著者
海道 清信 間野 博
出版者
名城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、人口減少、高齢化に直面している我が国の都市地域における持続可能な都市形態について、都市形態論、都市空間論の視点から明らかにすることを目的としている。(1)我が国および西欧の都市形態論にかかわる理論、研究、論争をコンパクトシティ論も軸に整理・検討した。日本とヨーロッパにおいて、文献、現地調査によって都市再生と都市形態・都市圏計画との関連性を、都市圏計画と政策、複合機能・環境共生型の再生事業、居住地再生などを対象に調査した。(2)国土レベルにおける、知識基盤サービス産業の立地特性と地域空間構造との関連性を、統計解析により明らかにし、いくつかの類似したグループを抽出できた。(3)統計データを用いて、名古屋都市圏の都市空間構造を解析し、中心性、成長性、成熟性などの特徴によって、都市類型化を行った。また、名古屋市の都市空間構造の特性を、人口・家族・住宅などの国勢調査データとパーソントリップ調査データを用いて、小学校区レベルで多変量解析によって類型化を行った。(4)人口減少、高齢化が進む名古屋都市圏の郊外団地の実態を、空き地空き家に着目して調査した。可児市、多治見市の住宅団地(入居開始後20年以上経過した約40地区)を対象に、空き地空き家の所在、利用状況、団地の開発時期、規模、立地条件、住環境水準、人口動向、地価動向を把握・解析した。主要な住宅団地の将来人口予測を行った。さらに、典型的な住宅団地の住民アンケート調査を実施した。広島都市圏においても、典型的な住宅団地の実態調査を行った。(5)以上のような調査研究を元に、人ロ減少と急速な高齢化を迎える我が国における持続可能な都市形態のあり方を総合的に考察・検討した。研究成果は、2007年12月に単著『コンパクトシティの計画とデザイン』として学芸出版社から出版した。
著者
杉田 米行
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

国際関係と福祉国家論の融合を目指す研究を行い、世界情勢の構造的変化が日本の健康保険制度・国民健康保険制度の設立、展開に大きな影響を与えたことがわかった。Yoneyuki Sugita ed., Japan Viewed from Interdisciplinary Perspectives (Lexington Books, forthcoming).Yoneyuki Sugita, "'Fairness' and Japanese Government Subsidies for Sickness Insurances," Japan Studies Review (forthcoming)
著者
後藤 純雄 高木 敬彦 阪口 雅弘 峯木 茂
出版者
麻布大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

環境空気浮遊粒子中の真菌類の存在実態を把握するため、粒径別分級採取法、分子マーカーのGC/MS分析法、リアルタイム濃度測定法などについて検討した結果、大学室内及び牛舎内空気で平均粒径1.1μmのステージに多く採取されたこと、室内空気中エルゴステロール濃度が0.067~4.2(平均1.1)ng/m^3となり屋外空気中のそれらとほぼ同等であったこと、レーザー照射蛍光測定装置を用いるとリアルタイム測定が可能であることなどを認めた。
著者
リナート キャロル 小林 ひろ江
出版者
広島市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、過去の研究に基づき構築された「言語間のライティング能力双向性モデル」が多言語学習者によるテキスト構築を説明できるかどうかを検証した。ケース・スタディの方法を使い、母語を含む3カ国語による29篇の作文、思考発想法プロトコール、インタビューデータを収集し、分析した結果、このライティング・モデルの有効性を確認し、また多言語学習者が既習言語知識をテキスト構築プロセスに使うライティング方略も明らかにした。
著者
石井 明
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

1951年のサンフランシスコ平和条約、それに続く日華平和条約の締結は、アメリカの反対のもとでは、日本は中華人民共和国との外交関係を打ち立てることは不可能であることを明らかにしていた。それから20年たち、アメリカと中華人民共和国との和解が進むなかで、日本は中華人民共和国との外交関係を樹立した。同時に、中華民国政府は日本との断交を決めた。しかし、中華民国政府は日本との間で、経済関係、人的交流などを含むインフォーマルな関係は維持することを選択した。意外なことに、日台関係はその後、外交関係の断絶にもかかわらず発展をとげた。これまでのところ、断交の政治過程についてはかなり研究の蓄積がある。しかし、その後の日台関係については十分な研究がなされているとは言いがたい状況にある。そこで、私は2度、台北を訪れ、1970年代の日台関係に関する文献を収集した。特に党史館(中国国民党の文書館)への訪問は私の研究にとって非常に有益であった。また、台北では、陳鵬仁教授(中国文化大学日本文化研究所所長)を含む何人かの日台関係の専門家に会った。陳鵬仁教授は中国国民党の党史委員会の前主任を勤めた方である。中国国民党の元秘書長、馬樹礼氏にも面会した。馬樹礼氏は、1972年の断交以後、日台関係を処理していたキー・パーソンの一人である。台北でのこれらの調査を通じて、私は、断交以後も日台関係が発展を続けたのは、密接なネットワーク-政治の分野に限らず、経済分野、それに文化の分野を含めた-の存在によるところが大きいことを改めて認識した。
著者
高山 博
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

