著者
矢田 和也 高井 昌彰
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.386, pp.35-40, 2013-01-16

麻雀は初心者にとって大変難しく,基本的なルールを覚えただけでは十分にプレイできず,手牌からどの牌を次に捨てるべきかの判断に戸惑うことが多い.本研究ではこのような初心者支援のため,麻雀牌の画像認識と拡張現実技術(AR)を応用したAR麻雀システムを開発した.本システムでは,初心者がスマートフォンを用いて自分の手牌を撮影することで,システムが捨牌候補をリアルタイムで検出し,これをARで可視化することにより,初心者のプレイを支援するものである.画像認識ライブラリにOpenCVを用い,アンドロイドスマートフォンArrows X F-10Dにシステム実装を行った結果,実験環境において手牌画像を誤りなく0.4秒で認識できることを確認した.
著者
杉本 琢磨 堀山 貴史
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.232, pp.19-25, 2010-10-08

Vickreyオークションでは,第一価格を入札した者が,第二価格で商品を落札する.このオークションは,入札者に対し誘因両立性を持つことが知られている.一方,入札者のプライバシーに配慮して,各入札者の入札額や誰が落札したかを入札者には伏せたまま実行する場合には,競売人が落札者に対して第二価格を偽ることができる.本研究では,秘密分散を用いることで,競売人の不正を許さず,全体の半分未満の参加者がsemi-honestな参加者として結託したとしても情報を漏らさない情報理論的に安全なプロトコルを提案する.このプロトコルは,入札者が直接情報のやり取りを行うことで,第三者機関を必要としないことが特長である.さらに,第一価格入札者が複数存在した場合のタイブレークの方法,オークションの結果が正当であり競売人による不正が無かったことを入札者に納得させる方法を提案する.
著者
岸本 統久 沢辺 幹夫 寺田 弘慈
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.112, pp.1-4, 2007-06-21
被引用文献数
3

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、関係研究機関と協力して高精度測位実験システムの開発を実施すると共に、2006年3月31日の政府方針「準天頂衛星システム計画の推進に係る基本方針」に基づき、準天頂衛星システム第1段階(準天頂測位衛星初号機、準天頂衛星追跡管制システム)の整備を行っている。これまで、高精度測位実験システムについては、詳細設計、及び、準天頂測位衛星初号機・準天頂衛星追跡管制システムについては、予備・基本設計を実施してきており、本稿ではこれらのシステム設計について示す。
著者
関野 正志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IBISML, 情報論的学習理論と機械学習 = IEICE technical report. IBISML, Information-based induction sciences and machine learning (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.265, pp.203-210, 2010-10-28
参考文献数
5
被引用文献数
2

確率的行列分解(Probabilistic Matrix Factorization : PMF)において、行列要素とは別の、行や列に対応する特徴量を反映させる確率的行列分解回帰(Probabilistic Matrix Factorized Regression : PMFR)を提案する。あわせて、変分ベイズ推定の新たな初期化方法も提案する。PMFRはPMFと縮小ランク回帰を特別な場合として含み、ベイズ推定により両者の特性を適切に反映させることができる。推薦システムでは、PMFRは協調フィルタリング(Collaborative Filtering : CF)と内容ベースフィルタリング(Content-Based Filtering : CBF)を統合した確率モデルの一つとしても考えられる。MovieLensデータに適用した結果、デモグラフィック属性をユーザの特徴量、ジャンル属性を映画の特徴量とするPMFRは、PMFよりも高精度であり、特にコールドスタート問題に有効であることがわかった。
著者
彌勒地 進 麻生 敏正 長谷川 孝明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ITS (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.459, pp.113-118, 2010-03-02
被引用文献数
4

