著者
粟井 和夫 中野 由紀子 石田 万里
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

心臓CT受診患者45人を対象に、CT検査前、直後、24-48時間後の末梢血リンパ球を採取し、DNA二本鎖切断修復関連蛋白(γH2AX)の定量を行い、CTにおける被曝の物理的指標(CTDI, DLP, SSDE)とDNAの損傷の程度の相関を検討した。また体の体幹部を模倣したファントムの中心に血液を封入したシリンジを挿入し、それに対してCT撮影を行い、CTDI、DLP、SSDEとDNAの損傷が相関するか否か検討した。臨床検討およびファントムの検討により、DNA二重鎖はCT直後より切断され、その程度はCTの物理線量と相関することが判明した。
著者
上野 秀治
出版者
皇學館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本課題研究によって得られた研究成果のうち『岩倉公実記』の編纂過程は次の通りである。1.明治16年8月香川敬三に岩倉具視行状取調べが命ぜられると、香川は岩倉家職員山本復一に資料蒐集を依頼、写字生を使い、おそくも同年11月より蒐集作業を開始した。2.明治17年5月頃から城多董が加わり、18年6月頃より薄井竜之が加わるが、薄井は同年8月にはやめ、かわって多田好問が加わった。3.城多董は年語編集に集中したが、18年8月頃には岩倉具視絵伝(絵巻物)の作成にかかった。絵伝の絵は田中有英に描かせた。4.編纂費用は当初香川敬三が立替え、17年頃より21年3月までは内閣機密金から支出され、その後28年9月までは皇后の手元金から支出された。5.明治21〜22年頃から三条実万・実美父子の年譜作成が本格化し、山本復一・城多董がこれに関与することになった為、岩倉行状取調べは停滞しつつも、多田好問が中心になり、西尾為忠が加わった。6.26年末には岩倉行述編輯は多田が主筆となり、西尾は絵伝の詞書を担当、資料整理は沢渡広孝が行なっていて、具視の10年祭には間に合わなかった。7.30年前後は編纂が進まず、33年西尾の死去、35年沢渡の転出にあい、多田一人で執筆する状態になった。8.岩倉の20年祭(36年7月)を目標に編纂を急ぎ、多田が執筆した原稿を香川・原保太郎・薄井竜之とで校読会を開いて修正した。9.明治36年12月に『岩倉公実記』稿本を奉呈した。これらのことから、資料蒐集、年譜編集、伝記編纂と、歴史編纂に必要な手順を踏んでいることが明らかとなった。途中で絵伝作成が加わったが、これで明治40年代に湯川松堂が描いて完成した。当時、目で見てわかる歴史絵巻がわかりやすく、必要なものと認識されており、明治天皇もそれを要望した。三条実美の伝記も、年譜と絵伝を作成しているところから、当時の歴史編纂に絵伝の占める地位は大きかったと結論づけられる。
著者
前原 清隆
出版者
日本福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

ドイツ語圏諸国(ドイツ、スイス、オーストリア)におけるエコロジー憲法(エコロジーを構成原理とする憲法)について、学説や運動による構想、諸国の連邦および州(ラント、カントン)における実定憲法化の過程と現状を明らかにした。同時に、それが憲法に関する近代的な原理(人権の保障や民主主義など)との関係で一定の緊張関係にたつものでもあることを示唆した。
著者
矢野 久美子 金 惠信
出版者
フェリス女学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、1960年代後半から70年代に韓国からドイツに派遣された看護師女性たちの経験を、調査・考察することを目的とし、ベルリンおよびハンブルク在住の元看護師の女性を対象に、労働運動、韓国人女性グループの結成と表現活動の持続、それぞれのライフストーリーについて、聞き取りを行い記録した。韓国人看護師派遣事業に関する資料を整理した。また、女性移住労働者の体験と表現活動の尊厳性と意味を確認した。さらに彼女たちの看護師としての身体経験、異文化体験、政治への応答、その後の活動を追跡し、①ドイツにおけるディアスポラ・アジア女性労働者の体験を探り、②ドイツの政治文化史にジェンダーに関わる新たな領域を開いた。
著者
野村 卓 元木 理寿
出版者
北海道教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は食育を推進する教員および指導者(スーパー食育指導者)を養成することを念頭においたものである。特に、食育を推進するために家庭科教育や技術科教育の連携と、この2教科を土台とした他教科(理科、数学科、社会科)との横断手法の開発を行った。また、社会教育的アプローチとして、味覚継承教育手法の開発を行い、鹿児島県沖永良部島における生産調整前の水稲を栽培し、高齢者と青少年の味覚の断絶を乗り越える実践を展開した。これらの成果は日本産業技術教育学会北海道支部、日本環境教育学会北海道支部の研究大会において報告し、教員養成課程学生が食育を通じて教科横断を展開する手法等の開発を行うことができた。
著者
佐藤 龍子
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

