著者
大木 岳志
出版者
東京女子医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

食道ESD後の狭窄抑制を目的とした口腔粘膜上皮細胞シートによる再生医療的治療の経験を基に、大腸ESDへの応用に向けて基礎実験を行った。ミニブタを用いて大腸ESDモデルを作製し移植を試みた。当初、ブタ線維芽細胞シートの作製を行ったが、培養不安定なためヒト口腔粘膜上皮細胞シートを使用した。本実験系は異種移植であったものの短時間であれば移植は可能で、大腸でも細胞シートの移植が可能であることが判明した。本法は穿孔の修復やリスクを回避できる可能性があるため引き続き研究を推し進める必要がある。
著者
松田 博貴 井龍 康文 中森 亨 佐藤 時幸 杉原 薫 佐々木 圭一
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本企画調査は,「気候・海洋環境変動に伴いサンゴ礁分布域の北限・南限(「サンゴ礁前線」)は移動する」というモデルに立脚し,琉球列島を調査対象域として,1)「サンゴ礁前線」の移動に基づくサンゴ礁形成の規制環境要因の解明および気候・海洋環境変動の復元,2)種々の時間スケールでの環境変動に対するサンゴ礁生態系の応答,ならびに3)全球的炭素循環におけるサンゴ礁の機能と影響,を解明するための科学提案「第四紀気候変動に対するサンゴ礁の応答」の実現を目的として実施された.企画調査では,国内外関連研究者13名により,現在のサンゴ礁北限近傍に位置する喜界島でのワークショップ(2003年8月),ならびに東京での公開シンポジウム"氷期にサンゴ礁の北限はどこだったのか??-I0DP/ICDP掘削プロジェクト「サンゴ礁前線の移動に基づく氷期・間氷期の環境変動解析」の実現に向けて-"(2004年1月)を通じて,1)様々な生物指標・化学プロキシーからの気候・海洋情報の抽出・解析法の総括,2)仮説検証に最大効率を生みだす最適掘削地点の選定,3)コア試料を補完する検層の選定と検層計画の最適化,4)サンゴ礁性堆積物における掘削ツールと掘削計画の最適化,について,炭酸塩堆積物,造礁生物,地球化学,年代決定などの観点から,多角的に検討を加えてきた.今後は,これらの討議により明らかにされた問題点や技術的課題について検討していくとともに,データ蓄積の乏しい北限域のサンゴ礁ならびに礁性堆積物の調査を継続し,早期の科学掘削の実現を図る.なお本企画調査の成果については,特集号として出版する予定である.
著者
今田 晃一 手嶋 將博 多田 孝志
出版者
文教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

研修を実践につなげるためには、同一校より複数の教員の参加が有効であることが明らかになった。また、研修が単発的で教育委員会などからのトップダウン形式によるものである場合は、相談する相手がいないこと、継続的な支援がないことなどから実践への阻害要因になっていることもわかった。そこで本研究では、誰でもが必要な資料や相談を受けられるように、自主的な継続的な教員研修組織とそのためのWebページ、ICT活用が実践へと結びついた。
著者
高橋 龍太郎 伊東 美緒
出版者
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は、広島とパール・ハーバーにおいて戦争被害を受けた日米51名の高齢者へのインタビューデータ分析を通じて、彼らの人生における健康の転換点を見出すことである。広島被爆者からは「被爆者になること」というテーマが、パール・ハーバー生存者からは「時に現れる誇りに思う記憶」というテーマが浮かび上がった。広島被爆者においては生涯持続し更新される健康体験の核を形成し、パール・ハーバー生存者においては折に触れて現れる体験であった。体験や国を超えて、他者とのつながり、平和の希求が一貫して表出された。
著者
大平 栄子
出版者
都留文科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

現在までに出版されているインドとパキスタンとの分離、および、パキスタンとバングラデシュとの分離を扱う分離独立文学テクスト、それに関連する映画・テレビドラマ、民謡などを網羅的に収集・分析し、分離独立文学の全体像を明らかにした。「分離独立」という視座から南アジア英語文学を総体的に把握することを目指し、今回の研究により、南アジア英語文学の体系的把握に向けた第一歩を踏み出すことができた。
著者
野口 裕之 堀川 有美 李 在鎬 庄司 惠雄 熊谷 龍一 野原 ゆかり
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

