著者
野澤 伸一郎 藤原 寅士良
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集C(地圏工学)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.300-309, 2016
被引用文献数
2

木杭は,明治以来,鉄道においても高架橋や駅設備の基礎杭として利用されてきた.木杭は,地下水位以深に位置する,または地下水位変動があったとしても粘性土に覆われていれば,著しい腐朽をすることなく耐久性を有する点,木杭の耐久性や強度は樹種や産地によって異なることが知られている.本点を確認するため,東京駅丸の内駅舎の保存・復原工事で撤去された松杭の状況と地質,地下水位を調べた.その結果,杭頭部から約500mmの範囲を除いて,長期間,木杭が地下水位以浅にあっても,地表部に粘性土層があり,一定の含水比を有する砂質土に打設されていれば著しい腐朽が発生しなかった点が確認された.また,東京駅丸の内駅舎に使用された木杭の樹種,産地について,当時の建設記録や考察から「甲地松」である可能性が高いことをつきとめた.
著者
中條 壮大 藤木 秀幸 金 洙列 森 信人 澁谷 容子 安田 誠宏
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_199-I_204, 2015
被引用文献数
3

比較的高緯度に位置する東京湾では,大きな高潮災害の観測例が少ない.しかし,極低頻度とはいえ高リスクの都市災害に備える必要性から,過去約80年の観測資料から推定される高潮ハザードポテンシャルの定性的評価を行った.東京湾近傍を通過した過去の台風資料から,危険高潮イベントを引き起こすであろう台風特性の変化シナリオを推定した.それらを既往の台風経路上に換装し,非線形長波方程式モデルによる予測計算を実施した.その結果,過去データにもとづく東京における高潮ポテンシャルは最大で約1.8 m程度と見積もられた.また,吹き寄せや湾水振動の作用が強い北進の経路は、東京湾にとって危険性が高いことを示した.特に危険な経路においては,台風接近時の湾口方向の吹き寄せ,および通過後の外力の解放と風向の急変が湾内での振動を卓越させていることを示した.
著者
横田 雅紀 安部 雄太郎 山城 賢 橋本 典明 永井 紀彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海洋開発論文集
巻号頁・発行日
vol.24, pp.435-440, 2008

The current measurements have been carried out by NOWPHAS at several stations in the coastal area around Japan since 1996. In the data, temporal but simultaneous changes in residual currents were recognized at several stations in the Japan Sea side. The cause of this temporal change was deduced to be due to the strong currents caused by typhoon approach. In this study, attention was paid especially on the period of typhoon approach, and the occurrence characteristics of the strong currents in the offshore area was investigated based on the data of wind speed, the atmospheric pressure and the typhoon track provided by Japan Meteorological Agency.<BR>As a result, it was found that typhoon approach contributes to the generation of the offshore strong current in many cases. In addition to this, it was also found that the current velocity increases in the area where wind blows for a long time in the same direction. Furthermore, it was also observed that the strong current is likely to appear at more than two stations during the typhoon.
著者
西田 修三 中辻 啓二 宮本 豊尚 清水 隆夫 坂井 伸一 松山 昌史 坪野 考樹
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学論文集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.1441-1445, 2005

大阪湾奥部においてDBF海洋レーダーを用いた流況観測を実施し, 収集されたデータを基にレーダーの特性を明らかにするとともに, 沿岸域の表層流動構造に及ぼす出水や風の影響について解析を行った. また, 台風時の観測データを用いて, レーダーによる波浪情報の推定についても, その適用性を検討した. その結果, 日スケールの流況には出水や風の影響が現れるが, 15日間の残差流には, 吹送流の影響はほとんど見られなかった. また, 台風接近時のレーダーのスペクトルデータを用いて海上風や波高の推定を行ったところ良好な結果が得られた. しかし, 風速5m/s以下ではS/N比の低下により波浪情報の抽出は困難となり, 20m/s以上では計測レンジの低減が生じることが明らかとなった.
著者
宇野 宏司 柿谷 茂貴 辻本 剛三 柿木 哲哉 出口 一郎 有田 守
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
地球環境シンポジウム講演論文集
巻号頁・発行日
vol.16, pp.35-40, 2008

