著者
出村 和彦 上村 直樹
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、古代末期北アフリカ、ヒッポのキリスト教司教アウグスティヌスの「貧困」理解を取り扱い、時代の転換期における「貧困」に関して、彼がいかなる洞察を有し、実践的に関与したかを、彼の初期作品、民衆に語った『説教』、『神の国』、および『詩篇講解』等の原典読解を通じて解明した。これによって、「貧困」についての「霊性化」という彼の思想の一貫した傾向を見出している。本研究は、オーストラリアや韓国の研究者との有益な交流を通して推進された。
著者
水田 正史
出版者
大阪商業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

第1次世界大戦勃発時におけるイラン支配の態様はイギリスとロシアで異なっていた。第1次世界大戦中、イランでは幾度も政権交代が行なわれたが、それらの多くにおいて、諸外国による関与が見られた。イギリスがアラビア半島につくらせようとしていた国家は、その資金的中核としての銀行を必要としていた。1917年、ロシアで三月革命が起こり、ロシア軍がイランから撤退した。
著者
米田 信子 永原 陽子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

東ヘレロ語コミュニティにおける現地調査で収集したデータをもとに,声調,テンス・アスペクト・ムードの体系,複文の構造を中心にヘレロ語の記述研究を行った。その成果は論文および国内外の学会や研究会で発表した。また国際共同研究については,2010 年度に Lutz Marten 氏(ロンドン大学)とヘレロ語の共同研究を開始したほか,最終年度には英国から 2 名のバントゥ諸語研究者を招聘し,これまでの成果発表と共同研究の展開を目的とした国際バントゥ諸語ワークショップを大阪で開催した。継続的な国際共同研究へ展開させる十分な土台ができたものと思われる。
著者
本郷 均
出版者
東京電機大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

フランスの現象学者メルロ=ポンティの遺稿草稿(『眼と精神』の下書きやメモ類、およびゲシタルト派の芸術心理学者アルンハイムの読書メモ、『見えるものと見えないもの』関連の未刊草稿など)の調査を行った。また、晩年のメルロ=ポンティの他の芸術に関する考察に対して取っていたスタンスを、メルロ=ポンティ自身の前期の「セザンヌの懐疑」における考え方と比較・考察し、かつミシェル・アンリという哲学者の芸術論とを比較することなどを通して、メルロ=ポンティの後期存在論構想に対して、「芸術」が果たしている役割が根本的であることが確認された。
著者
高田 節子 田村 典子 塚原 浩子
出版者
広島県立保健福祉短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

田淵まさ代は日本の近代看護の黎明期にあって、大正10(1920)年英国ロンドンで開催された第2回国際公衆衛生看護講習会に参加した。大正9年赤十字社連盟第一回総会で、各国赤十字社の事業の1つに公衆衛生看護婦養成が決議され、各国から講習生を派遣し第1回は既に前年に開かれている。第1回は期日の切迫の為派遣は見送られたが、第2回講習会には女学校時代から英語の学習研鑚を積み英語力に堪能なまさ代が選ばれた。帰国後まさ代は講習会での学習とヨーロッパ各地の施設で見聞した看護事情を報告書にまとめ、いくつかの提言をしている。なかでも英語教育の必要性に関する提言は内地留学制度導入の契機となり、その制度で何人もの国際的に活躍した看護婦が生まれた。まさ代はまた救護看護婦や社会看護婦の養成に従事した。パリで事故に遭われた北白川宮妃殿下の看護に選ばれて派遣された。またシベリア派遣救護班の婦長としても活躍し、こうした功績に対して昭和12(1937)年ナイチンゲール記章が授与された。
著者
澤田 肇 五十嵐 太郎 北山 研二 栗田 啓子 南 明日香
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

パリがどのようにフランスの、そしてヨーロッパの首都としての外観と機能とイメージを形成していったのかを多角的に問うことが、本研究の目的である。シンポジウムや研究会における発表と議論の過程で、自らにふさわしいイメージを自己増殖していくかのような都市風景を構築するパリのダイナミズムが、複数の異なる専門分野からのアプローチを組み合わせることで一層浮き彫りになることを確認できた。
著者
速水 敏彦
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

