著者
天野 由貴 隅谷 孝洋 長登 康 稲垣 知宏
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. コンピュータと教育 (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2019, no.19, pp.1-6, 2019-11-08

広島大学では,学部新入生必修科目「大学教育入門」を開講している.その全15回のうち1回の「アカデミック・プレゼンテーション」の章で,反転授業をおこなっている.本研究では,事前学習動画で人物が映っていて説明しているものと,スライド映像に音声をつけているだけのもの2種類を用意し,新入生を約半分に分けて提供した.その視聴行動や小テストの得点にどういう影響を与えたかを比較した.
著者
大道 竜之介 伊藤 仁 伊藤 彰則 牧野 正三
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. [音楽情報科学] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.85, pp.J1-J6, 2010-05-27
参考文献数
10

歌唱音声の新たな評価指標として 「熱唱度」 の導入を提案する.聴取実験の結果から,歌唱音声中のビブラートおよび呼吸音が,熱唱の知覚に関与することがわかった.本稿では, 歌唱音声におけるビブラート,有声呼吸音,声門破裂の 3 つの特徴を挙げ,これらを定量化する音響特徴量について検討する.34 名の歌唱音声に対する聴取実験から得た,熱唱度の聴取実験スコアと,複数の音響特徴量との重回帰分析を行い,それらの間に重相関係数 0.45 を得た.We propose introducing "enthusiasm" as a novel index of singing voice. The result of the listening experiment by human subjects suggests that both vibrato and breath sounds in singing voice concern human perception of enthusiasm. This paper describes our experiments to quantify 3 features in singing voice; vibrato, voiced breath sounds and glottal plosion. As a result of the multiple linear regression analysis between perceived enthusiasm score evaluated by the listening experiment with singing voice recordings of 34 people and some quantified acoustic features, we reached multiple correlation coefficient of 0.45.
著者
金久保 正明
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.52, no.8, pp.2495-2506, 2011-08-15

近年,いわゆる「ことば工学」の一環として,駄洒落,なぞなぞ等の言葉遊びをコンピュータで自動生成する研究が始まっている.駄洒落を謎解きとするタイプのなぞなぞ生成システムもすでに研究開発事例はあるが,なぞなぞ質問文のテンプレートが決められ,それに特化した単語データベースが用いられている.そこで本論文では,概念の上位下位の体系や格フレーム等の一般的な概念データベースからなぞなぞ生成を試みる.具体的には,格フレームの連結に相当する文型を定義し,一般的な概念体系を用意する.駄洒落を形成する2語のそれぞれから上位概念をたどり,共通する文型があれば,答えとすべき単語は上位概念で伏せ,質問文を提示する.難度を高めるため,提示する方の単語を異音同義語で隠したり,謎解きに英語読みを用いたりする等した.被験者に解答してもらう実験では,人間が作成するなぞなぞと同等以上の難度を有し,面白さと意外性を持つなぞなぞが生成されることが確認された.Some systems which generates Japanese punning riddles have been proposed. However, these systems employed special concept dictionaries and templates used to generate the surface texts. This paper proposes the generation system of Japanese riddles using only a general concept dictionary. This paper shows subjects experiments in order to confirm the validity of the proposed system.
著者
鍵福竜也 松原 繁夫
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.2457-2465, 2012-11-15

