著者
小林 信之 菅原 佳城 鳥阪 綾子
出版者
青山学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は,大変形と大回転を伴う極めて非線形性の強い極柔軟体の制御系設計のために,高精度,かつ,低次元のモデル化手法を開発することを目的に,【1】曲げ捩りせん断および軸変形を考慮した非線形梁および非線形板へモード合成法を適用する自由度低減モデルの開発とその検証,【2】開発したモデルを用いた大変形と大回転を伴う極柔軟体の制御系の試設計,を行った.その結果,【3】非線形性の強い極柔軟梁と板に対する低次元モデルが計算精度を保持しながら,システムの自由度を低減できること,【4】提案した自由度低減モデルが床体操のように大回転と大変形を伴いながら移動するロボットの制御に適用可能であることを示した.
著者
木本 晃
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

申請者らは、乳がん早期発見を目的とした電気・超音波一体型可視化システムの確立を目指している。本研究により、超音波プローブの表面に16電極を有する薄膜を塗付した電気・超音波一体型イメージングシステムを製作した。数値シミュレーション及び生体モデル実験により本システムを評価した。生体モデルとして、脂肪層、乳腺層及び腫瘍層の3層からなるモデルを作成した。結果として、実用化に向けて解決しなければならない課題は残るが、本システムにより得られる超音波画像を利用することで電気インピーダンス再構成画像の分解能の改善を図ることができた。
著者
曽根 敏雄
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

北海道、大雪山の風衝砂礫地における山岳永久凍土分布の下限高度を気温と地表面温度の通年観測および電気探査から推定した。この永久凍土の分布下限付近で10mより深いボーリングを行い、地温観測装置を設置した。ここは永久凍土分布下限付近の地温モニタリングサイトとして期待される。また泥炭地にある永久凍土丘の衰退過程における地温の変化が捉えられた。小径の掘削孔においても深度の異なる多点での温度の観測が可能な温度記録計を開発した。
著者
松本 金矢 森脇 健夫 根津 知佳子 後藤 太一郎 滝口 圭子 中西 良文 磯部 由香
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

教育実践現場やその隣接関連領域の現場で、教材開発研究とその実践を組み合わせた、教員養成のための新たなPBL教育カリキュラムの開発を模索した。開発したPBL教育モデルは、先行研究や実践活動で実績のある拠点校(5校区)を中心に、現場との協働において教育実践に活用された。さらに、海外の教育現場での学びを実現する海外実地研究型PBL教育を導入した。得られた成果は、学会発表(45件)・論文発表(29件)として公開され、関係研究者の評価を得た。
著者
山崎 修 森実 真 金子 淳
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

パントンバレンタインロイコシジン(PVL)は黄色ブドウ球菌が産生する好中球により特異性の高い毒素で、PVL陽性の黄色ブドウ球菌はおできや市中肺炎に強く関連する。我々はPVL陽性のおできの特徴は基礎疾患のない若年者に多く、多発性で発赤が強いことを明らかにした。しかしながら、せつ腫症におけるPVLの役割は明らかではない。我々はPVLの毒素産生制御因子を解析し、PVLのケラチノサイト、線維化細胞、血管内皮細胞に与える影響について検討した。さらにせつ腫症におけるPVL変換ファージの多様性について調査した。
著者
藤 定義
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