本研究の目的は自伝的記憶がその中に含まれる感情を介して動機づけにどのような影響を与えるかを明らかにすることである。自伝的記憶の内容は何らかの具体的経験であり、その認知としての過去の具体的経験が今後の行動をどのように動機づけるかを検討しようとするものである。3つの調査的研究が実施された。研究1は女子大学生のスポーツについての自伝的記憶と動機づけが、続く研究2ではスポーツ振興会に所属して現在もスポーツに励む(動機づけの高い)人と特にそのような会に所属しない看護婦のスポーツについての自伝的記憶が比較された。さらに研究3では大学生を対象にして英語学習についての自伝的記憶と現在の英語学習への動機づけの関係が検討された。現在スポーツをしている社会人は学生時代以降の自伝的記憶が多かったが他の群では学生時代の自伝的記憶が多かった。また英語学習に関しては学校外の出来事に関する自伝的記憶が意外に多いことがわかった。いずれの研究でも自伝的記憶の内容は正の経験として成功経験、正の対人関係、フロー経験、負の経験として失敗経験、負の対人経験、怪我・危険な経験の6つに分類された。正の経験の多くが正の感情を、負の経験の多くが負の感情を伴っており、正の経験は現在のその行動の動機づけを高めていたが、負の経験は必ずしも動機づけを低減させているわけではなかった。
著者
山内 健治 仲座 栄三
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

沖縄県下における台風・暴風・雨・干ばつなど、主に気象環境を、民俗レベルで、人々が観察し、予兆してきたかの民俗知識のデータベース化を意図した研究の一環である。同県の市町村史・誌、字史・誌に記録された気象に関する民俗知識・予兆伝承をリストアップしデータベース化した。また、気象予兆知識が実際に機能しているか、村落社会の中で語られているのかを確認するためにインテンシブな民俗調査を実施した。
著者
押田 芳治
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

核のDNAと比較して,ミトコンドリアゲノムは小さいものの,機能している部分は核DNAの3分の1にも及ぶ.これに加えて,ミトコンドリアDNAの進化速度は核DNAよりも5倍から10倍高いので,ミトコンドリアゲノムの多様性は核ゲノム全体の多様性に匹敵すると考えられる.これらの特徴から,トレーナビリティー、肥満、2型糖尿病との関連を検討した。さらに、ミトコンドリアゲノム変異により引き起こされる細胞内応答を明らかにし、ミトコンドリア病の分子メカニズムを解明する手がかりを得るために、3243A>G変異{MELAS (mitochondrial myopathy, encephalopathy, lactic acidosis, and stroke-like episodes)の主要変異}、8993T>G{NARP (neuropathy, ataxia, and retinitis pigmentosa)の主要変異}を有するサイブリット(2SD細胞、NARP3-1細胞)を用いて、DNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析を行った。その結果、ハプログループAでは、ATP合成酵素の第6サブユニットの90番のアミノ酸であるHisをTyrに置換する多型は、マラソン選手や駅伝選手において高頻度で検出された。ハプログループM7b2は,非肥満者に比して肥満者に高頻度で検出された。また、正常なミトコンドリアを持つ143B細胞と比較して、MELAS、NARP変異を持つ2SD細胞、NARP3-1細胞では、CHOP、ASNS、ATF4の発現量が増加していることが判明した。さらに、CHOP、ASNSの発現上昇がAARE、NSRE-1を介しており、ATF4の発現に依存していることが明らかになった。
著者
御崎 加代子
出版者
滋賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

一般均衡理論の制度的枠組としてのワルラス応用経済学の意義を、思想史的なアプローチで解明するという研究目的を遂行するために、まずはワルラス応用経済学における競争概念を、ハイエク的な視点から再考することにとりくんだ。ハイエクは、ワルラスの純粋経済学に由来する新古典派的な競争概念を、社会主義経済計算論争の後、「設計主義」に結び付けて批判した。本研究では、そのときに彼が設計主義の源泉とした「フランスの伝統」に着目した。そしてワルラスの純粋経済学ではなく、応用経済学の競争概念「組織された自由競争」に注目し、それを、ハイエクの言う「フランスの伝統」を代表するデカルト主義やサン=シモン主義に照らして、その特徴を再考すると、ワルラスは、ハイエクの定義する設計主義者であるどころか、むしろハイエクと近い主張をしており、ワルラスの競争概念は、一般1的な新古典派の競争概念とも異なる独自性を持っていることが明らかになった。そのことをさらに検証するために、ワルラスの応用経済学を、サン=シモン主義からの影響だけではなく、より広い意味でのフランスの伝統の中で、考察することにとりくんだ。すなわち、ケネー、カナール、J.Bセー、サン=シモン、デュピュイ、クルノーを中心とした18-19世紀フランス経済学史の流れを、ワルラス応用経済学における「組織された自由競争」概念の形成過程として読み込み、同概念の独自性と思想的意義を明らかにした。その際に、マルクスやシュンペーター・が考える「フランスの伝統」とハイエクのそれとを比較検証し、フランス経済学史についての既存の解釈に対しても、異なる見解をうちたてた。すなわち、ワルラス経済学をステレオタイプ的な新古典派的な解釈から解放するためには、フランス経済学史研究そのものに新しい光を投じる必要があるのである。
著者
川口 章 山野 眞利子 白井 幹康 藤里 俊哉
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