ローマ帝国がガリアを支配していた時代からドイツの領邦が強化される中世後期の時代まで、ドイツの王権と諸侯との関係がどのように変化し、王や諸侯の統治システムがどのように変化していったかを検討した。次の7つの時期、すなわち、(1)フランク支配以前(古ゲルマン時代)、(2)フランク時代、(3)東フランク王国と領邦の時代、(4)ザクセン朝の時代、(5)叙任権闘争の時代、(6)シュタウフェン朝の時代、(7)中世後期、に分けて作業を進めた。
著者
田中 悟 林 秀弥
出版者
神戸市外国語大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、企業間コーディネーションとしてのM&A行動や戦略的提携行動に対するインセンティブを明らかにした上で、これらの企業行動が経済社会にどのような効果を持つかを経済学・法学の両視点から検証することを目的として行われた。研究はまず、M&Aや戦略的提携行動に対して企業間の垂直的関係がどのような意味を持つかに焦点を当てて行われた。その結果、M&Aや戦略的提携行動に対するインセンティブが垂直的関係下で生じる買い手独占力と上流・下流両市場における市場競争の態様に大きく依存することが明らかとなった。次に、この種の垂直的関係を意識した企業間コーディネーションが流通分野や情報通信分野において多く見られることに着目して、この2分野に焦点を当てた検討を行った。情報通信分野においては、主に法学的視点からの検討が行われた。従来のM&A規制の問題点の精査を行った上で、この分野においては、企業のM&A行動を考慮したときにプラットフォーム規制のあり方が経済社会の成果に大きな影響を及ぼすことが示された。他方、流通分野においては、M&Aや戦略的提携行動が-チェーン展開を通じて-地域的に独立な複数の市場に対して行われるという顕著な特徴を持っている。こうしたときには、買い手独占力を背景としてチェーン企業が享受する投入物価格の低下が、買い手独占力を持たない企業の投入物価格の上昇をもたらす"Waterbed Effect"が生じる。この種の効果は、小売り企業の買い手独占力が水平的位置にあるライバル企業に外部効果を与えることを意味し、極めて大きな競争政策上の含意を持つことになる。そこで、この種の効果を考慮した法と経済分析を行い、買い手独占力をめぐる競争政策の運用に当たっては、買い手独占力が水平的な競争関係にもたらす外部効果をより詳細に検討することが必要となる点を明らかにした。
著者
樋口 正信
出版者
独立行政法人国立科学博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

1.野外調査以下の地域で野外調査を実施した。祖母山、屋久島、剣山(13年度);白山、中国哀牢山(14年度);北海道、八ヶ岳(15年度);北海道、台湾東部(16年度)。生育状況と生育環境を記録し、資料を収集した。資料は乾燥標本として、また一部は冷凍保存した。2.研究成果(1)高山性コケ植物相東ヒマラヤと雲南省のハイゴケ科の新しい分布情報を確認した。東アジアの生物相の中心をなす日華区系区の西端にあたるパキスタン産蘇類のチェックリストを作成し、植物地理学的解析を行った。東アジアの高山域に分布の中心をもつナンジャモンジャゴケを栃木県において、高山性の稀産種であるイシヅチゴケを北海道東部で確認した。台湾と日本の蘇類全種の記録を比較検討した結果、両地域の高山域には周北極要素のほか、中国西南部との共通要素が特徴的に見られることが明らかになった。(2)高山性コケ植物の種分化中国雲南省の高地で得られた資料がラッコゴケ属の新種であることを見出した。中国西南部が本属の種分化の中心であることを確認した。分子系統解析の結果、エゾノヒラツボゴケ属はサナダゴケ科に所属し、サナダゴケ科はサナダゴケ属と本属の2属からなること、中国と台湾の高地に分布する蘇類の単型属Giraldiellaは、ハイゴケ科に属し、キヌゴケ属のPylaisia falcataと近縁であること、ブータン、中国西南部、台湾の高地に知られ、最近日本から報告した単型属Neodolichomitraは、イワダレゴケ科に属することなどが支持された。ナンジャモンジャゴケを台湾から新たに発見し、日本、台湾、ボルネオの集団間には遺伝的差異が見られないことを確認した。さらに、他の薩類では喪失したと考えられる葉緑体ゲノムを本種から確認した。これはコケ植物の古いタイプが東アジアの高山帯に遺存していることを意味し、東アジアの高山帯フロラの特異性を示している。
著者
塩谷 雅人 河本 望 藤原 正智 JOACHIM Urban
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

