著者
佐藤 龍也 上田 晃 海江田 秀志 三戸 彩絵子
出版者
日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.214-214, 2011

本研究はCO2を地下の高温領域へ注入し,岩石とCO2を反応させ炭酸塩鉱物等として固定化するシステムの基盤技術の開発を目標としている。この中で,貯留層におけるCO2-水-岩石反応を考慮した熱水流動解析を行う事で,CO2の鉱物固定域の分布や規模,時間等を予測すると共に,地下のCO2固定システムの設計を行う事を目的にシミュレーション技術の開発を行った。 本研究において平成18~20年度にかけて雄勝高温岩体試験場で原位置試験が行われた。試験ではOGC-2井にトレーサーと共にCO2水(ドライアイス+水)を注入し,坑内において方解石が成長する様子が確認された。この試験結果をシミュレーションで再現すると共に、実用サイズ(注入量1万t-CO2/年)を想定したモデルスタディーを行った。
著者
青井 裕介
出版者
日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.60, 2013

花崗岩中の鉱物によるCsの収着が定性的に評価された。試料は石英、斜長石、カリ長石、角閃石、黒雲母および黒雲母を交代する緑泥石から主に構成される。研磨薄片作成し、CsCl溶液(10μM, I=0.01)の中に投入し、48時間拡販させ、反応前後の各鉱物のCs収着量を観察した。これらの鉱物相の中でEPMAによる収着実験試料の定量化学分析からはいずれの鉱物からもCsは検出されなかった。一方、LA-ICP-MSを用いた分析では、黒雲母、角閃石、斜長石からCsの収着を検出することができた。Cs分布は鉱物により明瞭に異なっていた。黒雲母は表面部位にCsが濃集しており、表面以深では反応前と同様であった。一方pH4の時の方が、pH6のときに比べ、より内部までCsが分布していた。角閃石のCsの収着は深さによらず一定であることが示され、どちらの条件でも反応前と比較すると2桁から3桁強度が増加していた。斜長石のpHによらずCs収着量は表面が一番高く、深くなるにつれて収着量は減少していた。
著者
島村 道代 ヒョン キソン 渡邊 剛 ソ インア ユ チャンミン 入野 智久 杉原 薫 山野 博哉
出版者
日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.56, pp.29-29, 2009

世界で最も高緯度に位置する、日本の壱岐サンゴ礁より採取されたキクメイシ属サンゴ骨中の酸素・炭素同位体比を分析し、中緯度域における高時間分解能古気候アーカイブとしての可能性を検討した。まず試料は莢壁と軸柱の骨格構造別に分析し、その結果を生育時の環境記録と対比・検討を行った。この結果、軸柱と莢壁は形成のタイミングが異なっており、キクメイシ属サンゴの場合、莢壁の方がより正確に環境を記録することがわかった。また本研究で用いたサンゴ骨格は、骨格構造自体にも成長パターンの季節的変化が見られた。これらの成果を基に、さらに長期に渡る骨格分析を行い、これらを周辺の環境と対比・検討したのでその成果を報告する。
著者
則末 和宏 松原 由奈 中川 正親 小畑 元 岡村 慶 永石 一弥 石川 剛志
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.66, 2019

<p>現代の海洋には人間活動によって負荷されたPbが存在しており,多くの海域で人為起源Pbが天然由来のバックグラウンドを大きく上回っている。人為起源Pbの発生源は様々であり,発生源に応じて特徴的な同位体比を示す。このため,海水中のPb同位体比を調べることにより,大気から海洋表層へもたらされた人為起源Pbの供給源を推定することができる。また,海水中のPb濃度と同位体比の時系列データがサンゴの骨格に記録されており,現在の海水中のPb の挙動を解析する上で有用な情報となる。このように,Pb同位体比は,人為起源の汚染物質の指標として重要であるのみならず,海洋物質循環の理解にも有用である。このような学術的な特性を有するPb同位体に着目した海洋化学研究を行う。</p>
著者
山根 雅子 横山 祐典 三浦 英樹 前杢 英明 岩崎 正吾 松崎 浩之
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.329, 2008