肺移植に伴う除神経は咳反射や気管支収縮などの生体防衛反応を廃絶し、移植後の感染症の頻度と重症度を増加させている。移植肺はレシピエントと外界のはざまにあるため、レシピエントからは拒絶反応、外界からは病原微生物による感染の対象となっている。求心性神経の再生の有無、その時期や経路を明らかにすることは、肺移植後の感染症の抑制や免疫抑制療法の改善につながり、肺移植の成績の改善に寄与するものと考えられる。方法右肺移植をした後に左肺を切除し、移植肺に呼吸を依存したラット(移植群)において右肺門を郭清したラット(郭清群)と比較して経時的に、(1)Caspian(30mg/kg)を静注し迷走神経を介した除脈反射の回復を観察し、(2)Hering-Breuer反射の回復を検討した。(3)形態学的検査で神経ペプチド(CGRP,Substance-P)の有無と局在を検討し、(4)神経トレーサーを移植肺に注入し、動物を犠牲死させてその局在を検討した。結果(1)Capsaicin静注に対する除脈反射は73%±10%(減少拍数/前拍数)であった。移植後消失したこの反射が全例で53%(平均-2SD)まで回復するのに郭清群で3カ月、移植群で4カ月を要した。(2)Hering-Breuer反射は正常で5.0±2.6(20cm水柱での無呼吸/前呼吸間隔)であった。これが全例で2.4(平均-1SD)以上となるのに郭清群で3カ月、移植群で4カ月を要した。(3)神経ペプチドを持った神経線維が肺門全域を通して広範に移植肺に入り込んでいた。(4)神経トレーサーは同側の迷走神経下神経節に見られ、対側や後根神経節にはなかった。結論ラットにおいて、移植時に断絶された求心性神経路は術後4カ月までに同側の迷走神経内に再生され、物理・生化学的刺激に対して機能していた。
著者
檀上 寛
出版者
京都女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究の課題である「海禁」については、従来漠然と民衆の出海を禁止する措置だと理解するだけで、実体についてはほとんど検討されることはなかった。そこで本研究では、元代から清代にいたる中国王朝の海洋統制策を通時代的に考察し、時代ごとの海禁の目的・形態を明らかにするとともに、海禁の歴史を次のような時代区分した。(1)海外貿易の発展に伴う沿海部の騒擾に対処した元代の海洋統制……………萌芽期(2)強大な専制権力によって民衆の出海と海外貿易を禁止した明初の海禁…………………確立期(3)15世紀中葉以降、密貿易の活発化で形骸化した明中期の海禁………………弛緩期(4)倭寇および密貿易封じのために、福建月港を「開放」した明末の海禁……………………再編期(5)台湾の鄭氏政権への対抗上、厳格に実施された清初の海禁…………戦時強化期(6)17世紀末の「開海禁」以後、アヘン戦争までの清中期の海禁………………小康期(7)アヘン戦争の敗北で「開港」して以後の清後半期の海禁……………………衰退期さらに海禁の特徴として、(1)海禁の目的はあくまでも「海防」にあること。(2)海禁は明清時代の海洋統制策であり、前代までの統制策とは質的に異なること。(3)国際秩序の維持を担う海禁=朝貢システムは明代固有のもので、同じ海禁でも清代とは全く異なること。(4)海禁という言葉には広狭両様の意味合いがあるにもかかわらず、この区別がなされていないため、学会での海禁の理解には混乱が見られること、の四点を明らかにした。
著者
菅 道子
出版者
和歌山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

戦時期の音楽教育実践史の特質として次の点を明らかにした簡易楽器の指導は、1930年代に東京市内尋常小学校の教師たちによって着手された。それらは玩具的楽器による音楽的自己表現という児童中心主義の思想とともに、次第に戦時行事の活性化という意図を含んで拡大していった大阪府堺市の佐藤吉五郎によって推進された和音感教育は、音楽の基礎的能力の育成とともに、敵の飛行機や潜水艦の音の聴き分けるといった国防教育としての新しい位置づけが生まれたこれら音楽教育実践の普及には雑誌の発行やSPレコード、映画などメディアの活用が不可欠な条件となっていた
著者
上村 公一 船越 丈司
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

