著者
小林 正裕 亀井 聡 斎藤 洋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.373, pp.25-30, 2011-01-13
被引用文献数
1

ビデオトラヒックの増加により,通信事業者では設備コスト削減に向け,キャッシュ技術に再び注目が集まっている.しかし,動画共有サイトにおけるUGC(User Generated Contents)の増加により,現在のビデオコンテンツは,大容量化に加え,人気度がロングテール化し,さらに短期的に人気コンテンツが変動するため,キャッシュ効果が得難い.本稿では,動画共有サイトにおけるコンテンツアクセス傾向情報を利用し,上記の特性を持つビデオコンテンツに対するキャッシュ連携方式の有効性評価を行う.そして,評価結果を基に,効率的なビデオコンテンツキャッシュシステムについて考察する.
著者
グェンミン テイ 伊藤 雅博 川村 隆浩 田原 康之 大須賀 昭彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.70, pp.39-44, 2011-05-19

本研究の最終目的は,計算機がユーザの状況を把握し,それに応じて皆の経験に基づく最適な行動パターンを推薦することである.これを実現するために,皆の経験に基づく行動パターンの集合知(行動パターンの構成要素,行動パターン間の関係)が必要である.そして,これらの行動パターンの表現,参照,更新の方式が必要である.しかし,皆の経験に基づく行動パターンの集合知を人手で構築するには膨大なコストがかかる.そこで,本論文は行動パターンの集合知である意味ネットワークの自動構築手法を提案する.まず,webコーパスから取得した行動文の中に現れる行動属性を自動的に抽出する.次に,抽出された行動データ(行動属性と行動属性間の関係)をN3で記述する.最後に,行動主と行動間の関係(遷移関係,因果関係)で,行動間のリンクを付け,意味ネットワークを構成する.
著者
村瀬 洋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.85, no.4, pp.252-258, 2002-04-01
被引用文献数
16

パラメトリック固有空間法は1993年に開発された汎用的な画像認識手法であり,その後,物体認識,動画像認識,ロボットの視覚制御など様々な分野に応用されている.また画像以外への拡張も可能な手法である.この手法は,物体の向きなど連続的に見かけが変化する画像を,固有空間上の軌跡で表現する手法である.固有空間とは,元の画像の特徴をよく表現している空間のことで,例えば画像ベクトル集合の固有値展開等により得られる空間などがそれにあたる.パラメトリック固有空間法により,アドホックで複雑な特徴を用いることなく,多様な見え方をする画像を認識することができる.
著者
尾崎 正弦 足達 義則 石井 直宏 小谷津 孝明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.79, no.9, pp.1554-1561, 1996-09-25
被引用文献数
4

小学校教育における手書き文字学習能力の向上や中・高・大学生の"まんが文字"などの癖字の修正を目指したCAIシステムを提案する.書字能力に合わせて初級,中級および上級の3段階を設け,書家により書かれた標準文字から類似度関数(メンバシップ関数)を作成し,それぞれの階級について評価した.また,初級段階では,"なぞり"と"視写"学習を採用した.昇級は最終3回の総合的な類似度からファジー推論を用いて自動的に決定した.更に,中級および上級段階では各文字のストロークごとにストローク評価関数を設定し,学習者に対して細かな指導ができるようにした.一般的に文字のバランスは個々のストロークのみで画一的に決定するものではなく,文字全体の視覚的バランスが大変重要である.個々のストローク評価関数は,そのような感性的要因を考慮して決定した.このシステムで,「あ」,「い」,「う」,「え」,「お」の5文字について実験を行った結果,学習効率の向上が見られたので報告する.
著者
佐野 文彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICSS, 情報通信システムセキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.115, pp.35-39, 2010-06-24

Kasperらが提案したビットスライス実装によるAESの暗号化処理に対して,最適化された復号処理を実装した.AES復号処理のInvMixColumnsの最適化実装手法とIntel Core2プロセッサでの計測結果を紹介する.InvMixColumnsを仕様通りに実装した場合,復号処理は暗号化処理と比較して処理時間が約30%増加するが,我々の実装したプログラムでは処理時間の増加を約10%に抑えられ,そのまま実装した場合と比較して18%高速である.
著者
石橋 功至 落合 秀樹 河野 隆二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.305, pp.91-94, 2006-10-12
被引用文献数
1

近年,遅延ダイバーシティ(Delay Diversity)技術が再び注目を集めている.遅延ダイバーシティは送信信号を複数のアンテナから時間遅延させて送信することでダイバーシティ利得を得ることのできる非常にシンプルな送信ダイバーシティ技術である.一方,周波数分割多重(OFDM)と差動符号化振幅位相変調(DAPSK)の組み合わせは,高い周波数利用効率とシンプルな送受信回路系が実現できる技術として知られている.OFDMに遅延ダイバーシティ技術を用いた場合,各アンテナで与えられる時間遅延がガードインターバル長を超える必要性があり,周波数利用効率を著しく低下させてしまう.この問題を解決する手法としてOFDM変調信号を巡回させながら遅延させる巡回遅延ダイバーシティ(CDD)という技術が提案されている.本稿では,巡回遅延ダイバーシティを用いた符号化DAPSK変調方式を提案し,計算機シミュレーションを用いて,提案方式が任意の送信アンテナ本数分のダイバーシティ利得が得られることを示す。また,提案方式のパラメーターの最適化についても議論する.
著者
梅田 茂之 山村 毅 大西 昇 久野 実
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, 1995-09-05
被引用文献数
1