近年開発された表面照射年代測定法は、二次宇宙線の作用により岩石の石英中に生成される宇宙線照射生成核種 (TCN) の濃度から、地表面が宇宙線に被爆した期間を直接求める手法である。この手法によって、これまで不確定性が高かった、南極氷床の最終退氷の時期が明らかになりつつある。発表者の研究グループは、東南極リュツォ・ホルム湾の露岩域から採取された岩石試料の石英に含まれる<SUP>10</SUP>Beと<SUP>26</SUP>Alの定量を行ない、この地域における氷床変動の研究を進めている。東南極のマック・ロバートソンランド、西南極のマリー・バードランド、南極半島においても、この手法を用いた最終退氷の時期に関する研究が行われている。TCNを用いたこれらの研究結果から、(1) 南極のどの地域も最終退氷の時期は完新世であること、(2) 東南極氷床は西南極氷床や南極半島氷床より気温の変化など、氷期の終焉によりもたらされた環境変化に対して、相対的に安定していたことが示唆された。
著者
荒岡 大輔 西尾 嘉朗 真中 卓也 牛江 裕行 ザキール ホサイン 鈴木 淳 川幡 穂高
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.222, 2011

リチウム(Li)は、比較的流体相に分配されやすい元素である。加えて、Liは2つの安定同位体(6Liと 7Li)をもち、その相対質量差の大きさゆえに、Liの安定同位体比である<sup>7</sup>Li/<sup>6</sup>Li比は、変質や風化等の水を媒介してLiが動く際に大きな同位体分別が起きる。そのため、Li同位体比は水・岩石反応の指標として注目を集めている。中でも、河川水のLi同位体比は風化反応の指標としての可能性が期待されている(Kisakurek et al., 2005など)。例えば、ケイ酸塩中でMgイオンを置換することで Liは6配位であるのに対して、水溶液中では4配位である。そのため、岩石中のLiは水より高配位である故に、一般的には岩石に比べて共存する水の<sup>7</sup>Li/<sup>6</sup>Liは高い。上記から、Li濃度や同位体比は、温度や流量による風化量の変遷や、河川が流れる地質の違いを反映しているのではないかと考えられている。このように、新しい大陸風化の研究ツールとして期待されるLi同位体指標であるが、河川水中のLiは数ppb から数百pptレベルと低Li濃度であるために研究は遅れていた。近年の分析機器の進歩により、数nmolと極微量のLiの高精度同位体比測定が可能になったため(西尾嘉朗, 2010)、河川水等の極めてLi濃度の低い水試料のLi同位体比の報告が2005年頃から急激に増加してきている。 そこで、本研究では、河川水中のLi濃度および同位体比の規定要因を明らかにするために、世界的な大河川であり、かつ河川毎に異なる成因・地質的背景をもつガンジス・ブラマプトラ水系を例に研究を行った。2011年1月の乾季にガンジス・ブラマプトラ・メグナ川のバングラデシュ国内における上・中・下流域において採水を行った。これらの水試料の各種元素濃度、Li及びSrの同位体比を測定し、考察を行った。LiとSrの同位体測定は、高知コアセンターの分析システムを利用した。特にLi同位体測定に関しては、4ng以上のLiを± 0.3‰ (2SD)の誤差と、世界でも最高レベルの微量Liの高精度同位体比分析が可能となっている。今後は、流量や温度が異なる雨季においても同様の採水、測定を行い、河川水中のLi同位体比指標の確立を目指す。
著者
森井 志織 鍵 裕之 桧垣 正吾
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.66, 2019

