著者
西 恭宏 今井崎 太一 長岡 英一
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

食品の硬さなどの物性を示すテクスチャーは、飲み込みやすさと関連し、かたさ応力や凝集性が上がるにつれて飲み込みにくさを示した。しかし、テクスチャーの小さな変化では、嚥下時の筋活動は影響を受けなかった。テクスチャーのかたさ応力や凝集性の値が十分に大きい食品の場合には、無歯顎者の咀嚼自由嚥下時の筋活動は大きくなり、強い舌圧を長く生じ、義歯の人工歯列がある方が筋活動が大きく速く生じた。
著者
大迫 一史
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

マアジ鱗ゼラチンから高い物性を有する可食性フィルムを調製する方法について検討した。マアジ鱗から抽出温度および抽出時間を変えて得られたゼラチン溶液に可塑剤としてグリセロールを添加して,これを一定の湿度および温度下で乾燥させることによりフィルムを調製した。70℃で1時間抽出したものが歩留まりが高く(2.5%),また,それから調製したフィルムが最も高い引っ張り強度と引っ張り伸び率を示した。また,フィルムの物性はゼラチン溶液の乾燥温度にも影響され,低温で乾燥させたものの方が,高温で乾燥させたものよりも高い物性を示した。これら物性の違いは,ゼラチン中のα-ヘリックスの含量に依存することが推察された。
著者
佐村 敏治 西村 治彦 成枝 秀介
出版者
明石工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

現在、スマートフォンの利用者は年々増加しており、それに伴い不正利用や情報漏洩の危険性も増大しつつある。本研究ではスマートフォンを対象としたPIN (Personal Identification Number)入力及びフリック入力時のタッチスクリーンバイオメトリクスを扱う。スマートフォンを対象とすることにより、従来のキーストローク認証では得られなかったタッチスクリーンからの情報を利用した新たな特徴量の導入が可能となる。本研究では、スマートフォンでのPIN入力及びフリック入力のデータを収集、分析した実証実験を通して個人識別の有効性を示した。
著者
上野 修一
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

直交半直線交差グラフ(平面上の水平あるいは垂直な半直線の集合を点集合とする交差グラフ)の理論を発展させました.この理論に基づいて,次世代集積回路の革新的な技術として注目を集めているナノ回路の耐故障設計において重要な役割を果たす「直交半直線交差グラフの部分グラフ同型問題」とその特別な場合である「直交半直線交差グラフの均衡完全2部部分グラフ問題」に関するアルゴリズムを発展させました.すなわち,直交半直線交差木に対して前者を解く従来よりも高速なアルゴリズムを提案すると共に,直交半直線交差グラフの特別な場合である2部置換グラフに対して後者を解く従来よりも高速なアルゴリズムを提案しています.
著者
湯浦 克彦 石川 博
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

高度IT人材の活躍、成長過程などと、その人材像の持つスキルの育成に関連する授業や課外活動の関係を、共通キャリアスキルフレームワークというIT分野の標準化知識体系に基づいて収納した知識ベースシステムを、ITpost(IT Professionals Guidepost)と名付けて開発した。情報系学生に公開し感想を回収したところ、過半数の学生から将来目標の設定や履修科目の選択に役立つという評価を得た。また、ITPostの将来的な普及に必要となる、対話型演習支援機能、行動特性評価方法および知識ベース構築技術に関して試作評価を行った。
著者
赤木 將男
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

トレッドミルを用いてC57/BL6マウスおよびつくば高血圧マウス(THM)を強制走行させた。走行開始後2、4、6、8週にて左膝関節を摘出し組織学的に評価した。THMのOAスコアは4週以降有意に高く、8週後にはOAマーカー発現の有意な亢進が認められた。また、THMではRASコンポーネントであるアンギオテンシンII1型受容体(AT1R)、AT2R、ACE、アンギオテンシノーゲンの発現が認められ、AT1R、AT2Rは走行開始後経時的な発現亢進が認められた。RAS系の亢進しているTHMは運動負荷によるOAを発症しやすく、OAの発症と進展には局所RASが関与していることが示唆された。
著者
望月 雅光 関田 一彦 山﨑 めぐみ 金子 徹哉
出版者
創価大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

