著者
相馬 秀廣 高田 将志 舘野 和己 小方 登 伊藤 俊雄 白石 典之
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、QuickBird, Coronaなどの高解像度衛星画像をベースとして,地理学・歴史学・考古学・第四紀学などが連携した文理融合的研究を通して,点から線さらに面への空間的視点,および,過去から現在あるいは現在から過去への時間的視点の両側面から,囲郭・集落(居住拠点跡),耕地・耕地跡(生産活動),水利用(灌漑水路跡),それらの空間的関係(施設配置,シルクロード,交通路),さらに放棄後の景観変化などを例として,中央アジアから中国,モンゴルにかけての乾燥・半乾燥地域を主な対象として,遺跡立地と景観復元に関わる方法論,衛星考古地理学的研究法を確立することを目的とした.2012年度は、2011年度に引き続き,モンゴル南部オムノゴビ県のサイリン・バルガスン遺跡および周辺地域において,モンゴル科学アカデミー考古研究所の協力を得て,研究分担者の白石を中心として、囲郭の詳細,灌漑水路跡の有無確認などの現地調査を8月に実施した.また、6月には、研究分担者の小方が「1960年代に撮影された偵察衛星写真の遺跡探査・歴史的景観復原における有用性」のタイトルで、京都大学で開催された日本文化財科学会第29回大会で、成果の一部を発表した。しかしながら、研究代表者相馬の予期せぬ急逝により当該研究の遂行が不可能となったため、残念ながら本研究課題は、8月11日をもって終了することとなった。
著者
石坂 友司
出版者
奈良女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究は、1998年の開催から10年を経過した長野オリンピックの開催地域が、大会によって得られた遺産をどのように活用し、意義づけているのかを評価するとともに、各開催地域がどのような変容を経験しているのかについて、それぞれの取り組みから明らかにすることを目的とした。多額の投資にもかかわらず、現在でもポジティブな影響が見られるのは一部の地域にとどまり、多くの地域では借金や競技施設の後利用に課題を抱える結果が浮き彫りとなった。一方で、カーリングに代表されるように、遺産を積極的に運用し、スポーツを文化として育むことを目指す地域の取り組みもみられ、そのことを実証的に明らかにした。
著者
三方 裕司
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

細胞親和性に優れた,特定金属イオンに対する高感度蛍光プローブ分子の開発研究を行った。金属配位部位と蛍光団を兼ね備えた分子をデザイン・合成し,その重金属イオンに対する蛍光プローブとしての機能を細胞外,細胞内で詳細に検討した。また,糖部位の導入による水溶性の向上と化合物の毒性軽減効果も検討した。配位子の精密設計により,亜鉛,カドミウム,水銀イオンに対する選択的蛍光プローブの開発に成功した。本研究成果は,次世代の蛍光センサー分子創製のための重要な指針を提供することにつながると期待される。
著者
岡島芳昭
出版者
奈良女子大学
雑誌
學習研究 (ISSN:09116117)
巻号頁・発行日
vol.197, pp.46-51, 1969-02
著者
麻生 武
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

研究成果は大きく分けて2つある。1つは、対象乳児Uの生後2年目の手書きの縦断的日誌観察データを、デジタル化して、約20のテーマに分けてファイル化したことである。これによって、「自己の発達」に関する、周辺テーマを含めた総合的な研究を行うことが可能になった。もう1つは、そのようにテーマごとに整理されたデータを利用して、「自己の発達」に関する、具体的な研究を行ったことである。その成果は、細分化すると3つに分けることができる。1つ目は「イタイ」ということばの獲得をめぐる理論的な問題をまとめ、学会発表や論文にまとめたことである。2つ目は、生後2年目に子どもが「他者」に出会っていくプロセスを、今回整理したデータを利用して論文化したことである。3つ目は、子どもが他称詞や自称詞を獲得していくプロセスについて、学会発表し論文化したことである。「呼び名」としての他称詞と「対象の名前」としての他称詞との間にあるギャップや、「自分の名前」を子どもが口にすることの意味など、生後2年目の"自己"をめぐる新たな謎を浮かびあがらせることができた。
著者
磯田 則生 久保 博子 都築 和代 東 実千代 光田 恵 佐々 尚美 萬羽 郁子
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

省エネルギーと個人の適応能力に着目し、住居の最適空調環境を明らかにするため、一連の温熱環境実測調査と空気環境調査、人工気候室での環境適応実験と空気質実験を行った。その結果、冬期のトイレや浴室環境の劣悪さ、環境共生住宅や半地室の快適性や断熱改修の高齢者の健康生活への効果を示した。又、空気環境の悪化の懸念と臭気環境の制御の重要性が明らかになった。さらに、省エネルギーを意識すると、夏期の快適温度が1℃上昇することや、寒さに弱い被験者や高齢者の温熱的特性について示した。
著者
今岡 春樹
出版者
奈良女子大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

