著者
廣澤 春任 平林 久 小林 秀行 村田 泰宏 紀伊 恒男 Philip Edwards Ed Fomalont 山本 善一 藤沢 健太 岡保 利佳子 輪島 清昭 井上 允 川口 則幸 柴田 克典 亀野 誠二 朝木 義晴 西堀 俊幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.97, no.554, pp.9-16, 1998-02-20
被引用文献数
3

宇宙科学研究所は、科学衛星「はるか」を、1997年2月12日、同研究所のM-V型ロケット初号機により打ち上げた。「はるか」は世界最初の電波天文衛星として、スペースVLBIの実験ならびに観測に取り組んできている。打ち上げ3ヶ月後の5月半ばには、地上電波望遠鏡との間で、初のフリンジ(干渉縞)を検出した。打ち上げ4ヶ月後には、スペースVLBIによる、クエーサーの初のイメージングを行った。ここでは、「はるか」によるスペースVLBI実験について、初のイメージングに至るまでの主な経過と成果を述べる。
著者
塚本 昌克 近藤 敏之 伊藤 宏司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.577, pp.41-44, 2006-01-20
被引用文献数
3

パターン識別を用いた筋電義手は, 高い動作識別精度を実現しているが, EMGは実際の運動より100msec程早く観測されるので, データ長を100msec未満にしなければ高い識別率の代わりに義手の動作遅れを発生させてしまう. 本研究ではこの問題を取り上げ, 動作遅れのない義手実現を目指し, 前腕部に装着した複数対の電極から計測される筋活動開始時におけるEMGの立ち上がり部分を用いてニュールネットワークによる動作識別と義手制御のシステムを提案する.
著者
神保 至 佐藤 徳幸 中島 歩
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.2, 1995-03-27
被引用文献数
1

従来のプログラミング理解システムは、主にプログラミング教育を目的として開発・利用されてきており、ソフトウェア保守などの実用的な場面にはあまり応用されていない。そこで我々は、プログラム理解システムをソフトウェア保守作業の支援という、より実用的な場面(具体的には業務処理プログラムを理解する場面)に応用し、ソースコードから機能仕様レベルの情報を導出することを試みている。本稿は、そのために必要となる知識構造モデルについて述べたものである。
著者
古橋 良一 小林 正彦 金子 美博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CAS, 回路とシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.453, pp.153-157, 2009-02-23

卒業論文や修士論文など,審査員を伴う論文発表を幾つかの会場で並行して行う場合,同一の審査員が担当する発表が重ならないようにする,同一の研究室は連続して発表する,審査員の会場移動は最小限にするなど,様々な条件のもとで発表プログラムを作らなければならない.我々はこれまでこのようなプログラムを自動作成するためのソフトウェア「江戸っ子」を開発してきた.江戸っ子のアルゴリズムは,各会場での発表件数を均等にすることから始めて,それらの条件を満たすように設計されている.しかし,そのような均等性や連続性を同時に満たさないような事例に今回遭遇した.この事例に対処するためには,これまでのアルゴリズムを改良して,「江戸っ子」をバージョンアップする必要がある.本稿ではこれについて報告する.
著者
金 壯一 新田 直子 馬場口 登
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.467, pp.335-340, 2011-03-03

映像編集において,映像ショット列に対する音楽のミキシングは,質の高い編集映像を生成する上で,重要な行程の一つである.映像ショット列に対する音楽ミキシングにおけるプロセスに,1)映像ショット列の動画の印象に適合する音楽の選択,2)映像ショット列中の各ショットに対する適切な音量調整,の2つが挙げられる.本稿では,事例映像における動画と音楽の特徴間の相関関係に基づいた音楽選択,音響の特徴パターンに基づいた音量調整による,映像ショット列に対する音楽ミキシング手法を提案し,事例として映画予告映像を用いた実験により各プロセスによる編集映像の質の向上を確認した.
著者
北村 浩康 安倍 秀明 亀岡 浩幸 中山 敏 山下 幹弘 岩尾 誠一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EE, 電子通信エネルギー技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.149, pp.101-105, 2007-07-12
参考文献数
2

非接触充電回路で使用していた自励式1石電圧共振型インバータ回路を, DC5V, 5Wを入力とした誘導加熱システムに適用した。しかし入力電圧が低いため,回路損失が大きく加熱電力が不足した。対策としてスイッチング素子のターンオフ制御用トランジスタの入力にバイアス電圧をかける方法を考案し,簡素な回路構成を維持したまま加熱効率の向上ができた。
著者
永井 彰 吉田 麗生 諸橋 玄武
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.114, pp.147-152, 2010-06-24