成層圏における熱バランスやオゾン化学に対して決定的な影響を与える水蒸気の変動について調べた. 特に熱帯域に注目して, いくつかの衛星観測データと定点観測ながら精度の高い水蒸気ゾンデデータとの比較・検討をおこない, 衛星観測のデータ質についての知見を得た. さらに, 熱帯下部成層圏における水蒸気混合0比の過去約15年にわたる年々変動について見たところ, さまざまな変動要因は存在するものの, 全体としては増加傾向を示すことがわかった.
著者
酒井 治郎 林 兵磨
出版者
羽衣国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究は、近年、わが国で問題となっているNPO(非営利組織)と、それに伴う会計問題を対象に検討を行ってきた。これまでNPOに係る事件の背景には、NPO会計の不備がその原因の一つとなっていると考えられる。そこで、本研究はNPOの会計問題を解決し、これからのNPOの発展にも寄与することを意図している。まず、統一化の可能性を、アメリカの会計学者であるWiliiam.J.Vatterが提唱した理論から模索した。彼の理論には、企業のことを「私的な人格を否定した資金そのもの」とあるという認識であったが、この彼の見解を基盤にして、それを一部修正することによって、今日のNPO会計の問題解決および営利企業会計とNPO会計との統一化の可能性も見だせることを提案したのである。ところで、最近わが国では、既存のNPO法人(とりわけ公益法人)の非効率な経営実態など、様々な問題点が指摘されているところである。こうした問題点を改善するために、公益法人会計の中にも営利企業会計の考え方を導入しようとして、公益法人の会計基準も改訂作業が進められているところである。本来、企業会計は、資本主義社会における営利企業の発展に伴って確立されてきたものであり、また「一期間における費用と収益との適切な対応」させることを根幹においている。この考え方を公益法人会計にも適用することは、公益法人の管理者に対し、経営資源の有効的活用、効率的経営の実施を意識づけるのに役立つと期待されているのである。つまり、企業会計は営利企業のみならず、公益法人等NPOにとってもまた有用であるとする見解が台頭してきたのである。ただし、単純に既存の公益法人会計に企業会計方式を導入することはできない。株主が存在しない公益法人の「資本」概念をいかに確立するかという点があげられる。ちなみに、日本の公益法人会計改革において、前例として参考にしたアメリカ会計では、この課題に直面して、結局のところ株主の存在という点だけを必要以上に重視してしまい、NPO会計改革が不十分なものに終わってしまった。そこで、われわれの研究では、アメリカの失敗のケースも踏まえ、株主という存在も、組織体への資源提供者の一つの種類にすぎないと捉えることによって、公益法人にも営利企業における資本に相当するものの存在を認め得ることと提案したのである。こうしたわれわれの提案は、公益法人会計と営利企業会計との統一化を前進に寄与するものと考えている。さらに、わが国のNPO会計における具体的問題点の一つとして、学校法人会計もとりあげた。この中でとりわけ、学校法人会計の計算体系が、企業会計のそれとは大きく異なり、この学校法人会計の計算システムでは、固定資産の不必要な取得を誘発する等の問題点を指摘し、こうした点からも前述の公益法人会計のみならず、全てのNPO会計において、企業会計と統一した枠組みの中で捉えることの必要性を指摘したのである。
著者
渡邉 秀美代 斎藤 琢 池田 敏之 小笠原 徹 内田 俊也 池田 敏之 小笠原 徹 内田 俊也 鈴木 信周 本田 善一郎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

