- 著者
-
三枝崎 剛
- 出版者
- 北海道大学
- 雑誌
- 特別研究員奨励費
- 巻号頁・発行日
- 2008
符号,格子及び頂点作用素代数について,組合せ論の立場から考察し,研究を行った.格子から構成される球面デザインの非存在を証明した.球面t-デザインとは,球面上の有限集合で,ある条件を満たすものである.一般に,t-デザインならば(t-1)-デザインになり,高いtのt-デザインを見つけることが,目標である.例えばE8格子の原点から等距離にある点集合は,球面上に存在しており,その集合は,7-デザインになっている事が知られている.では,8-デザイン以上になるか否かは,非常に興味ある問題である.ここで,非常に面白い事に,この問題は数論で古くから未解決である,レーマー予想と同値になっているのである.今年度,特別なの2次元整数格子に対して,デザインの非存在を証明出来た.具体的には,2次元整数格子は虚二次体の整環とみなす事が出来るが,類数1,2の整環に対応する格子に対して,デザインの非存在を証明した.4次直交群の有限部分群から構成される球面t-デザインのtの値を決定した.直交群の有限部分群の軌道は,自然に球面上に存在していると考えられるが,そうして構成されるt-デザインの,tの値は余り高くならない事が予想されている.この予想を確認するべく,今回は,最近になって分類が完成した4次直交群の有限部分群全てに対して,t-デザインとなるtの値を決定した.共形デザインの非存在を証明した.近年,頂点作用素代数(以下VOAと略す)上に共形t-デザインという概念が定義された.例えば頂点作用素代数の最も重要な例である,ムーンシャインVOAは,共形11-デザインを構成する事が知られている.更に,球面デザインの時と同じく,12-デザインになるか否かは,レーマー予想と同値になる.研究代表者は,自由ボゾン型VOAに関して,デザインの非存在を示した.更に,格子VOAに関しても,非存在を示すべく研究中である.