著者
鎌田 佳奈美 楢木野 裕美 石原 あや 吉川 彰二 通山 由美子 森 瞳子 鈴木 敦子
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、看護職が潜在的な虐待のリスクをもつ家族をアセスメントするためのツールを開発することを目的とした。小児病棟および救急病棟、小児外来、救急外来、保健センターに勤務する看護職12名の面接調査を行ない、虐待が起こるかもしれないと感じた子どもや家族の言動を抽出した。これらの項目の重視度について、子どもと家族にかかわりをもつ看護職を対象に質問紙調査を実施した。全国500床以上の病院および小児専門病院で、調査の協力に承諾の得られた72病院に勤務している看護職729人に質問紙を送付し郵送にて回収し、326人(回収率44.7%)より回答を得た。子どもと家族の観察項目で看護師が重要視する割合の高い内容をもとに、潜在的な虐待リスクをもつ家族をアセスメントするツールの試案を作成した。
著者
石垣 健二
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

「間身体性」とは,人間の関係性の基盤であり,それは「自己と他者」の身体の間で相互理解を可能にする「身体の働き」であると同時に,そこで得るところの「身体的な感じ」である.体育やスポーツにおける身体運動の実践のなかでは,「身体的な感じ」を得ることによって,「身体的な感じ」としての「われわれ」が成立するのであり,このことが間身体性の育成にほかならない.したがって,学校教育でおこなわれる体育やスポーツの身体活動は,子どもたちにとって殊に重要である.今後,体育学における間身体性の研究は,他者の身体運動を記述する方法論の構築とその方法による具体的な「身体の働き」の抽出が必要となるだろう.
著者
永松 裕希 上村 惠津子 小島 哲也 田巻 義孝 三枝 夏季 松川 南海子
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は, 学習障害を中心とした発達障害児の読み能力に焦点を当て, その改善を図るための評価ツールおよび援助プログラムを開発することを目的として実施された。研究内容は3つから構成され, 第一が, 読みにおける眼球運動を測定する簡易型の眼球運動評価ツールの標準化, 第二が, 簡易型眼球運動評価ツール(DEM)の妥当性の検証, 第三が読み能力の学年推移と影響因の検討, および読み障害児に対してのプログラムの開発と, その有効性の検証であった。
著者
伊吹 禎一 樋口 勝規
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

卒直後歯科医師臨床研修での教育利用を目的とした、パソコンで行うシェードテイキング(歯の色選択)のトレーニングプログラムを作成し、その効果を検討した。研修歯科医のシェードテイキングの学習状況を調査したアンケートに基づき、歯の色に関する基礎的知識を問う課題と、シェードガイド(歯の色選択で使用する色見本)を複数提示し色を比較する課題で構成されたウェブシステム構築を行った。本システムにて実習の結果、知識と色の三属性のひとつである明度識別能の向上がみられ、臨床研修教育への利用が有効であることが示唆された。
著者
鎌田 真弓 加藤 めぐみ 内海 愛子 田村 恵子 飯笹 佐代子
出版者
名古屋商科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本課題では、1)オーストラリアにおける太平洋戦争の記憶の特徴と日豪の非対称性を明示し、2)そうした記憶から抜け落ちている、豪北部・東部蘭領インドネシア・パプアニューギニアでの現地住民や女性の戦争体験を掘り起こすことによって、3)国家や軍隊の「戦争の記憶」に回収されない戦争体験を提示し、地域史として共有可能な「戦争の記憶」の再構築を試みた。
著者
隅野 行成
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

LHC実験で粒子の性質を精密測定するためのweight function法を提唱した。特徴は、(1)粒子の崩壊先に含まれるレプトンのエネルギー分布だけを用い、hadronizationモデルやジェットに関する不定性などの影響が少ない、(2)理想的には粒子の速度分布に依存しないため、パートン分布関数やinitial-state radiationの不定性の影響が小さい。まずヒッグス粒子の質量決定への応用可能性を示した。現在、トップクォークの質量決定法を開発している。また、高次輻射補正計算のためのアルゴリズムを開発した。これを用いて重いクォーコニウムのスペクトルに対する3次補正計算を完成させた。
著者
山本 芳弘
出版者
高崎経済大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