乱流輸送現象の基礎的な現象として乱流相対拡散を取り上げ、粒子対の相対距離の伸縮過程が、自己相似的な相関(持続性)を持つことを明らかにした。この伸縮過程を記述する確率密度分布関数に対する確率モデル(自己相似電信方程式)を作り、初期値問題を記述することができることを明らかにした。乱流揺らぎが支配的な系において、力学系的な視点から乱流の秩序形成や乱れ生成が理解できることを示した。
著者
柿原 泰 上田 昌文 笹本 征男 瀬川 嘉之 吉田 由布子 渡辺 美紀子 桑垣 豊
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、原爆被爆者調査とは何だったのか、どのような調査研究を、何のため、誰のために行なってきたのかについて、科学史的に明らかにすることを目的として、先行研究の再検討やこれまであまり知られていなかった資料の発掘・研究を行なった。とくに原爆投下直後から始まり米軍占領下初期に「学術研究会議・原子爆弾災害調査研究特別委員会」として組織化された日本側の原爆調査について重点的に調査・検討を進め、その成果の一部を報告書『原爆調査の歴史を問い直す』にまとめた。
著者
堀内 匡 加藤 聡 山崎 真克
出版者
松江工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,認識対象の古文書文字の字種数を限定したうえで,認識部を大分類部と細分類部に分けた階層的な識別器を用いた高精度の古文書文字認識を実現した.さらに,古文書文字認識の応用として,高精度の認識手法を用いて,初心者が読解困難な文字に対する読みの候補文字を複数個提示することにより古文書読解を支援するシステムを構築した.
著者
角田 幸彦
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

ルキニウス・アンナエウス・セネカ(紀元後1〜65)はローマ帝政期を自らの重々しい運命として生きた哲学者である。彼はローマ初代皇帝アウグヌトゥス、二代皇帝ティベリウス、第三代カリグラ、第四代クラウディウスそして第五代ネロの時代を生き、時代との対話において哲学した。この帝政期ローマは共和政期ローマとちがって、自由な言論政治は封ぜられていた。国家統治は宮廷の中でいわば密談でとりしきられていたのである。セネカは30歳あたりから雄弁力でローマ社会で認められ、かつ彼は哲学者としてもその深く鋭い発言で反響をまきおこした。しかし41歳のとき政治の争いにまきこまれてコルシカ島に流されてしまう。8年間に及ぶ追放生活が、しかしセネカの哲学を一層深くかつ温かいものにした。彼は苦しんでいる者、悲しんでいる者を慰めることに、その後哲学の中心を置くようになる。哲学の今日までの2500年の歴史の中で、セネカほど人間の弱さ、苦悩、悲嘆と向き合い、この姿勢で哲学を作っていた哲学者はいない。対話的に同じ次元に彼はいつも立って、行きづまっている者を元気づける。このセネカは、同時に、ローマ最大の悲劇詩人であった。ローマには意外であるが、悲劇の誕生のギリシア以上に大勢の悲劇詩人が出たのであるが、作品が完全な形で残ったのはセネカの作品のみである。それほど彼の作品はすぐれていた。そしてセネカはギリシア悲劇を徹底的に学びながら、それらの受け売り、模倣ではなく、ローマ人の心性を表現する悲劇を作ることに努力し、見事に成功した。本研究は哲学者セネカと悲劇作家セネカの緊張関係を、欧米の入手できる限りの研究書を読んで究明した。そして『ローマ帝政の哲人セネカの世界-哲学・政治・悲劇-』で成果を世に知らしめた。
著者
中島 皇 竹内 典之 酒井 徹朗 山中 典和 徳地 直子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

温帯のスギと広葉樹が混交する天然林において総合的な調査を開始した。森林の動態の解明を大きな目標として、森の動きと働きを明らかにするのがこの研究の目的である。今回は特に物質の動きに注目して、今後の研究の基礎固めを行った。12年間に3回の毎木調査を行ったことにより、集水域が約8haある天然林の大まかな動きが捉えられた。小径の広葉樹ではソヨゴ、リョウブの枯死が多く、ソヨゴは常緑であるため冬の積雪の影響を大きく受けて「幹裂け」の状態を示しているものが多く見られた。流出物調査では北米で報告されている量と同程度の値が観測され、渓流水質調査では過去の観測データと比較すると硝酸濃度の上昇傾向が見られるなど、新たな知見が得られた。他方で、いろいろなイベントが森の動きに大きく影響を及ぼしており、そのイベントが生じた直後でなければ、なかなか影響を顕著に見つけられないことも事実である。この点は流出水量・流出リター量・渓流水質においても同様で、イベント時の現象を詳細に捉え、解析することが、今後の大きな課題である。毎木(成長量・枯死量)、樹木位置図、流出水量、流出リター量、渓流水質などの調査はいずれも時間と労力を必要とするもので、多くの人の力が必要である。森林という人間などよりはるかに長寿命の生物と付き合うためには、長期的な戦略と長期的なデータに裏付けられた息の長い調査・研究が今後とも必要である。
著者
木村 晋二
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

