著者
沖 清豪
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は日本と英国における学生の声を活用すること、すなわち学生アンケートや直接的な参加、異議申し立てのシステム化について調査し、学生支援との関係でどのように機能しているかを検討した。その結果、(1)日本国内における異議申し立ての理念をめぐる混乱は、教育評価(質の改善)のための異議、大学運営・事務プロセスに関する異議、および学生調査を通じての満足度という形で示される異議が存在していること、(2)英国においても学生満足度調査に基づいた学生支援改革を志向する参加や学生アンケートが一部の大学で実践されていること、および(3)学生ユニオンの代表が政策立案に参加していることが明らかとなった。
著者
福留 東土
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

日本の大学改革ではガバナンスのあり方が重要な焦点となっており、学長のリーダーシップ強化を通じた機動的・集権的政策決定が変革の方向性となっている。しかし、そうした方向が、改革の目的である大学の質向上につながることは実証されていない。ガバナンスに関する研究と実践が積み重ねられてきた米国では、多様な構成員の参加を通じた対話と協働の重要性を説く研究が主流である。本研究では、理事会による素人支配、専門職化した管理運営者、教員参加による共同統治という3つの鍵概念を設定し、米国の大学を対象に理論と実証の両面からガバナンスのあり方を検討し、大学に相応しいガバナンスについて考察する素材を提供することを目指した。
著者
大山 政光
出版者
滋賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

研究成果の概要(和文):本研究では、教員の指導力を高めるため小型天体望遠鏡の使用に関する教育用デジタル教材と太陽に関する教育用デジタル教材を開発した。天体望遠鏡の教材に関しては、セッティングや観察方法に関して安全面にも配慮したデジタル動画・解説書を作成した。太陽に関する教材では、黒点は変化するものであることを理解・実感できるように、黒点形成・消滅に関する教育用デジタル動画を作成した。
著者
森田 雅子 横川 公子 矢田部 愛 北村 薫子 延藤 久美子 岡田 由紀子 徳山 孝子 西田 徹 坂井 加奈 櫻谷 かおり 天野 敏彦 武藤 恵美
出版者
武庫川女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

国内およびイタリア・アメリカはじめ海外5カ国のフィールドワークを実施し、文献調査やネットアンケート、インタビュー(フィギュア製造業の海洋堂、コレクター)・モニタリング・データベース化の手法を用いた。巡礼地での観光土産との類縁性に着目し、「西洋型先進国」における食玩および食玩の類縁生活財(ミニチュア)の流行の仕組みや象徴的・表象文化的機能と日本的特異性の比較・解明を試み、得た知見の概要を『報告書:研究経緯および資料』に公開した。
著者
押野 武志 千田 洋幸 西田谷 洋 横濱 雄二 竹本 寛秋
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

今日の文学研究・文化研究の問題点を近代批判の文脈から68年の思想まで遡り整理した上で、68年代以降今日に至る現代日本文学とサブカルチャー、あるいは活字メディアと視覚メディアの錯綜した交渉関係を、村上春樹の登場とその受容史という縦軸を中心に同時代の文化・メディア環境も視野に納めながら具体的な相において通史的に明らかにした。 このようなジャンル横断的な新たな現代日本文学史を構築するためには、これまでの方法論や文学理論では捉えきれないという観点から、デジタル化社会に応じた、新たな分析概念及び文学理論の再構築も同時に目指した。
著者
Daniel Long 小西 潤子 今村 圭介 斎藤 敬太
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

この研究で旧南洋群島に当たるパラオ共和国のアンガウル島における接触言語「アンガウル日本語」の存在を指摘し、その特徴や社会的・歴史的背景、さらには接触言語学的な分類について考察した。現地調査に基づいた分析、参与観察、面接調査に加えてアンガウルを離れてコロールに移り住んでいる島民も多数調査した。調査の目的は以下の2点にあった。(1)アンガウル島民がどのような日本語を話しているか。特に戦後育ちの島民で、日本滞在経験もなく、日本語学習経験がないパラオ人が日本語を使っているか。(2)「アンガウル日本語」は言語学的にどのような言語変種(ピジン、クレオー ル、混合言語、中間言語、など)として分類されるか。
著者
竹井 史
出版者
愛知教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

