著者
角ヶ谷 典幸
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究により、日本が財務報告のコンバージェンスをより慎重に進めてきたのは、会計制度および周辺制度が整備されればされるほど、会計制度とその周辺制度との擦り合わせが必要となるためであること、また近年、日本国内の会計および周辺制度の機能分化――金融商品取引法と会社法、財務報告と課税所得計算、上場企業と中小企業の会計の分化――が促進され議論されるようになったのは、グローバルな要請に機動的に応えるためであったことが明らかにされた。さらに、日本の固有性は、日本の伝統的な会計制度や周辺制度とIFRSやアングロ・アメリカンモデルとの擦り合わせから創出されていることが明らかにされた。
著者
大場 昌子 佐川 和茂 坂野 明子 伊達 雅彦
出版者
日本女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

ユダヤ系アメリカ人作家がアメリカ社会で注目されるようになった1950年代から21世紀の現代に至るまで、第二次世界大戦中にナチス・ドイツによって引き起こされたユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)が、彼らの小説の中で表現方法を変えながらも、創作上のテーマとして絶え間なく継承されている事実を確認した。さらに、その表現方法の一つとして、ユダヤの伝説上の人造人間である「ゴーレム」が現代作家の創造力をかきたて、ホロコーストの表象として扱われている事実を分析し、図書『ゴーレムの表象』としてまとめた。
著者
伊藤 豊彰 田島 亮介
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

有機栽培体系において、未利用廃棄物であるポリシリカ鉄浄水発生土と他のケイ酸資材は、水稲の収量、外観品質を向上させ、斑点米被害を低下させ、ケイ酸施用は根の量と活性を増加させた。さらに、ポリシリカ鉄浄水発生土は酸化鉄供給によって、水田からのメタン放出量を低下させる可能性を示めした。これらの結果より、PSI浄水発生土およびケイ酸資材の施用が環境保全型水稲生産体系の重要な要素技術になりうると結論した。
著者
久保田 優子
出版者
九州産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究は植民地中期~末期朝鮮の「同化」政策における日本語(国語)教育の役割を三つの時期に区分し解明した。1922年の三・一独立運動後は、天皇への感謝・国家繁栄のために尽力する人材養成という役割が薄れた。1938~1940年は、日中戦争を背景に、日本への忠誠心を持たせる役割へ変化した。1941~1945年は、大東亜戦時体制強化を背景に、天皇が統治する国の民という自覚の強化、国語愛護、国土の防衛・拡大の精神養成という役割に変化した。
著者
柴崎 隆一 一井 康二 家田 仁 渡部 富博 家田 仁 渡部 富博
出版者
国土技術政策総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

港湾を中心とした社会基盤施設のもつネットワーク性に着目し,海上物流に関する地震被害の経済評価手法を開発するため,これまであまり考慮されることのなかった, (1)重力式岸壁以外の港湾施設における地震被災確率, (2)連続または近接する港湾施設の被災の相関, (3)国際海上コンテナ貨物以外の形態の貨物の経済被害, (4)国際輸送市場における均衡状態の変化が社会経済に与える長期的な影響の評価,について検討を行った.
著者
岸本 年史
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