本研究では逐次参加型m票先取の投票方式の性質を調べる.投票は優れた意見集約法の1つであるが,状況により適した投票方式は異なる.本稿では,投票結果に対する責務などの点で投票参加に費用を要すると仮定する.このとき,強制参加のように全員に投票を強いる方式は,大きな費用が発生する.一方,ランダム意思決定では費用を削減できるが,意思決定の品質に疑問が生じる.つまり,集合的意思決定の品質向上と投票に要する費用削減をどう両立させるか,という課題が存在する.この課題を検討するため,本稿では逐次参加型m票先取の投票方式に着目する.これと類似した投票方式は人気投票などで用いられているが,その性質はまだ十分に議論されておらず,より広範な応用への妨げとなっていると考えられる.そこで,本稿では,可決票数mの設定法や,他の投票方式と比較しての有効性などを明らかにする.本研究の貢献は,(1)投票参加に費用を要する場合の逐次参加型投票モデルの構築,(2)動的計画法を用いた最適投票戦略導出法の考案,(3)可決票数mや投票期間などの設計パラメータの影響の分析,(4)意思決定の品質向上と投票費用削減の両立という点で,逐次参加型m票先取投票方式が有効となる状況の解明である.This paper examines the property of the m votes to win mechanism with sequential participation. Voting is an effective way to achieve a collective decision making but a suitable voting system depends on the environments. This paper assumes that voting behaviors may incur a cost, for example, because voters have a responsibility for their votes. In this case, compulsory voting incurs a larger cost. Random decision making can reduce the cost for voting but is skeptical in the quality of decision making. That is, we face the problem of how to improve the quality of collective decision making with the reduction of the cost for voting. To consider this problem, this paper focuses on the m votes to win mechanism, which can be seen in the case of popularity polls. However, the property of the m votes to win mechanism has not sufficiently studied, which prevents its use for various situations. Thus, we try to answer the questions include how to find an appropriate value of m and what situation this mechanism is superior to other mechanisms. The contributions of this paper are (1) providing the model of the costly voting with sequential participation, (2) developing a method of calculating the optimal voting behavior based on dynamic programming, (3) providing the information for selecting the design parameters such as m, the length of the voting period, and (4) clarifying whether the m votes to win mechanism is superior to other voting mechanisms.
著者
都築 佳生 村田 嘉利 佐藤 文明 水野 忠則
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. マルチメディア通信と分散処理研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.112, pp.55-60, 2003-03-20
参考文献数
5

警察庁の統計によると2002年1〜5月における重要窃盗犯の件数は20万件に迫ろうとしており、年々増加傾向にある。その一方で検挙件数は低下傾向にある。窃盗犯やストーカに対抗するため、一人暮らしの女性を中心にビデオカメラ付きインターフォンを利用して帰宅前に訪問者を確認したい等の自己防犯システムヘの要求が強まっている。ビデオインターフォンとiモード端末とをサーバを介して接続した上で、ビデオカメラ付きインターフォンとPHSを組み合わせたCTI技術の適用により、高セキュリティーを確保しつつリモート通話、自宅周辺の映像モニタリングおよび施錠状況等の遠隔確認を可能とする防犯システムを開発したので報告する。
著者
川本 真一 足立 吉広 大谷 大和 四倉 達夫 森島 繁生 中村 哲
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.250-264, 2010-02-15
被引用文献数
2

視聴者の顔をCGで再現し,CGキャラクタとして映画に登場させるFuture Cast System(FCS)を改良し,視聴者から収録した少量の音声サンプルを用いて,視聴者に似た台詞音声を生成するため複数手法を統合し,生成された台詞音声をシーンに合わせて同期再生することで,視聴者の声の特徴をキャラクタに反映させるシステムを提案する.話者データベースから視聴者と声が似た話者を選択する手法(類似話者選択技術)と,複数話者音声を混合することで視聴者の声に似た音声を生成する手法(音声モーフィング技術)を組み合わせたシステムを構築し,複数処理を並列化することで,上映準備時間の要求条件を満たした.実環境を想定してBGM/SEを重畳した音声によって,従来手法である類似話者選択技術より得られる音声と,提案法で導入した音声モーフィング技術より得られる音声を主観評価実験により評価した結果,Preference Scoreで56.5%のモーフィング音声が目標話者の音声に似ていると判断され,音声モーフィングを組み合わせることでシステムが出力する台詞音声の話者類似性を改善できることを示した.In this paper, we propose an improved Future Cast System (FCS) that enables anyone to be a movie star while retaining their individuality in terms of how they look and how they sound. The proposed system produces voices that are significantly matched to their targets by integrating the results of multiple methods: similar speaker selection and voice morphing. After assigning one CG character to the audience, the system produces voices in synchronization with the CG character's movement. We constructed the speech synchronization system using a voice actor database with 60 different kinds of voices. Our system achieved higher voice similarity than conventional systems; the preference score of our system was 56.5% over other conventional systems.
著者
藤井 彩恵 内山 彰 梅津 高朗 山口 弘純 東野 輝夫
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.10, pp.3601-3611, 2008-10-15