任期制教員の採用は、国立では平成11年ごろから、私立大学では臨時的定員導入前後(昭和60年頃)からが多い。現在、任期制は急速に増えている。競争的経費が増えたことも一因である。しかし、一部の若手研究者を除き、キャリア形成の視点から任期制をとらえている大学は極めて少なく、任期制教員の特別のFD(教育力向上)もなされていないことが分かった。世界的な高等教育の市場化の流れの中、大学教師も不安定雇用が増えている。
著者
太田 肇
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

インターネットをはじめとする情報通信技術の発達、経済のソフト化に伴い、人的資源管理が変化している。第一に、時間と場所とにとらわれない働き方が進行している。とりわけアメリカの企業においては、在宅勤務などの普及が著しい。一方わが国では、技術的条件は整っていても、職場の風土や仕事の進め方(いわゆる集団主義)の面での制約から、働き方の柔軟化は後れている。第二に、IT化・ソフト化に伴って個人の能力格差が増幅された形で成果に反映されるようになったため、それが処遇の格差をもたらす要因になっている。それは、わが国でも成果主義の普及という形で現れている。第三に、IT化やソフト化に伴って、より質の高いモチベーションが要求されるようになり、それが動機づけの内容に影響を与えている。その中でもとくに注目されるのは、金銭的報酬より非金銭的な報酬、とりわけ個人の承認欲求に働きかける動機づけである。企業その他の組織において行った実証研究の結果、顧客からの感謝や承認を従業員にフィードバックしたところ、モチベーションや組織・仕事に対するコミットメントなどが向上することが明らかになった。
著者
有井 敬治 三ツ井 貴夫 川村 和之 橋 逸郎 梶 龍兒
出版者
独立行政法人国立病院機構徳島病院(臨床研究部)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

最近、太極拳がパーキンソン病の症状を改善させることが報告されている。我々はパーキンソン病をはじめとした神経難病に対する独自のリハビリテーションを開始した。その中で、パーキンソン病のための独自の太極拳メニューを考案し、入院患者のリハビリテーションに取り入れている。本研究は、入院患者のみならず外来患者も自宅で容易にトレーニングできるようにするための太極拳DVDを作成することを計画した。その結果、前回作成した初級編DVDと平行してして、比較的軽症で自立度の高い患者を対象にした上級編パーキンソン病太極拳DVDを製作した。これにより個々の障害程度に合わせた太極拳運動のセルフトレーニングが可能になった。
著者
泉 美貴 檜垣 祐子 檜垣 祐子
出版者
東京医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本邦では, 多くの女性医師が早期に離職しており, 昨今の医師不足の一因である可能性があるが, その詳細なデータは存在しなかった. 本調査は2校の私立医科大学を卒業した女性医師全員に郵送法によるアンケート調査を実施した. 離職を経験したことのある女性医師は73%に達し, その85%が卒後10年以内に離職していた. 原因は, 妊娠・出産との両立の困難な労働環境であった. 一方, 常勤の女性医師で, 助手以上の役職に就いている医師は, 12.4%, 教授は1人もいなかった. 女性医師が継続的な就労を可能とする労働環境の整備が急務であると考えられた.
著者
岩本 馨 松山 恵 岸 泰子 初田 香成
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

平成29年度は前年度に議論した大方針をふまえて、より具体的なレベルでの項目検討を行った。計3回の研究会を開催したが、今年度は分担者の松山恵が在外研究で日本を離れていたので、研究会での議論は他の3人で行い、松山とは事前・事後のメールによって議論を共有し、意見交換を行うかたちをとった。まず第1回研究会は2017年7月4日に京都工芸繊維大学で開催した。この日は全員が図化のパイロット版を作成して持ち寄り、構成について議論を行った。図化にさいしては、都市史の通史的把握上基本となる図と、詳細・分析的な図を作成し、また時代や地域を横断するような分析も行うという方針を定めた。また基軸となる縮尺を定めることで、異なる項目間の図版の比較にも留意することとした。つづいて第2回研究会は9月26日に京都工芸繊維大学で開催した。この日は第1回の議論をふまえて、岸が古代・中世、岩本が近世、松山が近現代(前半)、初田が近現代(後半)を担当として、図化すべき項目案を作成し、持ち寄り議論を行った。このときの項目案はひとまず網羅的に列挙したものであったので、第3回研究会を12月15日に京都府立大学にて開催し、項目数の絞り込みと具体的な作図対象候補についてさらに詳細な議論を行った。ここでは、地方都市研究の成果の盛り込み、隣接他分野の視点の必要性について議論がなされた。今年度の議論により、図化の小方針も固まったので、最終年度はいよいよ個別の項目について、研究者を招いての議論と作図を進めていきたい。
著者
前川 要 千田 嘉博 高橋 浩二 村越 潔 酒井 英男 モリス マーティン 宇野 隆夫
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