幼児期における土遊びは人間形成に大きな意義を持つ。本研究は、土遊びを活性化するための土環境を「ねんど場」と位置付け、考察し、以下の点が明らかになった。①本研究期間でねんど場に使用した土は、河川プラント会社から不要材として排出された粘土質土であるが、当初の予想以上に、感触遊び、粘性や可塑性をもとにした造形的な遊び、造形物を利用した社会性を促進するごっこ遊びに有益な素材であること。②粘土質土は、乾燥状態においても粉砕可能でかつ容易に再利用でき、その粒度分布は、粘土、シルト、細砂成分を中心とした土であり、粘土成分4~14%、シルト成分20~30%、細砂成分30~50%含まれたであること。
著者
川口 恵子 伊東 田恵 太田 理津子
出版者
芝浦工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

著者を指す第1人称代名詞(Iやwe等)が英語教育・工学という2つの異なる分野でどのように使用されているかを出版年代の観点も含め学術誌論文を分析した。各分野の主要学術誌2誌ずつより選んだ約250編が分析対象である。その結果、第1人称代名詞は工学系論文で最もよく使われており、英語教育分野では、日本人研究者の第1人称代名詞の使用頻度は英語母語話者研究者に比べ低いことがわかった。また、工学系論文では20年前と最近の論文での代名詞の使用頻度に差がなかったが、英語教育系論文では年代による差が見られた。大学英語教員に実施したアンケートより、第1人称代名詞の使用は様々な考えに基づいていることがわかった。
著者
神尾 達之
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

エイズは、①免疫不全を引き起こす点で、ヒトの身体レベルにおける自他の区別を無効にする病であり、かつ、②当初は性行為による感染がクローズアップされた点で、《他者》たちとの《つながり》の病であった。「エイズ」は単なる感染症の名称にとどまらず、《他者》による自己の侵犯をめぐる表象である。本研究はエイズから始まる《感染》の表象が、寄生、共生、インターネット、sns、微生物、絆、ともだち、ゾンビなどのイメージに転移することで、突然変異を繰り返し、変奏されるプロセスを考察する。
著者
山田 美幸 鶴田 来美 長谷川 珠代
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究では独居高齢者に焦点あて、独居による生活の不具合や不安要因を明らかにし、個人の生活に即した介護予防プログラムを開発することを目的とした。平成18年度は、介護予防に関する注意事項や体操を含めた介護予防を目的としたプログラムを作成し、地域の施設等で、のべ179名に実施した。その結果、関節の拘縮や身体機能の低下が見られる参加者があり、これらを予防するために、継続してできるプログラムが必要であることが明らかになった。平成19年度は改良したプログラムをのべ20回実践し、評価を行った。対象者はデイサービスに通所する34名、平均年齢は84.7±4.2歳であった。「布団からの起き上がり」や「いすからの立ち上がり」に対する困難感を抱く傾向があったが、プログラム後はその困難感が減少していた。また、転倒のリスクは「家の中」が多かったが、プログラム後では有意に減少していた。歩行状態は一定距離の歩数が減少し、足の踏み出しが大きくなっていた。続けて、独居高齢者の生活行動パターンと運動量を明らかにするために、3名の自宅に人感センサーを設置した。これによって1日の生活パターンやトイレの回数、室内での部屋移動の状況が把握できた。さらに1ヶ月の情報を得た後、1日あたりの身体活動量を算出し、自宅でできる介護予防プログラムを提供した。また、これを家族が毎日観察し、活動状況によっては家族が高齢者に連絡をするといったコミュニケーションをとる機会にもなっていた。これらの結果より、高齢者は身体機能の低下によっておこる下肢の筋力を使う日常生活行動について不具合や不安を抱く可能性がある。しかし、高齢者の動きを生活活動量として捉え、個別性のあるその人に合った介護予防プログラムを提供することによって、不安や転倒のリスクの減少につながり、効果的であると考える。
著者
川野 因 日田 安寿美 多田 由紀
出版者
東京農業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