本論文では,正確な位置情報を発信する固定ノード(ランドマーク)や他の移動ノードとの遭遇情報を収集し,それらを用いて移動ノードの軌跡をオフライン(非リアルタイム)で推定する手法を提案する.提案手法では,ランドマーク間を最も直線に近い軌跡で移動したと考えられるノードの移動軌跡を推定し,その移動軌跡を他のノードの軌跡の推定に用いるという処理を繰り返す.さらに,シミュレーテッド・アニーリング(SA)を用いて,全移動端末の軌跡を一括して修正することにより,移動軌跡の精度を向上させる.シミュレーション結果より現実的な環境下で推定誤差が最大無線到達距離の40%程度に抑えられることを確認した.In this paper, we design and implement an algorithm to estimate the movement of wireless terminals. The proposed method relies on the history of ad hoc wireless communication between those terminals and the landmark stations to track the movement of each terminal. The principle of the algorithm design lies in iterative refinement of their positions so that they finally settle in appropriate positions that satisfy the constraints derived from the given communication history. We have evaluated the performance of our algorithm by simulations and confirmed that the average position estimation error was less than 40% of the wireless range with realistic settings.
著者
坂崎 尚生 側高幸治 長谷部 高行 山田 朝彦 大岩寛
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.2194-2203, 2012-09-15

2011年6月30日に政府・与党社会保障改革検討本部から社会保障・税番号大綱(案)[2]が示された.社会保障・税番号制度は,社会保障や税制を一体的にとらえ,社会保障給付等の効率性・透明性・公平性を高めようという観点から導入が検討されてきた社会基盤である.上記番号制度は社会保障・税分野で利用することを目的とした制度であり,民間への利活用は現段階では検討範囲外である.そこで,産業競争力懇談会(COCN)では,民間への利活用をテーマに,番号制度が国民に安心・安全な社会基盤として受け入れられるように,番号制度の民間利用に関する脅威分析を行い,セキュリティ対策を検討した.本論文は,医療,製品安全,金融の分野での想定したユースケースを基に,課題とその課題を解決するための技術的・制度的対応策をまとめたものである.We discuss the threat analysis in expansion of the use of the social security and tax number system. In this paper, we describe security countermeasures of the number system based on the medical treatment usage, the distribution industry usage and the financial usage.
著者
松本 敬 遠藤伶 重野 寛
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.1310-1319, 2010-06-15
被引用文献数
2

P2Pファイル共有において,レアリティが高く入手の難しいブロックが発生し,ブロック収集効率が下がるブロックのレアリティ問題が存在する.ブロックとは,共有するファイルをあらかじめ決められたサイズに分割した断片のことである.そこで,本論文ではブロック収集効率をあげるためにブロックのレアリティを考慮したブロックを効率的に分散させるP2Pファイル共有手法CASの提案を行う.CASではレアリティ問題の原因であるブロックの分散速度とピア離脱の2点に対処することで,ブロックを収集するための効率をあげる.さらに,シミュレーション評価を行い,ネットワーク内のピア数に変動がない場合にネットワーク内の全ピアがファイル復元に要する時間が,CASは既存手法と比べ60%に短縮されることを示した.This paper discusses a rarity problem of blocks in P2P file sharing that degenerates the blocks collection efficiency of peer by the blocks that have high rarity and thus difficult to obtain it. Blocks are the divided fragments of shared files as which size is decided previously. The aim of this proposal is to improve the blocks collection efficiency of peer in P2P. We propose CAS which is a P2P file sharing method for efficient distribution of blocks that considers the rarity of blocks. In the proposal, CAS deals both the dispersion speed of blocks and the peer departure to improve the blocks collection efficiency. Moreover, we show through simulations when number of peer is stable that CAS reduces file reconstruction time of all peers in network to 60 percent than traditional method.
著者
小倉 加奈代 田中 唯太 西本 一志
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告 ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.20, pp.1-8, 2012-05-25
被引用文献数
2