本稿では, 部分一致検索可能暗号の実装方法を検討し,実装を行った結果を報告する.部分一致検索可能暗号は内積述語暗号から構成するため,内積述語暗号の実装評価からその評価が可能である.しかし,内積述語暗号ではベクトルの次元が演算時間に大きく影響を与えてしまい,演算時間の評価はケースごとになってしまう.そこで内積述語暗号の下位演算と演算回数から計算時間を見積もり,その結果と,実測値と比較を行った.これにより,曲線によっては演算回数からおおよその検索時間を見積もれることがわかった.
著者
小野寺 聡 川又 政征 樋口 龍雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DSP, ディジタル信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.95, no.299, pp.71-78, 1995-10-20

アナログ回路網では,フラクタルに基づいた回路網を構成することで,遷移域においてω^α(0<α<1,ωは角周波数)に比例する振幅特性を実現できることが示されている.本稿では,ディジタル回路網でこの振幅特性を設計する方法と,設計したディジタル回路網の構造について考察する.まず,アナログ回路網の伝達関数をs-z変換してディジタル伝達関数を求める.次に,アナログ回路網の伝達関数の構造を求めて,その構造を基にしてディジタル回路網の構造を導く.その結果,遷移域でω^αに比例する傾きを持つディジタル伝達関数を得られることと,設計したディジタル回路網が再帰的な構造を持っていることを示す.
著者
水上 陽介 内田 啓治 澤田 秀之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.83, pp.67-72, 2006-05-22
被引用文献数
1

The paper introduces the development of a tactile device using a shape-memory alloy, and describes the information transmission by the higher-level perception such as the apparent movement and phantom sensation of the tactility. The authors paid attention to the characteristic of a shape-memory alloy formed into a thread, which changes its length according to its temperature, and developed a vibration-generating actuator electrically driven by periodic signals generated by current control circuits, for the tactile information transmission. By coupling the devices as a pair, an information transmission system was constructed for presenting the apparent movement of the tactility, to transmit quite novel sensation to a user. The information transmission by the device was tested by 10 subjects, and evaluated by questionnaires. The apparent movement was especially well perceived by users as a sensation of something running across fingers or as being tapped by something, according to the difference of signals given to the devices. Several users reported the rubbing sensation given by the AM, and we further experimented the presentation of the sensation in detail.
著者
高橋 祐介 佐藤 貴美 平田 恭二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.88, no.2, pp.110-121, 2005-02-01
参考文献数
13
被引用文献数
1

本論文では, 車載カメラ映像において部分的な隠れに頑強なランドマーク認識方法を提案する.視覚的特徴量空間において, あらかじめ登録したランドマークに対する辞書データと最も類似する映像中の分割領域の組合せを求めて評価することにより, 部分隠れに頑強な認識及びその領域の高精度な抽出を実現する.撮影情報(撮影カメラの位置及び向き)を利用した抽出領域の検定により精度向上を図るとともに, 対象ランドマークの候補数及び組合せに用いる分割領域の絞り込みにより処理コストを削減する.実写映像を用いて部分隠れがあるランドマークに対する認識精度及び領域抽出精度, 計算コスト削減の有効性を検証する.応用として, ランドマーク認識結果と車の走行情報を組み合わせた重要度判定に基づくドライブ映像の自動要約について報告する.
著者
金澤 貴俊 間 博人 高汐 一紀 徳田 英幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.399, pp.123-128, 2009-01-15

近年,無線センサネットワークに関する研究が盛んである.この中で,無線センサネットワークを用いたアプリケーション構築におけるセンサノードの更新,及びメンテナンスに要するコストの高さが大きな問題となっている.このような課題に対する解決として,ノードのアプリケーションを動的に変更可能なセンサノードの動的更新機構が注目されている.一方,無線センサネットワークにおいて,ルーティングプロトコルはセンサネットワークのアプリケーションの多様な要求と密接に関係する.しかし,既存のセンサノードの動的更新機構は複数のアプリケーションをネットワーク上で動作させることによるネットワークの拡張性を目的としていたため,無線センサネットワークのアプリケーション以外の要素を変更することは想定されていない.本論文では,センサノードの動的更新機構上でのアプリケーションの変更に応じて最適なルーティングプロトコルを提供する機構,AFRo(An Adaptive Framework for WSN Routing)を提供する.AFRoを用いることにより,センサノードのアプリケーションの更新に際して最適なルーティングプロトコルが選択され,アプリケーション性能の最適化,またネットワーク資源の効率的な利用が達成される.
著者
金寺 登 荒井 隆行 岡田 賢治 浅井 健司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.155, pp.67-72, 2003-06-20

