著者
遠原 智文 三島 重顕 前田 卓雄 浦川 邦夫 本間 利通
出版者
大阪経済大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は,労働市場における需給バランスの逆転が,高度専門職の組織に対する関わり方,及び企業の経営管理手法に与える影響を実証的に明らかにすることを目的としており,特に「供給過剰⇒供給不足(一級建築士)」と「供給不足⇒供給過剰(薬剤師)」のプロセスにある2業界に着目している。平成29年度は,文献調査,アンケート調査の準備(インタビュー調査の実施),研究成果の発表を行った。一昨年度より,高度専門職の組織に対する関わり方や職務満足の構造に関するデータを幅広く収集して,本研究を発展させるために,薬剤師や一級建築士に加えて,中小企業診断士(とくに中小企業診断士の多数を占める企業内診断士)を研究対象に含めている。文献調査では,中小企業診断士に対するアンケート調査で使用する質問用紙の作成のために,職務満足および幸福(感)に関する先行研究を渉猟した。またアンケート調査は,(一社)兵庫県中小企業診断士協会HRM(Human Resource Management)研究会と連携して実施することとなっており,その本格的な実施のために討議を行った結果として,仮説をより明確にするためにインタビュー調査を重ねることが重要という結論に達したため,本年度はインタビュー調査の実施とこれまでの研究成果の発信に注力した。これまでの研究成果の発表については,学会報告や論文の公刊が積極的に行われている。薬剤師に関しては,本間によって論文の公刊および海外での学会発表が行われている。また中小企業診断士においては,遠原および前田によって論文の公刊が行われている。
著者
大場 淳 芦沢 真五 小貫 有紀子 田中 岳 前田 一之
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

日本の大学改革では意思決定における上意下達的側面や制度改革が重視され、一定方向のガバナンス改革が一律の全大学に適用される傾向がある中において、本研究は、国内外の調査に基づいて、個々の大学が有する諸条件によって望ましいガバナンスの在り方は異なっていることを明確にした。そのことは、大学運営に関する改革の在り方は、例えば学長の権限拡大や教授会の権限縮小といった一律の制度改革を行うことではなく、個々の大学が適切なガバナンスの在り方を構想することを支援することにあるべきことを示唆するものである。研究成果については、学会等での発表、雑誌論文の掲載、書籍への執筆等を通じて、日本語及び外国語で行った。
著者
井上 勝生
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

研究実績の概要は、次のようである。1)朝鮮に派遣され、農民軍を鎮圧した守備隊史料を、多数収集した。守備隊の史料を所蔵する防衛研究所図書館史料、守備隊が編成された四国四県の新聞史料など、総指揮官の出身地である山口県文書館の史料など、多くの新しい史料を発見した。朝鮮農民の死者、三万人以上の大被害が発生した。朝鮮守備隊は、広島大本営が直轄しており、日朝間の交信記録を分析し、最強硬の弾圧命令が大本営指導部から出たことを明らかにできた(成果報告書)。抗日農民戦争は、大規模になり、ソウルに向かっていた。大本営は、日清戦争を中国領へ拡げるなかで、欧米が、農民蜂起を名目に、朝鮮へ介入してくることを恐れており、朝鮮農民軍の殲滅作戦が着手されたのであった。現地の部隊ではなく、大本営の首相や外相も含んだ戦争指導部が、最強硬の弾圧作戦を指導したことが、後の日本近代史に影響を与えたことも指摘した。守備隊編成地、四国では、農民軍討伐作戦中の、戦死者の個別事例を、新聞史料から掘り起こした。地元部隊が、農民軍大討伐作戦に朝鮮に投入されたことは、今日、知られていない。参謀部日清戦史でも、記述がない。戦死者個別事例を靖国神社の殉難記録でみると、中国軍との、別の戦場での、別の日の戦死に、変えられていることが判明した。記録と記憶の抹殺である。なお史料を探索し、発表する予定である。守備隊の総指揮官は、幕末の長州藩の元志士であった。駐韓公使井上馨と、同じ有志隊に入っていたことも発見した。井上公使は、最強硬な農民軍鎮圧作戦を主導していた。この関係を発見したので、さらに、事実関係を調べて、発表する予定である。
著者
結城 匡啓
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では,スピードスケート競技の陸上トレーニングにおける動作と氷上での滑走パフォーマンスを分析し,これまでに究明されている滑走動作の力学的メカニズムや優れた選手に内在する技術的要因とを総合的に関連づけて検討した.その結果,スピードスケートの陸上トレーニング手段の運動負荷は,氷上滑走時のそれに比して低い可能性があることや,氷上パフォーマンスの高い選手は,陸上トレーニングにおける運動負荷よりも氷上滑走動作における負荷が大きい傾向にあることがわかった.
著者
伊賀 淳一
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