研究成果の慨要を下記の3つに分けて記す。(1)遺跡の年代われわれの唐川城跡における3年間の測量・発掘調査の最大の成果は、中世城館ではなく古代環壕集落であることを明らかにしたことである。いままで、中世城館として考えられ、環境集落の研究史では全く採り上げられなかった。それは、第1次調査における土塁の盛り土から出土した土師器碗破片と土塁の上から検出された鍛冶炉跡SX02の埋土基底部から出土した土師器甕口縁部より明らかとなった。遺跡の存続年代は、従来の土器編年観から10世紀半ばから11世紀初頭頃で、年代的には、50年から60年ほどの期間である。(2)規模・機能と集住唐川城跡については、従来略測図のみ公表されていたが、今回トラバース測量を実施して正確な測量図を作成した。その結果、面積が約8万2千m^2、浅い空堀状の遺構,2条の空堀跡と外土塁、竪穴住居跡あるいは鉄生産関連遺構と考えられる窪みを多数確認した。これらのことから、唐川城跡は,二条の空堀と浅い空堀状の遺構によって,北から3つの郭で構成され、そして中心の郭が最も大きく高いことが判明した。また城城内に竪穴住居跡,鍛冶関連遺構が41箇所存在することを確認した。また、小鍛治の関連と想定される小型の窪みは16箇所以上存在する。第2次発掘調査では、2軒の住居跡を検出したが、いずれも新旧2時期存在した。そのことから、41箇所の2倍程度、つまりすくなくとも百軒弱の集落であることが推定できる。井戸は、井戸は北側郭と南側郭に各1基確認した。どちらの井戸も上端幅約10m,深さ約2.5mを測る。第1次調査では、南側郭の井戸を半分断ち割りしたが、湧水層が確認できず溜井戸の可能性がある。また、井戸周辺に竪穴住居跡あるいは,鍛冶関連遺構と推察する円形の窪みを確認した。鉄生産の際の水を溜める遺構の可能性がある。(3)手工業生産今回の大きな成果の一つは、精錬炉が盛り土をした階段状遺構の頂上から2碁見つかったことである。付章の深澤・赤沼論文によると、鯵ヶ沢町杢沢遺跡と同様の竪型炉であり、関連性が考えられる。従来、環壕集落からは、小鍛冶炉を検出した例はあるが、精錬炉を検出したのは初めてである。北側井戸周辺では直径約2m前後の窪みが約7箇存在しており鉄滓が地表面採集できる。さらに南側井戸東側平坦面にも10基以上の窪みがあり、ここでも鉄滓が地面採集できる。これらのことは、少なくとも北郭と南廓では、精錬と小鍛冶を一連の工程で、土木工事を含めて、大規模かつ組織的に行っていたことを示している。また、内面漆塗りの土師器甕が出土したことは、漆容器として使用された可能性がうかがわれ、漆生産工房があったことを推測させる。
著者
黒木 玄
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

任意の対称化可能一般カルタン行列に付随するワイル群双有理作用で生成されるτ函数の量子化を構成した。たとえば、一般カルタン行列がアフィンA_2型ならば量子化されたτ函数は量子パンルヴェIV方程式のτ函数になる。古典版のτ函数は従属変数に関する多項式になる。その結果の量子化を証明した。すなわち、量子化されたτ函数は量子化された従属変数に関する多項式になることを示した。その証明にはカッツ・ムーディ代数の表現のBGG圏における平行移動函手を用いた。以上の構成は量子群を用いて、q差分版の場合に拡張される。
著者
武田 昌一 桐生 昭吾 山本 誠一 吉田 友敬
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

人間の感性メカニズムを解明する研究の一環として、音楽や音声を聴くだけではなく音楽に合わせて手を叩く、百人一首かるた競技時に読手の発声を聞いてかるたを取るなど、能動的動作が伴うときの脳の情報処理に関するいくつかの新しい知見を脳血流や脳波計測、聴取実験などの方法により取得した。更に、感性に関する応用研究の一環として、感情の強さまで自由自在に表現できる日本語感情音声合成方式を初めて実現した。
著者
天野 篤 松下 訓 山本 平 稲葉 博隆 桑木 賢次
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