硫化水素(H2S)の細胞への毒性作用の機序を解明するため、ラット胎児心筋由来細胞(H9c2cells)、ラットII型肺胞上皮由来細胞(L2 cells)にH2S供与体としてのNaHSを暴露した。H9c2 cellで3mM、十数時間後から細胞質の萎縮が観察された。5mMで顕著な形態的アポトーシス様細胞死が確認され、caspase3の活性化が見られた。L2 cellsではNaHS 2-3mM、数十分後から、核凝集、細胞膜のAnnecinVとの反応、Cytochrome Cの細胞質への漏出が確認された。L2 cellsではH9c2 cellsより濃度は低く、短時間で細胞毒性が確認された。H2Sの細胞毒性は組織により感受性が異なっていた。
著者
井戸田 秀樹
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は,鋼構造部材の靭性に不可避な不確定性が存在することを前提とし,鉄骨ラーメンの耐震信頼性を効率的に向上させるための部材靭性統計量制御についての新たな知見を目的としたものである.研究成果は以下の3点である.(1)部材靭性の不確定性が鉄骨ラーメンの耐震信頼性に与える影響を把握した.(2)文献調査と実験に基づく部材耐力および靭性の統計情報の再構築を行った.(3)鉄骨ラーメンの効率的な耐震信頼性向上を実現する部材靭性の統計的性質を提示した.
著者
宇城 輝人
出版者
公立大学法人福井県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、就業者の大半が雇用され、社会保障が雇用に関連づけられるような社会(賃労働社会)の成り立ちを、以下の3点に焦点をおいて知識社会学的に検討した。(1)労働と非労働の境界線が19世紀末から20世紀前半のフランスでどのように構成されたのか。(2)労働の残余だった非労働がどのようにして人間の本質として経験されるのか。(3)そのような非労働を生きる人間たちの集団生活がどのような空間秩序(都市、郊外)のもとに形成されたのか。
著者
相馬 充 谷川 清隆
出版者
国立天文台
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

我々の研究は西暦628年(推古天皇36年)の日本書紀最初の日食記録が記録どおりに皆既日食であったことを明らかにしたことに端を発している.これにより,過去の地球自転速度変動を明らかにすることの重要性が認識されたためである.我々は地球自転回転角パラメータΔTと同時に月の潮汐項を決める手法を開発し,これによって,まず,紀元前200年以降,現在まで,月の潮汐項がほぼ一定であることを明らかにした.これは,紀元前198年から紀元前181年までの中国とローマにおける皆既日食と金環日食の記録,および,紀元後616年,628年,702年の中国と日本における皆既日食や皆既に近い日食と紀元後681年の日本の火星食の記録などから判明した事実である.ΔTの値については,紀元後1年以後1200年までの中国や欧州の日食記録を調査し,454年と616年の間に3000秒以上の急激な減少が,また,873年と912年の間に600秒以上の急激な減少があったが,その他には特に目立った変化がないことがわかった.さらに,ΔTの値が他の期間では減少傾向にあるのに対して,616年と873年の間ではほとんど変化がないか,むしろやや増加していることが明らかになった.これは,西暦628年と873年の日本の日食記録,616年,702年,729年,761年,822年の中国の日食記録と840年のベルガモ(イタリア)の日食記録などから判明したものである.この他,ΔTの決定には,月食の時刻記録も有用であり,将来の解析に用いるため,世界の古代におけるこれらの記録を収集し,計算機で扱えるファイルとして保存する作業も行った.
著者
佐藤 俊樹
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

1)意味システム論としてのコミュニケーションシステム論を、特に従来の社会学での制度概念とのつながりと複数の分野への応用しやすさに注目して、理論的に再構築した。2) 1)の成果を都市の生成に適用することで、都市の自己生成の形態を、自己産出的な意味システム論の視点から明らかにした。
著者
南 俊朗 大浦 洋子
出版者
九州情報大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は授業や図書館において得ることのできるデータ解析を通じて学習者としての学生の学びへの姿勢に関するモデル構築を目的とした.通常のアンケート解析による直接的な統計解析ではなく図書館の貸出データなどから間接的な手法により潜在的な姿勢の把握手法の開発を目標とした.研究においては対象者の学習姿勢に関する情報を発見するための新しい指標の提案とデータ適用および考察を行った.その結果,図書館データ解析より,法学部系の学生が文系の典型例となっていることなどの発見があった.授業データ解析からは学ぶ内容に対する広い視野をもった学生の成績が良いことが見い出された.研究成果は国際会議・雑誌等で周知を図った.
著者
中西 僚太郎
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

明治期から昭和初期に作成された、厳島、和歌浦、天橋立、富士山、耶馬溪などの景勝地の鳥瞰図について、その現存状況を調査し、データベースを作成するとともに、作成主体、作成目的などの資料的検討を行った。それをふまえて、同地域の「案内記」や「写真帳」などの関連資料や、近世の絵画資料を参考にして、鳥瞰図に描かれた内容を分析し、表現された景観の特質を明らかにした。