運動前(最大酸素摂取量70%強度、一過性自転車30分間)に摂取するたんぱく質量の違いと心拍数変動、パワースペクトル解析で得られる自律神経活動指標、血中乳酸、主観的疲労感、血中遊離トリプトファンと分岐鎖アミノ酸の濃度(Trp/BCA)比との関わりを検討した。いずれの指標も運動開始とともに変動するが、たんぱく質摂取量の違いはこれら指標に異なる動きを誘発し、中枢性疲労指標のTrp/BCAA比は自覚的疲労感や乳酸の動きと一致しなかった。
著者
吉田 純一 多米 淑人
出版者
福井工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

石川県境に位置する小原集落(福井県勝山市北谷町)は、住民がわずか2人の限界集落、そして廃村の危機が迫っている集落である。本研究は、この小原集落の新たな再生、活用を試行する実践研究で、離村者を含む地元民(代表国吉一実)と協働し、集落内の空家の改修や石垣・水路・坂道などの補修を通して集落景観を整備するとともに集落を舞台として山村生活の体験や自然とのふれあい、あるいは旧村民を巻き込んでの篝火祭(8月お盆期間)の開催、山開き、山菜・木の実狩り、紅葉見物、雪山散策などの季節に応じた各種のイベントなどを行いながら、限界集落の新たな再生や活用を試行している。
著者
恒川 隆男
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

ヴァイマール共和国時代の特徴の一つはホワイトカラーが多くなったこと、彼らの生活水準が少数の上流層を除いて、ブルーカラーの生活水準とそう違わなかったことである。失業問題も深刻であった。この時代の失業率の最低は8.3%であるが、これは1887年から1923年間の最高の失業率よりも高く、1932年の失業率は44.4%に達する。この時代に出現したサラリーマン小説Hans Fallada:Kleiner Mann,--was nun,B.Nelissen:Stempelchronikなどや、ルポルタージュSiegfried Kracauer:Die Angestelltenで語られているのは、彼らの生活苦、失業、教養ある階級としての誇りを傷つけられたフラストレーションなどである。彼らの多くがナチの支持者になった。ナチが政権を取ると34年には失業者は半減、37年には殆ど消滅する。ナチ時代の生活世界は、ナチに迫害されたり、ナチに抵抗した人々が残した記録に証言されている。前者の例としてはユダヤ人であるがために大学を追われたViktor Klempererの日記、後者の例としてはRuth Andereas Friedrichの手記Der Schattenmannなどがある。特に被害を受けなかった人々の生活世界にはナチはただの風俗として影を落としているだけのことが多い。戦後のドイツの生活世界は東と西とで違う。職業生活一つを取ってみても、東ドイツでは国家が国民一人一人をどの職場に配置するかを決め、労働は義務であり、失業はありえないが、西ドイツは資格社会であり、人々は取得した資格を武器にしてより良い職を求める。メンタリティーとしては、東ドイツでは、一方では社会主義が反体制派にも信じられている反面、他方ではあらゆる政治的イデオロギーにそっぽを向く知識人の出現は西ドイツより早かったようである。
著者
藤本 武
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

今日のアフリカは解決の困難なさまざまな問題に直面しているとされる。ただしその状況は地域や社会によって決して一様ではなく個々に精細な把握が必要である。本研究課題は社会の持続性という観点からエチオピア西南部の少数民族諸社会を対象に、主食作物の加工調理法の検討や、牧畜民と農耕民の間で発生してきた紛争の比較分析、そして半世紀以上にわたって進行してきたフロンティア地域における集落放棄の考察などを行った。
著者
坂田 泰彦 中谷 大作 砂 真一郎
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

今回、これまでの我々の知見を発展させ、動脈硬化関連因子 LTA に関連してマクロフマージ泡沫化に関わるマイクロ RNA の同定を試みたが、LTA はマクロファージ泡沫化しないことが明らかとなった。そのため途中より研究計画を変更し、動脈硬化の最終段階として生じる心筋梗塞後の心臓死亡に関連するマイクロ RNA を同定した。
著者
影山 隆之 小林 敏生
出版者
大分県立看護科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