精神分裂病患者における水中毒は病的多飲を特徴とし、意識障害、痙攣などの重篤な症状を引き起こす。また、この水中毒は抗精神病薬の長期服用によっても発症することが報告されている。しかし、この水中毒の発症機構については未だ不明な点が多く、一致した見解はない。我々は、慢性の抗精神病薬服用患者における抗利尿ホルモン分泌不適合症候群(SIADH)が水中毒発症に関係していることを指摘している(Kishimoto et al, Jpn. J. Psychiatr. Nerurol. 43,161-169,1989)。今回、この水中毒発症機構の基礎的研究の一環として抗精神病薬長期投与とSIADHとの関係を明らかにする目的で、ラット視索上核(SON)への高張artificial cerebrospinal fluid (aCSF)の注入刺激後のアルギニンバソプレッシン(AVP)遊離と行動変化に及ぼすデカン酸ハロペリドール長期投与(20mg/kg/2weeks,i.m.)の効果について検討した。下記に、デカン酸ハロペリドールを8週間長期投与したラットにおいてえられた結果を示す。1)SONにおける高張性aCSF注入による刺激は、刺激終了後30分間の飲水行動量を増加させた。また、同処置ラットの移所運動量は増加する傾向を示した。2)SONにおけるAVP濃度は、上述の高張刺激後、同様に増加した。3)同処置ラットにおいて、線条体ドパミン濃度は対照群と比較して減少した。デカン酸ハロペリドール長期投与ラットにおいて、SONへの高張性aCSFの刺激は飲水行動量の増加および同部位のAVP遊離を引き起こした。また、デカン酸ハロペリドール長期投与によって線条体ドパミン濃度の減少が認められた。以上の結果から、SONへの高張性aCSF注入刺激によって発現する飲水行動の増加およびAVP遊離は、中枢ドパミン神経系との密接な関係が推測される。
著者
澤木 聖子 尹 錫任
出版者
滋賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

平成26年度は、日本国内の企業調査に加え、働く社会人を対象に「日本企業における社内公用語の英語化」に関するウエブ・アンケートを実施した。個々人のレベルでは、組織能力と英語力には正の相関があると認識しながらも、社内公用語英語化の導入に対する不安が高く示された。一方、調査対象となった企業の事例からは、外国人採用を含む国内のグローバル要員の育成方針を強化し、年功制の廃止や人材の評価尺度を統一化するグローバル人材データベース化によるグローバル・タレント・マネジメントを推進するなど、英語との親和性を伴う人事政策への転換を図る例も確認された。
著者
加賀谷 聡子 中島 恵美子
出版者
杏林大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、虚血性心疾患患者のセルフマネジメント教育プログラムの開発に向けて、病気に対するリスク認識とセルフマネジメントの現状について明らかにし、更に語りの影響と教育プログラム導入の可能性を検討することを目的とした。虚血性心疾患患者4名に対し半構成面接を行い、質的帰納的に分析した。分析の結果、リスク認識は【自分なりに病気体験の意味づけをする】などの5カテゴリーが、セルフマネジメントは【セルフマネジメントの困難感】など3カテゴリーが抽出された。また、面接後に対象者は気持ちの変化について語っており、語りを教育プログラムに取り入れることでセルフマネジメントが促される可能性が示唆された。
著者
山崎 彰
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

ドイツ・ブランデンブルク地方のレカーン領をめぐる紛争を、18世紀後半から19世紀前半の期間を対象として検討した。(1)18世紀の領主間で争われた領地境界紛争、(2)18-19世紀における領主と農民の間で展開した領主権と賦役をめぐる紛争、(3)19世紀中葉まで長引いた領主とビュドナー(農村下層民)の間で展開した共有地用益権の償却をめぐる紛争、以上が本研究の主要内容であった。
著者
佐藤 眞理子 中田 英雄 礒田 正美
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

近年、国際援助コミュニティの教育分野の主な援助手法となっているセクターワイドアプローチについて、援助供与国(アメリカ・スウェーデン)と援助受け取り国(バングラデシュ)の実地調査(インタビュー・資料収集等)を行い、国際社会におけるセクターワイドアプローチの展開状況を分析した。援助供与国では、基礎教育開発援助の具体的事例をアメリカのUSAID(米国国債開発庁)及びSida(スウェーデン国際開発庁)から収集、まとめ、分析した。セクターワイドアプローチは重点領域のモデルとなるデモンストレーション方式で行われ、それらが基本フィールドとなって地域と国レベルでネットワークを構築するというものである。バングラデシュでは、政策支援型援助であるPrimary Education Development Programを取り上げ、バングラデシュ政府のオーナーシップについてバングラデシュ政府側と援助供与側の担当者と協議し、セクターワイドアプローチの課題を明らかにした。結果、セクターワイドアプローチは国際社会では現在共用されている援助手法ではないことが指摘され、今後のさらなる調査が必要とされた。
著者
藤波 努 杉原 太郎
出版者
北陸先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