うつ病患者の白血球におけるセロトニントランスポーターの発現は上昇しており、プロモーターのDNAメチル化率は低下していることを確認した。幼少期のストレスの影響を今後検討する必要がある。このほか老年期においてうつ病との鑑別が重要となるアルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症において血液から得られる診断バイオマーカーの検討を行い、TREM2、SNCA、INPP5、TOMM40、APOE、PINK1、ABCA7、MEF2C、DRD2の遺伝子発現やDNAメチル化率の変化について英語論文で報告することができた。今後も老年期うつ病と認知症の鑑別に役立つバイオマーカーの検索を行う予定である。
著者
大形 徹
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

研究の概要、中国では戦国から秦漢にかけて、太陽・ロータス・鳥の図像が多く描かれるようになる。そのもとはエジプトにある。エジプトでは太陽信仰にもとづく再生復活観念が、太陽・ロータス・ハヤブサなどの図像を通して表現された。それらの図像は中国にも流入し、不死の仙薬や仙人という神仙思想を生み出す契機となった。当初の仙人は死者が復活する尸解仙と呼ばれるもので、エジプトのミイラの復活によく似ている。
著者
千々和 到 矢部 健太郎 大河内 千恵 窪田 涼子 角田 朋彦 長又 高夫 堀越 祐一 山崎 布美
出版者
國學院大學
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

中近世の日本の誓約の文書は「起請文」と呼ばれた。それは、まず約束の内容を書き、そのあとに「もしウソをついたら、神仏の罰をうける」と書く。これまでその最初の史料とされていたのは、1148年の奈良・東大寺に残る文書だったが、2007年に琵琶湖北岸の塩津港遺跡から出土した木簡は1137年の年号があり、千々和が以前に「勧請型起請文」と名付け、中世初期からの存在を指摘した形式のものだった。これは、まず神仏をこの場に招き(これを勧請という)、そのあとに約束をし、それから「もしウソをついたら、神仏の罰をうける」というものである。本研究は、この新資料を起請文の歴史に位置づけ、その歴史を書き直すものとなった。
著者
宮脇 昇 山本 隆司 横田 匡紀 清水 直樹 西出 崇 後藤 玲子 藤井 禎介 玉井 雅隆 山本 武彦
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

「やらせ」の政治的演出は情報の不完備性に依拠している。「やらせ」を命じる政治的演出者と「やらせ」を見る観客の双方に共通知識があたかも(as if)存在するかのごとく演出されるが、現実には観客の有する情報は限定的・選択的でしかない。被操作者は必ずしも完全な知識を有さない。情報の不完備性・非対称性が政治的演出としての「やらせ」を可能にし、公共政策の政策過程の循環を演出者の意図にそって進行させる。また非民主主義国では「やらせ」を内在化した情報操作が権力維持のために恒常化している。しかし世界的な民主化の波、インターネットの普及、情報公開制度の拡大により、成功的演出の条件が困難になった。
著者
手嶋 英貴
出版者
京都文教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