交替勤務者に質問紙調査を行った結果、夜勤に従事している間の眠気は、夜勤連続時の「昼間の就寝前」に飲酒する人、及び次の夜勤前に二度寝する人で強く、就寝前にカフェイン摂取を控える人、就寝前に入浴する人、及び健康感が高い人では弱かった。この結果と先行研究に基づき「交替勤務者のための睡眠教育テキスト」と睡眠日誌を作成し、これを使った睡眠教育を交替勤務者に実施した。その結果、2カ月後には、睡眠によい生活習慣の一部で実行率が上昇し、夜勤連続時の不眠症状と夜勤に従事している間の眠気は減少傾向を示した。
著者
春山 純一 本田 親寿 本田 親寿 横田 康弘
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本件研究課題では、日本の月探査機SELENE(かぐや)の大量のカメラデータを用いて、これまで推定されてきたクレータサイズ頻度分布(CSFD)やクレータ崩壊消滅直径(DL)などを元にした再解析を試みるなどして、月のごく小さなユニットを含めた地質地域の年代推定法の研究を行った。その結果、年代推定精度向上が確認され、その結果を利用して、これまで十分な解像度では得られていなかった地域を含む月の海ほぼ全域の年代について、新たに再推定することが出来た。
著者
宮川 修 金谷 貢 大川 成剛
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

微細な非晶質シリカを含む歯磨剤(ETL)と,比較的に粗大な結晶質のリン酸水素カルシウム二水塩を含む歯磨剤(NSA)とによってブラッシングしたチタン表面の微細形態,化学組成,不動態皮膜の化学構造,および歯磨剤中に取り去られたチタンの性状をXGT, EPMA, SPM, XPS, XRDによって調べた.得られた結果を総括すると以下になる.1)ETLではcomet tail様の,またNSAでは平行線状の条痕がそれぞれ,ブラッシングされた面に観察され,後者のほうが表面粗さは格段に大きかった.どちらもpH値が下がるにつれて条痕が不明瞭になっていった.2)ETLではcomet tail状条痕に対応してSiが存在し,Siに対応して高濃度の酸素の存在が認められた.またNSAでは平行線状条痕にそってCaとPが存在し,これらに呼応して高濃度の酸素も存在した.どちらもpH値が下がるにつれて,歯磨剤中の砥粒由来のこれら元素は減少した.3)XPS分析によると,ETLでブラッシングした面のSiは,不動態酸化皮膜中にのみ存在し,最表面近傍においてチタンケイ酸塩として存在することが示唆された.4)NSAでブラッシングした面のCaとPはかなり深くからも検出され最表面近傍ではCaとPを含む複雑なチタン酸塩が生成したことが示唆された.5)プラッシシグに使われた歯磨剤スラリー中には,0.2〜0.3μmの微細なチタン研磨屑が単独の遊離した形で,また砥粒に付着した形で見いだされた.5)ペースト中チタンからのTi_<2p3/2>ピークは弱くて広範囲にブロードしていたが,TiO_2のTi_<2p3/2>より高い結合エネルギーを有する化学種の存在も示唆された.6)XRDはNSA中のリン酸水素カルシウム二水塩のCaイオンがTiイオンで置換される可能性を示唆した.
著者
芦谷 政浩
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

日本の公営賭博では、「各馬について一番割安な方法で単勝馬券を合成し、1着・2着・3着の着順がどうなったとしても払戻金総額が馬券購入費用を上回るように馬券を買う」という裁定取引が可能である。本研究課題では、荒尾競馬場の2011年9月30日から12月23日までの175レースを分析し、「馬券の最小購入単位」や「裁定取引による馬券購入が裁定利益を減らす方向にオッズを変える効果」を考慮しても、10月20日の第5競争と11月25日の第11競争で上述の裁定取引が可能であったことを発見した。この研究成果は、J. of Sports Econ.という当該分野を代表する査読付き学術雑誌に掲載された。
著者
松尾 正人
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、明治期の談話筆記と回想録の総合的研究をテーマとし、第1に明治中期に組織された史談会と同会が刊行した「史談会速記録」の全体像を追究し、その特質を分析した。第2に史談会幹事の岡谷繁実の活動を追究し、談話筆記作成の実態とその問題点を明らかにした。第3に各地の談話筆記と回想録を調査し、特に山口県文書館が所蔵する長州藩関係者の談話筆記や各種の日記・略伝などを収集してその内容を研究した。第4に高知県佐川町の青山文庫で田中光顕関係史料の調査・収集を行い、田中の回想録や伝記類に関係した史料を分析し、「史談会速記録」や伝記類に記述されなかった維新政治の裏面を解明した。