国内の大学を対象にeポートフォリオの利用状況を調査した。また、学内のシステムの利用状況を調査すると、授業に深く関連づけたキャリアポートフォリオは、年間を通して利用されているが、その結果を踏まえつつ、eポートフォリオの大学での活用促進方法について研究を行った。教職履修カルテの必要な資質能力について5段階による自己評価を例にして、アドバイザーの支援環境のための自己評価の検証方法について研究を行った。履修科目のシラバスの到達目標と同指標を紐付けることにより、成績と自己評価を対比させることで自己評価の検証を半自動的した。また学習ポートフォリオから自動生成する教職履修カルテの精度も検証した。
著者
岡田 三津子 櫻井 陽子 鈴木 孝庸
出版者
大阪工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、宴曲詞章の検討を通して、中世における道行文の形成と展開に関わる基礎的考察を行った。以下に、三点に分けて考察の結果を述べる。第一に、宴曲譜本のすべてを網羅することを目指して、室町期の譜本を中心とした文献調査を行った。そこでは、江戸時代の能役者が宴曲譜本を収集していたことなどを明らかにした。第二に、宴曲詞章の文学史的影響について検討し、論考を書いた。最後に、特別研究会を開催した。そこでは多くの研究者が宴曲詞章を検討する場を提供することができた。今後の課題は、これまでの成果を踏まえ宴曲に特徴的な用字の訓例索引を作成することである。さらに、用字の相違に注目した校訂本文作成を目指す。
著者
鈴木 康子
出版者
花園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究の第一の課題は、近世の幕府による対外政策の推移を、長崎奉行の職掌の変化や、就任者の傾向を分析することにより明らかにすることであった。これについては、『長崎奉行の研究』(思文閣出版、2007)により明らかにした。特に注目すべき点は、(1)近世初期の長崎奉行とその職掌これについては、さまざまな論考を紹介しつつ、重要な職掌としてはキリシタン取締、貿易統制にあったとした。そして、この段階において、長崎奉行の地位は低く抑えられており、幕府直轄領の長官として政治的な役割が重視されていた。(2)貞享〜元禄長崎奉行制度の変化1685年に御定高制度が設立さ…れ、それに多大な貢献をした川口摂津守の活躍により長崎奉行の地位は、90年代に上昇してゆく。一:方その背景には、幕府財政が窮乏してきたため、長崎貿易からの利潤をを収公しようとする幕府の思惑も働いていた。これにより、幕府は外国貿易を評価するようになり、これに伴い近世初期から根強くあった幕府の外国(人)蔑視に変化が見られた。それと同様に、長崎奉行職の重要性も認識されるようになった。(3)長崎目付創設1715年の正徳新例制定時に長崎目付も創設された。これ以後享保期においては、長崎目付経験者が長崎奉行に就任する事例が多くなった。これは、一面長崎地下人の統制に幕府が目を向けるようになったためである。(4)元文〜天明期までの長崎奉行就任者の傾向1732年に享保の大飢饉が起こり、長崎貿易も停滞:した。それを打開するために1736年に、それまで勘定所関係役職を歴任してきた萩原伯看守が長崎奉行に着任した。これ以後、長崎奉行就任者は、勘定所と緊密に関わる者が就任する傾向が見られるようになった。その中で、寛延〜宝暦初期には松浦河内守、宝暦後期〜明和期には石谷備後守が勘定奉行と長崎奉行を兼職して、長崎貿易改革を実施した。この時期、長崎奉行は急速に経済官僚化して勘定所との関係を深めてゆく。そして近世初期のキリシタン取締から、幕府財政を支える長崎貿易の管理者として、貿易から最大の利潤を幕府に収公させること:が重要な職務となったのである。本研究の第二の課題は、オランダ東インド会社による対日貿易政策であるが、2回にわたってオランダのライデン大学とハーグ国立公文書館において、関係文献、史料の収集に努めた。また、東京大学史料編纂所に所蔵されている「日本商館文書」のマイクロフィルムも複写した。これにより、今後18世紀を中心としたオランダ側の対日貿易政策の推移と、その背景としてのアジア・ヨーロッパ市場の動向を分析する予定である。
著者
汐崎 順子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