認知症対応型介護施設において入居者の行動をデータ化し、解析する手法を見出した。研究により転倒事故の前兆や老衰の兆しなどが検知できる可能性を示した。これらの成果は高齢者の生活の質を高めることに役立てられる。一方、調査を通じて介護施設の多様性が明らかとなった。得られた結果がどの程度汎用性を有するのかは今後その他の施設でデータを集めて検証する必要がある。介護者の行動推定については、得られたデータから次の行動を推定するより、よりよい介護の仕方を探索することの方が重要であり、また介護者からの期待も高いことがわかった。仮説検証より発見を促す仕組みが求められている。これらの知見は次の研究に生かしていく。
著者
椎名 洋
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

1.Zonal多項式によって級数展開できる密度をもつ非負定値ランダム行列の非負定値母数行列の直交共変推定に関して、次のような成果を得た。(1)損失関数にSteinの損失関数を使った場合、直交共変な推定量は、その固有根の順序が標本固有根の順序と同じでないと、非許容的であるという予想があるが、これを2次元分布について照明した。(2)上記の予想と密接に関連する、Zonal多項式の直交群上の一様測度による積分に関する不等式を見つけた。2次元分布の証明は、この不等式を2次元の場合に証明することで得られている。2.東京大学竹村教授との共同研究により、ウィッシャート分布の母集団固有根の無限拡散に関する漸近理論について次のような成果を得た。(1)既に得られていた分布の収束に関する成果をより深めて、その漸近展開を得た。これによって収束のスピードに関する理解が深まった。(2)上記の成果を、Steinの損失関数に基づくリスク評価に使い、Tail Minimaxとなるための必要条件を得た。(3)さらにその必要条件を使うことで、長い間Minimaxか否かが不明だった2つの著名な推定量(Stein推定量とHaff推定量)が共に、Minimaxで無いことを証明した。3.ウィシャート分布の母数行列が特定の行列に等しいか否かの片側検定について、次の成果を得た。(1)一般的な変換に関して共変な推定量が、その固有根に関して単調であれば、不変性を満たすということは、既に知られた結果であるが、この結果に関して別の証明方法を得た。
著者
斎藤 英雄 持丸 正明
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は,多視点画像から,あらかじめ取得済みの数百人程度の3次元人体形状データベースを利用して人体の3次元形状を1mm程度の計測精度で測定する手法の確立であった.本研究では,まず,あらかじめ固定されキャリブレーションされた多視点カメラシステムにより撮影された多視点画像からの足形状形状復元手法の確立を行った.そして,多視点画像から,頭部形状の3次元形状計測を簡単に行うことが可能なプロトタイプシステムを開発した.一方,同様の考え方を発展させ,フリーハンドのハンディカメラにより撮影された多視点画像から,人体頭部の形状推定を行うことができる手法を確立した.また,顔の真正面から撮影した1枚の画像から,同様に顔形状を復元できる手法を確立した.さらに,これらの成果を発展させ,複数の監視カメラなどにより非同期で撮影された「非同期多視点画像」から頭部形状を復元可能な手法を提案し,有効性を検証した.その結果,提案した多視点固定カメラにより足形状を高精度に計測可能手法の有効性を検証し,さらに実用化に向けたプロトタイプシステムの検討を行うことができた.また,提案したフリーハンドのハンディカメラにより撮影された画像列や正面画像から顔形状の高精度形状計測を行う手法の有効性が検証できた.同様に,提案手法を利用することにより,非同期多視点カメラにより撮影された画像列からも顔形状の高精度形状計測が可能なことを実験により検証した.
著者
高須 深雪 田中 信弘 坂井 晃 粟井 和夫
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