局所脂肪は隣接臓器の状態を反映するとともにその臓器にも影響を及ぼすことが示唆されている。本研究では動脈硬化性疾患の代表である虚血性心疾患に対する手術の際に皮下脂肪、冠動脈周囲および内胸動脈周囲の3か所の脂肪を採取し解析、脂肪の質にどのような差があるのか検討を行った。一部の炎症性サイトカインや炎症性マクロファージの発現は冠動脈周囲で最も高く、皮下で最も低かった。一方で血管新生関連因子は内胸動脈周囲で最も高かった。線維化マーカーは冠動脈周囲の発現が最も高く、コラーゲンは皮下脂肪で最多であった。このように皮下脂肪と血管周囲脂肪、さらにはその血管の状態により異なる脂肪のプロファイルを示していた。
著者
松谷 容作 水野 勝仁 秋吉 康晴 増田 展大
出版者
同志社女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究ではインターネットが人びとの認識や行動に定着した以後、つまりはポストインターネットの状況下での視聴覚表現における作者のあり方について検討した。その研究は1.文献資料調査、2.アート作品の調査、3.アーティストとの対話、4.展覧会の開催、5.成果公表、6.レヴューから構成される。ここから明らかになったことは、1.ポストインターネット状況下の視聴覚表現においては、リアリティやアーキテクチャ、計算をめぐる探求があり、また2.作者は表現のうちに潜り込み作品の一部と化し、さらに3.作者は分散型ネットワークのような表現の中に人々を組み込み、始点も終点もない流動的な表現の渦を生み出すことである。
著者
山本 仁志
出版者
立正大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-07-10

昨年度に引き続きソーシャルメディアの利活用が世論形成に与える影響を分析するため、ニュースメディアアカウントをフォローするユーザのイデオロギー推定をおこなった。本年度の研究業績は世論形成モデルについて主に以下の2点である。ひとつが分析の結果が論文"News audience fragmentation in the Japanese Twittersphere"として採録が決定したことである。日本のマスメディアをフォローするツイッターユーザのイデオロギーを機械学習で推定した結果、大規模な分断化は見られないものの一部メディアでニュースオーディエンスが分断化しているという結果が得られた。更にパネルデータ分析として2017年時点のイデオロギー分布の推定を行うためのデータ収集をおこなった。また一方で多様な価値観の共存下で相互協力的な社会システムを実現するための互恵的協力のメカニズム分析をおこなった。2017年度は、規範生態系を社会シミュレーションに頼らずに、純粋に数理解析的に扱う方法を開発し、本来6万本以上の絡み合った方程式を解かなければならないところを、512本の方程式に縮減することに成功した。その結果、規範のモデル研究で安定的とされてきた「悪に協力することは悪である」という規範は、社会のメンバーが他者を部分に分解しない「個人主義」の発想に基づいて規範を構築している限りは安定的に存続できるが、他者を部分に分解する「分人主義」の発想に基づいて規範が構築されるような社会では、最終的に絶滅してしまうことが分かった。この成果は"A Theoretical Approach to Norm Ecosystems: Two Adaptive Architectures of Indirect Reciprocity Show Different Paths to the Evolution of Cooperation"として公刊された。
著者
永嶋 哲也
出版者
福岡歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009-04-01

(1) 恋愛が12世紀の発明だと言われる場合に、それは「恋愛感情の発明」のことを意味せず、恋愛観の文化的転換のことを意味していることを論じ論文として公開した。つまり恋愛に対して神聖視するという受け取り方が生じたということ意味である。(2) アミキティア(amicitia)に関する古代哲学思想を中世の人びとがどのように受け入れたか調べるために、アベラールとエロイーズの往復書簡を検討し、成果を学会発表の形で公開した。(3) ダンテ『神曲』とペトラルカ『わが秘密』を題材に、恋愛信仰とキリスト教信仰とが両立し、また同時に対立もしていたということを明らかにし、論文という形で公開した。
著者
三宅 紹宣
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

幕末期における諸藩及び幕府の軍制改革の比較史的研究を行い、西洋式軍事技術の導入が最も進展していたのは、幕府陸軍であり、海軍においても諸藩を圧倒していたことを明らかにした。長州藩は、軍事技術導入では幕府に及ばなかったが、諸隊と家臣団隊の西洋式軍事組織への編制替えを徹底して進め、散兵戦術を駆使することにより、幕長戦争において、武器装備で勝る征長軍に勝利することが出来たことを解明した。