日本語口頭能力試験のための評価システムを開発する研究を進めた。このシステムでは Web ベースで配信した受験者の発話標本を聞きながら、評価者が PC 画面上に逐次提示される評価票の各項目に評定結果を入力する。評価者毎には課題を通して比較的一貫した評定であった。評価者間では「量的評価」の方が「質的評価」よりも相対的に一致した結果が得られたが、「量的評価」でも一部の評価者で他と異なる評定結果を示した。多相ラッシュ分析を適用した結果は、評価者の厳しさの違いは無視できないが、推定された能力尺度値は予め 12 名の発話者に想定した能力水準と大きくは異ならないことを示した。
著者
松中 久美子 甲田 菜穂子
出版者
関西福祉科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

一般成人3,000人、住宅管理業者128件、法的に職場受け入れ義務を負う施設・事業所1614件を対象に補助犬法の周知度などを尋ねた。すべての対象者において、法の内容はほとんど知られていなかった。一般成人においては、法についての知識または関連知識があるほど補助犬との共存意識が高かった。補助犬使用者に対して、住宅居住者としての受け入れは限られており、職場受け入れもほとんど進んでいないことが明らかとなった。
著者
海尻 賢二
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

最初は検査プロジェクトに対していくつかの基準で似ているプロジェクトを選択し、プロジェクト間のデータ調整を行う事で最適な再利用ができるのではないかと考えた。そこで再利用の検討を行ったが、プロジェクトの特性の相違や、予測アルゴリズムの選択等に大きく影響する事がわかった。次に新たにデータマイニング手法を適用して、最適な予測器を見出すという手法を考えた。ソフトウェア欠陥予測ツールは訓練プロジェクト、利用するメトリクス、予測のアルゴリズムを決める事で予測器を作る。与えられた検査プロジェクトに対して適切な予測器を選ぶマイニング手法を提案し、その適切性を実証した。
著者
小山田 一 守時 由起 茆原 順一 植木 重治
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

プロスタグランジンD2(PGD2)はアレルギー炎症の形成に重要な役割を担っている。PGD2の作用は細胞表面受容体であるCRTH2/DP1、もしくは核内受容体を介していることが知られていたが、これまでの検討から未知の細胞表面受容体の存在が示唆された。われわれはPGD2がケモカイン受容体CCR3の発現を抑制し、これが通常リガンド刺激で認められるinternalizationによるものであることを見いだした。そこでPGD2がCCR3を介して機能している可能性を、トランスフェクション細胞を用いた受容体結合試験やカルシウムシグナルによる検討を行ったが、いずれにおいても否定的な結果が得られた。
著者
鈴木 亨
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

結果構文など英語の非選択目的語が関わる構文は、その構文的イディオム性をもとに文脈に応じて多様かつ新奇な創造的表現の使用を支える文法的基盤となっている。本研究は、非選択目的語が関与する構文に通底する変化事象を表す文法のしくみを明らかにするとともに、統語論と意味論という狭義の文法のみならず、世界知識や文脈情報など語用論的要素が創造的な言語表現の認可に関与するしかたを含めて、言語使用における文法の創造性の一端を解明した。
著者
松永 康
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