本稿では,大皿料理のように,共食者が料理を共有する共食場面において,しばしば見られる「遠慮のかたまり」という状況がどのような状況かを明らかにすべく,大皿上の料理の残量が最後の一個,最後の一口に近づくにつれ,食事をしている人々の取り分け行動にどのような特徴,変化がみられるのかに着目した分析,考察を行った.その結果,食事開始中盤から終了前にかけて,取り分け行動の停滞,停止が起こり,その停滞,停止直後に起こった取り分け行動が短い間隔で 2,3 度連続して起こることがわかった.この,停滞→取り分け行動の活発化という流れが「遠慮のかたまり」につながる最後の一個に向けての準備行動である可能性があることがわかった.In this paper, we try to analyze serving food to reveal a situation of "the last on piece of food". When we analyzed video data of table talks with some platters, we focused on serving food for each platter and for dining table. As a result, we confirmed situations of suspending serving foods from middle stage to end often occurred. In addition, we found after suspending serving food, serving food occurred continuously for short time span. A series of suspending and activating serving food is important for us to handle a situation of "the last one piece of food".
著者
池田 心 Viennot Simon
出版者
情報処理学会
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2012論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.6, pp.47-54, 2012-11-09

ゲーム木探索手法の発展・評価関数の精度向上・計算機資源の増大に伴い,コンピュータ囲碁・将棋の棋力は多くのアマチュアにとって十分な強さに到達しつつある.一方で,人間プレイヤを楽しませたり指導するための学術研究はボードゲームではあまり行われていない.本稿では,人間プレイヤを楽しませるために必要と思われる要素技術を列挙することを第一の目標としたうえで,モンテカルロ碁を用いた場合のアプローチをいくつか紹介する.
著者
田中康 飯田元 松本健一
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.1233-1245, 2005-05-15

ソフトウェアプロセスの適切なモデル化は,開発のフレームワークを提供するとともに,継続的なプロセス改善のベースラインを提供する意味においても重要な課題である.しかし,従来のプロセスのモデルは,変化を続ける現実の開発活動を適切にモデル化することが困難なために,当初定義したプロセスモデルが利用されず形骸化してしまう問題が起こっていた.そこで我々は,継続的なプロセス改善への適用に有効なプロセスモデルとして,成果物間の関連に着目したプロセスのモデル化方法「PReP(Product Relationship Process)」モデルを開発した.実際の開発プロジェクトに適用した結果,PRePモデルは,現実の開発活動のモデル化,理解の容易性,モデル化の柔軟性,そして再利用性にすぐれていることを確認した.PRePモデルを使用することにより,開発活動の実行とプロセスの継続的改善に効果的に利用できるプロセスモデルを定義することができる.
著者
荒井 翔子 大橋 学 伊藤 有紀 Uehara Juan Martin 増田 知之 Shoko Arai Manabu Ohashi Yuki Ito Martin Juan Uehara Tomoyuki MASUDA
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. EC, エンタテインメントコンピューティング (ISSN:21888914)
巻号頁・発行日
vol.2019, no.9, pp.1-4, 2019-06-03

店舗の環境を創り上げる要素の 1 つに,バックグランドミュージック (BGM) が挙げられる.買い物客の購買意欲を高めるためには,既存の BGM に頼るだけではなく,その店舗にフィットした新しい音環境や音源の開拓が必要である.現在,日本は空前の猫ブームに沸いており,猫の発するゴロゴロ音が人に癒しをもたらすと考えられている.しかしながら,これを実証する科学的根拠はほとんど存在しない.そこで本研究では,猫のゴロゴロ音が人の生理的状態にどのような影響を及ぼすか検討した.ストレス負荷課題をこなした実験参加者に猫のゴロゴロ音を聴かせたところ,ゴロゴロ音を聴いた群の心拍数は,猫への嗜好性を問わず,安静時の基準値よりも有意に低下することが明らかとなった.この結果は,猫のゴロゴロ音にリラックス効果があることを示唆しており,猫のゴロゴロ音が店舗での新規音源となるポテンシャルを秘めていることが明らかとなった.
著者
張 海峰 高島 健太郎 西本 一志
出版者
情報処理学会
雑誌
インタラクション2019論文集
巻号頁・発行日
no.1, pp.370-374, 2019-02-27

