著者
松永 美輝恵 井関 智美 田内 雅規
出版者
新見公立短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、おむつを利用する重度寝たきり高齢者の快適性を考慮した定時おむつ交換プログラムの開発を目的として、寝たきり高齢者の規則的排尿パターンの確認と、高齢者介護施設で行われている定時おむつ交換時間の調査を実施した。結果、日勤帯とその前後の時刻(5~20時)における排尿回数・排尿量は食後・飲水前後及び夕方に集中しているが、実施されるおむつ交換とは一致しない時刻があった。そこで、快適性が維持される適正なおむつ交換タイミングを検討したところ、4回の交換(9時半、13時半、16時、20時)を行うことで、おむつ内貯留尿量も低減できた。引き続き、おむつ内気候と快適感評価等の試験結果と併せて検討する。
著者
藤井 晴行 古川 聖 諏訪 正樹
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

デザイン知の形成と適用のプロセスを創造的認知プロセスとして解明すること,デザイン研究の方法論を構築することを目的とし,デザインの内部観測と外部観測の融合によって,従来の科学では捉えられないデザイン知を浮き彫りすることを試みた.デザイン主体の会話記録やインタビュー記録を資料とし,概念空間の遷移を創造的認知プロセスの現れとして分析した.概念空間を提示して創造的認知のメタ認知を促進し,概念空間の遷移に現れる影響を考察した.避難行動を生存のためのデザインとみなし,避難行動の証言の構成的構造を抽出した.概念空間を表現する手法の構築,「一人称」的デザイン研究の方法論を構築した.
著者
M・A Huffman
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

アフリカ・アジアの大型類人猿(チンパンジー、オランウータン)、旧世界ザル(ニホンザル等)と原猿類(ワオキツネザル、ヴェローシファカ)の植物性食物の採食部位およびヒトの民間薬或いは実際に有効な天然化合物として用いられている植物を網羅し、主要な霊長類の潜在的薬用植物のデータベース作成を継続して行っている。この研究は、霊長類の採食生態学的観点から、栄養成分とそれ以外の健康管理に役立つ薬理効果をもつ成分の存在の可能性を探ることを目標としている。作成されるデータベースに基づいて今後の研究対象とすべき霊長類と植物を明らかにし、霊長類における自己治療研究に必要な領野と重点的研究項目を明確にする。本計画の2年間の成果として以下の主な実績を報告する。1)16年度の基盤C研究費でまとめた論文集「A study of primate self-medication」(1989年から2004年の間に申請者の研究グループ(CHIMPP)によって出版された48の論文等)70冊ほどを世界各地の専門家や図書館に配り、共同研究を呼びかけている。2)この出版物の内容を中心に、ウェブサイトを作成した。CHIMPPグループの設立経緯、研究の意義や目標等をまとめて、現在6カ国語(和、中、独、伊、シンハラ、英)に訳されたものを載せた(htt://www.pri.kyoto-u.ac.jp/shakai-seitai/seitai/huffman/index.html)。2006.03.22現在、既に1563ヒットを受けている。3)各霊長類種の食物データベース作成を継続している。昨年入力が終わったチンパンジー(N=550植物種)、オランウータン(N=551)、ニホンザル(N=515)、シファカ(N=242)、ホエザル(N=109)に関して、それぞれの採食植物品目に対応する民間薬・生薬・天然化合物の文献収集が進んでいる。本年度中に完成したのはチンパンジー(文献12件、36/550薬用とされた植物種)とニホンザル(文献81件、薬用とされた植物287/515種)のである。4)2度スリランカを訪問し、現地生息の野生霊長類のトクザルとハヌマンラングルを10カ所で調査し、現地の共同研究者らとの情報交換、研究打ち合わせを行った。
著者
安井 恒則 高橋 由明 長谷川 治清 守屋 貴司 奥 康平
出版者
阪南大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、中国、タイ、ベトナムに進出した自動車産業などの日系企業が現地で直面する管理上の諸問題について、現地企業や欧米企業と比較してどのような特徴があるかの解明に焦点を当てた。とくに、日本的経営の要をなす作業・雇用慣行、協調的な労使関係、企業間の系列関係の3点が、現地でいかなる適応を試みられているかに注目した。本研究が示したのは、製造過程に関連しては強みを生かす取組みが成果を発揮しつつあるものの、それ以外の領域では日本的手法が競争力の源泉として生かされる段階には到達できていないし、その弱点を十分克服することができていないなどの諸点である。
著者
郡 和範
出版者
大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

