著者
門田 守
出版者
奈良教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

ホイッグを中心としたイギリス政治体制とByronの関係を明らかにした。ホイッグには進歩的であるが、同時に体制擁護的側面があることを突き止め、Byronにも同様な政治的特性があることを示した。The Giaour、The Bride of Abydos、The Corsair等の初期東方物語詩群、The Islandという後期の詩、三つの政治演説等を分析して、彼のラディカリズムは必ず貴族的な保守主義によって抑制されていることを明らかにした。
著者
岩井 邦久 森永 八江 西嶋 智彦
出版者
青森県立保健大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

フラボノイドは抗酸化活性等の保健効果が期待されているが、吸収性が低い。我々は、ペクチンがフラボノイドの吸収を促進する作用とそれによる生理的影響について検討した。その結果、フラボノイドの水酸基が多いことやカルボニル基の有無等が作用に関与していることを明らかにした。また、ケルセチンの吸収はペクチンの摂取量依存的に増加し、それによって低密度リポタンパク質 (LDL) の酸化抵抗性も強まることも明らかになった。これらの結果は、ペクチンの新しい作用を示す可能性があると共に、フラボノイドの吸収性向上にアプローチするものである。
著者
安部 大就 山本 聡 下村 泰彦 増田 昇
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

本研究では、GIS(地理情報システム)を研究ツールとして、流域管理の視点から都市近郊エリアにおける土地利用の適正化を図るための計画技術の開発を試みた。研究方法としては、関西際空港の建設に伴い都市基盤施設の整備が進む中で土地利用変化や人口動態が著しい大阪府南部地域をスタディエリアとして、1973年と1990年の大阪府作成の土地利用現況図と人口のデータ、国土地理院発行の標高データを用いて解析し、土地利用変化に影響を及ぽす地形条件や交通条件などの要因をまず明らかにした。次いで、本地域の2級河川流域にほぼ対応した市町域を解析単位として、その土地利用形態や人口分布形態などの地域環境データを用いて地域環境容量を試算し、土地利用変化が地域環境容量に与える影響の定量化を試みるとともに地域環境容量の変化を予測し、土地利用の適正化を図るための課題を探究した。土地利用変化に影響を及ぽす要因を採った結果、地形条件では本地域での標高50mは都市的土地利用から農村的土地利用に変化する境界領域であり、標高100mは農村的土地利用から山林的土地利用に転換する境界領域であることや交通条件では鉄道駅の土地利用変化への影響範囲は住居系用途に対しては約800m、商業系では約300m、工業系では約700m、幹線道路の影響範囲は住居系用途に対しては約500m、商業系では約100m、工業系では明確な影響範頗がないことを明らかにした。次いで、地域環境容量としては、CO_2固定容量、水資源容量を取り上げ、既往の研究成果を応用したモデル式により試算した。その結果、各容量の変化は都市的土地利用の拡大に伴う人口の増大と森林資源の減少に大きく依存することを明らかにし、土地利用の適正化を図るための課題を明らかにした。
著者
海老澤 豊
出版者
駿河台大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究の対象は18世紀英国の牧歌だが、前提としてテオクリトスとウェルギリウス、ルネサンス期イタリア、スペンサーやミルトンの牧歌を概観した。これらは18世紀初頭の英国で起きた牧歌論争を分析するために必要な手続であった。18世紀英国の詩人たちは「田園で羊飼いが歌い交わす」牧歌を変形し、地方色牧歌、都会風牧歌、漁夫牧歌、異国風牧歌、反奴隷牧歌などを生み出し、牧歌という古い器に新しい酒を盛ろうとした。
著者
河崎 哲嗣 守屋 誠司 岡部 恭幸 垣東 弘一 小田桐 良一
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、算数・数学の苦手な学生を多く抱えた小学校教員養成課程を有する大学における数学的モデリングの授業体系の提案とその有用性を示そうとした。そこで、1.授業の教材づくりとカリキュラム構成のための調査・文献、2.算数的活動を学ばせるための基礎研究、3.算数・数学的活動を計画・授業・改良させるための実践を目的とした。小学校で行う数学的モデリングのような数学的活動は「①どんな数学を使うのかを課題内容に明確に組み込む②数学の体系化を意識する③オープンエンドである」の要素を含んだ課題を設定するとともに、学生の数学の学力向上が重要となった。その結果を踏まえ、数学的モデリングの講義案を示すことができた。
著者
松本 尚之
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、民政移管後のナイジェリアを事例とし、アフリカにおける民主主義の実践について、政治人類学の視点から考察した。特に、民族・宗教・地域対立を乗り越え政治参加の平等性を保証する方策として、同国において重要視されている「輪番制」と「均等配分制」という2つの政治慣習について、フィールドワークに基づく分析を行った。連邦政治から地方政治に至るまで、2つの政治慣習の実際の運用を調査するとともに、それら運用に対する人々の解釈・言説を収集した。それによって、国民の融和を目的とした政治慣習の可能性と問題点を分析し、「輪番制」と「均等配分制」が政治的競合における秩序産出に果たす役割について論じた。
著者
有馬 道久
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

