著者
中島 寅彦 中村 和正 白土 秀樹 安松 隆治 藤 賢史 塩山 善之 小宗 静男
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.113, no.5, pp.456-462, 2010 (Released:2011-03-12)
参考文献数
15
被引用文献数
4 9

当科では舌癌T1/T2N0症例に対しては原則として予防的頸部郭清術は行わず, 舌部分切除術 (口内法) か小線源療法を患者が治療法を選択するという方針をとってきた. 今回1995年から2006年までに当科にて舌部分切除術を施行した早期舌癌症例39症例 (27歳~92歳) を対象として後発リンパ節転移, 予後の解析を行った. 症例の内訳はT1症例26例, T2症例13例であった. 局所再発を4例 (10%), 後発頸部リンパ節転移を9例 (23%) に認め, 全症例救済手術を行った. 手術群の疾患特異的5年生存率は87.0%, 粗生存率は71.2%であった.ほぼ同時期に当院放射線科にて小線源療法を行った早期舌癌症例 (107例) では局所再発13%, 後発頸部リンパ節転移24%を認め, 小線源療法群の疾患特異的5年生存率は90.7%, 粗生存率は81.3%であった. 初診時のT分類別の5年生存率の比較においても手術療法と放射線治療の成績に統計学的有意差はなかった.以上の結果から, 頭頸部外科医は各治療法の長所, 欠点を適切にインフォームドコンセントし, 患者自身が治療法を選択する方針でよいと考えられる.
著者
丸山 裕美子 笠原 善弥 塚田 弥生 荒井 和徳 米田 憲二 室野 重之 吉崎 智一
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.119, no.6, pp.867-873, 2016-06-20 (Released:2016-07-02)
参考文献数
15
被引用文献数
2

口蓋扁桃摘出術は主に良性疾患に対し若年者を対象として行われることが多い一般的な手術であるが, 時に致死的経過をたどる危険性をもつ. 今回19歳女性の扁桃摘出術中に制御困難な咽頭出血を認め選択的動脈塞栓術により救命し得た症例を経験した. 扁桃摘出術中の重篤な出血に対する血管内治療はこれまで報告されていないが, 安全で有効な治療法の一つとして検討する価値があると考えられた. また自施設における5年間の扁桃摘出術症例を検討したところ, 後出血は11.8%に認められ, 出血レベルは全例グレード1 (保存的加療で止血) であった.
著者
花岡 葉
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.60, no.10, pp.1363-1366, 1957 (Released:2008-03-19)
参考文献数
11

Hearing acuity was measured in 164 normal children aged from 4 to 6 years by means of play-audiometry, and, at the same time, the mental capacity of these children was examined using Tanaka mental test for young children. Contrary to the author's presumption, no correlation was found between the hear- ing acuity and the mental capacity in these children examined.From this fact the conclusion was drawn that the improvement of average normal acuity of hearing in young children in response to the getting older was probably due to other factors than the development of their mental capacity.
著者
永屋 恵子 横井 秀格 成井 裕弥 春山 琢男 吉井 良太 矢内 彩 芳川 洋 池田 勝久
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.114, no.8, pp.726-730, 2011 (Released:2011-12-01)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1 1

症例は21歳の男性. ウイルス性咽頭炎の診断で入院加療となったが, 入院後全身状態が悪化し, 骨髄穿刺検査所見により血球貪食症候群と診断された. 患者が同性愛者であったことからHIV抗体を測定したが, 陰性であり, その後HIV-1 RNA定量よりHIVウイルス感染症と判明し, HIV初感染によるVAHSと診断した.本症例の経験から, ウイルス性咽喉頭炎様の症状が長引く時には急性HIV症候群も考慮し, HIV抗体のみならず, HIV-RNA量を測定する必要があると考えられた.
著者
岸部 幹 斎藤 滋 原渕 保明
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.108, no.1, pp.8-14, 2005-01-20 (Released:2010-10-22)
参考文献数
15
被引用文献数
5 11 7