前半は,金属的性質を持つ単層アームチェア型ナノチューブを選択成長させるための最適なシース電場をヒュッケル・ポアソン法を用いて定量的に評価した.最適シース電場はチューブ長の3乗に逆比例し,ある長さより長いチューブに対しては外部シース電場制御による選択成長が可能であるとの結論を得た.次に自己磁場と有限長という効果を取り入れるためスラブモデルを設定し,電子の束縛状態の固有関数を近似的に解いた.有限の厚みのシートと平行方向に磁場を配置し,シートの中心面に原子核による正電荷を分布させる.遮蔽効果を考慮し,電場・磁場の両効果を取り込んだ一電子の波動関数は超幾何関数で表すことができ,これらの関数の各領域における接続条件とエネルギー固有値の条件によって決まる新たな束縛状態(ランダウモード)を発見した.具体的にはシートの中心面を挟んで進行方向が異なるモードが存在する波数条件を見いだすことに成功した.そして最近注目されている電気的破壊の実験結果において報告者が指摘している新たなランダウモードが影響を与えているのではないかという一つの証拠を見つけた.これは一定電流値以上を流した大半径多層チューブでは殻が一枚ずつ消失して細ってゆき(thinning),また単層チューブのロープでも同様の破壊(breakdown)が,特に空気中で起こるというものである.そこで報告者が得たモードとこれらの現象について考察し,成果を学術雑誌にまとめた.結論として,カーボンナノチューブという特異な幾何学条件と電磁気条件によって,新たな量子力学的束縛状態が発見された.この新たなランダウモードは,印加電流による自己磁場が強くないと存在しない,マクロな電流には寄与しない,チューブ外側に状態密度が存在するためbreakdownやthinningに強く関与する,ことなどがわかった.このモードが存在するとチューブ周りのガスやチューブ壁上の付着物を活性化させ,その結果炭素壁の結合が破壊されると考えられる.
著者
堀田 博史 松河 秀哉 森田 健宏 松山 由美子 村上 涼 吉崎 弘一
出版者
園田学園女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は、保育でのメディア活用に関する教育方法・技術をパッケージ化したカリキュラムの開発を行うことである。研究は、メディアを保育カリキュラムに取り入れている幼稚園・保育所の活用実態を調査、また日本における保育でのメディア活用指針を作成する手順で進めた。開発した体系的に保育でのメディア活用を学ぶ教育方法と技術に関するカリキュラムはWebサイトで公開、講義で利用され、おおむね高評価を得ている。
著者
西野 寿章
出版者
高崎経済大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、戦前のわが国の主に山村に立地した電気利用組合の設立過程や背景を明らかにして、民営主導で展開した戦前の電気事業における、その歴史的意義を検証するものである。本研究では、とくに多くの電気利用組合が開業した府県を中心として調査研究を行った。しかしながら、手懸かりとなる市町村史や府県史等、地域史の中に電気利用組合の記録が残されているケースは少なく、その全容を解明するのは困難であった。とはいえ、いくつかの研究成果を見出すことができた。第一には、電気利用組合設立の動機の多くは、民営電灯会社が配電地域としつつも、家屋が散在しているために配電の対象から除外したことにあった。養蚕が盛んであった大正時代の山村では、石油ランプによる火災がたびたび発生しており、安全で、点灯に手間の掛からない電灯へのニーズが高まっていた。第二には、電気利用組合は1923(大正12)年以降に急増するが、その背景には、それまで電灯会社の育成のためにいわば保護政策をとっていた逓信省が、1922(大正11)年に電気利用組合を認可する方針へと転換したことにあった。第三には、住民出資によって設立された電気利用組合は、地域の内発性に基づいて設立されたことである。戦前の電力供給ネットワークの末端が民主的に形成され、運営されていたことは、今日のエネルギー問題、環境問題の地域の対応を考えるのに示唆的である。しかしながら、戦前の地主小作制度下において、電気利用組合設立に際して、住民にどのような対応があったかについては、資料の制約から明確にすることはできなかった。この点については、引き続き、資料収集と分析を進めることによって明らかにする努力をしたい。
著者
阿部 吉雄
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究計画では1938年~1951年に上海に存在したユダヤ人難民社会の構成およびその特徴を各種資料の収集分析により解明した。従来はドイツおよびオーストリア出身の難民のメモワールが最大の情報源だったが、本研究計画ではのべ2万人以上の個人に関するデータを調査し、上海のユダヤ人難民社会のより具体的な姿を描き出した。特にリトアニアおよびチェコスロバキアで杉原千畝が発給したビザと上海のユダヤ人難民社会の関連の詳細な調査は過去の例のないものである。
著者
内山 映子 秋山 美紀 花井 荘太郎
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

ITを活用したコミュニケーション支援ツールの利用が、介護サービス提供者と認知症患者の家族との間のコミュニケーションを増加させ、ひいては家族のストレス軽減に寄与するか、また介護サービス提供者のコミュニケーションに要する手間を従来方式以上に増加させないかを実証により検討した。その結果、コミュニケーションが増加した事例からは、ストレスの軽減に有効な可能性が示された。また日々の業務の中でITツールを利用する際にサービス提供者が要する所要時間は、読み書き含めて1件あたり平均7. 5分で、紙媒体と比べても業務上の過大な負担とはならないことが示された。
著者
梶田 正巳
出版者
椙山女学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