<p>福島第一原発事故により環境中に放出された放射性セシウムの形態の一つとして、不溶性セシウム粒子 (CsMPs)が放出されている (Adachi et al., 2013)。本研究では2012年春に福島県の一般市民が日常生活の中で着用した不織布製マスクに付着した放射性セシウム(Higaki et al., 2014)について、CsMPsに特に注目して分析を行い、CsMPsの経時分布の把握、事故由来の放射性セシウムの形態、放出後の再飛散などについて明らかにする。マスク1枚ずつから放射性セシウムの定量測定を行い、1 Bq以上の放射性セシウムが検出されたマスクからCsMPsを探索した。測定した結果、4枚のマスクから1 Bq以上の放射性セシウムが検出され、2019年7月現在までに2つのCsMPsがマスクから単離されている。これらの粒子は2号機由来であると考えられている。</p>
著者
田中 さき Tung―Yuan Ho 長尾 誠也 松中 哲也 Rodrigo Mundo 井上 睦夫 谷内 由貴子 黒田 寛 熊本 雄一郎 滝川 哲太郎 守田 晶哉
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.68, 2021

<p>化石燃料やバイオマスの不完全燃焼、および原油を起源とする多環芳香族炭化水素類(PAHs)は、発癌性や変異原性をもつ有害有機物である。東アジア縁辺海と周辺海域において、PAHsの動態や生態リスクに関する研究が必要とされている。本研究は日本近海を中心とした北太平洋における広域的なPAHs水平分布を明らかにすると共に2017年以降のPAHs経年変動を解析した。各緯度帯における平均Σ14PAHs(粒子態+溶存態)は、基本的に中緯度域で高く、高緯度域で低くなる傾向を示した。沿岸海域では燃焼起源PAHsの寄与が高かったのに対し、外洋海域では原油起源PAHsの寄与が高かった。一方、2020年における日本海のΣ14PAHsは、2019年と比べ有意に低下した。塩分や海水シミュレーションの結果を基にすると、2020年における日本海のPAHs濃度減少は、黒潮系海水のPAHs濃度低下と、PAHs濃度の高い浅層海水の寄与の低下によって引き起こされた可能性が示唆された。</p>
著者
植村 立 三嶋 悟 中村 光樹 浅海 竜司 加藤 大和 狩野 彰宏 Jin―Ping Chen Chuan―Chou Shen
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.68, 2021

<p>東アジア地域においては、最終退氷期の温暖化の開始タイミング及び気温変動の大きさについて統一的な見解は得られていない。石筍は正確な年代測定ができる点で重要な陸域の古気候アーカイブである。一方で、石筍の炭酸カルシムの酸素同位体比は、滴下水と温度の2つの要因に影響されるために定量的な解釈が困難である。本研究では、東アジア地域の最終退氷期における温暖化のタイミングと気候変動を定量的に復元するため、南大東島で採取された石筍の流体包有物の水の酸素・水素同位体比分析を行った。また、独立した手法により気温復元の妥当性を検証するため、炭酸カルシウムの二重置換同位体比を用いたClumped isotope の分析を行った。本発表では、Heinrich stadial 1 (H1)からBølling-Allerød(BA)期への温度変化とタイミングについて議論する。</p>
著者
相澤 正隆 安井 光大
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.68, 2021

<p>東北日本弧では,日本海の拡大期にあたる中期中新世頃に,火山フロントが現在よりも約20 km海溝側へ移動した。青森県の下北半島東部に分布する中部中新統の泊層火山岩は,当時の火山フロントを構成する火山岩層である。リフティングの進行に伴い,全岩化学組成は肥沃的な沈み込み帯火山岩の特徴を示す。一方,下北半島西部の第四紀火山フロント周辺に分布する約20 Ma以降の火山岩は,苦鉄質から中間質岩は泊層火山岩に比べて枯渇的な同位体組成を示し,珪長質岩は下部地殻組成(一の目潟)の組成と類似する。西部地域では,少なくとも20 Ma以降,同位体組成の顕著な時間変化はみられない。また,東部の泊層火山岩は,一部で下部地殻の影響をより強く受けていることが示唆される。※本研究は,2020年度下北ジオパーク研究補助金の交付を受けた。</p>
著者
鈴木 勝彦 賞雅 朝子 土屋 卓久 深海 雄介 折橋 裕二 新城 竜一
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.68, 2021