鼻骨骨折は, 顔面骨骨折のうち最も頻度の高いものであり, 一般および救急外来でよく遭遇する疾患のひとつである. 鼻骨骨折は, 骨折による偏位がある場合や, 鼻閉や嗅裂の狭窄により嗅覚障害が惹起される可能性がある場合に整復する必要がある. しかし, 整復の成否については, 客観的に判断していない症例が多いと思われる. この理由として, 救急外来受診者が多いこと, 骨折の診断で単純X線検査やCTを使用した場合の被曝への配慮などが考えられる. しかし, 小さな偏位を見逃す例, 後に鼻閉や嗅覚障害を来す例もあり, 整復の成否について確かめる必要がある. 当科では徒手的整復を行う際に, 整復の成否を被曝のない超音波検査装置 (エコー) にて判定し有用な結果を得ている. その方法として, 特別な用具等はいらず, 鼻背にエコーゼリーを塗りプローブを置くだけで鼻骨を描出できている. これにより, real timeに鼻骨を描出しながらの整復が可能であった. また, 腫脹が強い場合は, 外見上, 整復がなされたか判定できないとして, 腫脹が消退するのを待ってから整復を施行する症例もあるが, エコーを用いれば腫脹が強い時でも整復が可能である. また, CTとほぼ同様にエコーでも鼻骨の輪郭が描出されることを考えると, その診断にも用いることが可能と考える. 以上から, エコーは診断から治療判定, 再偏位の検出といった鼻骨骨折診療の一連の流れに有用であり, 特に整復時の指標については, 現在のところ客観的にreal timeに判定できる機器はエコーのみであり, これを整復時に用いることは特に有用と考えられた.
著者
池岡 博之 大橋 淑宏 丸岡 健一 古下 博之 中井 義明 小野山 靖人
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.88, no.11, pp.1562-1566, 1985-11-20 (Released:2008-03-19)
参考文献数
21

In order to examine the effects of irradiation on the nasal epithelium, rabbits received 200kV hard X-ray irradiation at 3, 000 rad to their nasal septum. The nasal mucosa after the irradiation was examined with scanning and transmission electron microscopy in a time-course manner. Immediately after the irradiation, few morphological changes were observed on the nasal epithelium with scanning electron microscopy, while transmission electron microscopy disclosed some morphological changes such as vacuolation and ballooning of epithelial cells, and enlargement of intercellular space. 2 weeks after the irradiation, sporadically affected changes were observed. The affected signs of the epithelial cells were observed at the wider area according to the course of time after the irradiation. 4 weeks after the irradiation, stratified arrangement of non-ciliated cells or undifferentiated cells were noted in an extensive area of the nasal mucosa 8 weeks after the irradiation, the nasal epithelium were chiefly consisted of undifferentiated cells. Accordingly, the following conclusions were derived from the present investigation; 1) Irradiation affected the nasal ciliary epithelium. 2) The damage of the nasal epithelium by irradiation was not recovered easily.
著者
檜澤 伸之
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.117, no.1, pp.15-19, 2014-01-20 (Released:2014-02-22)
参考文献数
20
被引用文献数
1