研究課題1として、住宅用太陽光発電を効率的に普及させるための太陽光発電買い取り制度について研究した。社会厚生や電気料金負担の観点からは、設置家計が電力販売量を増やすためにどの程度電力消費を抑制するかが鍵になることを明らかにした。研究課題2として、廃棄物系バイオマス利活用事業の効果的な運営形態について研究した。効果的な運営形態は、投入するバイオマスや生産物の種類等に関連することが示唆された。
著者
内村 裕 名取 賢二
出版者
芝浦工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

自律的に移動する複数の移動ロボットによって無線通信を中継することで、無線ネットワーク網を構築し、探索ロボットの活動範囲を拡張すると共に、探索ロボットの移動に追従して動的に配置を最適化するための制御系の開発を目的に研究を行った。このなかで、中継を行う各ロボットの最適な配置位置に制御するため、電波強度とロボットの位置関係を考慮した手法を考案した。また、中継時に発生する遅延を含むシステムの性能を向上するため、性能劣化の要因となる保守性を軽減した制御法を考案した。本研究において製作した複数の移動ロボットを使用し、電波が阻害される屋内環境において検証実験を行い提案手法の有効性を確認した。
著者
久保 智之 馮 蘊澤 早田 輝洋
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

研究代表者の久保智之は、満洲語口語(中国新疆ウイグル自治区のシベ語と、同黒龍江省で話されている満洲語口語)について、特に音韻論的、形態論的な側面において、満洲語文語との異同を研究した(シベ語も満洲語口語と言ってよいが、ここでは黒龍江省の満洲語口語と区別するため、便宜的に黒龍江省の満洲語だけを「満洲語口語」と呼ぶ)。シベ語、満洲語口語とも、語幹と接辞の間の母音調和が消失している。シベ語はそれが、語幹と接辞の間の子音の調和にとってかわられている。シベ語は、/k/と/q/、/g/と/G/、/x/と/X/の対立をもっている(おそらく満洲語文語とおなじ)が、満洲語口語は、それらの対立を失なっているようである。満洲語口語は/r/と/l/の対立も失なっている。総じて、シベ語に比べて満洲語口語のほうが、満洲語文語との隔たりが大きいように思われる。研究分担者の早田輝洋は、『満文金瓶梅』の電子化テキストを使用し、満洲語文語の研究を進めた。満洲語文語の母音について考察を進め、5母音とするのが妥当であるという結論を得た。また、『満文金瓶梅訳注第十一回-第十五回』を公刊した。満文のローマ字転写及び訳注から成る。さらに、標準的でない語形を多く含む『大清全書』の電子化テキストを作成し、索引と共に公刊した。満洲語の音韻論的研究に裨益するところ大であろう。同じく研究分担者の馮蘊澤(平成11年度〜12年度に参加)は、早田の作成になる『金瓶梅』崇禎本のデータベースを用いて、文法形態素「得」に関わる統語現象の分析を進めた。現代語との比較対照も行なった。
著者
橋村 隆介
出版者
崇城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