多発性骨髄腫と対照間で骨梁幅、骨異方性度、フラクタル次元に有意差を検出した。胃切除後症例と対照間、および肝動脈塞栓療法除後症例と対照間で続発性骨粗鬆症有病率、骨梁パラメータおよび有限要素解析による破壊荷重、スティフネスに有意差を検出した。横断的検討では多発性骨髄腫骨折群と非骨折群間で、骨梁パラメータおよび機械特性に有意差を検出した。平成23年度よりcalibration phantomを用い、CTによる体積骨密度および組織骨密度で評価している。上述の各検討において組織骨密度に有意差を検出している。
著者
浅井 武 瀬尾 和哉 笹瀬 雅史
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究では、サッカーのインフロントカーブキックを対象に、高速VTRカメラを用いて上方から撮影し、蹴り足やボールの速度、ボール回転数、フェイスベクトルとスイングベクトルのなす角度(迎え角)について検討した。その結果、蹴り足速度の平均値は24.2m/sであり、ボール速度の平均値は27.1m/sであった。インフロントカーブキックにおけるボール回転数の平均値は7.8回転であった。全てのインフロントカーブキックの試技において迎え角がみられ、その平均値は35.4deg.であった。迎え角の最小値は21.9deg.、最大値は45.4deg.となっており、かなり広いレンジに渡っていた。インフロントカーブキックでは、蹴り足のフェイスベクトルとスイングベクトルとの間にある迎え角を作ることが、ボールに回転を発生させることの原因の一つになっていると考えられた。また、下腿の有限要素骨格モデルを作成し、インフロントカーブキックのコンピュータシミュレーションを行うことによって、迎え角とボール回転数、及びボール速度の関係を検討した。その結果、迎え角とボール速度との関係をみると、迎え角が大きくなるに従ってボール速度は小さくなっていた。一方、迎え角とボール回転数との関係は、迎え角が大きくなるに従って回転数は増大するが、約70度を越えると急激に減少していた。実際のフリーキック時におけるこの迎え角をみると、ボール回転数が最大になる角度より小さいと考えられ、ボール速度を重視したカーブキックを行なわれていたと推察された。さらに、回転及び無回転のサッカーボールに対して風洞実験を行い、ボールに働く力を測定した。無回転の場合にはオイルフローによる可視化実験を行い、その空力特性を調べた。その結果、回転時の抗力係数は、0.35から0.4程度、無回転時の抗力係数は0.2程度であることが明らかになった。
著者
清水 純一 大江 徹雄 坂内 久
出版者
農林水産省農林水産政策研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

米国については、農産物貿易は全般的にNAFTA域内貿易と対アジア、特に対中国貿易、に大きく依存している実態が明らかになった。食肉に関しては、日本を最終消費地とするNAFTA域内の分業体制が構築されている点が明らかになった。ブラジルでは、世界最大級の食肉企業2社に注目して分析した。両企業とも、近年国外で活発にM&Aを行い、短期間で多国籍食肉企業に変貌した。現時点でブラジルにおいては、米国のように、食肉に関する産業内貿易はほとんど認められない。しかし、我々の研究からは国外での加工・輸出拠点の多元化が進展すれば、ブラジルにおいても食肉の産業内貿易が増加する可能性が高いことが明らかになった。
著者
足立 俊明 前田 定廣 宇田川 誠一 山岸 正和 佐伯 明洋 江尻 典雄
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

リーマン多様体の構造を考察する場合、測地線の研究は非常に有益な手がかりを与える。本研究では、曲線族の種類を増やすことでより多くの情報を獲得し多様体の構造をより詳しく調べられるのではないかという視点に立ち、ケーラー多様体をケーラー形式の定数倍というケーラー磁場による軌道を中心にして考察を行った。1比較定理ケーラー磁場の軌道を基に線織面上に作ったクロワッサン形について、断面曲率の上からの評価の下に周の長さを複素空間形内の弓形の周の長さで評価することができた。逆に断面曲率の下からの評価の下に扇形の弧の長さを複素空間形内の扇形の弧の長さで評価することができた。2複素空間形内の測地球上の佐々木磁場による軌道の考察ケーラー磁場を磁性単体の立場から測地球上の軌道と半径方向とに分解して考察する基礎として、複素空間形内の測地球上で佐々木磁場を考え、その軌道を構造れい率により分類し軌道の周期などの性質を考察した。測地球は佐々木多様体としてのモデル空間であるが、複素空間形上のケーラー磁場の軌道と様子を異にし同じ周期を持つ互いに合同ではない軌道が存在することがわかった。3等長はめ込みによる特徴付けケーラー多様体を実空間形に等長的に埋め込むという構造剛性の下で曲線族としては2次的な点を持つという形に緩めて考察を行った。埋め込みの誘導写像が2次性と測地曲率の対数微分を保つという条件の下ではケーラー多様体は複素空間形の全臍的はめ込みか第1標準はめ込みになる。2次性を保つという条件を緩め外形が2次的であるとすると平行に埋め込まれる階数2のエルミート空間が追加される。
著者
勝矢 淳雄 藤井 健 河野 勝彦 山岸 博 野村 哲郎 宇戸 純子
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