咳嗽は呼吸器疾患の日常診療では最も頻度が高い症候の一つである. 肺炎, 肺がん, 間質性肺炎や喘息, COPDなどの疾患がないことを確認した上で, 慢性咳嗽の原因疾患を考えていく. 身体所見や胸部X線写真, 呼吸機能検査で異常を伴わずに長期に続く咳嗽は, 原因疾患が曖昧なまま漫然と鎮咳薬, 抗炎症薬や抗生剤が投与され, 咳嗽によって生活の質が著しく低下したままで放置されてしまう危険があり, 適切な対応が求められる. 咳嗽は本来, 感染などによって気道内に貯留した分泌物や吸入された外来異物を気道外に排出させるための生体防御反応である. しかしながら, 8週間以上続く慢性咳嗽においては, 感冒を含む気道の感染症に対する生体防御が主体となることは少ない. 喘息/咳喘息, アトピー咳嗽/非喘息性好酸球性気管支炎, 副鼻腔気管支症候群/上気道咳症候群, さらには胃食道逆流などが慢性咳嗽の主要な原因疾患と考えられている. また, 長引く咳を呈する感染症としては, 線毛上皮細胞に感染するマイコプラズマおよび百日咳を考慮する. 日常の臨床では, これらの疾患を念頭に置いて詳細な病歴聴取を行い, 基本的な検査を進めていく. それぞれの病態に特異的な治療を実施し, 効果判定を行った上で治療内容の変更や増減を行う. しかしながら, これらの治療によっても軽快しない難治性の慢性咳嗽が存在し, その割合は20~40%ともいわれ, 中枢性の咳感受性亢進が難治性の慢性咳嗽に一定の役割を果たしている可能性が指摘されている. 難治症例においては咳嗽の原因に対する治療だけではなく, 亢進した咳嗽反射に対する非特異的な治療も重要になってくる. 慢性咳嗽の診療を支援する目的で日本呼吸器学会は咳嗽に関するガイドラインを作成している. 本稿では, 難治性の症例に対するアプローチなど, 慢性咳嗽を取り巻く最新の話題を, 最近改訂されたガイドラインの内容も踏まえながら概説したい.
著者
海老 原充 海老 原敏 岸本 誠司 斉川 雅久 林 隆一 鬼塚 哲郎 朝蔭 孝宏 吉積 隆
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.101, no.12, pp.1406-1411, 1998-12-20 (Released:2008-03-19)
参考文献数
13
被引用文献数
2 2

分化型甲状腺癌は比較的悪性度の低い癌として知られているが,中には周囲臓器への浸潤を来すものもある.特に浸潤頻度の高い臓器は気管である。そこで当院での気管浸潤例における手術手技,気管再建法における工夫,及び成績に関して報告をした.対象症例は国立がんセンター中央病院(1978年1月~1990年2月)およびセンター東病院(1992年7月~1996年12月)にて気管合併切除を施行した分化型甲状腺癌30例で,同期間中に手術を施行した分化型甲状腺癌全486例の約6.2%にあたった.病理組織学的には全例乳頭癌であった.性別は男性10例,女性20例であり,平均年齢は58.8歳(22~75歳)であった.切除後,21例に関しては二期的にhinge flapにて気管孔閉鎖が可能であった.気管部分切除•局所皮弁による再建は,気管環状切除•端々吻合に比較して術後の気道管理も容易であり手術侵襲も少なく,甲状腺分化癌のように悪性度の低い癌ではこの術式にて十分対応可能と考えられた.残りの5例に関しては欠損範囲が大きく,そのままでは二期的閉鎖が不可能であったため,3例に関しては気管壁欠損の上下方向を縫縮し残った欠損部に気管孔を作製し,局所皮弁にて閉鎖を行った.さらに,他の2例ではハイドロキシアパタイトを使用し気管壁の支持を試みた.ハイドロキシアパタイトは組織親和性に優れ,わん曲,長さ等の選択が可能で気管再建に有用と思われた.なお閉鎖のできなかった4例に関しては他因死が1例,肝癌併発にて気管孔縮小に止まったものが1例,経過観察中のものが2例であった.
著者
森 恵莉 松脇 由典 満山 知恵子 山崎 ももこ 大櫛 哲史 森山 寛
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.114, no.12, pp.917-923, 2011 (Released:2012-01-28)
参考文献数
20
被引用文献数
5 12