当研究は、開放性海域および閉鎖性海域に面する沿岸構造物(施設)を対象とした波浪および高潮による被害規模の予測法の開発と各沿岸の耐台風力の評価を行うシステムを確立し、防災事業・業務上における海岸管理、沿岸構造物(施設)の設計、および沿岸住民の安全確保を行うことを目的としている。現在まで、4つの予測法の開発を行った。すなわち、1.台風の中心付近の最大風速を用いた最大風速による予測法、2.台風の中心付近の最大風速と強風域の大きさを組み合わせたマグニチュードを用いた、台風のマグニチュードによる予測法、3.波高の影響だけでなく周期の影響を考慮できる換算波エネルギーを定義し、この換算波エネルギーを用いた換算波エネルギーによる予測法、さらに4.高潮の影響を考慮した被害予測法の開発においては、台風の中心気圧の影響は重要なパラメータであるので、台風の中心気圧を用いた中心気圧による予測法を開発した。つぎに、開発した4つの予測法を用いて、甚大な被害をもたらした1998年の台風9918号によって発生した被害を対象として、予測法の適用性の検討を行った。この結果、台風が来襲する以前に来襲したときの各沿岸で発生する被害規模を、これらの4つ予測法によってある程度の精度で予測できることを明らかにした。これらの予測法の開発により、台風のコース毎の各沿岸の危険度、台風の沿岸への影響度、沿岸構造物の耐台風力を示すことができた。この結果、台風が来襲してくるときの各沿岸の被害規模の予測も可能になり、沿岸住民の早期避難と生命・財産に対する安全対策にも役立てることができる。
著者
佐藤 圭子 阿部 康二
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

近年、神経細胞の新生が成体脳でも確認され、新しい神経回路付加に関与することが示されている。本研究では、てんかんおよび神経可塑性のモデルであるキンドリングで、発作発展および全般発作反復による神経幹細胞の増殖とmigrationおよび神経可塑的変化を検討した。ラット扁桃核にテタヌス刺激を1日1回加え、BrdUを6-8回目の刺激前に投与した。部分発作群(PS群)、全般発作3回群(3GS群)と全般発作30回群(30GS群)を作成し、BrdUとPSA-NCAMの免疫組織染色を行った。BrdU陽性細胞数は、PS群では、側脳室下帯(subventricular zone : SVZ)で増加したが、海馬歯状回(dentate gyrus : DG)では有意な変化はなかった。また、SVZのBrdU陽性細胞数は、3GS群と30GS群では対照レベルより有意に減少していた。PSA-NCAM陽性細胞数の増加は、3GS群と30GS群でDG、SVZ、梨状葉においてみられたが、PS群では有意な増加は認められなかった。DGにおいて3GS群では対照群の約2倍に増加し、30GS群では陽性細胞数はさらに増加したが、3GS群に比べ有意差は認められなかった。陽性細胞は、対照群ではDGの顆粒細胞層深部に限局していた。3GS群で陽性細胞の顆粒細胞層内への移動や陽性神経突起の伸長が若干みられたが、30GS群ではより顕著となった。一方、側脳室下帯(SVZ)のPSA-NCAM陽性細胞数は3GS群で対照群の約4倍に増加し、30GS群では3GS群に比較し有意な増加がみられた。てんかん脳で新生神経細胞の増殖やmigrationおよび神経可塑的変化が発作活動依存性に誘導されることが示された。また、神経可塑的変化に加え、新生細胞が形成する神経回路が、てんかん脳の機能変化や神経再構築に関与する可能性が示唆された。
著者
岡本 泰昌
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

うつ病はネガティブな情動刺激に対する自己関連付けをおこなう特徴を有する。これまでの画像研究の結果から、自己関連づけ処理と内側前頭前野(MPFC)と前帯状回(ACC)の機能の関連が指摘されているが、うつ病を対象としたこれらの機能異常は明らかになっていない。そこでわれわれはいくつかの検討を行い、以下のような知見を得た。ネガティブ刺激の自己関連付けにおいてうつ病患者の内側前頭前野・前帯状回の活動は対象健常者より有意な活動上昇が認められた。さらに、うつ病患者を対象として認知行動療法(CBT)後には、ネガティブ感情語の自己関連付けにおいてCBT後に内側前頭前野、腹側前帯状回の活動が有意に低下することが明らかになった。われわれの研究の結果は、CBTによって自己に対するネガティブな認知に関わる脳機能が変容することによりうつ病の症状が改善することを明らかにした。
著者
南部 智憲 松本 佳久 湯川 宏
出版者
鈴鹿工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