日常生活の中では,ある願望の実行を先延ばしすることがよく行われる.これを防ぐために,願望の実行を開始するためのモチベーションを喚起することが重要である.先行研究では,すでに遂行中のタスクのモチベーションを維持させる試みが多く行われてきたが,行動する「前」のモチベーションの喚起を試みた事例は少ない.そこで本研究では,行動開始のモチベーションを高めることを目的として,SNS上で表明された願望に対し,ユーザとそのフォロワーに対して,願望に関連する情報を継続的に提供することで実行開始を促す言霊テロシステムを提案し,その有効性をユーザスタディによって検証する.
著者
張 海峰 高島 健太郎 西本 一志
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. GN, グループウェアとネットワークサービス (ISSN:21888744)
巻号頁・発行日
vol.2019-GN-107, no.6, pp.1-8, 2019-03-11

日常生活の中では,何度も 「あることをしたい」 と言いつつ,長い時間が経っても行動に移さないという先延ばし行為がよく行われる.これを防ぐために,願望の実行を開始するためのモチベーションを喚起することが重要である.先行研究では,すでに遂行中のタスクのモチベーションを維持させる試みが多く行われてきたが,行動する 「前」 のモチベーションの喚起を試みた事例は少ない.そこで本研究では,行動開始のモチベーションを高めることを目的として,SNS 上で表明された願望に対し,ユーザとそのフォロワーに対して,願望に関連する情報を継続的に提供することで実行開始を促す言霊テロシステムを提案し,その有効性をユーザスタディによって検証する. : In our daily life, many people often procrastinate various things although they frequently say “I want to do that.” Such procrastinations cause a decline in the quality of life. In order to prevent the procrastinations, it is important to motivate them to start practice of their desires. In the preceding studies, there have been many attempts to maintain the motivation of tasks that are already underway. However, few cases tried to evoke motivation before starting acts. In this study, we propose a support system that motivates people to start action. This system watches tweets in Twitter to find manifests of desires. If a tweet including a manifest of a desire is found, this system starts to send related pieces of information to the desire to its sender and his / her followers until he / she achieves the desire. We conducted user studies and confirmed this system is effective to let the procrastinators to start actions on their desires.
著者
渡部 秀文 北川 晴香 斎藤 隆文
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. グラフィクスとCAD研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.139, pp.F1-F6, 2010-07-16
参考文献数
5

本報告では,多数の文献の参照関係を可視化した北川らの手法の改良手法として,ノード位置の自動補正の手法を提案する.北川らの手法は,文献をノード,その参照関係をリンクとしてグラフ形式で可視化する.ノード配置法については,横方向を文献の発表年にあてている.このことにより,先行研究の手法では把握が難しかった,文献発表年の前後関係が一目で把握できるようになった.しかし,縦方向については,同年の文献については単純に下から上に積み上げているだけであるため,ノード数が多くなるとリンクが乱雑になるため画面全体が塗りつぶされてしまい,概要情報が把握できなくなる問題がある.そこで本報告では,グラフレイアウト技術の 1 つであるばねモデルを応用し,ノードの縦方向位置を自動的に補正することで,リンクで接続されたノードを近くに配置する手法を提案する.また,北川らの手法ではノードの縦方向が固定されている上リンクの色が同一である.そのため,多数の文献から参照される文献の把握はできても,どのようなトレンドを持っているか,概要情報からの把握は困難であった.そこで,リンクの色を塗り分けることで,その問題を解決する手法を提案する.We propose methods to adjust the arrangement of nodes automatically for improving the method of Kitagawa et al which visualizes the relationship of references among the vast of papers. In Kitagawa's method, information of papers is visualized by a type of graph assigning papers to nodes, and relationships of references to links. In the theory of arrangement of the nodes, horizontal direction is assigned as published year. By this theory, we can know the order of publishing by a glance. But there is a problem that if the number of papers is vast, links are drawn messy and the display would be painted out because there is no special theory in the arrangement of the nodes by the vertical direction. As the result of this problem, we can't get any information from the overview. Therefore, we propose a method to adjust the vertical arrangement of the nodes automatically by applying "Spring model". On the other hand, in the Kitagawa's method, it is difficult to know the trend of reference from the overview because all the links are not only messy but also drawn by one color. Then, we propose a method to solve this problem drawing links by different colors.
著者
内海 慶 小町 守 町永 圭吾 前澤 敏之 佐藤 敏紀 小林 義徳
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告 (ISSN:18840930)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.4, pp.1-7, 2010-12