教職1年目の小学校教師の頭部にアイカメラを装着し、その教師の視点から2回の授業を録画した。その映像を見ながらその教員と指導教員が視線の向け方についてリフレクションを行った。その結果、指導教員から、全く視線を向けない場所があること、視線の移動が多いこと、子どもの方を見ているが一人ひとりの学習状態を把握できていないことなどが指摘された。2回目の授業とリフレクションから、1回目に指摘された課題は少し改善されたが、まだ残された課題は多いこと、また、授業力を上げるためには新たな課題があることが指摘された。
著者
東 登志夫 菅原 憲一
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

メンタルプラクティス(MP)の実践においては対象者が運動イメージ(MI)を鮮明に想起していることが前提となるが, 1人称MIを想起することは容易ではない.そのため,効果的なMPを実践するには,この1人称MIの鮮明度を十分に確保する必要がある.本研究では対象者が1人称のMIを想起する際に,想起する課題に関する感覚情報を提示することで,1人称MIの鮮明度が強化されるという仮説を立て,大脳皮質運動野興奮性の変化と主観的なMI鮮明度評価の観点から検証した.その結果,動作に関連した聴覚情報や視覚情報の負荷した条件では対象者の主観的なMIの鮮明度を高め,またMI中の大脳皮質運動野の興奮性も高値を示した.
著者
郷間 英世 小谷 裕実 池田 友美 落合 利佳 大谷 多加志 鈴木 万喜子 中市 悠 木村 由里 郷間 安美子 川越 奈津子
出版者
京都教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

現代の子どもの発達の様子や問題点を探るため、過去50年間の発達検査の資料の検討、および、保育園幼児の認知発達や社会生活能力の検討を行った。標準化資料の50%通過年齢や項目別の年齢別通過率の検討の結果、1954年から1983年にかけては、子どもの精神発達が促進した時代、1983年から2001年にかけては、発達が遅延してきている時代と考えられた。また、現代の幼児の発達は、認知能力は男女差を認めなかったが、社会生活能力や描画発達は男児で女児より遅れると言う結果が得られ、最近の発達障害や「気になる子」の増加と関連があると考えられた。
著者
浜名 恵美 近藤 弘幸 楠 楠 明子
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