4年間で、関連の深い論文34本、まとめの論文を1本執筆したことが最大の成果である。2013年のヒッグス粒子発見を受け、それと無矛盾な最小超対称性理論のパラメーター領域は、厳しく制限されることとなった。そのパラメーターの範囲内で、超対称性粒子がダークマタ―になる条件と、長寿命荷電粒子がビッグバン元素合成に与える悪い影響を逃れる条件を課す場合、さらにパラメーター領域は制限される。我々はsinglinoという粒子を一つ導入することにより超対称性理論を拡張すれば、そのsinglinoがダークマタ―となり、ビッグバン元素合成でのリチウム7問題とリチウム6問題を同時に解決することを示した。
著者
浅川 晋 齋藤 雅典
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

有機栽培・冬期湛水が土壌微生物群集に及ぼす影響を明らかにするため、冬期湛水を含む有機栽培試験水田圃場を対象に、土壌微生物群集を分子生態学的手法により解析した。水田作土中の土壌微生物(細菌、糸状菌、メタン生成古細菌)の群集構成と存在量は有機栽培と冬期湛水により大きな影響を受けなかった。これらは水田生態系の持続性や恒常性を土壌生物性の面から示唆する知見であり、環境保全や生物多様性の保全といった水田の機能を維持するという視点からは望ましいと考えられた。
著者
片岡 洋行 齋藤 啓太
出版者
就実大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

ファイバー固相マイクロ抽出(SPME)法またはインチューブSPME法を用いて皮膚ガス及び皮膚滲出液中の揮発成分や唾液成分を非侵襲的かつ簡便迅速にサンプリング、抽出濃縮した後、ガスクロマトグラフ-質量分析(GC-MS)法または液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)法との連結により高感度分析する方法を開発した。ファイバーSPME/GC-MS法を用いて、揮発性アルデヒド類や含硫化合物などの体臭成分の分析法を確立し、喫煙や食品摂取の影響を解析した。また、インチューブSPME/GC-MS法を用いて、コルチゾールやテストステロンなどのストレス・疲労関連ホルモン類や8-イソプロスタン及び8-OHdGなどの酸化ストレス関連化合物の自動分析法を確立し、喫煙による酸化ストレスの影響を解析した。これらの方法は、口臭や体臭の診断、疾病診断への応用が期待される。
著者
及川 佐枝子 市原 学 久保 雅敬
出版者
椙山女学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、近年化粧品や食品などに広く利用されている二酸化チタンや酸化亜鉛のナノ粒子について、THP-1マクロファージ様細胞および大腸癌細胞Caco2を用いて炎症反応の誘導および炎症性疾患増悪作用の検討を行った。その結果、二酸化チタンのナノ粒子による炎症反応誘導作用は、ルチル型よりアナターゼ型で強く認められた。また、THP-1マクロファージ様細胞において、酸化亜鉛のナノ粒子により粥状動脈硬化進行の原因とされるマクロファージ泡沫化の促進が認められたが、二酸化チタンのナノ粒子では認められなかった。酸化亜鉛ナノ粒子はマクロファージの泡沫化を促進し、粥状動脈硬化症を増悪する可能性が示唆された。
著者
阿部 友紀 安東 孝止
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は, 励起子結合エネルギーの大きいZnO系量子井戸における励起子効果を最大限に活用することによって,光変調器を実現することである。我々は,c面サファイア基板上に1nm程度のMgOバッファ層を成長した後にO極性ZnOバッファを成長して,バッファ層の高品質化を行った。紫外透明導電膜であるPEDOT:PSSとZnO/ZnMgO量子井戸のショットキ型光変調器を作製し,20meVのシュタルクシフトを得た。また,透過型光変調器として波長370nm(3.35eV)において光変調動作を確認した。さらに,電解液でZnO表面にコンタクトをとることにより2Vという低電圧動作も確認した。
著者
赤羽 弘和
出版者
千葉工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、都市高速道路の実時間交通シミュレーションの精度向上のため、各種パラメータを自動設定、更新する手法を開発した。これにより、従来の所要時間の時間変動パタン等に基づく統計的な手法では対応し得ない事故等による突発渋滞発生時に、交通状況の高精度短期予測を実施し、利用者への適切な経路誘導等により時間損失等を軽減することを目指した。具体的には、渋滞の有無を判定する閾値、センサーによる交通量計測値に含まれる偏りを渋滞時/非渋滞時別に補正する係数、渋滞先頭での交通処理能力、事故渋滞時の精度を向上させた交通量-交通密度モデルを、自動設定/更新する手法を提案し,一部の精度を首都高速道路対象に検証した。
著者
幡鎌 一弘 井上 智勝
出版者
天理大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

