著者
小林 俊一
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

水棲生物の中でもイルカの運動能力は高く、胴体を水上に持ち上げる立ち泳ぎができる。しかし、その立ち泳ぎの力学的な解析はされておらず、どのようにしてイルカは立ち泳ぎを実現しているのかが十分に明らかにされていない。そこで、本研究はカマイルカの立ち泳ぎにおける水上と水中における運動挙動を撮影、3次元動作解析によって明らかにし、その胴体を水上に持ち上げる推力を発生するメカニズムを検討した。また、その結果をイルカの尾びれを規範としたフィンを用いた水中推進機構に技術的に移転させ、高推力化を実現させた。
著者
藤井 雅留太
出版者
信州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では光学迷彩構造の1つであるカーペットクロークのトポロジー最適化を行い,複数の周波数において透明マント効果を出現させた.カーペットクロークは平坦面上の凸を無散乱化し,凸が無い場合と同じ平坦面による反射を実現することで.凸を不可視化することができる.形状表現方法としてはレベルセット法を用い,格子点上に配置したレベルセット関数を線形に補間し,レベルセット関数のゼロ等位面を誘電体構造の境界として有限要素モデルを作成した.複数の周波数において,散乱を数値化した評価関数の和を最小化する誘電体構造を設計した.得られた最適化構造の評価関数の周波数応答を計算し,複数の周波数で透明マント効果を確認できた.
著者
茅野 理恵 宮崎 紀枝
出版者
信州大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2020-07-30

本研究では、まず大学生のピアサポーターによる若者向けゲートキーパー養成講座プログラムの開発を行う。大学生を対象とした調査等により、ピアサポーターによるゲートキーパー養成講座だからこそ有効となるプログラム内容について明らかにする。次に、ピアサポーターによる若者向けゲートキーパー養成講座において開発したプログラムを実施する。ピアサポーターは、前年度の講座修了者の中から養成。講座の実施については、現在の連携大学を順次拡大させ複数の大学が合同で講座に参加できる形での実施を目指す。さらに、ピアサポーターによるゲートキーパー養成講座プログラムの効果の検証を行う。
著者
宗村 和広
出版者
信州大学
雑誌
信州大学法学論集 (ISSN:13471198)
巻号頁・発行日
pp.107-146, 2002-03-01

「ファンブック罪に濡れたふたり~Kasumi~」事件・控訴審判決 東京高等裁判所平成17年3月3日判決 〔判例時報1893号126頁,判例タイムズ1181号158頁〕
著者
結城 匡啓
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では,スピードスケート競技の陸上トレーニングにおける動作と氷上での滑走パフォーマンスを分析し,これまでに究明されている滑走動作の力学的メカニズムや優れた選手に内在する技術的要因とを総合的に関連づけて検討した.その結果,スピードスケートの陸上トレーニング手段の運動負荷は,氷上滑走時のそれに比して低い可能性があることや,氷上パフォーマンスの高い選手は,陸上トレーニングにおける運動負荷よりも氷上滑走動作における負荷が大きい傾向にあることがわかった.
著者
桜井 敬之 新藤 隆行
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

多彩な生理活性を示すアドレノメデュリン(AM)の受容体を構成する1回膜貫通型受容体活性調節タンパク質Receptor activity modifying protein 2,3(RAMP2、3)の病態生理学的役割を、血管内皮細胞特異的および心筋特異的RAMP2 KO、および最近樹立したRAMP3KO、RAMP2/RAMP3およびRAMP3Tgマウスを用いて解析した。本研究で、我々は、個体レベルにおいてはRAMP2およびRAMP3は異なる機能;(1)RAMP2遺伝子は心血管系の恒常性機能維持に重要な働き、(2)RAMP3遺伝子は炎症応答に関与していることを初めて明らかとした。
著者
吉田 稔
出版者
信州大学
雑誌
信州大学高等教育システムセンター紀要 (ISSN:18805337)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.31-42, 2005-03

教養教育で目指すべきものは何か。本稿はその教養教育の目的を筆者が行った2つの主題別科目「現代社会と学校教育」,「数学と文化」の実践と,堀尾輝久氏の教養論に依拠して,理論的・実践的観点から対比的・総合的に考察し,教養教育の課題と実践の方途を案出していこうとしたものである。その結果,「人を人として育てるという人間形成の観点の定立」,「文化の基本的構造を自己に同化させつつ,得られる文化を考察できる能力の確立」,「学問観・教育観の問い直し」,「学部・年次の異なる多様な資質を有した学生の参加した学習集団の形成」という観点が,教養の本質に根ざし,それに基づく教養教育の実現を促す要因になるのではないかと予想された。そして,その予想を現実のものにしていくためには,教養教育を担う教師は,全人間性を傾けて指導にあたる必要があり,自己のそれまでの様々な経験をふまえて,対話性のある授業展開が不可欠であることが明らかになった。
著者
酒井 義
出版者
信州大学
雑誌
教育実践研究 : 信州大学教育学部附属教育実践総合センター紀要 (ISSN:13458868)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.59-66, 2002-07-31

In this paper, a school reform project "Ashita mo hayakuikitai gakkou tukuri" was introduced and discussed. In order to prevent various recent school problems, bullying such as school refusal, violence, and anti-social behaviors, the reform project was plan. At a junior high school, the project was implemented for 3 years. Cooperation with people at the area and improvement of self-esteem of students and teachers were two important goals of the project. The school system has been changed and the teacher and students in the school have become more positive in their attitude toward school. The people at the area were more engaged to the school.
著者
三野 たまき 南澤 信之
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