我々は,クエリ訂正を統一的に行う手法として,検索クエリログとクリックスルーログを用いたグラフに基づく手法を提案する.提案手法では,クリックスルーログを用いたラベル伝播により,入力されたクエリで検索を行った場合と同一のページに到達するクエリを獲得し,これをクエリの訂正候補とした.次に,獲得した訂正候補に対して,検索クエリログから生成した言語モデルを用いて尤度を計算し,ラベル伝播時のスコアとあわせて候補のランキングを行った.これによって,人手による学習コーパスを必要とせずに,入力されたクエリと高く関連し,かつクエリとして適切な候補をログから抽出できることを示す.In this paper, we propose a new method to refine web search queries. This method is based on a graph theoretic label propagation and uses web search query and clickthrough logs. Our method first enumerates query candidates with common landing pages with regard to the given query. Then it calculates likelihoods of the candidates, making use of language model generated from web search query logs. Finally the candidates are sorted by their scores calculated from the likelihoods and the label propagations. As a result, we are able to extract appropriate candidates from web search query and clickthrough logs, without using hand-crafted training data.
著者
望月 理香 永徳真一郎 茂木 学 八木 貴史 武藤伸洋 小林 透
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.30-38, 2012-01-15
被引用文献数
1

『心はだれにも見えないけれど「こころづかい」は見える.思いは見えないけれど「思いやり」はだれにでも見える』(宮澤,2010).という詩にあるように,人それぞれの感性を外から知ることはできないが,その感性をもとに起こした行動は客観的にとらえることができる.本研究では,感性を言葉やジェスチャなどの表現を駆使して伝えるのではなく,感性に紐付く各人の行動(その人にとっての経験)を介して伝えることで,各人に最適化された分かりやすい表現により,感性のコミュニケーションが可能となるモデルを提案する.近年,ユーザ間のコミュニケーションをサポートするためのツールやインタフェースが発展し,多種多様な表現によって情報を伝えることが可能となってきている.しかし,感性の伝達においては,同じ言語表現・ジェスチャ表現であっても表現に対応付く感性が個人ごとに様々であるため,表現の伝え手がイメージした内容と受け手がイメージする内容が一致するとは限らない.そこで,本研究ではライフログから抽出される自身の経験を介した感性コミュニケーションモデルを提案する.本モデルは,言葉などの表現方法だけでは伝えることが難しい伝え手のイメージを,そのイメージに対応付けられる受け手の経験を提示することにより,情報の受け手が伝え手のイメージを分かりやすく理解できる,という新しいコミュニケーションチャネルを与えるものである.本稿では,本研究で対象とする経験の定義と感性コミュニケーションにおけるアプローチ方法を述べた後,提案モデルの各Pointの概要,実装方法を述べる.続いて,提案モデルの実現において重要なポイントである情報の受け手に提示する経験の選び方の検討を行った.経験に対する「なじみ」の強さを1つの指標とすることで,受け手に分かりやすい経験を選ぶことが可能になると考え,被験者実験によってその有効性を示した."No one can see your emotion but we can see your action (Miyazawa, 2010)." That is to say, we can't see emotion but can recognize the emotion from the action it triggers. We propose an emotion communication model supplement the regular communication modalities of words and gestures. Many tools and interfaces have been developed to support user-user communication. Literal information can now be exchanged in various forms. However, user-user communication is imperfect since it remains impossible to communicate images. In this paper, we propose an emotion communication model that permits images to be exchanged and attendant algorithms that identify "symmetry" experiences to be mined from Life-logs. Experiments are conducted to discover the criteria needed for accurate experience identification. The model establishes new communication channel through an analysis of personal actions (based on Life-log) as related to emotion. Therefore, it eases misunderstanding and increases intelligibility since it draws on personal experiences. In this paper, we report the concept of the emotion communication model and describe how to process Life-log data for matching experiences. Then, we conducted experiments to confirm the impact of explanations based on quantitative similarity and those based on familiarity to confirm the effectiveness of the emotion communication model.