1.京都におけるバイオリージョナリズムの展開:地域との連携を通じて、小学生の社家屋敷の見学会、火星や月の観望会、シンポジウム、社家屋敷の特別公開を実施した。賀茂文化研究会を設立し、会誌「賀茂文化」を創刊した。(1)環境資産の保全・継承のための環境バンクの必要性、(2)リーダーの育成の困難さと方策、(3)活性化の方策としての新行事の意義を明らかにした。社家屋敷の見学会は上賀茂探検クラブに移行し、地元の行事として定着させた。バイオリージョナリズムの精神から地域との連携には研究者と地域住民の信頼関係が重要であり、実証的に明らかにした。環境学習の基礎調査も意図して、ナミテントウ集団の翅紋多型に関する調査を上賀茂などで行った。小進化が一定方向に変化しており、気候の温暖化が最も重要な原因である。上賀茂の中位、低位段丘上には、腐植に富む厚い暗色土層が分布し、非アロフェン黒ぼく土で、母材は非火山性物質である。上賀茂特産のスグキナなどに、マイクロサテライトDNAの変異による類縁関係の解析を行い、2つのグループに大別されスグキナはカブ、ハタケナなどと同一グループに属する。環境白書を素材に、環境問題への対処における環境倫理の役割を考察した。2.京都の風と降雨の特性と鴨川への意識:京都地域における風速と降雨量の年最大値を、その発現の原因となった気象擾乱を調べ、発生する線状降水帯の特性を明らかにした。鴨川について、上、中、下流の9つの小学校の6年生と保護者にアンケートを行い、子供たちはもっと鴨川で遊びたいと思っているなど鴨川への意識を明らかにした。3.川にかかわる生活文化と環境の調査:高齢者への聞き取り調査を実施し、過去の明神川への関わり、生活での利用実態を明らかにした。現在の明神川の上流から末端までの水辺空間構成と利用実態の調査および住民意識を調査した。明神川を舞台に「アートプロジェクト」の企画をたてた。
著者
吉川 大和 野水 基義
出版者
東京薬科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

ラミニンα5 鎖はβ1鎖およびγ1鎖とヘテロ三量体を形成し、ラミニン-511として成体基底膜の主要な構成分子として存在している。ラミニン-511は、正常細胞を秩序よく基底膜へ接着させ組織を安定化させている。一方、癌細胞の基底膜浸潤では足場として利用されるが、そのメカニズムは十分に解明されていない。本研究では、ラミニン-511とその細胞接着に着目し、癌細胞による基底膜形成阻害、癌細胞の基底膜への接着および運動メカニズムにアプローチした。その結果、ラミニン-511の不足は基底膜形成を抑制すること、ラミニン-511への細胞接着を弱めながら細胞運動を促進する細胞内シグナルが明らかになった。
著者
加藤 恵津子 久木元 真吾
出版者
国際基督教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

研究代表者(加藤)による5回の海外フィールドワーク(オーストラリア4回、カナダ1回)、および研究分担者(久木元)による2回のインターネット統計調査を遂行することにより、1)現在、海外にいる若い日本人一時滞在者たちの仕事観・人生観・海外観の質的調査、および2)現在、日本にいる海外経験あり・なし両方の日本人の若者の仕事観・人生観・海外観の量的調査を遂行した。さらに3)研究代表者は、研究分担者のアドバイスに基づき、若者と海外渡航、若者と仕事に関連する主要雑誌のメディア分析を行った。 研究代表者と分担者は、各自の調査を随時報告しあい、活発に意見交換し、現在では共著の執筆を企画準備中である。