現在日本で保険適応のある嗅覚検査には, 基準嗅力検査と静脈性嗅覚検査の二種あるが, 基準嗅力検査は実施率, 普及率ともに低く, 静脈性嗅覚検査は疼痛を伴う検査であり患者への侵襲が高い. 嗅覚同定能検査の一つとして開発されたOpen Essence (以下, OE) は, 現在医療保険の適応はないが, その臨床的有用性が期待されている. 今回われわれは嗅覚障害患者に対するOEと自覚症状, 基準嗅力検査, および静脈性嗅覚検査との比較検討を行った. 当院嗅覚外来患者のうち, 嗅覚の評価が可能であった122例を対象とした. OEスコアと基準嗅力検査, 静脈性嗅覚検査, また嗅覚障害に対する自覚症状としてのVisual Analog Scale (VAS) と日常のにおいアンケートとの間にはそれぞれ有意な相関を認めた. また静脈性嗅覚検査において嗅覚脱失を認めた群はOEの正答率が有意に低かった. OEは従来からの検査法である基準嗅力検査と静脈性嗅覚検査および自覚症状をよく反映するため, 一般臨床において広く利用可能な嗅力検査であると考える. なお, OEに含まれるメンソールは詐病を見破れるものとして必要と考えるが, 嗅力を判定する際にはこれを除いて検討する方が良いかもしれない.
著者
佐藤 公則 柏木 彰一 平野 実
出版者
Japanese Society of Otorhinolaryngology-Head and neck surgery
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.100, no.5, pp.479-483, 1997-05-20 (Released:2010-10-22)
参考文献数
11
被引用文献数
8 8

新生児の声帯膜様部を透過型電顕で観察した. 1) 声帯の粘膜上皮は薄いが, 細胞間隙は非常に狭く, 細胞どうしが密に接し, desmosomeが比較的多く認められた. 粘膜上皮の細胞どうしがより強く接着していると考えられた. 2) 声帯粘膜上皮の基底膜および基底部の接着装置はほぼ完成していた. 声帯粘膜上皮と粘膜固有層の支持的機能がすでに十分に備わっていると考えられた. 3) 粘膜固有層は基質が豊富で線維成分の発達は乏しかった. 膠原線維は成熟した構造であったが, 弾性線維は未熟な構造であった. 新生児の声帯は振動体として必要な粘膜の粘弾性が乏しく, 振動に適した構造ではないことが示唆された.
著者
渋沢 三伸 矢野 一彦
出版者
Japanese Society of Otorhinolaryngology-Head and neck surgery
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.93, no.1, pp.1-5, 1990-01-20 (Released:2008-03-19)
参考文献数
4
被引用文献数
2 1

Many authors described the clinical importance of asymmetry of the laryngeal framework. However, its pathogenesis is generally unknown. In this study, CT images of 315 Japanese subjects were investigated to define the laryngeal position relative to the midline of the cervical vertebra.The CT slice of each subject within 5mm cephalad of the cricoarytenoid joint was traced. Then, the deviation and rotation angles were measured using our method.Seventy one percent of the subjects' larynges deviated and/or rotated to the right side, while 17% to the left side. Six percent showed neither deviation nor rotation. As to the rest of 6%, deviation and rotation were in opposite directions. Besides, the length of the thyroid alae were measured in 282 subjects. Left ala was longer in 55%, and right was in 23%, and almost equal in 22%.The conclusions are as follows, 1. The majority of the subjects' CT images showed deviation and/or rotation of the laryngeal framework to the right side.2. So called idiopathic laryngeal deviation is a case which observed in those cases with remarkable deviation and/or rotation of the laryngeal framework.3. Aging seemed to be an important factor in accerelation of the laryngeal deviation and rotation.4. The type of diseases and the side of mass lesions had no statistical significance in deviation and rotation of the larynx.
著者
丸山 裕美子 塚田 弥生 平井 信行 中西 庸介 吉崎 智一
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.118, no.1, pp.53-61, 2015-01-20 (Released:2015-02-05)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