戦後の日本における公立図書館の児童サービスの動きと,関連する諸要素の動きの調査・研究等から,1)児童サービスの発展には人的要素の影響が大きかったこと,公立図書館全体の流れと異なる独自の動きがあったことを明らかにした。2)児童図書館員の教育体制,職の機会について米国との相違を明らかにした。3)公立図書館の利用が,子ども時代の読書の外的要因となることを実証的に示した。4)児童書の出版と文庫の動き,および両者と児童サービスとの関係を検証した。
著者
会見 忠則
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

毒きのこ等難栽培性きのこ栽培のための基盤技術開発のために,ツキヨタケの人工栽培を確立すると共に,その毒成分であるイルジンSが,子実体で濃縮されると同時に,抗線虫活性を有し,自然界での生存戦略に寄与していた.ニガクリタケの人工栽培では,菌糸蔓延後,放置したままでは,原基形成までしかできないが,ガス交換により,子実体を発生させることができた.その他に,鳥取大学農学部及び同附属菌類きのこ遺伝資源研究センター保有の42種62株(腐生菌20種40株,毒きのこ4種11株,食毒不明22種22株)を用いた栽培試験を行い,22菌株で,良好な菌糸蔓延が観察でき,その内,1菌株で,子実体が発生させることができた.
著者
石井 正子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、フィリピン南部の紛争アクターのうち、1)モロイスラム解放戦線(MILF)、2)モロ民族解放戦線(MNLF)EC15派、3)MNLFミスワリ派の3つに注目し、主に関係者へのインタビュー調査を通じて、その動向を分析した。MNLFと政府との和平合意の行方が混迷するなか、MILFは支持者を増やし、MNLFは分裂弱体化している実態が理解できた。一方、MILFも政府との和平交渉が進まないなか、支持者の裾野は広げつつも、内部に意見相違があることが分かった。これらの研究調査により、紛争が長期化する原因について理解を深めた。
著者
山下 則子 武井 協三
出版者
国文学研究資料館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

当該科学研究費補助金によって得られた研究成果は、以下の通りである。1.様々な文芸に表れた「やつし」と「見立て」の用法について研究した。特に江戸時代の文学作品や演劇資料に表れた「やっし」と「見立て」の用例について調べ、時代に沿った展開や普遍性について研究した。2.「やつし」と「見立て」関係の浮世絵と版本とを原本収集し、「やつし」と「見立て」が最も著しく表れている箇所をデジタルカメラで撮影し、それらをデジタル画像データベースとした。これらの画像データベースは、310点である。3.「やつし」と「見立て」の浮世絵・版本画像データベースに、それぞれ書誌的説明を加え、それらの「やつし」と「見立て」の文学的・演劇的な解釈の情報を加えたデータベースを作成した。研究代表者及び研究分担者が作成した画像データベースは、95点である。4.「やつし」と「見立て」の文学的・演劇的な解釈の情報を加えたデータベースは、冊子体或いは展示会の形で公開し、関係研究者からの意見を求めた。5.これらの解釈付き画像データベースからいくつかを抽出して、音声付きDVDを試作した。つまり、「見立て」浮世絵とその解説を共にパソコン上で見られるばかりでなく、解説を朗読として聞くことができるものである。展示場等での、観客のDVDへの反応は大変良い。次の段階では、画像データベースを音声付きDVDとして完成させるべく、解釈付き画像データベースのコンテンツを更に充実させたい。
著者
小玉 芳敬
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

斜面に発達する風紋を鳥取砂丘で精査した結果,風紋の限界進行傾斜角は降りで-17度,登りで+24度であることが判明した。また進行傾斜角に応じた風紋の断面形態を徹底的に計測した結果,形態特性は4種類に分類され,降り坂では波長6cmほどの短い風紋が,登坂では波長12cmほどの長い風紋が観察されることを明らかにした。いっぽう横列砂丘の風上側斜面の傾斜角を地形図の計測により調べた結果, 7度を中心にして4度~10度の傾斜角を持つ横列砂丘が多いことが判明した。
著者
岩本 隆司 市原 正智 上山 知己 中山 晋介 大内 靖夫
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