腎臓の近位尿細管、ヘンレ上行脚、遠位尿細管に組織特異的に目的遺伝子を発現する方法と、発現させるためのコンストラクトを開発した。まずGFPを組織特異的に発現させてその発現特異性を確認したが、次にカルシウム感知受容体の活性型変異をもつコンストラクトを作成し、この表現型をみることで腎臓におけるカルシウム感知受容体の各部位における機能を比較検討する(この課程は現在途上である)。
著者
藤枝 憲二 長屋 建 松尾 公美浩
出版者
旭川医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

<CPHD症例において同定したPIT1β変異体の機能解析>ヒト野生型PIT1β並びに変異PIT1βcDNAの作成と、それらの発現ベクターへのサブクローニングを終了した。今後、供与していただいた野生型および変異型PIT1cDNA発現ベクター、さらにその標的遺伝子であるPRL、GHのプロモーターと併せて、COS7細胞並びにGH4細胞を用いてルシフェラーゼアッセイを行う予定である。なお、他のCPHD3症例に対して同様にPit1β変異解析を行ったが、いずれにおいても変異は認められなかった。<GH不応症例に同定したGH1変異体の機能解析>ヒト成長ホルモン受容体を発現したBaF/GM細胞を用いたヒトGH生物学的活性の測定を行った。低身長児群と正常群の間で生物学的活性/免疫学的活性比に有意な差は認められなかった。今後、この系を用いてGH1変異を有するGH不応症例患者血清中のGH生物学的活性の測定を行い、機能解析を進める予定である。<低身長児を対象とした成長関連遺伝子解析>-2SD未満の低身長児100例を対象にGH1,GHR,IGF1,IGF1R,NPR2についてPCR-ダイレクトシークエンス法を用いて遺伝子解析を行った。その結果、GH1については一例のヘテロ接合性ミスセンス変異(未報告)、GHRについては二例同一の既報のヘテロ接合性ミスセンス変異、IGF1Rでは一例の一塩基挿入(未報告)、そしてNPR2では一例のヘテロ接合性ミスセンス変異(未報告)を同定した。
著者
尾崎 俊治 伏見 正則 青山 幹雄 土肥 正 岡村 寛之
出版者
南山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究プロジェクトでは,最終製品としてのソフトウェアシステムの品質を確保する目的で,ソフトウェアテストの妥当性検証およびソフトウェアの信頼性評価を行う手法に関する研究を行った.具体的には,(i)ソフトウェアテストにおけるランダムテストをより発展させた準ランダムソフトウェアテストあるいはランダムテストに基づいたより効率的なテストケース生成手法の確立,(ii)(準)ランダムテストに基づいたソフトウェア信頼性評価技術の精巧化を行った.
著者
瀧井 正人 内潟 安子
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

前思春期から思春期にかけて1型糖尿病を発症した女性患者は、後に神経性食欲不振症や神経性大食症のような重症の摂食障害を併発するリスクが高かった。摂食障害を併発すると血糖コントロールは著しく悪化し、糖尿病慢性合併症の早期の発症・進展につながる。さらに、1型糖尿病に併発した摂食障害の治療は特に困難であると言われており、成功したとしても概して多大なエネルギーが必要であり、改善までには長期間が必要なことが少なくない。ここで同定されたリスクの高い患者群に対しては、1型糖尿病発症早期から、摂食障害予防のための介入がなされることが必要である。
著者
手嶋 紀雄
出版者
愛知工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