Vocal cord dysfunction (VCD) における声帯奇異運動は一般的に一過性かつ発作性である. われわれは36例の VCD 加療経験の後, 持続的に声帯奇異運動を認める症例を経験し, 声帯奇異運動が「口すぼめ吸気法」施行中に改善し呼吸法中止により再発することを確認した. VCD は気道刺激に対する声門閉鎖反射亢進と, 吸気時の声門下陰圧に対する能動的声帯内転運動により生ずると考えられている. 今回われわれが初めて提唱した「口すぼめ吸気法」は, 緩徐な吸気の実現を容易にし, 声門上腔の陰圧化により声門上下腔の気圧差を減少でき, 器具を用いず即実行できる簡便な方法であり, VCD に対し試行する価値があると考える.
著者
坂田 英治 梅田 悦生 大都 京子 金沢 致吉 村岡 潔
出版者
Japanese Society of Otorhinolaryngology-Head and neck surgery
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.81, no.7, pp.676-682, 1978-07-20 (Released:2008-03-19)
参考文献数
12
被引用文献数
1

Unter den Krankheitsfällen, die über Schwindel klagen, findet man nicht selten Prodromalsymptome schwerer Krankheiten oder Initialsymptome von Hirntumor usw.Neben der Schwindelbeschwerde, dem subjektven Symptom der Patienten, lassen sich auch die objektiven Symptome Spontan-und Provokations-Nystagmus feststellen. Hierhin liegt auch der Grund für die in den letzten Jahren die Forschung in Bezug auf Spontan-Nystagmus, über deren Bedeutung man sich mehr und meter hewusst geworden ist. Tatsache ist jedoch, dass vom pathophysiologischen Aspekt aus betrachtet uber Schwindel noch viel Dunkel herrscht.Wir haben deshalb aufgrund von Untersuchungen Genaueres über die Mechanismen, die beim Zuatandekommen von Spontan-und Provokations-Schwindel wirken, zu ergründen versucht, wobei wir erstere an einem Krankengut mit Morbus Ménière, akuten Labyrinthf unktionsausfall sowie Innenohrentzündungen, letztere bei Lageschwindel vom gut-bzw. bösartigen paroxysmalen Typ sowie bei Zervikalschwindel anstellten.Die Verfasser haben insbesondere Schuknechts mechanische Erklärung über den Lageschwindel vom gutartigen paroxysmalen Typ zum Anlass seiner Forschung, da er glaubte theseArt von Schwindel durch einen funktionelleren Mechanismus erklärbar machen zu können. Desweiteren hat der Autor die Zusaznmenhänge von "Bruns-Syndrom" und "akutem Unterwurmsyndrom" beim Lageschwindel vom bösartigen paroxysmalen Typ ereörtert und dabei betont, dass Storung im Vestibulariscerebellum die Hauptursache bei der Entstehung dieser Erkrankungen sind.
著者
堤 康一朗 岩武 博也 桑原 大輔 俵道 淳 小林 健彦 肥塚 泉 加藤 功
出版者
Japanese Society of Otorhinolaryngology-Head and neck surgery
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.103, no.6, pp.727-733, 2000-06-20 (Released:2008-03-19)
参考文献数
33
被引用文献数
2 2