近年,被服製品に求められるコンセプトは見かけの美しさや製品の耐久性,扱いやすさなどに留まらず,その着心地までに波及し,ヒトの機能をも介助するための被服製品が望まれてきている.例えば,スポーツ選手が良い成績を残すために開発されたスポーツウエアや,人体の機能低下を介助するための製品の開発が望まれている.さて,これらの製品開発のためには,実験室レベルに留まらず,フィールドで実際に起こる被服内環境の実態を把握しなければならない.そこで,特定小型無線局を用いた被服内環境計測システムの開発を試みた.また,人体の呼吸代謝,血流速度,皮膚温,被服圧,下腿および足部の容積などの諸機能を指標とした,被服内環境の改善のために着目すべき因子とその影響についても明らかにした.被服内環境を知るためには,被服外環境や人体それ自身の因子を含めて初めて明らかになると考えた所以である.そこで,実験に用いた浴衣,ウエストベルト以外の実験衣は常に一定に保ち,ヒトが外部環境の変化に伴ってどのように変化するかを調べた.ヒトは地球上の生物であるがその地球環境の変化に伴って,呼吸代謝,皮膚温,血流速度,ウエストベルト圧,下腿および足部の容積は環境温度によって有意に変化することがわかった.つまり,積極的に環境温度を変えずとも,季節の推移に伴って変化しているのである.さらに,血流速度は日内変動し,ウエストベルト圧と下腿および足部の容積は有意に月経周期の位相によっても変動することがわかった.つまり,環境温や月経周期,日内変動を考慮に入れれば,より快適な被服環境を実現できるのである.このように,被服環境の実態を正確に捉えるために見過ごしてはならない因子の洗い出しとその影響について明らかにすることができた.今後,開発した特定小型無線局を用いた被服内環境計測システムを用いて,更に実生活に即したデータを蓄積し,人体の機能を介助する製品の開発に必要な基本設計指針を導き出す所存である.
著者
森山 徹
出版者
信州大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

オオグソクムシの飼育水槽の底にゴルフボール約500個を敷き詰め、「穴を掘れないが、ワザを用いれば、すきまを作り巣のように使える」という状況を設定した。すると、体長の1/3ほどもある大きさのボールを頭部でゆっくりと左右へ移動させ、これを継続することで、体長と同程度から10倍程度の長さの通路を形成する個体が現れた。また、ボールをゆっくりと頭上へのせ、ボール塊内を、体長の8倍程度の長さにわたり掘り進む個体も現れた。これらの通路形成屋掘り進みは、巣穴としての通路使用の動機づけを維持し、ボール移動を自律的に制御するワザを伴って実現されたと考えられる。
著者
小宮山 淳 上松 一永 小池 健一
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

NK細胞異常症の病態と障害部位を解明するとともに、殺細胞障害の原因遺伝子の解析を進めてきた。1.家族性NK細胞異常症(1)詳細な表面マーカー検索によって、CD56^+細胞はすべてCD3^+CD56^+であり、T細胞系に属する細胞であった。したがって、この疾患は、本質的にNK細胞欠損症であることが判明した。(2)NK細胞の数的減少の原因解明を目的に、NK細胞の分化成熟能を検索した。骨髄細胞をstromal layerとIL-2、またはstem cell factor、IL-7、TNF-α、IL-1βの存在下で培養し、培養細胞についてflow cytometryを行った。その結果、CD3^-CD56^+は検出できず、さらに詳細な検討が必要となった。(3)キラーT細胞ではパ-フォリンmRNA発現機構は正常であった。2.チェディアク-東症候群(1)NK細胞活性はK562細胞に対しては著減していたが、Jurkat細胞に対しては認められた。Jurkat細胞に対する殺細胞機能はTNF-αに基づくものではなかった。(2)パ-フォリンmRNA発現機構は正常であり、蛋白レベルでも正常に存在した。(3)Fas-Fasリガンドを介するアポトーシス系の殺細胞機構を検索した。その結果、Fas mRNA発現は正常であり、機能も正常に発揮された。3.血球貧食症候群、全身性エリテマトーデス、チェルノブイリ原発事故汚染によるNK細胞不全などでも同様に検討した。
著者
上條 厚
出版者
信州大学
雑誌
信州大学留学生センター紀要 (ISSN:13467433)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.13-24, 2002-03

動詞の優しい命令形、タベリ(食べなさい)・ミリ(見なさい)等と、勧誘形、タベリヤ(食べよう)・ミリヤ(見よう)等の使用に関して、長野県およびそれに隣接する地域の若年層について調査した。これらの形は中信地方とそこに隣接する岐阜県の市町村でよく使われることが分かった。長野県内は中信地方以外の地域でも少し使われる。優しい命令形と勧誘形の両方をよく使うのは、中信地方の中央の地域である。その周辺に勧誘形のみ使う地域がある。木曽郡とそれに隣接する岐阜県の市町村では、ほとんど優しい命令形のみが使われる。岐阜県のものは長野県境方面から広がったことが可能性として考えられる。
著者
トウ ソウキュウ
出版者
信州大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

林業の成長産業化のため、森林整備の促進により森林資源の循環利用と地球温暖化対策のために広葉樹林も含めた正確な森林資源情報が求められている。森林調査をせずに、広域の森林において樹種別の本数や単木材積を精度よく把握できれば、森林管理が格段に効率化するだけではなく、地球環境モニタリングや再生可能エネルギー資源利用に極めて有効である。本研究は、ドローンレーザデータとUAVカメラ画像の組み合わせから樹種別の立木位置、樹高、胸高直径と材積を算出することができ、林層構造が複雑な広葉樹林にも適用できる高精度な森林資源解析技術を開発し、広葉樹資源の有効活用に貢献することを目指す。