Pd系水素透過合金膜の耐久性に及ぼす遷移金属元素の添加効果を系統的に調査した。Pd合金膜に鉄粒子が付着するとガスリークの原因となる膜劣化を生じる。この問題について、周期表第5・6族金属、ZrおよびRe添加により、鉄粒子付着による膜劣化を防止できることがわかった。このような膜劣化防止元素をPdに添加すると、合金中の空孔形成エネルギーを増大し、原子拡散が生じにくくなり、膜劣化の原因であるケーケンダルボイドの形成が抑制されると理解できる。また、W添加はPd合金膜の強靭化にも有効である。これら元素の必要添加量はわずか1mol%であり、Pdの水素透過能を維持しつつ膜劣化を防止できることを明らかにした。
著者
中沢 信明
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では,嚥下障害の予防を目的として,高齢者のための顔面体操トレーニングシステムの開発を行った.筋レベルから顔面体操の検討を行った結果,口を閉じた状態での“頬の膨らまし運動”が他の運動に比べて口輪筋の筋活動が活発になることが見出された.また,唾液の分泌促進を目的とした顔面の“指圧運動”に着目し,指先変位量と指先力の関係から,顔面の指圧部をばね要素でモデル化することで,肌の柔らかさを推定した.これらの物理量を指圧運動中に算出し,使用者に対して,指圧の達成度合いを視覚的に表示させることで,フィードバック型の支援システムの構築を行った.
著者
松崎 拓也 増田 勝也
出版者
国立情報学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

構文解析など基本的な言語処理を施した大量のテキストデータを用いて、そこから必要な情報を動的に抽出することで種々の言語処理技術を高精度化することを目指し研究を行った。具体的な成果として、大規模半構造化データベースに対する高速な検索システムを開発し、それを応用した知的テキスト検索システムを実現した。また、大量テキストデータから動的に抽出した統計量を従来の解析モデルに統合する枠組みに関する基礎研究を、構文解析および共参照・照応解析を対象として行い、それぞれについて高精度な解析システムを実現するとともにテキストベースとの統合へ向けての知見を得た。
著者
征矢野 清 石松 惇 中村 將 東藤 孝
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

ハタ科魚類は雌性先熟型の性転換を行うなど生物学的に興味深い特徴を有する魚種である。また、世界中の熱帯・温帯域に広く分布し、極めて美味であることから次世代の種苗生産対象魚として世界的に注目を集めていおり、水産的価値の高い魚種でもある。しかし、その成熟・産卵過程はほとんど明らかにされていなかった。我々は本研究を実施する前にカンモンハタの生殖腺発達に関する予備的研究を行い、沖縄周辺海域に生息するカンモンハタが月周期と完全に同調して成熟し、満月大潮直後に生息場であるサンゴ礁の礁池を離れ産卵することを見いだした。しかし、満月直後に起こることが予想される卵巣での劇的な生理変化を観察するには至らなかった。そこで、本種の成熟および産卵過程を月周期と関連づけて詳細に調べるとともに、産卵関連行動とそれに伴う生殖腺の生理変化を、組織学的・内分泌学的に解明する事を目的として、本研究を実施した。本研究により得られた主な成果は以下の通りである。1.カンモンハタは満月大潮後に生息地である珊瑚礁池から外洋に移動して産卵することを、目視及びバイオテレメトリー手法により裏付けた。2.生殖腺は月周期と同調して発達し、飼育環境下でも満月大潮から数日後に産卵することが確認された。3.生殖腺発達様式は他のハタ科魚類と類似しているが、北方系のマハタなどとは異なり、明瞭な月周性を持つことが分かった。4.産卵は水温が上昇する5月以降に起こり7月下旬まで続づくことが分かった。5.一尾の雌個体は満月大潮後の一産卵時に数日に分けて成熟卵を放出することが分かった。本研究の成果はカンモンハタの生殖腺発達を理解するだけでなく、種苗生産対象魚として注目されている他のハタ科魚類の生殖腺発達を理解する上でも貴重な情報となる。また、南方系海産魚に多く見られる月周産卵の機構解明にも役立つことが期待される。
著者
泉 利雄 阿南 壽 松家 茂樹
出版者
福岡歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