神道の本所である吉田家の玄関帳「御広間雑記」元禄12(1699)年~宝永7(1710)年のインデックス約6200点を作成し、近世神道史研究を発展させるための基礎的作業を行った。あわせて、吉田家・白川家の対抗を考える上で重要な人物である臼井雅胤の活動と、臼井と一条兼香・道香によって創設された白川家八神殿の背景を明らかにした。さらに、17世紀後半における神職による神仏分離の活動が祭礼の由緒の説明に影響を与えていることを示した。
著者
遠田 勝
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

近代日本におけるオリエンタリズムの多様な役割を検証するために、その分析の対象を欧米人のいわゆる日本論や日本人論、あるいはアカデミックな日本研究から、短い雑誌記事やフィクション・民話における「語り」に広げ、さまざまな事例を検討した。それにより、たとえば、ハーンのオリエンタリズム的物語が逆輸入され、日本の民話の語りを変容させた事例などが発見され、異文化の歪曲と圧殺という、オリエンタリズムについての西洋の公式見解とは異なる役割を論証し得た。
著者
小谷 典子 林 寛子
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

近代化とともにボランタリズムが高揚し、ボランティア団体によって家族機能を補うことが期待される。子育て支援に焦点をおき、東アジア社会に特徴的な文化構造を共有する日本と台湾において、ボランティア団体の活動やボランティア意識に関する実証的調査を行った。その結果、台湾においてボランティア意識がより高く、個人の寄付や民間の基金会がボランティア活動を支援しており、東アジア社会に特徴的な親族組織や地域集団を基盤とした共同主義的ボランタリズムが存在することが明らかとなった。
著者
竹内 正明 尾辻 豊 春木 伸彦 西村 陽介
出版者
産業医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

老人性大動脈弁狭窄(AS)では僧帽弁狭窄(MS)がしばしば観察される。本研究では、3次元経食道心エコー法により僧帽弁複合体を評価し、弁輪弁尖の石灰化と僧帽弁口面積(MVA)の関連を検討し、大動脈弁置換術後このMSが心血行動態に及ぼす影響を負荷心エコー法により検討した。MVAはAS群で小さく、約1/4の症例は中等度以上のMSを呈し、MVAは、内側弁輪面積、僧帽後尖と弁輪のなす角度に規定されていた。負荷時さらにMSが増悪することはなく、負荷前に比べ負荷後MVAは増大した。負荷時のMVAの増大は血流量増加と比例した。ASに合併するMSは偽性のことが多く、高度でない限りは治療の対象とはならない。
著者
井坂 行男
出版者
大阪教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