ハードウェアの高位レベルの等価検証手法の確立を目的とし、類似度を考慮した等価論理に基づく等価検証システムの研究を行った。等価論理は、変数の等価性のみに着目した論理体系で、他の論理との組合せで高い検証機能を持つことが知られている。まず、Verilog記述から等価論理の式を生成するシステムと、C言語記述から等価論理の式を生成するシステム、およびこれらの変換された等価論理式を時間展開するシステムのプロトタイプの構築を行った。生成された時間展開後の等価論理式に対し、公開されている等価論理判定システムであるCVCLやYICESを適用し、本手法の正当性と有効性の確認を行った。また現状の等価論理判定手法が時間展開に対して指数的な計算量を必要とすることが実験的に確認できたため、等価論理式をSATの問題に帰着して解く手法について研究を行い、変数間の等価性の推移的閉方を効率化する手法の検討を行った。類似度については、等価論理式の枠内での導入を行い、絶対値の差に基づく手法、現在の変数値との差に基づく手法の検討を行った。またハードウェア設計における浮動小数点数の固定小数点数への変換時の誤差と類似度の関係についても研究を行い、固定小数点数のビット数の最適化手法を提案した。さらに具体的なハードウェアへの適用として、マルチスレッディングプロセッサの等価性検証、加算のプレフィックスグラフの最適化と等価性検証、プロトタイピングを用いた等価検証の高速化とプロトタイピング検証におけるアサーション検証手法の高速化について研究を行った。
著者
黄 志力 有竹 浩介
出版者
公益財団法人大阪バイオサイエンス研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

During the last year, we clarified neuroanatomical location of dopamine D2 receptor (D2R) in maintaining wakefulness.We designed short-hairpin RNA of D2R carried by adeno-associated virus (AAV) to knockdown D2R in caudate-putamen (CPU), core of nucleus accumbens (NAc core) and shell of NAc (shell). The locomotor activity bioassay was performed using the infra sensors. EEG recordings were performed and automatically scored off-line by 10-s epochs as wakefulness, non-rapid eye movement (non-REM, NREM), and REM sleep by SleepSign. In addition, we also designed the AAV carrying human D2R gene (AAV-hD2R) to focally rescue the D2R in D2R KO mice.After knockdown of D2R in the NAc core, the mice showed decreased locomotor activity during both day and night periods under the basal conditions, compared to the control mice. For the sleep-wake profile, core D2R knockdown mice exhibited a significant decrease in wakefulness, with a concomitant increase in NREM and REM sleep. While the D2R were rescued, mice showed an increase in locomotor activity. In mice with knockdown of D2R in NAc shell in WT or rescue of D2R in the KO mice, there were no significant changes in locomotion and sleep-wake profiles.After knockdown of D2R in the CPU, the mice exhibited decreased locomotor activity, whereas there were no significant changes in sleep-wake profiles.In conclusion, D2R in the NAc core plays an essential role in the maintenance of wakefulness. However, D2R in the CPU is important in controlling movement whereas D2R in NAc shell does not mediate the arousal and locomotion.
著者
因 京子 松村 瑞子 日下 みどり
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究は、平成11-13年度に科学研究費補助金を得て行なった「女性・少女漫画を素材とする異文化理解教育の方法開発」に続いて、日本の産み出した偉大な文化所産であるストーリー・マンガの作品を日本文化と日本語の理解を深めるために利用する方法の開発を行ったものである。今回の研究では、(1)日本語と日本人の言語行動についての基礎的分析、(2)表現分野としてのマンガの位置づけ(マンガの受容)の研究、(3)教材化に適した作品の選択という3つの課題に取り組み、基礎研究の成果に基づいて2冊の教材を開発し、それを用いるコースをデザインした。報告書の第一部には、(1)と(2)について研究参加者3名がそれぞれの専門性を活かして研究した成果である論文12本のうち8本と、コースの概要や方法についての研究代表者による講演の要旨を収録した。第2部には、教材『マンガで読む日本社会3:市井のヒーローたち』と『マンガで読む日本社会4:働く女性たち』の内容を収録した。今回の成果は、次のようにまとめられる。第一に、文体的要素、特に、文末のレベルやジェンダー表現の機能や使用の実態について多面的な研究を行った。第二に、学習者と母語話者の解釈のずれを明らかにし、学習者の解釈を研究する必要性があることを立証した。これらは、言語学及び言語教育学に対して独自の貢献をなすものである。第3に、日本社会を活写した作品群を選択し日本語学習者が日本語のニュアンスや日本人の行動についての理解を深めるための教材として結実させた。この教材は、日本語母語話者に対しても自文化についての考察を深める視点を提供することができる。第四に、マンガという表現分野のアジアにおける状況について研究を行い、他の研究者と協力して論文集を出版した。これは、研究方法論の確立の待たれる「マンガ研究」の分野において道標となり、今後の発展を導くと期待される。
著者
岩崎 洋一郎
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