<p>182Wは消滅核種182Hfのβ壊変によって生成される。ハワイ,サモアなどの海洋島玄武岩には現在のマントル値に対して低い182W同位体を持つ。本研究では、地球初期のコア分離において、第一原理自由エネルギー計算により、コア-マントル境界P-T条件においても、Wは液体金属相に強く分配され、Hfは溶融ケイ酸塩に留まることが明らかになった。このようなHf-Wの分別により、コアは182Hf /182W比が低くなり,その結果コアは182Wの低い特性を持つことになる。本研究ではさらに,エチオピア玄武岩のW同位体比組成を分析した。その結果,エチオピア玄武岩は,現在の平均的なマントルに比べてわずかに負のμ182Wを示した。この結果と上記の第一原理計算によるコアの低い182W同位体を考え合わせると,ハワイ,サモアの玄武岩やエチオピア玄武岩は182W同位体値の低いコア成分を含んでいる可能性が高いことを示唆する。</p>
著者
土岐 知弘 中屋 眞司 新城 竜一 新垣 典之 原 由宇 満留 由来 安村 幸真 大嶋 将吾 益田 晴恵 井尻 暁
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.68, 2021

<p>竹富海底温泉のホウ素同位体比と,竹富島掘削試料のホウ素同位体比をそれぞれ測定したところ,150℃程度で平衡に達している可能性があることが明らかとなった。SF6濃度から滞留時間は20年程度。水の同位体比からも,地下水と深部流体が混合したリザーバーの存在が示唆された。</p>
著者
WEN HSINYI Naoto Takahata Akizumi Ishida Kentaro Tanaka Yama Tomonaga Takanori Kagoshima Kotaro Shirai Jun-Ichiro Ishibashi Hisayoshi Yokose Urumu Tsunogai Yuji Sano
出版者
日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.61, 2014

The aim of this study is to get information of gas geochemical characteristics at hydrothermal vent sites in the adjacent region of Tokara Islands by using helium isotopes and methane concentration and its stable carbon isotope ratio to estimate the 3He flux and understand the mechanism of carbon cycling.
著者
伊藤 絢子 谷 晃 鈴木 款
出版者
日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.113-113, 2004

静岡県静岡市井川のウラジロモミ林において、大気中の揮発性有機化合物を採取し、GC-MSにより測定し5種類のモノテルペンとp-シメンおよびイソプレンを定量した。5種類のモノテルペンの日変動のパターンは、2種類に分かれた。
著者
米田 成一 山口 亮 小嶋 智子 木村 眞 岡崎 隆司
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.66, 2019

<p>2018年9月26日(水)22時30分頃、愛知県小牧市の民家で大きな音がして、 翌朝調べてみると屋根に大きなえぐれた跡があり、庭やテラスから81gと23gを含む多くの黒い破片が発見された。また、隣家のカーポートの屋根に穴が開き、止めてあった車の屋根にもへこみができていて、玄関前に550gの黒い石が発見された。当日は天候が悪く、隕石落下の火球は観測されていない。ガンマ線測定を行い、宇宙線生成核種Al-26(半減期約70万年)とNa-22(半減期約2.6年)などを検出した。これにより最近落下した隕石であることが確認された。光学顕微鏡や電子顕微鏡による隕石組織の観察と鉱物組成の分析を行った結果、小牧隕石はL6コンドライトに分類された。また、Ne-21による宇宙線照射年代は2510±60万年、K-Arガス保持年代は44±2億年であった。</p>
著者
山田 正俊 鄭 建
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.31, 2007