強力な王のみが挙行を許されたアシュヴァメーダ(馬犠牲祭)は、インド史上最も大規模かつ壮麗な祭として知られる。その記述は紀元前以来、ヴェーダやウパニシャッド、叙事詩を始め多くの古典文献に残されており、儀礼のみならず、思想、文学の諸領域にわたる広範な文化的影響が見られる。しかしその重要性に反して、アシュヴァメーダに関する領域横断的な学術研究はほとんど未着手のままであった。本研究では、上述の三領域を横断する形で緻密な文献調査を推し進め、総合的な視野におけるアシュヴァメーダ研究を行ってきた。これにより、インドの社会・文化への理解を促進する新たな知見を確立することが出来た。
著者
岸 文和
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本研究の目的は、近代に固有の「芸術家」イメージがどのような歴史的過程を経て成立したのかを、画家や絵画について語るさまざまな言説を分析することによって明らかにすることにある。この目的を達成するために、本研究では、次のことを行った。第1に、画家や絵画に言及する多様なテクスト-伝説/説話/物語/伝記/画史/画論/随筆/評論/小説-を渉猟して、膨大な数の逸話を収集した。ここで「画家」と言うのは、狭い意味では、絵画を専門とする人のことである。また、「逸話」とは、本来、特定の画家の行為/性格などが具体的に/生き生きと表象されている物語的なテクストのことである。しかし、いわゆる「常套句」に近いものも採っている。第2に、収集した逸話のそれぞれについて内容を要約し、さらに一定のトポスへと抽象度を高めることを試みた。ここで「トポス(topos)」と言うのは、画家や絵画について繰り返し使用される定型的な物語のパターンのことである。第3に、すべての逸話を、画家を単位として取りまとめ、それらの画家を絵所絵師/絵仏師/画僧/御用絵師/町絵師/文人画家/浮世絵師のカテゴリーに分類した。第4に、それぞれの画家カテゴリーごとに、どのような種類のトポスが選ばれ、どのような種類のトポスと組み合わさ、どのような場面における、どのような人物の、どのような行為/性格として具体化/具象化されるかを分析した。第5に、このようなトポスの《選択》と《結合》と《具象化》の仕方を分析することによって、特に近世の文人画家イメージと、近代の芸術家イメージとの間に、「個性を/内面性を表現する」「世間におもねらず」というトポスの点で、連続性と非連続性とが存在することが判明した。
著者
宮岡 剛
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

塩酸ミノサイクリンの抗精神病薬効果に関する研究塩酸ミノサイクリンは、テトラサイクリン系の抗生物質であるが、強力な神経保護作用を有することも明らかになりつつある。そのため、本研究では、統合失調症の治療薬としての塩酸ミノサイクリンの有用性とその治療効果を明らかにすることを目的とした。統合失調症患者に塩酸ミノサイクリンと抗精神病薬を用いて二重盲検試験を行い、また、統合失調症モデル動物でも同様に薬物を投与して検討を行った。その結果、ミノサイクリンが抗精神病薬様作用を有し、統合失調症の治療における増強療法の一つの手段となりうることが明らかになった。また、その効果機序に脳内における抗炎症作用の機序が想定される。
著者
須貝 栄
出版者
東京国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、職場において日常的に相互接触している文化背景の異なる者が持つ文化的価値とチームワーク価値を研究した。調査参加者は、在日英国商工会議所およびThe Japan HR Society会員の有志であり、在日英国人9名(駐在員2名、現地雇用員7名)およびその日本人同僚1名であった。また、英国籍経営者のITベンチャー企業もインタビュー調査に参加した。研究結果は、文化的価値に関して、在日英国人が、関与特定的-関与拡散的、感情中立的-感情表出的、内的-外的コントロールの3文化次元において、日本文化の影響をかなりの程度まで受けていると解釈された。しかし、これら以外の文化次元に関して、在日英国人は、英国人らしさを固持していると解釈された。また、在日英国人の多くは、文化シナジーへ結びつく他国文化の価値観から始まる文化統合的価値を頻繁に選択するという特徴も示していた。チームワーク価値に関して、在日英国人は、「実際に知っている最も有能なリーダー」が英国人であろうと日本人であろうと、1.友好的な行動についての価値、2.公式権威に基づく課業達成志向を受容する価値、3.支配に関する価値の順で重視していた。これに対して、日本人参加者は、友好的行動を最重視するのは在日英国人と同じであったが、これ以外のチームワーク価値の順位は異なっていた。結論として、在日英国人は、異文化相互接触が不可避な職場において、人間関係構築・維持について日本文化の影響を強く受け、その影響がチームワーク価値、特に、職場での友好的行動に関する価値の最重視に反映されていると解釈された。
著者
志村 洋
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

従来、諸藩の約4割を占める2万石未満の小藩領の大庄屋については、ほとんど研究がなかった。本研究では、信濃国佐久郡・小県郡の譜代小藩である岩村田藩と播磨国揖東郡の外様小藩である林田藩などを取り上げて、異なる地域における大庄屋制の特質を比較検討した。その結果、①岩村田藩では、割元としての職掌は一部に限られており、陣屋元村名主としての機能が中心であったこと、②林田藩では、大庄屋の職掌は比較的広かったが、藩政に介入するほどの職権は有していなかったことが明らかになった。
著者
大石 学
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