赤外線サーモグラフィから得られる温度画像を用いた車両の位置と動きを検出する手法1と手法2の2つの手法を提案した。手法1は降雪濃霧の視界不良環境を含む4つの異なる環境下で高精度に車両を検出することができた。手法2は、手法1では検出精度が低下する画像に対して高精度に車両を検出できた。これら2つの手法を組み合わせることにより多様な環境下で車両を検出できる。2つの手法から得られる情報を用いた道路交通流自動監視手法を提案し、その有効性を示した。これによって、車線毎の自由流と渋滞流の区別ができる。さらに、車両事故、故障車両、違法駐車のような突発事象の検知が可能となる。
著者
宮原 一成
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

ゴールディングが作家活動に専念する前、教師をしていたことは周知の事実だが、その教職歴のうち約2年間がマイケル・ホール・シュタイナー・ヴァルドルフ学校で費やされたことは、従来等閑視されてきた。学友アダム・ビトルストンの誘いによりシュタイナー思想に触れ、マイケル・ホール校でも教鞭を執ったのである。近年公刊されたゴールディングの実娘ジュディ・カーヴァー氏による回想スケッチや、マイケル・ホール校の関係者に対する電子メールでの聞き取り調査により、シュタイナーに対するゴールディングの姿勢は、没頭というよりも一定の距離を置いた共感と呼ぶのがふさわしいことが見えてきた。1970年代以降は、むしろユング心理学に傾斜し、シュタイナー思想とは皮肉な距離が広がっていく。だが、共感的にしろ批判的にしろ、ゴールディング作品、特に前半期の作品にはシュタイナー思想の影らしきものが読みとれる。『蝿の王』の少年たちが年齢層によって行動様式に違いを見せる点は、人間の成長発達段階を独自に分類したシュタイナー教育論によって、うまく説明がつけられる。同作品で印象的な4つの色彩、緑・ピンク・白・黒は、シュタイナー色彩論の基底をなす四色である。サイモンをキリスト的と読む従来の固定的解釈も、シュタイナーのキリスト論を援用することによってさらに可能性が広がる。『後継者たち』の登場人物の名にはオイリュトミー的要素が感得できる。『ピンチャー・マーティン』は、シュタイナーの主著の一つ『いかにして超感覚的世界の認識を獲得するか』を皮肉に、悲観的に辿った作品と読むことが可能である--など、本研究は新解釈の可能性を提示できた。
著者
本多 峰子
出版者
二松學舍大學
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