本稿では,ラウンドアバウトを含めた信号制御方式の性能評価のためのシミュレータの構築を行った上,ラウンドアバウトと信号化交差点の性能比較を行っている.まず,モデル化したラウンドアバウトの道路形状と車両挙動を,高度デマンド信号II制御方式(Advanced Demand Signal II scheme; ADS-II方式)の評価用シミュレータへ導入している.次に,静的な交通状況においてラウンドアバウトと,最適な連携係数やデマンド関数のべき乗部を用いたADS-II方式,最適なサイクルやスプリットやオフセットを用いた系統制御方式の3者の性能比較を行っている.評価結果より,ラウンドアバウトは閑散時に有効,系統制御方式は混雑時に有効,ADS-II方式は閑散時と混雑時共に有効であることが明らかになっている.閑散時においてADS-II方式と比較した場合,ラウンドアバウトの車両アイドリング時間の90パーセンタイル値は小さくなるが,平均旅行速度は低下する.
著者
岡田 和則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.278, pp.81-86, 2000-09-01
被引用文献数
12 5

地震等の大規模な災害時には、安否確認等のために通話需要が急増する。一般に広く普及した携帯電話への通話需要も急増することが予想される。しかし、携帯電話は、有限である周波数資源を使用するため、容量を余分に大きくすることは難しく、多くの呼損が生じることが予想される。そこで、本報告では、通話時間を規制して多くの通話を実現することを考え、生起呼数に応じて通話規制時間を変化させる制御を提案する。そして、通話時間を規制した場合の効果を簡単なシミュレーションモデルを用いて調べる。その結果、通話規制時間を少なくすると、通話時間は少なくなるが、呼損率やハンドオーバー時の強制切断率を十分少なく出来ることが示された。また、簡易な通話規制時間の見積法の検討も行い、シミュレーション値とよく一致することを示した。
著者
小森 智康 今井 篤 清山 信正 田高 礼子 都木 徹 及川 靖広
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.76, pp.107-112, 2013-06-06

高齢者は放送番組の背景音(音楽・効果音)をうるさく感じたり,アナウンサーや役者の音声が不明瞭で聞きづらく感じたりすることがある.これに対し,家庭側(受信機側)で高齢者に適した番組音声に調整する装置の開発を進めている.音声区間(ナレーション・セリフと背景音が混在する区間)では,ステレオ背景音の無相関な成分を抑圧し,相関成分では音声の母音や子音の音響的な特徴をフィルタ処理により強調し,非音声(背景音だけの)区間は,ゲイン制御のみによる劣化のない抑圧を行なうことで,番組全体での音質劣化を抑制する手法を提案した.提案手法により6dB相当番組背景音を抑圧できることを主観評価で確認し,高齢者視聴実験により番組音が聞きとりやすくなることを確認した.
著者
桂 幸司 寺田 一樹 力丸 裕 横川 隆一 渡辺 好章 Lin Liang-kong
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. US, 超音波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.655, pp.25-30, 2003-02-14
被引用文献数
2

2台の高速度ビデオカメラを用いて飛行中のコウモリの軌跡を3次元で解析し,テレメーターマイクを用いて観測した超音波パルスの変化とコウモリと標的までの距離との関係について検討した.その結果,エコーロケーションシステムについて,特にCF,FM,パルス間隔,CF_2周波数,ドップラーシフト補償について,多くの情報を得ることができた.
著者
原 嘉孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.84, no.7, pp.1329-1343, 2001-07-01
被引用文献数
22 4

高効率な信号処理に基づくCDMA(Code Division Multiple Access)基地局用アダプティブアレーアンテナを提案する。本方式では, SMI(Sample Matrix Inversion)アルゴリズムに基づきウエート制御を行うが, 逆拡散前の信号に対して相関行列演算を行うことにより, ユーザ間で相関行列の共通化を実現している。このような構成により基地局でのウエート演算量を低減できる。また, チップごとに相関行列演算を行えるため, 従来型SMI方式以上の高速ウエート制御も可能となる。性能評価の結果, 提案方式は演算量とBER(Bit Error Rate)特性の両面で従来方式よりもよい性能が得られることが明らかとなった。また, 提案方式では相関行列をチップ非同期のユーザ間で共有するが, チップ非同期による性能劣化はほとんど生じないことを確認した。
著者
松井 勉 藤村 雄己
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会秋季大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1994, no.2, 1994-09-26