年度計画にもとづき、東京都、群馬県、山梨県、長野県などの史料保存利用機関において、江戸幕府の公文書に関する文献と史料の調査を行った。具体的には、幕府・朝廷間、幕府・藩間、幕府・旗本間、幕府・寺社間、幕府・町間、幕府・村間でやりとりされた史料に注目して調査・収集を行った。今年度は最終年度であるため、これまでの調査の成果を、文献と史料に大分類したうえで、上記のやりとりをもとにした小分類を用いて目録化した。地域史研究の進展の差や、調査地の制約などにより、目録は必ずしも完成されたものにはなっていない。しかし分類法を整理と、基礎的文献や基礎的史料を把握した意義は大きいと思われる。今後、対象地域や機関を拡大することにより目録を充実化させていきたい。これらの史料調査・分析の過程で、日本近世において、18世紀前半に8代将軍徳川吉宗によって展開された享保改革が、江戸幕府の公文書管理の重要な画期であったことが、あらためて確認されるとともに、吉宗の腹心ともいうべき大岡忠相が公文書政策に重要な役割を果していたことが明らかとなった。すなわち、大岡は町奉行時代に江戸の法令を集め、整理した『撰要類集』を編さんするなど幕府の情報蓄積に努め、その後寺社奉行に異動するとともに、公文書の持ち回りシステムを確立したのである。全国の代官所への公文書作成の指示もあわせて、享保改革の重要性があらためて確認された。
著者
柴田 愛子 曽山 典子 岡村 誠 森 徹
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

我々の研究は、法や規則やモラルに反した行為、例えば、いじめが行われている状態を考える。この違反行為を知りながら傍観する傍観者達の行動を進化的非協力ゲームとしてモデル化し、実験で検証した。この理論によれば傍観者が(1)いじめを報告する(2)報告しない(3)確率p^*で報告するの3つの状況はNash均衡である。しかし、3番目の均衡は進化的不安定な均衡(evolutionarily unstable equilibrium)である。そして、日本人大学生を対象とした8回の実験結果から、いじめを排除するサービスは公共財であり、傍観者の生徒からのいじめについての報告が増える条件は、(1)いじめを報告したときの費用(仕返し等)が小さい。(2)生徒がいじめを傍観することから受ける不効用が大きい(3)教師がいじめを取り上げるのに至る必要な最小報告生徒数が少ないことなどが判明した。しかし、最も重要な結論は、(4)クラスの規模が小さくなれば、協力的行動が増え傍観者が減る結果である。この結論は学校のクラスの小人数化政策を支持する。3回の国際学会で報告され、カルフォルニア大学のDaniel Friedmanとイエール大学のShyam Sunderが高く評価した。(論文は英文で投稿中)これらの結果が、日本人に特有なものか否かを調べる為に、現在までに3回の国際混合実験が行なわれた。実験1は関西学院大学(1998.9.24)で、日本とドイツの大学生10名ずつ、実験2はドイツAugsburg大学(1999.9.6)で、日本人大学生10名、ドイツ人大学生8名日本人留学生2名、実験3が天理大学(2000.11.8)で日本、中国、台湾の大学生を40人集めて実施された。その結果、事前協議効果は同国人と外国人に関係なく存在する。また、異なる国籍のメンバーが同一グループを形成する場合、信頼感が薄くなることが判明した。
著者
奥野 淳一 三浦 英樹
出版者
国立極地研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

南極周縁域の大陸棚の深度は,一般的な大陸棚の深度より著しく深いことが知られている.この原因は,南極氷床が地球表層における荷重として作用することで,その縁辺域を沈降させているという仮説がある.本研究では,地球の粘弾性的変形を考慮したグレイシャルアイソスタシーのモデルを用いて,南極氷床荷重を変動が大陸棚深度に与える影響を調査した.数値シミュレーションの結果,現在の氷床分布を表面荷重と仮定すると,南極縁辺域の大陸棚深度の異常を説明することができないことが判明した.しかし,過去に現在の氷床分布より拡大した時期があると仮定した場合,南極縁辺域の大陸棚深度異常を説明できる可能性を示した.
著者
横井 彩 山中 玲子 森田 学 山崎 裕 柏﨑 晴彦 秦 浩信 友藤 孝明 玉木 直文 江國 大輔 丸山 貴之 曽我 賢彦
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