音声特微量の時間軌跡をフーリェ変換したものは変調スペクトルと呼ばれ,音声の認識には特定の変調スペクトルが重要であることが知られている.本報告ではよ音声認識にとって変調スペクトルの各成分がどの程度重要であるかを示す貢献度に応じて変調スペクトルを強調した音声認識特微量を提案する.自動音声認識実験の結果,提案した特微量は,雑音環境下において音声認識性能が約5%改善されることを確認した.
著者
浜口 斉周 道家 守 金子 浩之 井上 誠喜
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.215, pp.95-98, 2008-09-18

TVML(TV program Making Language)とTVML Playerのインタラクティブ再生機能を用いて,キーボードでCG(コンピュータグラフィックス)キャラクタをリアルタイム動作させる"アドリブシステム"を開発した.アドリブシステムはリアルタイムで制御されるため,番組出演者と臨機応変に掛け合いをさせることができる.また,スクリプトベースなので制作現場で直接動作・演出を編集・加工することができる.さらに,声優の声を入力としてリアルタイムにCGキャラクタのリップシンクが可能である.ノートパソコン1台で動作するためコンパクトで,番組制作現場で使いやすいシステムとなっている.
著者
福嶋 慶繁 出口 大輔 目加田 慶人 森 健策 村瀬 洋 鳥脇 純一郎 野口 正典
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MI, 医用画像 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.91, pp.29-34, 2004-05-21
参考文献数
5

本稿では,前立腺摘出標本画像を用いた前立腺針生検シミュレーション結果と,従来行ってきたX線CT像へ仮想的な病変を埋め込んだ場合の生検結果との比較を行う.前立腺針生検とは,前立腺に生検針を刺し組織を採取する組織診断法である.前立腺針生検では,病変組織を確実に採取しかつ患者への負担の少ない生検手法が求められる.そこで,101症例の前立腺摘出標本画像から作成した仮想前立腺に対して針生検シュミレーションを行い生検手法の評価を行う.利用した前立腺摘出標本は3mm間隔でスライスされた前立腺の断面画像に対し医師が病変部を示したものであり,その断面画像より前立腺を再構成したものが仮想前立腺である.作成した仮想前立腺に対して仮想針生検を行い,各生検手法の病変検出率と病変採取体積を評価した.実験の結果,病変検出率は,従来のX線CT像を用いた結果との相関値が0.77と非常に強い正の相関があり,X線CT像に対して仮想的に病変を発生させた仮想前立腺の有効性を確認した.
著者
大橋 正治 立田 光廣 白木 和之 田嶋 克介 辻川 恭三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-I, 通信I-情報通信システム・理論 (ISSN:09151877)
巻号頁・発行日
vol.78, no.12, pp.724-735, 1995-12-25
被引用文献数
8

近年,光ファイバアンプの出現により,波長1.5μm帯での長距離大容量伝送実験の報告が多くなされている.このような状況において,更に高度な伝送システムを実現するために,光ファイバの低損失化は従来にも増して重要な課題となってきている.光ファイバの損失を減少させるためには,レイリ-散乱損失,赤外吸収損失および構造不整損失の減少が必要である.レイリ-散乱および赤外吸収は,用いるドーパントによって決まる.一方,構造不整損失は,光ファイバの製造技術のみならず,コアおよびクラッドの粘度特性の影響も受ける.構造不整損失を低減する手段として,コアとクラッド両者の粘度を整合させることが効果的である.しかしながら,これまで粘度整合設計法に関しては明らかにされていない.本論文においては,まず光ファイバ断面内の粘度整合設計法について述べる.つぎに,GeO_2,F,GeO_2とFを添加した石英ガラスの粘度特性およびレイリ-散乱特性を実験的に明らかにする.更に,本設計法を用いて設計,作製した粘度整合光ファイバの諸特性について述べ,その効果を明らかにする.
著者
畑 幸一 栄藤 稔
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.56-63, 2001-01-01
被引用文献数
1