マイクロRNAと呼ばれる小さなRNAはヒトの疾患に関連していることが解ってきているがその詳細は不明である。本研究では腸管に腫瘍を多発する家族性腸管腺腫症モデルマウスにマイクロRNAを過剰発現させることにより腸管腫瘍の発症が抑制されること、またその抑制にはマイクロRNA間の原癌遺伝子を介した相互作用、および一連の癌抑制性マイクロRNAの生合成に必須の分子の抑制が絡んでおり、それらの間には複雑なフィードバック機構が働くことを示した。さらにこれらのマイクロRNAを心臓に発現させると拡張型心筋症様の症状がおこる事実を見出し、その分子機構の一部を明らかにした。
著者
金子 邦彦
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

生きた顔はカメラで撮影され、脳反応は視覚誘発電位の電気信号として観測される.いずれも時間の経過とともに観測される時系列データである。本研究では、センサーから観測される時系列データの収集と蓄積と処理に関するプラットフォーム技術の創出に取り組んだ。その成果は次のようにまとめられる。・ Android オペレーティングシステムで時系列データ処理におけるバッファ管理の性能評価に取り組み、一定の成果を得た・顔画像の輝度分布,色相分布,周波数分布の統制については,既存の数多くあるアルゴリズムの目利きを行い,システムとして完成した.・視覚実験データモデルについては,日時を含むレコードデータをキーバリューデータモデルにマッピングする方法について検討を進めた
著者
塚越 覚 池上 文雄
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

培養液濃度がミシマサイコの生育,養分吸収特性,サイコサポニン含量などに及ぼす影響を調査し,ミシマサイコに好適な培養液濃度,組成を明らかにした.また,種子発芽に好適な条件についても検討した.ミシマサイコの養液栽培における好適な培養液濃度はEC1.2~2.4dS/mと考えられた.さらに植物体中の無機成分含有比から推定した培養液の無機成分組成は,N:P:K:Ca:Mg=7:26:8:1.5:2(me/L)であった.また,ミシマサイコ種子の発芽促進には,1.5μg以上の種子重選別が有効であり,発芽の適温は22℃前後と考えられた.
著者
有田 峰太郎
出版者
国立感染症研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

抗エンテロウイルス薬の候補化合物は、ウイルスタンパク阻害剤、宿主のPI4KB/OSBP阻害剤に分類された。PI4KB/OSBP経路は、ウイルスRNA合成過程ではなく、ウイルスの複製の場の形成に必要であり、複製の膜上にフリーのコレステロールを蓄積する役割を果たしていた。これらの結果は、抗エンテロウイルス薬の開発において宿主因子に対する阻害剤に注目する場合には、PI4KB/OSBP経路の阻害剤の有効性を検討する必要性があることを示唆する。
著者
原 真志
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、国際比較実証研究により、映画・CG・アニメといった映像関連コンテンツ産業におけるクリエイティブプロセスを、企業とテンポラリー組織の戦略・ガバナンス・リーダーシップの相違という視点から分析し、さらに産業クラスターとテンポラリークラスターの果たす役割を検討することを目的とし、日米において企業とテンポラリー組織のキーパーソン、 テンポラリークラスターとして SIGGRAPH (CG 学会&展示会) の現地調査を実施した。
著者
上原 景子 HOOGENBOOM RAY 金澤 貴之 大杉 豊 中野 聡子
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

音声認識技術を活用した聴覚障害学生支援では,聴覚障害者の英語の読みの特性に即した英語字幕呈示が望まれる。聴覚障害者の英語の単語認知や読みは聴者と異なり,語彙情報アクセスでは音韻表象に依存せず,意味表象が重要な役割を果す。音声認識英語字幕の呈示では,日本語と異なり,1行当たりの単語数が少ない頻繁な改行は適切でなく,ピリオドのみでの改行かピリオド・カンマでの改行を,英語力や字幕の内容・難易度を考慮して行うのが望ましいと考えられる。