コシノフユザクラ’として品種記載を行った。芽接ぎ法については活着率11.8%と低い値であり、芽接ぎでの増殖は効率の良い方法ではなかった。組織培養については、実験に用いた10品種すべてにおいて、成長点からシュートを誘導することに成功した。最も効果的な培地は1 mg/l BAPおよび5 mg/l GAを添加したWP培地であった。
著者
宮崎 眞
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は、(1) 複数の人が役割を分担する共同活動の中で言語行動の始発を促すより効果的なスクリプト・スクリプトフェイディング(以下、S・SF) 法の開発、(2)S・SF 法の特長を生かした新たな般化促進法、(3) スクリプトを自らが管理し活用する自己管理法の開発、である。対象者は5 名の知的障害を伴う自閉症者であった。制作やゲーム等の活動の中で、会話行動を指導した結果、S・SF 法により、会話行動が促進されることと学校において会話の頻度が著しく増加した。スクリプトの新たな提示法としてタブレット端末による提示法を開発し、有効性が確認できた。
著者
林 洋一 富田 新
出版者
いわき明星大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究の結果から、メール相談が対面面接と異なる学生の相談ニーズに応え得る可能性を秘めていることが明らかになった。メール相談を、対面の学生相談とは異なる新しい相談チャンネル、もしくは新しい学生支援システムとして、キャンパス内に位置づけていくことは可能であると思われる。一方、メール相談の限界や問題点も明らかとなった。メールのみではクライエントに対する正確な見立てが難しいこと、書き言葉であるため支援者側に対面面接以上に労力が要求されること、緊急介入の難しさ、クライエント側からの中断が容易に生ずること、中断後のフォローが難しいこと、対面面接へのつなぎの難しさ等である。とりわけクライエントの文章読解力や文章作成能力により、メール相談の展開や支援効果に大きな違いが生じてきてしまう点は、メール相談で安定した支援効果を得にくくしている要因の1つであると思われた。
著者
宮川 栄一
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

公共財の完成に向けて2人の個人が交互に努力(コスト)を投入し合うというゲームを理論的に解いた。既存研究とは違い,相手がどれだけ公共財の完成に熱心かが不確実にしか分からないというケースを考えた。均衡を1つ求めることに成功した。公共財に必要な努力総量が比較的小さい場合には均衡が一意であることも証明した。均衡において公共財は徐々にしか完成しないことが分かった。必要な努力総量が少ない場合でも公共財の完成に長時間かかる場合があることも分かった。
著者
渡辺 均
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

市販の屋上緑化薄層基盤土壌では,降雨や灌水によって施工初期から土中の栄養塩類の流出が確認された。土厚10cmの屋上緑化薄層基盤土壌1m2に換算すると438~688リットルの降雨もしくは灌水によって,土壌中のほとんどの栄養塩類が流出することが推計された。さらに,その土壌素材ごとに栄養塩類量を調査したところ,バーク堆肥に含まれる栄養塩類が最も流出していることが確認された。屋上緑化薄層基盤土壌はパーライト,ピートモス,ゼオライトを主体とした配合にすることで,シバの生育と品質を維持させながら,栄養塩類の流出量を低減できることが明らかとなった。
著者
祐村 恵彦
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

細胞内でのミオシンの単量体と繊維の分子平衡の定量的解析を行った。ミオシンは繊維となることではじめて細胞運動や分裂のモーターとして機能しうる。また、どのように機能的なミオシンが細胞内での分布を厳密に制御されるのかについてもこの分子平衡との関連が重要であると考えられる。本研究では、ミオシン重鎖欠損細胞にGFP標識ミオシンを発現させることで、細胞内のすべてのミオシンをGFP標識できるという細胞性粘菌のメリットを利用して、FRAP, FLIP, micro CALIなどの最新の方法によりミオシンの繊維の分子平衡の定量的解析を行った。その結果、従来ミオシンは収縮環内で安定に存在すると考えられてきたが、本研究により、内質にいるミオシンとハーフタイム7秒程度ですばやく置換していることがわかった。さらに、重鎖リン酸化部位アミノ酸をスレオニンからアラニンに分子生物学的に変換した改変ミオシンを用いることで、ハーフタイム7秒の収縮環の置換にミオシン重鎖のリン酸化が関与することを示すことができた。また、本研究によりはじめて、ミオシンが表層流に乗って細胞分裂面に移行することもあきらかになった。また、ミオシン重鎖キナーゼの1つキナーゼAの細胞内分布についてもあきらかにし、それが細胞内質と表層を行き来していること、これがミオシンの細胞内分布に関与することも明らかになった。以上の結果を踏まえ、細胞分裂期の収縮環形成の分子機構の新たな仮説を提唱するに至った。
著者
鈴木 聡一郎 柴野 純一 早川 吉彦
出版者
北見工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

マウスガードの身体能力を向上する効果として、等尺性筋活動における背筋力、ならびに等張性筋活動におけるベンチプレス、レッグプレスの運動速度を向上する効果が有意に認められた。これらの主導筋と顎二腹筋の活動に強い相関が認められたため、マウスガードによる下顎骨の固定が、筋活動を向上することを明らかにした。
著者
足立 収生 赤壁 善彦
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

タミフル製造に重要な原料であるシキミ酸の製造法において、有機合成法は不可能である。最も多用されているグルコースを初発とする発酵法には克服し難い幾多の隘路があった。2002年以来、研究代表者はこれらにブレークスルーを求めて、クロロゲン酸を高濃度に含む南米特産のマテ茶(Ilex paraguarienses )から、麹菌を固定化触媒としてキナ酸やカフェ酸を効率よく安価に大量に調製する方法の開発行った。得られたキナ酸は、既に研究代表者が確立している新規な酢酸菌触媒によって、高速・高効率にシキミ酸へ変換できる系へ連結させることができた。
著者
太田 秀樹 桑野 二郎 竹村 治朗 日下部 治 小林 一三 飯塚 敦
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

平成11年度はジオシンセティックスで補強された土構造物の力学的挙動を合理的に説明することを目的とし,ジオシンセティックスと締固め土の力学的相互作用と補強効果の関連に着目し,締固め土のせん断特性を考慮したモデル化を行った.すなわち締固め土と等価と考えられるような過圧密粘土を想定し,締固め試験に対する一連の等体積一面せん断試験結果に基づき,計算に必要なパラメータの決定方法を提案し,2つの実物大現場試験を有限要素解析によりシミュレートした.その結果,・ジオシンセティックスの敷設が,せん断による土の体積膨張を拘束すると,その補強効果は土の違い(締固め度合いの違い)によってどのように現れるかを解析的に調べ,関口・太田モデルを用いた場合には,強く締め固めすぎるとジオシンセティックスの拘束効果をかえって減ずる場合があることを示した.・締固め土を対象として,解析に必要な入力パラメータの決定法を提案した.締固め管理図を描くことにより,締固め土を過圧密粘土の概念を用いて置き換え,締固め度合いを過圧密比で表すことができた.・実物大現場試験を有限要素解析にてシミュレートし,実測された変形挙動,特にせん断ひずみの集中を説明を説明することができた.