2台のデジタルカメラから得られた2枚の画像から,3次元人体形状の奥行き情報を得る装置を開発することが目的である.この際にランダム柄の密着衣服(レオタード)を着用すると,2枚の画像間の対応が明確になり便利であるランダム柄密着衣服については,大型のプリンターで布にランダム柄を印刷し,実際にレオタードを試作し着用実験を行った.一昨年度購入したレオタード作成CADを用い,7種類の異なる縫製部位を持つ型紙について,最もフィットする型紙がどれであるか,またフィットするとはどこを評価すればよいかを研究した.その結果ブラウス原型が最もフィット性が高く,その評価においては服とボディの空隙量を用いることが良いことが示された.この結果は学会で発表した画像の対応関係から注目点の奥行きを計算するには,2台のカメラの位置情報(外部パラメータ)とレンズや焦点距離の位置情報(内部パラメータ)が必要になる.昨年度購入したデジタルカメラについてその内部パラメータの同定(キャリブレーション)を行った.キャリブレーションの方法としては,2度にわたって行列の最小固有値を求めることが基本であり,対応する固有ベクトルの向きを定めることが,内部パラメータでは影響しないが,外部パラメータでは影響することを見出し,ヒューリスティックによる解法を定めた,データの標準化によって精度が向上すること,最終的な精度としては±0.4mm以内であったことは,学会で発表した
著者
山本 智子
出版者
奈良女子大学
雑誌
奈良女子大学社会学論集 (ISSN:13404032)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.97-114, 2010-03-01

The purpose of this study is to criticize a medical and a psychological supports of AD/HD children and to reconsider the alternative way of supporting with the perspective of "Clinical Sociology". I do not think, however, "Clinical Sociology" is defined clearly yet because Clinical Sociologist do not have the specific way to enter the problematic matters or situations now. Therefore, nowadays, if somebody has some problem, he will be usually supported with the medical or the psychological theories or therapists. In this point, I doubt that those supports make effort to solve their problems or not. The reasons why I doubt those supports are efficient or not are that they usually solve the problem to divine suffering people from the context that they live. I believe the problems that AD/HD children have are not clearly occurred by the biological disorders but the quality of the interactions in the society.The therapists use "Social Skill Training" for training the attitudes of AD/HD children to change the better way. This training is done in the classroom or the other small spaces where children do not actually live. For example, an AD/HD child is determined to have a problem with social skill like a greeting, he forced to learn how to greet nicely toward the other people in the classroom but in the real context. How does he learn this? I think that he just learns the words he is expected in the society but he does not understand the meaning of the importance of the greeting. Although the medical or the psychological theories or the therapists focus on the biological aspect and try to change AD/HD children themselves, the practice of Clinical Sociology has the possibility of understanding the meaning of the problem and can look for the real supports of AD/HD.
著者
成瀬 九美 藤原 素子 星野 聡子
出版者
奈良女子大学
雑誌
奈良女子大学スポーツ科学研究 (ISSN:13449885)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.49-53, 2006

本稿は、財団法人奈良市生涯学習財団から依頼を受けて実施した中部公民館主催事業「平成17年度ヘルシー&ハッピー講座」の実施報告である。当講座の開催主旨を述べ、実施プログラムの概要を報告する。また、受講者に実施したアンケート結果から、参加中高年者の運動による気分評価や本講座への評価を収集するとともに、今講座に対する評価を分析し、今後の実践に向けた課題の探求を試みた。
著者
栗岡 幹英
出版者
奈良女子大学
雑誌
奈良女子大学社会学論集 (ISSN:13404032)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.133-151, 2010-03-01

Today, the Internet has been grown up influential means of communication. Many writers inform various knowledge and opinions on it. But those discourses are not always good or right. For example, some doctors react against sufferers' claim of medical malpractices and attack them by means of blogs or other communication tools on Internet. Some of them are very harmful to those sufferers and cause conflicts between doctors and patients. This paper aims to analyze the discourse of doctor's blogs and Wikipedia Japan to examine the Internet as means of communication. Through doctor's blogs and other tools of communication many misunderstandings have been produced and they seem to become truth if once produced in mutually referred quotations and spread over the Internet. And those wrong information will remain over a long period and it will be very difficult to correct it. So, I think the Internet has not been the Public Sphere of Discourse today and we will need huge effort to grow it to fair arena.
著者
川端 泉 山崎 勝弘
出版者
奈良女子大学
雑誌
家政學研究 (ISSN:02867036)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.31-35, 1960-12
著者
千本 英史 小川 豊生 山口 眞琴 増尾 伸一郎 谷口 洋
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