ヒトパピローマウイルス(HPV)遺伝子の転写は感染した上皮細胞の分化と密接に関連している.カルシウムを含む様々な因子が培養上皮細胞の分化を制御し,13番サイトケラチン(CK13)の発現は培養喉頭上皮細胞(HLEC細胞)の分化マーカーであることが報告されている.本研究の目的は,カルシウム濃度増加のHLEC細胞におけるCK13発現とHPV16遺伝子転写に及ぼす影響を調べることである.われわれはHPV16遺伝子を含む2種類のHLEC細胞を解析した.HPVl6によって不死化したHLEC細胞(HLEC16細胞)とHPV16陽性(HPV16が感染した)の培養喉頭乳頭腫細胞(HLP16細胞)である.HLEC16細胞ではウイルス遺伝子が細胞染色体に組み込まれていた.対照的にHLP16細胞は細胞染色体外にウイルス遺伝子は存在していた.われわれは免疫細胞染色を用いてカルシウム濃度増加のCK13発現に対する影響を評価した.HLP16細胞とHLEC16細胞は共にCK13発現誘導を伴って増加したカルシウムに反応した.HLP16細胞とHLEC16細胞におけるCK13発現は低カルシウム条件下(0.1mM)では検出不能であったが高カルシウム条件下(1.0mM)では検出された.一方,ウイルスRNAのレベルはHLP16細胞ではカルシウムを加える(1.0mM)ことによって上昇したが,HLEC16細胞では低カルシウム(0.lmM)および高カルシウム(1.0mM)条件下で同等であった.これらの結果はカルシウムが誘導する分化がHLP16細胞におけるウイルス遺伝子転写を正に制御したことを示唆する.また,ウイルス遺伝子の宿主細胞染色体への組み込みが分化に依存しないHPV16遺伝子転写の重要な決定要因なのかもしれない.
著者
島貫 茉莉江 戸塚 大輔 中原 奈々 佐藤 陽一郎 今西 順久
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.121, no.7, pp.912-920, 2018-07-20 (Released:2018-08-01)
参考文献数
23

頸部外傷の中でも, 特に気管損傷は気道緊急疾患で迅速な対応を要する. また早期に診断・治療がなされなかった場合, 急性期には皮下気腫の増悪や呼吸障害の出現, 長期的には瘢痕性気道狭窄が生じることがある. 当院で最近経験した3例の鋭的気管損傷例について報告し, その診断・治療について検討した. 3例いずれも刃物による頸部刺傷に起因し, 受傷機転は自傷1例, 他害2例で, いずれも緊急手術にて気管損傷を確認・閉鎖し, 気道の後遺障害を残さず治癒した. 術前に創部触診で気管損傷を直接触知し得たのは1例のみで, 診断にはそのほかの間接的臨床所見が重要と考えられた. 皮下気腫は全例に認められ, 非特異的ではあるが過去の報告に一致して高頻度であった. エアリークは2例に認められ, 気管損傷を強く示唆する重要な所見と考えられた. CT では気管損傷を疑う所見を2例に認めたが, 損傷の部位と程度の評価は困難であった. 損傷部位は他害の2例では胸部気管に位置していたが, いずれも経頸部アプローチにて閉鎖可能であった. 過去の報告を踏まえると, 他害例や胸骨上切痕部に皮膚切創がある場合には胸部気管損傷の可能性を考える必要がある. 鋭的気管損傷においては, 臨床所見および画像診断を合わせても確定診断のみならず損傷の部位や程度の評価に限界があることから, 疑われる場合には, 全身状態が許されれば創部の十分な展開による診断と評価および閉鎖術が勧められる.
著者
松浦 省己 生駒 亮 矢野 実裕子 松本 悠 羽田 華練 折舘 伸彦
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.124, no.3, pp.225-230, 2021-03-20 (Released:2021-04-03)
参考文献数
15

SAPHO 症候群の主な症状は皮膚症状と骨症状であり, 皮膚症状としては掌蹠膿疱症が多く, 骨症状は関節痛で胸肋鎖関節に多い. 治療は非ステロイド性抗炎症薬などによる対症療法が主体である. 近年, 口蓋扁桃摘出術により関節・皮膚症状が改善されたと報告されている. 今回われわれは, 口蓋扁桃摘出術により関節痛が著明に改善した SAPHO 症候群の一例を経験した. 症例は53歳, 男性. 急性扁桃炎, 掌蹠膿疱症の精査加療目的で入院. 掌蹠膿疱症と同時期発症の腰痛あり, CT, MRI, 骨シンチグラフィ所見から SAPHO 症候群と診断した. 退院後, 急性扁桃炎を再発, 掌蹠膿疱症の悪化と胸肋鎖関節痛が出現したため, 両側口蓋扁桃摘出術を施行. 術後は速やかに皮疹, 関節痛は軽快した.