福音書のイエスはこの世になぜ悪があるのか、との問題についての神義論は論じていないが、終始悪の問題に実践的に取り組んでいた。彼は神が人々に救いを差出していることを示した。救いは罪、病、貧困等人生のあらゆる面に及ぶ。申命記的応報思想では、苦難は罪の罰と見られる傾向があったが、イエスによれば、神は苦しむ人をこそ憐れみ救う。イエスの思想は法的義を凌駕する神の義を信じる伝統にある。その義はアブラハムとその子孫に祝福を誓った神の信義である。イエスは、人も神の赦しと救いに応答して相互の赦しと助けにより神の救いの業に参与しこの地に神の国を成就するべく招く。イエスの示す神の義は思索ではなく能動的行為で証される。
著者
岡本 美和子 松岡 恵 時本 久美子
出版者
日本体育大学女子短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

養育者による虐待要因の1つである子どもの泣きは、出産後早期の母親のEmotionaldistressを引き起こすといわれている。母親のEmotionaldistressへの予防的看護介入として妊娠後期に開催される両親学級で、"子どもの泣きへの対応プログラム"を導入することにした。出産後3週及び3ヵ月の母親への介入効果を検討した結果、母親のEmotionaldistressについて効果がみられた。子どもの泣きに関する正しい知識と適切な対応が母親の自信回復に繋がり、Emotionaldistressによって引き起こされる虐待予防に役立つと考えられた。
著者
秋谷 裕幸
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

"門+虫"が明朝体で入力できないので"びん"と平仮名で入力する。自らが調査した寧徳方言(周寧咸村、寧徳九都、寧徳虎貝)および福安、霞浦、柘栄、福鼎、寿寧、蒼南、泰順方言のデータに基づき、びん語びん東方言の下位分類を再検討した。その結果、びん東語は南部方言群と北部方言群に二分され、それぞれがさらに福州グループと福清グループ、福寧グループと浙江グループに下位分類されることが明らかとなった。帰属が問題となっていた蛮話は、北部グループとして扱うのが妥当であることも明らかとなった。
著者
田母神 繁
出版者
秋田県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

植物ホルモンは害虫の食害ストレスに対応するシグナル物質として機能する。特に食害葉ではジャスモン酸(JA)関連代謝物が機能し、不活性なJAがアミノ酸のイソロイシンと結合して活性体のJA-Ileに活性化される。植物の葉が食害されると遠隔葉で抵抗性が誘導される現象があり、メチルジャスモン酸(MeJA)は有力な移行性シグナル物質の候補である。モデル実験植物(ヒナタイノコズチ)の下部から投与したMeJAの上葉への移行と代謝を解析し、MeJAは移行先で活性体のJA-Ileに変換されることを示した。さらに、MeJA水溶液に重水を加えることで、誘導されるテルペンがde-novo代謝物であることを見出した。
著者
何 燕生 末木 文美士 佐藤 弘夫 池上 良正
出版者
郡山女子大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

栄西や道元、円爾などの入宋僧の精神世界について、実地調査に基づきながら、文献学および宗教学の視点から再検討し、中世宗教研究の新たな展開を図かろうとした。具体的には、まず入宋僧たちが当時訪れたとされている現在中国の杭州や寧波、天台山、普陀山などの地域の寺院におけるそれぞれの足跡を実際に調査し、経済成長と宗教復興が進む近年において、それらの遺跡が一体どのような現状におかれているかを確認した。次はそれらに対する分析を踏まえつつ、歴史的、宗教的コンテキストに即して総合的な理解を試みようとした。さらには、仏教学や日本思想史などの諸分野による関連研究とも連携し、可能な限り学際的に検討することを目指した。