世界シェイクスピア上演(翻訳、翻案も含む)に焦点をあわせて「演劇をとおした異文化理解教育」の研究を行った。シェイクスピアと異文化理解教育の接合に関しては、本研究代表者が実質的にパイオニアである。本研究では、次世代の研究者と共に、異文化理解教育に資する世界シェイクスピア上演を理論と実践の両面から解明する基盤の構築を行なった。3年間で、異文化理解教育に資する世界シェイクスピア上演の多様な実例を見出すと同時に、今後の世界シェイクスピア演劇をとおした異文化理解教育のあり方に有意義な提言を行うことができた。
著者
PAUL Close DAVID Askew
出版者
立命館アジア太平洋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本年度は、本研究プロジェクト「アジア太平洋の国際政治経済学と人権」の最終年度に当たる。今までの研究を包括する形で、単著『Asia Pacific and Human Rights : A Global Political Economy Perspective』をイギリスの名門出版社Ashgateから出版した。本書では、国際政治経済学という視点に立って、アジア太平洋地域における人権というテーマを検証した。本書同様、本研究プロジェクトでは、グローバルな文脈において、国際経済政治学の方法論・洞察に依拠しつつ、アジア太平洋地域における人権の展開を、個々の具体的なケーススタディを通じて、また普遍主義的な思想史的な視点から、論議してきた。その際、グローバルな文脈では特に政治的・経済的・文化的な過程としてのグローバリゼーション、また人権をめぐる言説における政治的配慮・政治的力学の存在に注目してきた。グローバリゼーション(特に文化的過程としてのグローバリゼーション)と国際政治経済学というテーマについては、上記の著書に加えて、『Football Goes East : Culture and Business of the Global Game in China, Japan and Korea』という共著も出版した。これらの具体的研究成果に加えて、2004年度には、他に、4本の研究論文、2冊の共著を公にしている。
著者
金光 秀和 直江 清隆 本田 康二郎 寺本 剛 鈴木 俊洋
出版者
金沢工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、技術が新しい行為の形を生み出し、社会のあり方を大きく変える現代において、技術のあり方に反省的な眼差しを向けることのできる批判的視点を獲得することを目的とした。この研究によって、第一に、技術に対する批判的視点に関する哲学的考察を進めてその成果を発表することができた。第二に、技術の営みを記述することの哲学的な意義について考察し、また、実際に日本の職人のフィールド調査を行い、その営みを哲学的に記述して成果を学会などで発表した。第三に、福島第一原子力発電所事故に関する記述的・規範的探究を進めてその成果を公表した。第四に、技術哲学の知見を反映させた教科書の作成に参加した。
著者
鹿倉 秀典 豊澤 弘伸
出版者
青山学院女子短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本年度、鹿倉(代表者)はまず「音曲と戯作-潮来節と江戸戯作」(『國文学-特集:近世のネットワーク』13年6月・学燈社)において「江戸長唄」にも取り込まれた俗謡「潮来節」と当時の文藝である「江戸戯作」との関連性について論じたほか幾つかの成果をあげた。一方、豊澤は「情報活用能力と評論・論説の読み」(『月間国語教育』通巻251号)などにおいて「読み」の能力の変容についての考察を深めてきた。本年度の研究代表者(鹿倉)・分担者(豊澤)の主要な業績は、次ページに記した。但し、この期間、研究代表者は関東短期大学(旧本務校)から青山学院女子短期大学(現本務校)に転任、同僚であった研究分担者との連絡が困難になってしまった。それ故、電子メールを活用し、今回の「研究成果報告書」を完成させることとした。「最終成果」は、明和年間『常盤友』を国立音楽大学所蔵「竹内道敬寄託文庫」を底本に、これまでの翻刻の誤りを是正し、章句索引を作成した。『めりやす豊年蔵』(東京都立中央図書館)『おぎ江節正本集』(国立国会図書館蔵)『哥撰集』(東京都立中央図書館蔵)などに収められたテキストも入っている。それ故、本年度「最終研究成果報告書」は、『常盤友』のテキスト分析に主眼をおいた。但し、これは終わりではなく、「近世歌謡詞章研究」の始まりなのである。なお、本研究に用いた「本文テキスト」は、本年5月以降「http://www5b.biglobe.ne.jp/〜sakou/」において、公開する予定である。
著者
佐藤 透
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は、研究期間以前にすでに研究者が実施していた美学・芸術論一般に関する考察と、その考察の侘び概念への応用をさらに発展させ、日本特有の美意識と称される「侘び」「寂び」「幽玄」について、明確な哲学的規定をすることにあった。結果として、大西克禮らの優れた先行研究を批判的に継承しつつ、美および芸術の機能に関する研究代表者自身の見解から「寂び」および「幽玄」に関して、その美意識としての一般性と特殊性とを論定した。三つの美意識を相互連関の下において一つの全体に纏めることは残された課題となった。
著者
三根 真理子 本田 純久 柴田 義貞 三根 真理子
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

長崎市在住の原爆被爆者1237人を対象に、被爆時の状況や被爆体験に関する面接聞き取り調査を1997年に行なった。本研究では、被爆から50年以上が経過した現在においてもなお残る「こころの傷」の全体像を把握するために、同調査から得られた口述記録をテキスト型データ解析の方法を用いて分析を行なった。解析対象は1237人中、性別、年齢、GHQ-30、被爆距離の項目がすべて判明している928人とした。まず、テキスト化された口述記録を"要素"(例えば、「原爆」、「ピカッ」、「死体」、「やけど」、「後悔」)に分解した。同じ意味を持つひらがな、カタカナ、漢字での表記はまとめ、関係のない単語は除外した。方言や表現の違いは同じ"要素"としてまとめた。例えば「光」、「光って」、「ピカドン」、「ピカッ」、「ピカー」は「光」という"要素"とした。また「燃えよった」、「燃えよる」、「燃えてる」は「燃える」という"要素"とした。最も出現頻度が高かった"要素"は「原爆」で口述記録の90%を占めていた。ついで「死んだ」が73.5%、「母」が67%であった。次に身体的なもの(火傷、怪我、病気など)、悲惨な状況をあらわす景色(ガラス、爆風、火事など)、家族、こころ、混乱状態、その他にグループ化し、被爆体験を構成する"概念"を抽出した。被爆体験に関する"要素"や"概念"が各対象者の口述記録に現れる頻度と、要素間あるいは概念間の相関関係を調べた。さらに性別や被爆時の年齢、被爆距離といった対象者の属性により"要素"の出現頻度を比較した。また1997年の聞き取りの際に行なったGHQ(General Health Questionnaire)-30項目質問紙調査の結果と、被爆体験に関する"要素"の出現頻度との関連を調べることで、精神的健康状態との関連についても検討を行なった。
著者
吉田 哲
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