「動きイメージ」の認知的機能を研究することが基本的目的であった。「動きイメージ」は単語の認知処理である記憶実験によって検討した。そのためにカタカナ語をその筆順を示すことで、「動きイメージ」の効果を検討することになった。すなわち、「動きイメージ」をディスプレイに示すソフトウエアを利用して「動きイメージ」を生成することになった。しかしながら、初年度から、参照モデルがないために、以前には予想もしなかったいろいろな問題、テーマに遭遇した。単語刺激であるカタカナ語の筆順は、ストローク間を一定のtime-intervalでコントロールして、「動きイメージ」を生成した。しかし、単語刺激のカタカナを見た被験者は、筆順の「動きイメージ」がやや不自然に見えるという問題が発生したのである。この不自然さが、かえってカタカナ語の認知に大きな影響を及ぼすために、いかに不自然さを縮減することが出発点となった。すなわち、文字の「ストローク」を自然な動きにするために、カタカナ語の各ストロークを異なったタイム・インタバルによって制御することが不可欠になり、基礎的な実証的研究をしなければならなくなった。そこで、カタナカ語を大人に書いてもらい、ストロークごとの「動きの速さ」を反映した「動きイメージ」を作成しなかればならなくなった。厳密には、不可能であるが、新しい基礎研究を実施することになった。すなわち、カタカナ語を書かせて、文字のストローク毎に動きの速さを測定した。多くの被験者のカタカナ語の筆順の動きを集めて、ストロークの速さの概要を把握することにした。ここで明らかになったことは、「自然な筆順の動きイメージ」は、学校の教育過程で習得され、具体的には、文字学習の過程と一体になった実践的研究をすることは不可欠になった。こうした問題意識にかわって、当初と違って大きく深まった。しかしながら、単語の「動きイメージ」は、その認知処理過程に「生成処理」と同じ効果を持つであろうという理論は、関連研究をレヴューすると間違っていないので、理論編を学会誌に発表することにしている。
著者
佐々木 健一
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

研究報告書には、「モダン・ポストモダン」「ポピュラー(民衆的)」「日常性」「美術館」の4概念についての研究を収録する。それぞれについて、概念的定義を与え、歴史的な展開(事実と概念/理論)をたどり、今日的問題点を指摘している。また、「直感的・美的」「感情・情緒・感動」「感性・感受性」についての研究を継続中で、このうち、感情/感性に関する英文の論文を脱稿した。
著者
奥川 光治
出版者
富山県立大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

多環芳香族炭化水素(PAHs)の環境中における動態を評価した.そのため,降水と乾性降下物,土壌,底質・上層水・生物に関する調査を実施した.降水と乾性降下物に関する詳細調査は1年半にわたり富山県中央部の都市近郊地域で実施した.降水は各月1〜4回採取し,PAHsの濃度,組成,懸濁態と溶存態への分配,降下負荷量について,また,降水の変異原性について解析した.乾性降下物は1〜2ヶ月に1回の頻度で採取し,乾性降下物によるPAHsの降下負荷量と組成について解析した.土壌に関する調査は3つの地域,すなわち,富山県新湊市,富山県上新川郡大沢野町,さらに,富山県と石川県の県境に位置する医王山系において実施した.土壌中のPAHs含量と組成が,市街地や幹線道路からの距離,有機物量などの要因に対応して,どのような分布特性を示すか解析した.底質,上層水,生物に関する調査は富山県中央部を流下する下条川とその源流域である射水丘陵に分布する貯水池,溜池で実施した底質および上層水,生物に含まれるPAHsの分布特性を解析した.水環境におけるPAHsの分布についてまとめると,降水の懸濁態ではPAHs含量は10^4ng/g,溶存態では10^<-2〜-1>ng/g,乾性降下物では10^<4〜5>ng/gの範囲を示した.土壌と底質では10^<2〜3>ng/gオーダーであった.貯水池・溜池上層水の懸濁態のPAHs含量は10^<3〜4>ng/g,植物プランクトンでは10^<3〜4>ng/gのオーダー,溶存態PAHsは10^<-3〜-2>ng/gであった.
著者
伊藤 詔子
出版者
松山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

アメリカ環境文学のグローバルな影響力を自然表象の変遷のなかで検討し、風景構築と人種的無意識の関係を、主としてソロー、ポーなど19世紀男性作家に探った。また20世紀後半と21世紀、環境文学のもっとも重要なテーマのひとつとなってきた汚染というテーマが、地域の歴史とどのような関係にあり、またどのような身体表象を伴っているかを、ソロー、ポーの影響を受けた現代女性環境文学作家数名を中心に考察した。研究成果は、現代英語環境文学103作(映画や音楽も含む)を、汚染、自然表象、アクティヴィズムと環境正義など10のテーマに分類し、作家概説、作品紹介と文献解題による辞書兼教科書を、監修共編著として出版し、その他共著3冊と、国際学会での発表2回を含む7回の口頭発表、および論文数編に結実した。
著者
宇佐美 幸彦 佐藤 裕子
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

ベルリンの大衆と芸術について、その具体的な例として、ハインリッヒ・ツィレおよびビルダーボーゲンという大衆的芸術活動の特徴をまとめた。ツィレが生涯一貫して風刺画のテーマとして描き続けたのは、彼が「第5階級」と呼ぶ社会の底辺で生きる人々の姿である。ビルダーボーゲンに関しては、グスタフ・キューン社の出版物を中心にその特徴の推移を検討した。この絵物語が20世紀に発展する漫画の先史となっていることは、大衆的芸術研究にとっては重要である。