生体内で骨形成を促進するSrは,骨粗鬆症の薬として使われている.骨補填材骨と一体化するため骨補填材として使われるガラスにSrを添加して作製した試作ガラス粒子は,骨再生を促進する可能性があることが示唆された.ガラスから骨組織内へSrが徐放されるためと考えられる.試作ガラス粒子を硬化させ骨内欠損部を埋めるために 酸と練和して硬化体を作製した.γ‐ポリグルタミン酸を使用した場合は骨欠損部から硬化体が流出しやすいが,骨形成を促進する可能性が示唆された.
著者
杉山 芳樹 石橋 修 世良 耕一郎
出版者
岩手医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

1.われわれは、17名の口腔扁平苔癬患者(疾患粘膜群)および86名の健常者(健常粘膜群)の頬粘膜の頬粘膜を採取し、PIXE法による微量元素分析を行い比較検討した。2.疾患粘膜群、健常粘膜群から24種の必須元素および11種の汚染元素を検出した。3.このうちカルシウム、セレン、ルビジウムは、疾患粘膜群では健常粘膜群に比較して有意に低値を示した。4.口腔扁平苔癬は30歳以上の女性に好発する。そこで、30歳以上の女性について疾患粘膜群14検体、健常粘膜群15検体を比較した。30歳以上の女性では、リン、鉄、亜鉛、ストロンチウムが疾患粘膜群で有意に高い値を示した。5.われわれの研究により、口腔扁平苔癬患者の口腔粘膜には金属アレルギーの原因といわれるd-遷移元素が高い値を示すことが証明された。
著者
伊地 哲朗
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究の交付申請書で掲げた主たる目的は、タジキスタン内戦の和平交渉と仲介外交に関する事例研究の完成、および国際紛争、特に内戦形態の武力紛争をめぐる和平交渉と仲介外交に関わる包括的理論構築の基盤づくり、の二つであった。具体的には、1)主権国家、国連、地域機関、非政府組織など様々なアクターの仲介的役割、2)そうした多種多様な仲介者間の連携・調整、3)国際的仲介のタイミング、および4)国際的仲介案の合意形成、といったテーマを取り上げた。タジキスタン和平プロセスのインプリケーションや教訓、国連による紛争仲介の変化、「紛争成熟度」概念などに関して、近々研究成果の公表を目指している。
著者
峯木 茂
出版者
東京理科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

ピレン資化性細菌Mycobacterium sp.H2-5を無機培地でピレンを炭素源として培養し、ピレン分解に関与するジオキシゲナーゼ(ピレン酸化酵素)のサブユニットであるNidAとNidBを取得した。NidBはピレン分解時に特異的であり、大サブユニットNidAと結合してジオキシゲナーゼを構成するとされているので、この遺伝子がピレン資化能のプローブとして利用できそうであった。N末端付近のアミノ酸配列情報から当該タンパク質の遺伝子nidAとnidBを獲得して、塩基配列を決定した。次いで、その配列情報から蛍光標識したプローブを作製し、蛍光in situ hybridization(FISH)解析をする予定であったが、標的となるmRNA量が少ないためにやや難しいと考えられたので、先ずは豊富に存在すると考えられる、16S rRNAに対するFISHを試みることにした。H2-5株のFISHに先立ち、E.coilに対して、Alexa Fluore 488で5'末端を蛍光ラベルしたユニバーサルプローブEUB338およびアンチセンスであるNONEUBを用いてFISHを行った。菌体をパラホルムアルデヒドで固定し、ゼラチンコートしたスライド上に結合させた。次に、上記プローブをハイブリしたのち、蛍光顕微鏡で観察した結果、EUBとDAPIに関して、明瞭なシグナルをうることができた。次いで、TSB栄養培地で純粋培養したH2-5株のFISHを同様な方法で行った。その結果、EUB338とDAPIで強いシグナルが得られたものの、E.coliに比べると不明瞭であった。現在、シリコナイズしたスライドガラスを用いてlysozymeとachromopeptidase処理をしてプローブの浸透性を向上させるべく、実験を継続している。