高齢者が短時間座ってよいと考えるベンチの設置場所は幅2m程度の建物余地が選ばれることが多い。ベンチには次に歩き始めやすいよう少し腰掛ける程度のものが選ばれている。幅2m程度の建物余地は、現地を歩行する高齢者による写真選択では中位であったが、対象地域内で存在そのものが多く、1本の通りにも数か所の候補があるため、既にベンチのある場所も含めると理由の不適合を除いても設置の候補として残る場所が多い。商店街内の個店では、操業年数、個店責任者の年齢によっては、本社や不動産管理会社に設置決定権があってもベンチ設置意向のある場合があることを明らかにした。
著者
鈴木 隆子
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

今回の事例において、エスクエラヌエバのアメリカ事務所は閉鎖し、ニューヨークを基点とする国際的な出版会社の投資によるソーシャルビジネス化の動きは8か月の協議の末とん挫した。つまり、4年の間にアメリカとの関係の中で様々な動きはあったものの、ビジネス化はなかなかうまくいかなかった。そのため当初目的としていたこれをモデルとした教育開発モデルにはつながらなかった。しかし今後も教育支援するための投資を募り、質の高い農村教育を広めていくことは重要である。今回の経験から、賛同投資家の増加に貢献するため、新たな研究課題「途上国農村における初等教育の教育成果に関する調査―コロンビアでの追跡調査」が生まれた。
著者
内田 みどり
出版者
和歌山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

1960年代以降、「国家安全保障ドクトリン」に基づいて軍・警察が非暴力的な組合運動や左翼運動をも弾圧するようになったウルグアイでは、1973-85年の軍事政権下で多くの国民が投獄・拷問された。こうした弾圧をさけるため、おもに隣国アルゼンチンに逃れた人々のなかには「コンドル作戦」の対象となって強制失踪させられたもの、作戦時に殺害されたもの、暗殺されたものがいる。2000年8月、バッジェ大統領が国民和解のため設置した「平和のための委員会」は、免責の是非については決着済みとしながら、強制失踪被害者と目される人々の遺体を発見し、遺族に返すことに活動を限定し、2002年末に任務を終了した。この委員会はウルグアイで長い間無視されてきた強制失踪問題が存在すること、失踪に国家が関わっていたことをはじめて認めた点で、強制失踪被害者遺族から評価された。だが軍部が情報を提供せず、謝罪もせず、また委員会の調査では被害者の遺体の所存を突き止めることはできなかったことなどから、委員会は加害者と被害者の和解や社会の平和ももたらしたとはいえない。しかも米州諸国における強制失踪問題は新たな展開をみせ、委員会設置当時のバッジェの思惑(遺体発見に限定し訴追は回避)を超えている。まず、米州人権裁判所はペルーにかんし免責法が米州人権条約違反であるとはっきり認めた。2003年5月に就任したアルゼンチン・キルチネル大統領が自国の免責法廃止と軍政時人権侵害の訴追を決めたこともバッジェとウルグアイに対する圧力となっている。
著者
内田 みどり
出版者
和歌山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

2013~15年には、訴追に熱心だったモタ判事の異動や失効法時効不適用法への違憲判決等、司法府の軍政期人権侵害訴追に対する冷淡な姿勢が目立った。訴追に冷淡なムヒカ大統領の意向が間接的に影響を及ぼしているという指摘もある。2014年の大統領選挙では軍政をめぐる記憶を政治利用してきた伝統政党の候補は過去とのつながりを隠し、逆に拡大戦線がそれをあてこするという記憶の政治利用があった。元ゲリラ/人質のウィドブロ国防相は軍と沈黙の掟を共有し人権団体を非難するなど、ウルグアイの記憶闘争は「被害者」が分裂し、錯綜している。今後は記憶の政治利用の長い伝統の中に、この記憶闘争を位置づける視点が必要である。
著者
橋井 美奈子 樋口 善博 松川 茂 東田 陽博 東田 陽博 松川 茂
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

CD38は細胞内カルシウムイオン(Ca2+)上昇に働くセカンドメッセンジャーであるサイクリックADPリボース合成酵素としての働きを有する。質量分析によりCD38に結合するキナーゼ (PKと略) を見いだしたので、CD38により活性化する生理作用がPKの調節を受けるかを検討した。CD38発現細胞ではCa2+振動などCa2+シグナル増強作用がみられ、PK阻害によりこの効果は抑制された。よってCD38により増強する細胞内Ca2+シグナルにPKが関与していることがわかった。