光ディスクレコーダは、高密度化と高速転送レート化の2つの方向で高性能化を目指して開発が行われている。高密度記録再生特性を左右するのは光ヘッドであり、集束ビームを絞りこみ、光学変調度を大きくとることが大きな課題である。レーザ波長=0.68μm、対物レンズ開口数=0.55のとき、レーザ波長の1/2以下のピット長の高密度記録を達成するには、C/N比(CNR)が最良になるようにフォーカスオフセットを調整する必要がある。このとき、トラッキング誤差信号(TE)が劣化し、トラッキングサーボが不安定になることがあった。これは集束ビームの非点隔差に起因し、対策として、光磁気ヘッドの非点隔差を補正する光学系を実現したので報告する。
著者
作田 幸憲 佐々木 英樹 星野 光晴 関根 好文
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-II, エレクトロニクス, II-電子素子・応用 (ISSN:09151907)
巻号頁・発行日
vol.77, no.9, pp.363-370, 1994-09-25
被引用文献数
9 1

水晶発振器は従来から高安定な周波数発生源として利用されているが,近年では温度変化や経時変化に対する発振周波数の変化が小さいことのほか,出力信号のスペクトル純度の優れていることが必要になっている.スペクトル純度を改善する方法の一つとしては水晶振動子を装着時の発振回路のQ,いわゆる負荷Qを下げないように回路を設計することが重要となるが,従来から負荷Qに着目した論文は理論的な検討が多く,実際上,発振回路の負荷Qをどのように評価すべきかについてはあまり検討されていない.そこで,本論文ではまず水晶発振回路の負荷Qの評価法について検討した.その結果,負荷Qは発振回路を開回路にし,入出力電圧の位相-周波数特性の傾きから算出する方法で評価可能であることを確認した.また,負荷Qが水晶振動子の無負荷Qと回路内の損失分によって決まることより,回路内の損失分を負性抵抗回路によって補償する負荷Qの改善法を提案し,負荷Qを水晶振動子の無負荷Q以上に改善できることを明らかにした.また,負荷Qの改善によって出力信号スペクトルの半値幅が狭くなることを実験的に確認した.
著者
日置 雅和 河並 崇 松本 洋平 堤 利幸 中川 格 関川 敏弘 小池 帆平
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RECONF, リコンフィギャラブルシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.198, pp.37-42, 2009-09-10
被引用文献数
3

我々の研究グループは,ソフトウェアとハードウェアの観点から,電力を再構成可能なFPGAである"Flex Power FPGA"の予備的評価を行ってきた.今回,我々はFPGAとしての回路再構成機能に加えて,電力再構成機能を有するFlex Power FPGAチップの設計と試作を90nm CMOS技術で行った.また,デバイス設計と同時に,Flex Power FPGAのための専用ソフトウェアを開発した.専用ソフトウェアを用いて16ビットカウンタ回路のビットストリームを生成しチップへ実装した.その結果,設計したチップ上で16ビットカウンタの完全動作を確認した.
著者
森 敬 梶川 嘉延 野村 康雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.86, no.2, pp.101-110, 2003-02-01
被引用文献数
15

本論文では,摂動の大きさを自動制御する新たな周波数領域同時摂動法(FDSP法)を用いたアクティブノイズコントロール(ANC)システムを提案する.提案法は摂動の大きさを自動制御させることにより,従来の摂動の大きさを固定した場合より収束速度を大幅に改善できる.具体的には,誤差信号が大きいときは摂動の大きさを大きくし,誤差信号が小さくなるに従い摂動の大きさを小さくするという制御を行うことで達成される.その結果,本システムはブロック処理に起因する不安定性の問題を解決するとともにステップサイズを大きな値に設定できる.本制御は摂動の大きさを小さく設定する必要がある場合に効果的であり,特に摂動の大きさを0.08としたときには収束速度は50倍以上高速化される.また本制御は,摂勘付加に起因して発生する雑音の抑制にも有効である.
著者
橋本 典征 上原 秀幸 大平 孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク : IEICE technical report (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.131, pp.13-18, 2009-07-09
被引用文献数
2 1