CADで用いられる配管部材の形状は,人手で作られている.この際,作業者は一面図を見て,部材の3次元形状をイメージして,別の視点から見た投影図を作成する.さらに,部材は毎年新しいものが作られるので,作業は大変である.本稿では,配管部材の特徴に着目して,配管部材の一面図を入力すると3次元形状を復元し,任意の視点からの見え(アスペクト)出力する手法を紹介する.
著者
佐藤 寿倫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.537, pp.73-78, 2004-12-13
被引用文献数
2

性能ペナルティを被らないフォールトトレラントマイクロプロセッサを実現することを検討する。トランジスタの微細化、クロックの高速化、電源電圧の低下に伴い、マイクロプロセッサの信頼性に不安が持たれるようになってきた。加えて、E-コマースのような高い信頼性を必要とする応用も出現している。以上の背景を考慮すると、将来のマイクロプロセッサでは性能やコストだけでなく信頼性も評価対象となると予想できる。この要求を満足するために、命令再発行と時間冗長性を利用したフォールトトレランス機構をこれまで検討してきた。しかし残念ながら深刻な性能低下が確認されている。本稿では低下した性能を補うために、トリビアな演算とサブワード並列性を利用することを検討する。シミュレーションの結果、効果的な方式であることを確認している。
著者
遠峰 隆史 久松 剛 杉浦 一徳 中村 修 村井 純
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.470, pp.5-8, 2005-12-08

インターネットを用いた複数地点間での映画, 音楽の共同制作をリアルタイムに行うには, 伝送メディア長, 途中経路などによる, データ到達時間の差異を考慮しなければならない. 本研究では, 異なる2地点間における遠隔協調演奏を実現する上で問題となる, リズム管理手法に着目した. 2地点間のネットワーク遅延を演奏者が知覚するためのアプリケーションとして, インターネット・メトロノームの設計・実装を行った. 本実装をもとに, 「愛・地球博」のクロージングフォーラムにおいて, 日蘭間でのジャズセッションによる実証実験を行った.
著者
酒井 智弥 井宮 淳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.93, no.8, pp.1256-1266, 2010-08-01

本論文では,スペクトラルクラスタリングの計算量を削減するランダム算法を提案する.スペクトラルクラスタリングは核関数法と固有値分解を利用して非線形多様体上のデータを分類できるが,類似度行列の作成と固有ベクトル計算のコストが高い.提案する算法はランダム射影とランダムサブサンプリングを利用し,データの次元数とサンプル数に起因する計算コストをそれぞれ低減する.計算時間はサンプル数に準線形,次元数に線形であり,Nystrom近似に基づく既存の高速算法より高速かつ安定である.特に,アピアランスベースの画像解析では少数の画素のランダムサンプリングによって計算時間が次元数に無関係となり得ることを考察する.また,この特長と提案算法を活かした応用として,画像分割と動画像のショット分割を示す.
著者
中村 文子 佐藤 弥 吉川 左紀子 松村 道一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.470, pp.7-12, 2002-11-14

近年、いくつかの研究から、視線方向の知覚によって喚起されるような自動的な注意シフトが、シンボルやジェスチャーによっても喚起されるという知見が報告されている。しかし、報告例は少なく実験手続きも統一されていないため、明確な結論は出されていない。今回我々は、視線・シンボル・ジェスチャーを手がかりとする3つの手がかりパラダイム実験を行い、この問題を検討した。手がかりは画面中央にランダムに呈示され、被験者はその後手がかりの左右いずれかに出現するターデットの位置をボタン押しで反応した。その結果、被験者は手がかりが確率的に有効でないことを認識していたにもかかわらず、それらが示す方向へターゲットが呈示された時、異なる方向に呈示された場合に比べ反応時間が有意に短縮された。実験1・2からは、いずれの手がかりによっても、課題遂行の促進が早い段階で起こり、復帰抑制は起こらないことが示された。また実験3からは、手がかり方向へ被験者の注意が移動していることが確かめられた。全ての実験において、質的交互作用は示されなかった。これより、視線・シンボル・ジェスチャー方向が、いずれも知覚者の注意を自動的にシフトさせると結論できる。
著者
梅崎 重夫 濱島 京子 清水 尚憲
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSS, 安全性 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.43, pp.13-16, 2009-05-15