サンスクリット仏典での「偽書」のあり方、中国漢文文献における「偽書」の取り扱い方について報告を受け、討議・調査した。それらが東アジアの漢字文化圏(朝鮮・韓国、ヴェトナム、日本)においてそれぞれどのように受け継がれて、「偽書」を生み出していったかについて、調査し、個々の事例に則してその実態を考究した。この三国にあっては、ことに中国との関係をめぐって、また近代植民地支配の中での「偽書」の性格に大きな違いが見られた。
著者
矢野 重信 小宮 克夫 加藤 昌子 塚原 敬一 佐藤 光史
出版者
奈良女子大学
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1991

当研究室では生体中での酵素系の作用機序を念頭において、アミノ酸や糖質などの生体関連物質と遷移金属イオンとの相互作用に対して配位立体化学的に詳細な検討を行い、それらに高度な立体化学制御機能を賦与することを目指し研究を進めてきた。本研究では、我々のこれまでの蓄積を基盤にして、分子識別能を有する金属錯体を設計し立体化学制御に関する知見を広げ、さらに当研究室で独自に開発した金属錯体の化学修飾法を用いて金属錯体を機能素子とする高分子錯体等の高機能性複合系の開発を目指し研究を行った。まず光学活性なポリアミンとエチレンジアミン二酢酸型配位子の混合配位Co(III)錯体の立体化学制御機構について詳細に検討した。その結果複数個の配位窒素原子に対するアルキル基の位置選択的置換により金属錯体の絶対配置を高度に制御できることを明らかにした。また分子間の水素結合を介する分子識別能を有する金属錯体の設計を目指して、二糖のNi(II)グリコシルアミン錯体の合成とキャラクタリゼーションを行った。良好な結晶が得られたD-マルトース錯体についてX線結晶構造解析を行った。その結果、二糖分子内での水素結合が見られた他、錯体分子が糖ユニットの水酸基間での水素結合を介して二量化していることが判明し、金属錯体による分子識別能の発現にとって重要な知見を得た。さらに非配位の水酸基を有するポリアミノポリカルボン酸を配位子とする陰イオン性Co(III)錯体に対し、当研究室で独自に開発したクリプタンド可溶化法を用いる各種酸無水物との反応により錯体の非配位の水酸基を反応点とするエステル化に成功した。脂肪酸無水物の場合には水中でミセル形成能を示す金属錯体をヘッドグループとする新規界面活性剤の開発に成功した。さらに高分子化可能なクロトン酸およびメタクリル酸残基が連結した錯体の合成にも成功した。以上の知見を基に金属錯体の高電子化について検討している。
著者
勝川 路子
出版者
奈良女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

レモングラスは調味料や香料として世界的に広く利用されているハーブであり、鎮痛や消炎作用を目的として用いられるが、その分子メカニズムは明らかになっていない。本研究において、我々はプロスタグランジン産生に重要な酵素であるCOX-2や生活習慣病の分子標的であるPPARを指標としてレモングラス精油の評価を行い、レモングラス油主成分のシトラールがCOX-2を抑制し、PPARを活性化することを同定した。
著者
嶽村 智子
出版者
奈良女子大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

昨年度に引き続き、多様なモデルに対応する確率過程の構築を目指し、その性質を研究することを目的とし、研究を行った。昨年度の成果をもとに、斜積拡散過程と調和変換に関して研究を行った。一次元拡散過程と球面上のブラウン運動によって構成される斜積拡散過程を考察し、コンパクト多様体の内部を運動し、境界ではジャンプや消滅が起こりうる過程に対する再帰性の判定法について結果を得る事ができた。これは、昨年度取り扱った極限定理で現れる極限過程に対応する過程についての再帰性の判定法である。斜積拡散過程に対する再帰性については、今までも議論はあったが、斜積拡散過程を構成する過程と斜積を構成する測度の性質から斜積拡散過程の再帰性を判定するものであり、斜積拡散過程の性質から斜積拡散過程を構成する過程についての性質を得るというものについては研究がなされていなかった。本研究では、一次元拡散過程と球面上のブラウン運動との斜積拡散過程を取り扱う事により、一次元拡散過程の再帰性と斜積拡散過程の再帰性が一対一に対応していることがわかった。この結果は、球面上のブラウン運動という非常に良い性質をもつ過程を取り扱ったことにより得る事ができるが、球面上のブラウン運動に限らず、コンパクト多様体に関しても同様の結果を得ることができる事が予想される。これらの研究により、多様なモデルを取り扱うことができ、力学モデルの分野において応用が期待される。また、調和変換と呼ばれる場に依存する確率過程の変換について研究を行った。