日本海海水中の<SUP>239+240</SUP>Pu濃度と<SUP>240</SUP>Pu/<SUP>239</SUP>Pu同位体比の鉛直分布の測定から、その主要な起源を解明することを目的とした。陰イオン交換樹脂カラム法によりPuを分離・精製し、アルファ線測定後、SF-ICP-MSを用いて、<SUP>240</SUP>Pu/<SUP>239</SUP>Pu同位体比を測定した。海水中の<SUP>239+240</SUP>Pu濃度は、表層で8から9 mBq/m<SUP>3</SUP>であり、中層で37から39 mBq/m<SUP>3</SUP>と極大となり、底層で26から33 mBq/m<SUP>3</SUP>となる鉛直分布を示した。また、海水柱中の<SUP>239+240</SUP>Puのインベントリーは、85から87 Bq/m<SUP>2</SUP>であり、グローバルフォールアウトから推定される値(42 Bq/m<SUP>2</SUP>)の約2倍であった。<SUP>240</SUP>Pu/<SUP>239</SUP>Pu同位体比の鉛直分布は、表層から底層までほぼ一定の値を示し、ビキニ核実験起源のプルトニウムの存在を示唆していた。
著者
小島 淳 北 逸郎 長谷川 英尚 千代延 俊 佐藤 時幸 林 辰弥
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.56, pp.40, 2009

カリブ海バハマ沖の深海底コア(130万年-35万年前)の水銀含有量の測定を行った結果、その変動パターンはTOC量とともに下部透光帯種数の変動と相関することが明らかとなった。さらに、アラビア海オマーン沖の深海底コア(現在から50万年前)では、透光帯種数と比較して下部透光帯種数の割合が高い比較的成層化した期間において、湧昇強度が高い期間よりも堆積水銀量が高いことが明らかになった。このようなカリブ海バハマ沖とインド洋オマーン沖の深海底コアの水銀含有量変動のメカニズムと気候変動の関係等について報告する。
著者
南 浩紀 北 逸郎 長谷川 英尚 佐藤 時幸
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.64, 2007

湧昇流地域であるインド洋オマーン沖深海底コアの過去108万年間の有機窒素・炭素および無機炭素の同位体比を測定した。これらの同位体比と石灰質ナンノ化石量の変化には、共通した10万年の周期があることが明らかになった。これらの結果とすでに報告したバハマ沖など異なる湧昇流地域の深海底コアとの同様な同位体変動の関係を比較し、世界的な湧昇流地域の深海底コアから得られる古地球の環境変動について報告する。
著者
松崎 哲也 小島 淳 北 逸郎 長谷川 英尚 千代延 俊 佐藤 時幸 林 辰弥
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.85, 2010

カリブ海バハマ沖と湧昇地域である東太平洋ペルー沖およびインド洋オマーン沖で掘削された第四紀堆積物コア中の石灰質ナンノ化石の上部透光帯種と下部透光帯種の相対量に連動した堆積有機物の窒素炭素同位体比及び水銀含有量の変動関係を検討した。バハマ沖では30‐130万年前の全期間で両同位体比と水銀含有量の変動領域に変化は見られない。一方、現在から50万年前までのペルー沖およびオマーン沖の堆積物からは、各々25万年前と20万年前を境に両同位体比と水銀含有量に明確な変化が観測された。これら両海域の結果は、25万年前と20万年前を境に透光帯の水塊構造変動を支配する海上風強度に大きな変化があったことを示唆している。このような堆積物コアの微化石量と同位体比および水銀量変動と気候変動との関係について発表する。
著者
ダニエラチェ セバスチアン
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.60, 2013

硫黄には質量数32, 33, 34, および36の四つの安定同位体が存在する。この比は大気や水中では蒸発や凝集といった物理変化や化学反応により、変わるがその変化は質量依存の法則に従う。地球史の前半をしめる20億年前以前の硫化鉱物は上述の質量依存則に従わない同位体分別を被っていることが知られている。この非質量依存同位体分別の原因は二酸化硫黄(SO<SUB>2</SUB>)の光解離反応に由来すると一般的に考えられている。紫外線光解離反応により生成された硫黄化合物と元素状硫黄は海水中に沈着し、最終的にBaSO<SUB>4</SUB>とFeS<SUB>2</SUB>として堆積したものと見なされる。SO<SUB>2</SUB>分子の紫外吸収断面積を用いると光解離時の同位体分別係数が求まる。本発表では理論計算による振動‐回転識別したSO<SUB>2</SUB>紫外線スペクトルを計算して古大気におけるさまざまな圧力と温度条件による自己遮蔽と同位体効果についてディスカーションをする。