人間機械作業システムで発生する労働災害を防止するには,機械の設計・製造者が行う設備的な保護方策(機械安全)と機械の使用者が行なう管理的対策(安全管理)の連携が不可欠である。しかし,本質的安全設計方策や安全防護物の適用などの設備的な保護方策と人の注意力に依存する管理的対策では確定性が異なるために,両者を連携させたリスクの定量的評価手法の確立は困難を伴う。そこで,安全か危険か不確定なものはすべて危険とみなす"安全の原理"にしたがって,人間機械作業システムの災害発生率の確定的上限値をマルコフ解析に基づいて定量的に推定できる評価式を提案した。この式は,設備的な保護方策のパラメータである制御システムの安全関連部の冗長度,不信頼度,危険側故障率,チェック間隔だけでなく,管理的対策のパラメータである人の誤り発生率や回避失敗率なども含むために,人間機械作業システムの汎用的な安全性評価指標として利用できる。
著者
中山 欣也 柏原 昭博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.470, pp.65-70, 2009-02-28
被引用文献数
1

Webは極めて有用な情報媒体であり,学校教育でもWebリソースを用いて調べ学習を行う機会が増えてきた.本稿では,Webにおける情報探求スキルの育成を目的として,Web調べ学習を支援する手法について述べる.まず,Web調べ学習を「与えられた学習課題を段階的に詳細化すること」と捉え,学習課題を表現するキーワードを順次Webページから獲得しながらキーワード間の関係構造を作り上げていくプロセスとしてモデル化した.次に,このモデルに基づき,Webから学習課題キーワードを収集・構造化するための支援ツールを開発した.ケーススタディの結果,開発したツールの有効性が示唆された.
著者
前田 大輝 藤井 健作 棟安 実治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers. A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.87, no.2, pp.180-189, 2004-02-01
参考文献数
15
被引用文献数
10

マルチチャネルシステムで用いられる参照信号は一般には互いに強い相関をもつ.この相関は適応フィルタの係数推定を難しくすることから,通常は参照信号間の相互相関を減少させる前処理が加えられる.しかし,その前処理は参照信号をひずませることに等しく,そのひずんだ参照信号の未知系への送出はシステム本来の動作に支障を来す.その一方で,適応フィルタの係数推定には参照信号間で無相関となる成分の存在が不可欠であり,その割合を増加させる前処理は収束特性の改善に欠かせない.本論文では,その前処理を加えた参照信号を未知系に送出せず,適応フィルタの係数推定にだけ用いるアルゴリズムを提案し,その実用化に際して必要となる設計条件を明らかにする.すなわち,推定誤差が増大しない条件と,本アルゴリズムを特徴づける,参照信号間の相関を低減する係数の最適値を導き,その有効性をシミュレーションによって確認する.本提案アルゴリズムによれば,システム本来の動作に影響を与えることなく,収束特性の改善を図ることができる.
著者
武藤 憲司 伊藤 幹也 荒井 貴大 高野 邦彦 八木 一夫 江口 健太郎 柴山 秀雄 陳 国躍
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers. A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.91, no.11, pp.1098-1101, 2008-11-01
参考文献数
4
被引用文献数
1

MRI検査において,被験者は厚い壁の磁気遮へいのための閉鎖空間に長時間おかれる.高磁場のMRI装置の駆動音は100dBを超えることもあり,騒音の不満などが指摘されている.しかし,いくつかの音圧測定結果だけで音の伝搬の様子の報告例はない.本論文では,検査室内のMRI検査の被験者が横たわるテーブル上の空間の音場の可視化を図る.非磁性のプローブを製作して音響インテンシティを測定した結果を用いて音の伝搬の様子を示す.
著者
陳 国躍 安倍 正人 曽根 敏夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.82, no.6, pp.851-859, 1999-06-25
参考文献数
23
被引用文献数
10

騒音の能動制御 (Active Noise Control : ANC) を広い空間で実現するためには, 複数の打消しスピーカ及びエラーセンサが必要となり, また, 騒音源が複数存在する場合には, 複数の参照センサを必要とする. そのため, 音響伝達系は複雑になり, 能動制御の性能が劣化する. 本論文では, このような多入力多制御点のANCシステムの複雑な音響伝達系における性能劣化の原因を, 周波数領域での評価法を用いて検討する. その結果, 入力多制御点のANCシステムにおいては, 複数のスピーカから放射された打消し音が, 空間で混じり合うこと(カプリング)と, 参照信号間に相関があることにより, 適応アルゴ.リズムの収束速度が遅くなり, また, 計算誤差が大きく, 打消し量が小さくなることを明らかにする. 更に, 検討結果をもとに, 適応アルゴリズムの収束速度についていくつかの改善法を提案する.
著者
古橋 良一 小林 正彦 金子 美博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIP, 信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.454, pp.153-157, 2009-02-23

卒業論文や修士論文など,審査員を伴う論文発表を幾つかの会場で並行して行う場合,同一の審査員が担当する発表が重ならないようにする,同一の研究室は連続して発表する,審査員の会場移動は最小限にするなど,様々な条件のもとで発表プログラムを作らなければならない.我々はこれまでこのようなプログラムを自動作成するためのソフトウェア「江戸っ子」を開発してきた.江戸っ子のアルゴリズムは,各会場での発表件数を均等にすることから始めて,それらの条件を満たすように設計されている.しかし,そのような均等性や連続性を同時に満たさないような事例に今回遭遇した.この事例に対処するためには,これまでのアルゴリズムを改良して,「江戸っ子」をバージョンアップする必要がある.本稿ではこれについて報告する.