淡路島南西部に位置する吹上浜を対象に, 過去36年間の航空写真を用いて, 砂浜面積および護岸から汀線までの距離の経年変化を把握した. また, 飛砂・漂砂を考える上で重要となる吹上浜周辺の風特性について把握するため, 気象庁の風向風速データを整理し, それを用いた日飛砂量の推算を行った. その結果, 吹上浜においては過去36年間にわたり, 砂浜面積, 護岸からの汀線距離ともに動的に安定した砂浜であると判断された. また, 現地の平均風速は概ね3m/s程度であり, この程度の風では粒径0.1mm程度の飛砂しか起こりえない. 一方, 台風接近や冬季風浪により10m/s以上の風が出現することもわかった. さらに, 月別平均風速および出現風向特性を考慮した飛砂量計算では, 春季から夏季にかけて南から北方向, 冬季は西から東方向への飛砂が卓越することが明らかにされた.
著者
二瓶 泰雄 中村 武志 綱島 康雄
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学論文集
巻号頁・発行日
vol.50, pp.1121-1125, 2003

沖縄県石垣島吹通川マングローブ水域を対象として, 河口域におけるsill地盤高さに関する長期モニタリングと海水交換特性の基礎となる河口部での流量調査を行った. creek内の水位データを用いてsill地盤高さを長期連続モニタリングした結果, sill地盤高さが数日で約10cm程度急上昇するという現象が生じていること, それに対して台風接近に伴う高波浪来襲や大規模な河川出水が大きな影響を及ぼしていることが明らかとなった. また, 河口流量と潮位差の関係は, sill地盤高さの考慮の有無により相関関係が大きく異なっており, sill地盤高さが河口流量に対して多大な影響を及ぼしていることが示された.
著者
川崎 浩司 鈴木 一輝 高杉 有輝 青木 伸一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.I_1170-I_1175, 2014

台風0918号襲来時に伊勢湾・三河湾で観測された気象・海象観測データに基づき,同台風による高潮特性を議論するとともに,台風0918号が三河湾の水塊構造に及ぼす影響について考究した.その結果,三河港で生じた高潮は,台風通過の影響で伊勢湾側の水塊が自由長波として三河湾湾内に流入したことによって生じたことがわかった.さらに,密度・水質構造の観点からは,台風接近時の東風に起因した鉛直混合により底層の貧酸素状態が解消されたこと,台風通過の河川出水に伴って密度成層の再形成やクロロフィルaの増大が生じるなど,台風襲来時のみならず,台風通過後においても三河湾の水塊構造が大きく変化することを明らかにした.
著者
桐 博英 丹治 肇 中矢 哲郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学論文集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.241-245, 2004
被引用文献数
1

地球温暖化に伴う沿岸域への影響には海面上昇が知られているが, 台風の規模も大きくなることがわかってきた. しかし, 台風規模の変化が高潮に伴う潮位偏差にどの程度影響を及ぼすのかは, 明らかになっていない. そこで, 台風が多く通過する有明海を対象に, 2つのモデル台風を作成し, 台風規模が15%大きくなった場合の潮位偏差の変化を数値解析により検証した. その結果, 有明海内部では, 20-55cmの潮位偏差の増大が予測され, 地球温暖化による沿岸域の保全対策には台風の規模の変化も考慮する必要があることを明らかにした. また, 有明海を北上する台風では, 台風接近時の潮位降下が台風通過時の潮位上昇を抑える効果があることを示した.
著者
河合 弘泰 橋本 典明 山城 賢
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学論文集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.311-315, 2008
被引用文献数
1

While a typhoon is approaching, the necessity of disaster prevention works in ports is often judged from the highest storm water level in the storm surge simulation for several probable typhoon tracks. Since the actual water level seldom reaches the highest one predicted, the accumulation of such an experience causes carelessness in persons in charge of disaster prevention. The probability density distribution of the storm water level predicted is useful information for them to estimate the possibility of disaster in their ports. This study, therefore, simulated the storm surge in Seto Inland Sea for 109 typhoon tracks crossing or passing by the prediction circle of typhoon location and then discussed on the variation of the range and the accumulative probability density distribution of the storm water level with lead time until the typhoon arrival.
著者
今井 裕太郎 小池 則満 西村 雄一郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F6(安全問題)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_66-I_73, 2012

木曽三川下流・伊勢湾岸の低平地においては、東海ネーデルランド高潮・洪水地域協議会が設置され、巨大台風に対する大規模な事前広域避難について検討がされている。そこで本研究では、名古屋市内の港区、南区、中川区の伊勢湾台風被害のあった公立小学校計6校の5年生もしくは6年生の保護者対象にアンケート調査を行った。その結果、事前広域避難そのものへの認識が低く、現状では円滑な広域避難は期待できないこと、ほとんどの家族が浸水域内に避難してしまうこと、大多数がマイカーで移動することが予想され、渋滞・駐車場対策が必要であることを述べた。また、上陸時間によって避難開始の時間が異なることから、呼びかけのタイミングが重要である可能性があることなどを指摘した。
著者
久保 慎也 二宮 順一 森 信人 馬場 康之 水谷 英朗 久保 輝広 内山 雄介 渡部 靖憲 山田 朋人 大塚 淳一 猿渡 亜由未
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_487-I_492, 2016
被引用文献数
1