2枚の画像の画像相関を基準とするエピポーラ幾何パラメータ推定方法を提案する.本手法の特徴は, 画像間の特徴点対応を用いた従来のエピポーラ幾何パラメータ推定法と異なり, 画像内のブロックマッチングの結果を2次関数によって近似したパラメトリックブロック相関関数を用いることである.本手法では, まず, 2枚の画像でブロックマッチングを行い, パラメトリックブロック相関関数を得る.次に, 得られたパラメトリックブロック相関関数をエピポーラ幾何パラメータによりロバスト推定を用いて最小化し, エピポーラ幾何パラメータを推定する.本論文では, 線形解法に基づいてエピポーラ幾何パラメータを推定する手法を述べ, それを初期値として非線形解法に基づいてエピポーラ幾何パラメータを推定する手法を述べる.最後に, 実画像を用いた実験によって, 画像相関が高いエピポーラ幾何パラメータが推定できることを示す.それにより, 本手法は, 画像符号化の符号化効率向上や画像合成の画質向上に有効であることを確認した.
著者
中村 克己 南澤 裕一郎 豊田 啓孝 古賀 隆治 和田 修己 斎藤 義行 中村 篤
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.89, no.11, pp.833-842, 2006-11-01
被引用文献数
22

筆者らは,LSIの電源系高周波電流による電磁妨害波(EMI, Electromagnetic Interference)のシミュレーションを目的としたEMCマクロモデルとしてLECCS-coreモデルを提案している.本論文では複数種の電源端子を有し,かつ,異なる電源種の回路間が電気的に結合しているLSIに対し,LECCS-coreモデルの構築方法を検討した.実際に3種類の電源端子を有するマイクロコントローラH8/3694Fを用いて, Sパラメータ測定と等価回路変換から等価内部インピーダンスを抽出した.次に,測定した等価内部インピーダンスと電源端子電流より,位相情報をもつ内部電流源を電源種ごとに導出した.作成したモデルの検証として,バイパスコンデンサによるデカップリング効果をシミュレーションし,実測と比較した.その結果,約300MHzまでの電源系高周波電流を精度よくシミュレーションできることを示した.
著者
大辻 清太 外村 佳伸 大庭 有二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.77, no.3, pp.519-528, 1994-03-25
被引用文献数
20

本論文では,映像ハンドリングの基本処理単位を決定する上で重要なカット点の自動検出方法について述べる.映像のつなぎ目であるカット点を検出する問題は,目的条件に対しある程度の結果を出す手法は従来検討されているが,体系的かつ定量的には議論されていない.我々はこの課題を映像変化量の頻度分布と言う観点からとらえ,カット点およびカット点で囲まれるショットの映像変化量分布を分離する問題に帰着した.映像変化量は定義方法より,動きに敏感な場合はショット内分散が大きく,動きに影響されにくい場合は逆にカット点で分散が大きく分離が悪化する.被写体の動き等に伴う影響だけならば,映像変化量の連続性に着目し時間徴分で改善できるがテレシネ変換された映像等では,時間的に不連続な変動が重畳される.そこで本論文では,カット点近傍で映像変化量が示す変動の形態的な特徴抽出に基づく突出検出フィルタを用いた手法を提案し,実験により手法の効果を確認した.課題はまだ残しているものの,提案手法により検出手法改善は,映像ハンドリングにおいてさまざまな利用が期待される.
著者
宮崎 健 水町 光徳 二矢田 勝行
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.265, pp.47-52, 2008-10-16

我々の目的は,高齢者音声の様々な聴覚的特徴に対応する音響的特徴を体系的に明らかにする事である.本稿では,その前段階として高齢者音声の聴覚的特徴を体系的に示すために,高齢者音声の特徴を形容する語を選定した.最初に辞書等の情報を基に声の特徴を表す様々な語301語を列挙した後,アンケートと聴取実験を実施し,その結果を統計的手法により解析する事で,高齢者音声の特徴形容語を男性の場合10語,女性の場合11語選定した.次に考察として,高齢者音声らしさを端的に表す聴覚的特徴を,聴取実験結果に基づく因子分析及び重回帰分析を実施して調べたところ,「しゃがれ声(雑音系)」,「不明瞭さ(減り張りの無さ)」,「発話の遅さ」の3因子が男女共に抽出され,「しゃがれ声(雑音系)」が高齢者音声の知覚に最も関係が深いという結果を得た.