舌の上に白い苔のように付着している汚れ(舌苔)の面積と、口の中のアセトアルデヒド濃度について、健常者65人(男性51人、女性14人)で調査し、舌苔の付着面積が大きい人は、付着面積が小さい人に比べ、口の中のアセトアルデヒド濃度が高くなることを明らかにしました。その理由として、舌苔に含まれる細菌がアセトアルデヒドの産生に関与していると考えられ、舌苔を取り除く舌清掃を行うと、口の中のアセトアルデヒド濃度が減少することも確認しました。
著者
川嶋 周一
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究は、欧州統合史研究と国際関係史研究を接合し、20 世紀前半における欧州統合認識の形成と変容を、世界認識との関わりから再検討するものである。具体的には、ベルギーの書誌学者・平和活動家のポール・オトレ、機能主義者、連邦主義者の国際秩序観ならびに欧州統合観を取り上げ、その思想の展開に影響を与えた国際状況の相互関係に焦点を当てることで、欧州統合を20 世紀史の中に位置付けることを最終的な目標とする。2017年度においては、ベルギー、モンス市の文書館ムンダネウムに保管されているポール・オトレの個人文書を調査した。そもそもわが国において、オトレを対象とする研究は書誌学および建築学以外において存在せず、本研究で課題とする彼の国際政治認識に関する史料状況を明らかにすることから始めなければならなかった。個人文書調査において、2000頁に渡る所蔵史料の複写を行った。またこの作業と並行して、20世紀前半、とくに戦間期における連邦主義ならびに国際主義に関する先行研究文献の精読を進め、連邦主義と国際主義がヨーロッパ統合や国際秩序への構想に対して、いかなる思想的貢献や影響を与えているかについて検討を重ねた。その部分的成果として、2018年3月初頭に世界政治研究会(於東京大学弥生キャンパス)で研究報告、報告タイトル「ローマ条約の成立とは何だったのか:三次元統合と20世紀史の中の欧州統合の位置付けをめぐって」を行った。この研究報告の準備の中で、欧州統合を20世紀史の中に位置付けるためには最終的に1957年に成立するローマ条約を終点として検討することの必要性を強く痛感した。当初は、20世紀初頭から戦間期を経て1940年代までを研究対象年代として想定していたが、今後は、1950年代後半まで拡張したうえで、ローマ条約に結実する欧州統合を支えた思想についても解明を進めることとする。
著者
杉浦 健之 祖父江 和哉
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

神経絞扼性モデル動物では、温冷水を用いた行動実験では、水への接触の影響が出た。マウス足底皮下へのDiI注入後数週間で脊髄後根神経節細胞までDiIは輸送された。足底に分布する培養神経細胞では、カプサイシンへの反応性からTRPV1を発現した細胞の頻度は比較的少なかった。皮膚と内臓へ分布する神経では、TRPV1の関与と酸に反応するイオンチャネルも異なることが示唆された。最近TRPA1阻害が神経原性炎症を抑制することが報告され、TRPA1の神経分泌能への関与が示唆される。
著者
辻 英明 木本 眞順美 比江 森美樹
出版者
岡山県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

大豆アレルゲンGly m Bd 28Kおよび小麦アレルゲンTri a Bd 28Kの糖鎖構造について検討を行い、いずれのアレルゲンもマンノース、N-アセチルグルコサミンを含み、キシロースおよびフコースを含有しており、これらの糖鎖はアスパラ銀結合型糖鎖であり、N-アセチルグルコサミン部分にフコースおよびキシロースが結合していることが示された。しかも、この糖鎖を含むペプチドがこれらのアレルゲンと反応するIgE抗体と特異的に発現することが明らかになった。また、Gly m Bd 28Kのタバコ培養細胞での発現過程で、すでにGly m Bd 28KのcDNAがクローニングされているが、そのcDNAはシグナルぺプチドを含んでいるものの、まだ5'側の非翻訳境域を含め全長構造は不明であり、その構造の解明が必要となり、検討を行った。その結果、従来知られていたシグナルペプチドに新たに3個のアミノ酸残基が追加され、さらに非翻訳領域20塩基が明らかになった。この結果は、タバコ培養細胞での当該アレルゲンの発現の基盤を提供するものである。