台風イベント時の水温躍層の破壊・再形成のプロセスに着目して,観測データの解析を行うことでプロセスの経過について検討した.水温躍層は水域内の流動に大きな影響を与え,水質問題が生じる要因にもなるため,詳細な現象の把握が求められている.そこで本研究では,台風イベント時の観測データからブラント・バイサラ振動数およびリチャードソン数を算出し,成層の安定性を評価した.その結果,密度成層期には,まず高波浪により成層の安定が崩され強風により更に不安定さが促進されるという仮説を得た.また,混合期は成層が不安定で,台風接近前からシア流の不安定が生じていて混合が生じていることがわかった.これらの結果を踏まえて,更にTS図を作成し混合期の水塊の特性を評価した.
著者
荒木 雅弘 溝上 章志 円山 琢也
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.I_323-I_335, 2015 (Released:2015-12-21)
参考文献数
10
被引用文献数
9

近年,熊本市では,中心市街地の魅力と活力向上のために様々な施策がとられている.その中でも,人々の回遊行動を促進させることは,中心市街地を活性化させる有効な施策のひとつであると考えられている.そのためには,歩行者の回遊行動の実態を詳細に分析し,回遊行動に影響を及ぼす要因とメカニズムを明らかにすることが必要である.本研究では,街路構成指標なども説明変数として導入して,まちなかの空間的魅力向上のための政策提言に活用できるモデルを構築する.その後,現在熊本市が計画している桜町地区の再開発事業「桜町地区第一種市街地再開発事業」が来街者の回遊行動に与える効果を政策シミュレーションによって分析することを目的としている.
著者
仲吉 信人 大久保 洸平 Alvin C.G.VARQUEZ 神田 学 藤原 忠誠
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.I_1741-I_1746, 2013 (Released:2014-03-31)
参考文献数
8
被引用文献数
1

This paper analyzed the behavior of sea breeze (hereafter SB) penetration to urban area in Kanto. In order to analyze SB penetration, we proposed a new method for SB-front detection using very high-resolution-geostationary satellite images, or MTSAT-2 Rapid Scan, with 1 km-spatial and 5 min.-temporal resolution. From the images, the detailed behaviors of SB were successfully visualized. For the selected SB events, the penetrations to in-land from Tokyo bay and Sagami bay were discussed using the point data of AMeDAS and Atmospheric Environmental Regional Observation System (AEROS), and also a result from the meso-scale simulation, where the important urban effects were parameterized (e.g., actual aero-thermodynamic parameters, anthropogenic heat and vapor emission). Along Tokyo-Saitama line, SB stagnation occurred in every sea breeze event. The observed higher air temperature and convergence resulted in increased vertical mixing, leading to SB stagnation.
著者
江口 忠臣 室 達朗 THAI TRAN DANG
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集
巻号頁・発行日
vol.2003, no.735, pp.93-103, 2003
被引用文献数
1

本研究の目的は建設車両の車両制御, 走行性能向上に資するため, 地盤上における建設車両用タイヤの弾性挙動特性および純粋転動特性を明らかにするものである. 従来, 簡易的にタイヤの等価縦弾性係数が接触地盤の等価縦弾性孫数より大きい時, タイヤは剛性車輪であると見なされてきた. 供試地盤上において載荷, 純粋転動試験を行い, 3種類の低内圧における特性について調査した. その結果, タイヤ沈下すなわち地盤表層破壊は載荷重よりもタイヤ設定空気圧に依存し, タイヤの等価縦弾性係数が接触地盤の等価縦弾性係数より大きい場合においてもタイヤが弾性挙動を示すことが明らかになった. タイヤ沈下はフローテーション性に大きく影響することから, 空気圧制御により走行性能を改善できる可能性を示した.
著者
江口 忠臣 室 達朗 TRAN Dang Thai
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集
巻号頁・発行日
vol.2003, no.749, pp.111-121, 2003
被引用文献数
5

本研究の目的は建設車両の高精度車両制御に資するため, 地盤上における建設車両用タイヤの制動特性および駆動特性を明らかにするものである. タイヤと地盤の接触作用は非線形力学の最も困難な問題のひとつであり, 半実験的方法によって性能予測が可能となる. そこで, 供試地盤上において載荷, 制駆動試験を行い, 3種類のタイヤ空気圧設定における特性について調査した. 純粋転動時と同様にタイヤ空気圧設定による地盤表層破壊抑制効果が明らかになり, スリップ率の変化に伴う制駆動特性の詳細が判明した. また, 離散化タイヤモデルによるタイヤ変形形状を基にしたシミュレーション方法を提案し, それに基づく数値解析の結果と実験値との比較を行うことによって走行性能予測の精度について検討した.
著者
水野 直樹 松島 学 溝渕 優
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集
巻号頁・発行日
vol.1994, no.504, pp.33-42, 1994