ヒトの呼気には,体内の代謝を反映した揮発性有機化合物(VOCs)が含まれているため,呼気分析は痛みを伴わない病態診断法として有用である。VOCsの内,アセトン・イソプレンは,脂肪の代謝に深く関係するため,有効なダイエット指標となる可能性が高い。本研究では,呼気アセトンの自動計測法を開発し,食事や運動による呼気アセトン濃度の変化をモニターすることに成功した。また,新規なイソプレンガスの計測法も開発した。
著者
高橋 美紀
出版者
昭和大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究は、薬物依存症の当事者自身によって運営と入所者へのケアが行なわれている、民間薬物依存症リハビリ施設ダルクにおける薬物依存症者の回復過程を明らかにして、後に続く薬物依存症者が回復過程を歩んでいくための道標となりうる、回復過程に関する仮説、および仮説モデルを、調査による裏付けのもとに得ることを目的として実施したものである。研究対象者は、3箇所のダルクで施設の代表者、もしくはそれに代わるスタッフから紹介を受けた、施設内でスタッフ研修生(無給)ないしはスタッフの立場で、何らかの役割を担っている薬物依存症者であり、研究対象は対象者らが辿ってきている回復過程そのものである。23名の研究対象者に研究者自身が継続的に実施した面接の記録を分析対象として、これをもとに個別の回復過程の再構成を試みた。再構成した23名の個別の回復過程をもとに、仮説を得るための質的・帰納的分析を重ねた。得られた仮説のうち、いくつかのネーミングを下記に挙げておく。(1)すべてを失ったときが回復の好機(2)回復の目的は自分自身のためという原則の徹底保持(3)薬物使用につながったような出来事や状況に処していく力の涵養他、20仮説は略す
著者
吉崎 真司
出版者
東京都市大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

我が国の海岸防災林は松枯れにより衰退しており、防風、防砂、防潮などの機能を十分果たすことが出来なくなっている。松枯れ後に再生すべき林相として広葉樹の海岸林を成立させることの可能性を検討した。愛知県では伊勢湾台風後に再生した広葉樹海岸林があり、静岡県遠州灘海岸林では松枯れ後に広葉樹林へと遷移する様子が観察されたが、遷移の過程は立地条件に左右されることがわかった。また、沿岸域に生育する広葉樹の塩分に対する耐性は樹種によって異なっていた。
著者
西川 尚男 竹谷 純一
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、研究代表者らが見出した極薄の絶縁層を「転写」により形成する手法をもとに、極めて低い入力電圧によって高い電界強度を達成し、高密度のキャリア注入を可能にする有機トランジスタを開発することを目的とした。特に、本手法を研究分担者らが開発した高移動度の有機単結晶トランジスタの技術と組み合わせることによって、極めて低消費電力かつ高移動度のフレキシブルな有機単結晶トランジスタを得ることを目指した。これまでの研究の結果として、以前は困難であった5nm程度の極薄絶縁膜を再現性よく構築するために、自己組織化単分子膜をコートする手法が有用であることを明らかにしたため、まず、極薄のアルミナ絶縁膜の作成手法を確立したことをあげる。次に、実際にルブレン有機単結晶を「貼り合わせる」独自の技術によって、低電圧デバイスとしては極めて高い2cm^2/Vs程度の移動度を実現し、低消費電力の有機単結晶トランジスタを開発した。さらに、プラスティック基板上にも同様の手法を用いて有機トランジスタを作製できることを示し、本研究の目標に到達することができた。加えて、極薄絶縁膜の利用によって、通常の絶縁膜では得られない高電界の印加が可能となったため、有機半導体分子あたり10%以上のキャリアドーピングが可能になったことにより、分子内の電子一電子反発による電界効果の異常を観測し、ルブレン有機単結晶表面が、電子物性研究の魅力的な舞台となっていることを示した。
著者
中島 賢治
出版者
佐世保工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は、ラグビー競技の中で起こる接触プレイを工学的に解析し、その衝突力学モデルを構築することである。そのため、小型慣性センサを実際の選手に装着し、実践的なスキル(タックルとサイドステップ)について、運動特性を計測した。センサから得られる電気信号を運動解析に有用なデータへ加工するため、(1)姿勢回転行列の適用、(2)電気的ノイズ除去、(3)スパン誤差補正(ドリフト誤差修正)を施した。実験においては、本校のラグビー部員を対象として、計測・検証を繰り返した。科研費助成期間の研究で、ラグビー選手の実践的スキルにおける運動特性を数秒間計測することに成功した。衝撃力と運動軌跡の計測結果を実際の値(真値)と比較したところ、ほぼ5割の確率で計測が可能であった。
著者
波多野 純 野口 憲治 フォラー マティ
出版者
日本工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、ライデン国立民族学博物館所蔵の、1830 年頃の日本の町家模型を通して、近世の町家に関する従来の理解を、西欧人の目という新たな視点から見直し、再構築することを目的とする。模型は、実際の町並みを切り取ったのではなく、代表的な町家を組み合わせていた。つまり出島の西欧人は、特徴的な町家に着目し、生業・職種により町家の形式や生活空間が変化することを正確に理解していた。