アフガニスタンの教員養成短期大学における特別支援教育教員養成課程開設のためのカリキュラム開発の基礎研究に取り組んだ。教育関連法規、現地ニーズやリソース、イスラム教、特別支援教育の現状、国家教育戦略計画等を踏まえて、教員養成短期大学の特別支援教育教員養成課程のカリキュラム原案を作成した。アフガニスタンの特別支援教育教員養成カリキュラム開発においては、イスラム教、国家教育戦略計画やインクルーシブ&チャイルドフレンドリー教育方針、関係者の合意形成、カリキュラム承認プロセス、カリキュラム開発と人材育成が必要であることなどに配慮したカリキュラム開発を考慮することが大切であると考えられた。
著者
糟谷 知香江 BLANCO Tatiana
出版者
九州ルーテル学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

「人生紙芝居」とは生活史に基づいた手作り紙芝居である。これは、過去の経験を時系列に並べ、視覚的に提示する心理教育的技法である。本研究ではコスタリカにおいて以下の3つの課題に取り組んだ。(1)この技法の実施手順を改良した。(2)心理教育的技法としての有効性を考察した。(3)制作した紙芝居がマイノリティ理解のための教材となりうるか検討した。
著者
MARKON Sandor 桑野 溝博 吉田 博哉 大寺 亮
出版者
神戸情報大学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

空中映像との多感覚インタラクションとして、空中触覚刺激、空中聴覚刺激を融合した操作を可能とした実験装置を開発し、操作実験を行った。空気ジェットによる触覚刺激の最適パラメーター設定を調査し、有効な使い方について研究した。アミューズメントへの応用についてゲームを使った心理実験を行い、一定の知見が得られた。また空中映像を使った医療情報可視化システムにおいて、触覚刺激を与える装置を開発し、その効果を確認した。空中映像を操作するための指先検出方式も確立させた。結果は国際会議で数回発表し、2回最優秀賞をもらった。開発した基礎技術は今後アミューズメントや医療データ可視化分野で事業化できると期待される。
著者
笹原 和哉
出版者
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

イタリアの稲作では平均的な農業経営(43ha規模)で費用合計が65円/kgである。圃場を平らにする手段をしろかきからレーザーレベラへ転換したことにより、圃場1筆の拡大が容易であること、第二次世界大戦後の農地解放がなかったことを背景として、大規模化と省力化が進んだ。大規模化以外に種子、肥料、農機具が日本国内より低価格なこと、高密度の直播栽培と管理法の省力化が低コスト化の要因である。なお、現地では高密度播種条件でも倒伏を生じていない。
著者
瀧田 浩 藤井 淑禎 渡邉 正彦 石川 巧
出版者
二松学舎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究の具体的な成果として、研究分担者石川巧の著書『高度成長期の文学』(2012年、ひつじ書房)がある。本書にあるように、高度成長期における大衆の欲望は不可逆に変容し、文化もこれに伴い大きく変わった。私たちの研究は、この変容のプロセスを、文学を中心としてサブカルチャーまで領域を広げながらも、その変容を学術的・具体的に検証するものであった。中国の現在の高度成長と比較する視点が加えられ、本研究は他の研究には見られない独自なものとなった。
著者
大園 誠一郎 高山 達也 寺谷 工 高岡 直央
出版者
浜松医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

腎細胞癌のバイオマーカーとして脳型脂肪酸結合蛋白質(B-FABP)を同定後、早期診断キット開発の第1段階としてB-FABPに対する特異性の高い抗体を作成し、尿を用いてB-FABPの発現を検討した。次いで、B-FABPの機能解析のため行ったプロモーター解析で、B-FABPの発現にBrn-2、NF1、YY1の関与が示唆された。癌の基本環境である低酸素状態でのB-FABPの機能解明のため、現在メタボローム解析を行っている。この解析結果から、さらなる発展が期待される。