近年, 我国の舗装設計の在り方は, 周辺環境に調和するために快適性などを考慮する設計上の配慮が要求されている. 本論文は, こうした社会的な要請に鑑み, 設計者に対して全面支援するシステムの開発を目指したものである. 本システムは, (1) 舗装材料のデータベースの構築, (2) 景観パース図の作成, (3) 景観評価機能を備えたシステムである. なお, 景観評価にはファジィ理論を用いて総合評価を行うものである.
著者
稲本 健太朗 岡田 昌彰
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
環境システム研究論文集
巻号頁・発行日
vol.35, pp.47-52, 2007
被引用文献数
1

本研究では, 月刊雑誌や観光ガイドブックにおける記述内容をもとに, 京都タワーの社会的イメージの変遷を解明した. 設立当初より建設反対論に並行して, 京都タワーは意外性とともに外観の美が認識され, さらに京都のシンボルあるいは地元の風景といった京都自体とのイメージ的結びつきも発現している. また, 1990年代前半まで漸増していた高さ認識に伴うランドマーク性は1997年の新京都駅ビル完成後に割合が減少していく.<BR>いっぽう, 当初設計におけるモチーフとして「蝋燭」なる通説が定着する現象が明らかとなった. このことは塔のイメージと形態ならびに立地地区の地理的条件, 及び社会的背景との関係性を示唆している. 設立40周年を迎えた近年においては京都タワーの歴史的系譜そのものに対する関心も生じてきていることがわかった.
著者
富所 弘充 岸 功規
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
地震工学論文集
巻号頁・発行日
vol.29, pp.1456-1459, 2007

平成17年3月20日に発生した福岡県西方沖地震は、福岡県を中心に甚大な被害を引き起こした。国営海の中道海浜公園においては、園路・広場の亀裂、水道管の破裂、建築物の傾き等多大な被害が発生した。災害時の広域避難場所に指定されている当公園では、地震によって高まった地域住民の防災意識の維持を図ることを目的として、震災地の保存・展示を実施することにした。保存・展示は、既存事例を参考にしつつ、公園の機能を損なわないよう配慮し、自然物である地割れについては原寸大模型を作製、人工物である傾いた建築物については場所の移設、によって実施した。今後は、室内において震災の様子をパネル等で展示することにより、多くの人に震災の脅威や防災の大切さを伝えていきたいと考えている。
著者
中嶋 悠人 山中 英生 真田 純子
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.I_747-I_754, 2014 (Released:2015-05-18)
参考文献数
8
被引用文献数
1

クロスバイク,ロードバイク等のスポーツサイクル(以下SC)は,普及しているシティサイクル(以下CC)に比べ,高速・長距離・長時間の走行が可能であり,全身運動にも優れているので,中距離通勤や健康活動に適しており,環境や健康に資する自転車利活用する上でSCの活用が着目されている.また,車道で走行するSC利用者は,歩道走行が中心のCC利用者に比べて,安全走行の手本(マナーリーダー)になり得ることが期待される.本研究では,SC利用者が,CC利用者よりも本来の自転車ルール・マナーに対する認知及び走行態度の安全性が高まっているかについて検証することを目的に,両者の自転車ルール認知度,運転態度を比較した.その結果,SC利用者の中でもレベルが高いロングサイクリストがマナーリーダーになる可能性を有していることが明らかになった.
著者
赤松 隆 大澤 実 長江 剛志 山口 裕通
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.I_1-I_19, 2016 (Released:2016-12-23)
参考文献数
10

東日本大震災では,石油精製・輸送施設の損壊を背景に,東北地域は長期にわたる深刻なガソリン不足に直面し,地域全体の社会・経済活動が大きく低下した.本研究では,ガソリン販売統計と港湾間の移出入統計を用いて東北地域における発災後一ヵ月間のガソリン需給ギャップを分析し,ガソリン不足の主要因が供給(輸送)戦略の失敗であったことを示す.その上で,日本海側港湾を活用してガソリンを早期に大量供給する輸送戦略を提案し,それによりガソリン不足がいかに軽減されるかを示す.結果として,提案輸送戦略に必要な追加的陸上輸送費用は高々2~3億円程度である一方,経済損失軽減効果は1500~2500億円に上ることを明らかにする.また,ガソリン価格の操作により経済損失の軽減を図る戦略は大規模災害時には不適当であることも論ずる.