無線センサネットワークにおけるMAC層では消費電力削減のために効率的にスリープを行うプロトコルが提案されている.その中でも非同期型MACプロトコルはアクティブ状態の同期を必要としないため,同期型に比べてスケーラビリティは優れており,近年盛んに研究が行われている.しかし一方で,スリープの同期を取らないことから,宛先ノードがアクティブ状態に遷移するまでプリアンブルを送信し続けなければならない.それにより,遅延時間および消費電力が増加するという問題を抱えている.そこで本稿では,通信手順の中にアクティブ状態に遷移するまでの時間情報を付加することによって非同期状態から擬似的にリッスン状態のタイミングの同期を取る擬似同期MACプロトコルを提案する.これにより,送信ノードは宛先ノードがアクティブ状態に遷移するときに送信開始できる.実機実験により,提案方式はX-MACに比べ,デューティサイクルを約76%,遅延時間を約44%削減できることを示す.
著者
塩 昭夫 青木 康浩
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.82, no.3, pp.431-439, 1999-03-25
被引用文献数
5 2

定規などを用いずに手書きされた建築間取り図面を, スキャナから読み取って認識し, 建具, 収納, 階段などの建築要素に自動変換するシステム(Sketch Plan)を開発した. 本論文では, このシステムの入力条件, 図面認識/理解処理アルゴリズム, 及びシステム評価の結果について述べる. 筆記変動を含む手書き図面を自動認識するため, 図面上の線分情報と領域情報を独立に処理し, それらの結果を統合する独自の図面認識処理アルゴリズムを考案した. このアルゴリズムを実際の手書き間取り図面を用いて評価した結果, 認識率93%を得た. また, 認識結果の確認・修正も含めた図面入力時間を実測した結果, マウスを用いたマニュアル入力の約1/9になることがわかった.
著者
石川 智治 冬木 真吾 宮原 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.80, no.11, pp.1805-1811, 1997-11-25
被引用文献数
29 7

音質評価語の調査・収集を行い, それらをKJ法によりグループ化し, 30語の代表評価語を得て既に発表した. その後, 評価実験の結果を踏まえて, 再整理と追加による改善を行い代表評価語を35語に集約した. 本論文は以下のことについて示す. 1.その改善の内容, 2.得られた代表評価語(35語)の心理的距離のMDS法による解析と四つのクラスタへの分類, 3.クラスタ化とは独立に行った, 衆目評価法による代表評価語のランクづけ, 4.分類した各クラスタと衆目評価法で得られた結果をつき合わせて総合音質に重要な代表評価語の選出を行った.
著者
中島 将光 濱野 正嗣 メンディス F.V.C
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.1, 1995-09-05

We have previously proposed that a light wave can be modulated at frequencies higher than the workable frequency of an optical modulator, if we employ an appropriate measure. A more practical analysis will be performed here, employing an interferometric branched waveguide modulator.
著者
大谷 卓史 芳賀 高洋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.25, pp.41-46, 2014-05-14

学校教育や社会教育、教育政策の立案など公益増進に役立つ可能性が大きいものの、学校授業の録音・録画とそのデータ利用には、未解決の著作権問題が存在する。そもそも授業の著作物性やその職務著作該当性が正面を切って議論されることも稀である。本稿は、学校授業が教授者の職務であるとともに、授業が著作物である事実を確認したうえで、小中高等学校・大学における学校授業の録音・録画とそのデータ利用に係る著作権問題を検討した。授業者・学習者の著作権処理は当事者間の同意によってほぼ解決できるものの、授業で使用する第三者の著作物の映像・音声記録には大きな困難があるので、学校授業の録音・録画とそのデータ利用による社会的利益を十分に引き出すためには、立法的解決が必要となるかもしれない。
著者
大谷 卓史 芳賀 高洋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.25, pp.41-46, 2014-05-14

学校教育や社会教育、教育政策の立案など公益増進に役立つ可能性が大きいものの、学校授業の録音・録画とそのデータ利用には、未解決の著作権問題が存在する。そもそも授業の著作物性やその職務著作該当性が正面を切って議論されることも稀である。本稿は、学校授業が教授者の職務であるとともに、授業が著作物である事実を確認したうえで、小中高等学校・大学における学校授業の録音・録画とそのデータ利用に係る著作権問題を検討した。授業者・学習者の著作権処理は当事者間の同意によってほぼ解決できるものの、授業で使用する第三者の著作物の映像・音声記録には大きな困難があるので、学校授業の録音・録画とそのデータ利用による社会的利益を十分に引き出すためには、立法的解決が必要となるかもしれない。