著者
小町 真之
出版者
放送大学
雑誌
放送教育開発センター研究紀要 (ISSN:09152210)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.119-135, 1993

TERADA Torahiko (1878-1935) was famous as an excellent physical scientist, and at the same time was popular as an essayist. The themes of his essays covered a wide range, including science, daily life, motion picture, education, HAIKU, etc. In this report, I want to discuss his essays concerning the Magic Lantern, Phonograph, Radio and Motion Picture, to introduce his thoughts on these forms of media as educational tools.
著者
佐藤 康邦 谷 隆一郎 三嶋 輝夫 壽 卓三 山田 忠彰 勢力 尚雅 高橋 雅人 熊野 純彦 下城 一 船木 享 湯浅 弘
出版者
放送大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

哲学的概念としての「形態」に関する問題は古くて新しい。形態という概念は、内容に対して事物の表面に漂う外面的なものを指す一方で、「かたち」という和語からして、かたいもの・確固とした真理という含意もある。西洋思想では、プラトンのイデア、アリストテレスのエイドスなど、古代ギリシアに遡りうる概念である。近世以降、機械論や還元主義を特徴とする自然科学の立場から、形態概念は排斥されがちであったが、美的形態や有機体の形態を扱うカントの『判断力批判』は、近代思想における形態論の先行例といえる。その形態論的発想は、むしろ、現代では、最先端の科学において見出される。構造主義生物学、ゲシュタルト心理学、認知心理学、量子論、熱力学(シナジェティクス)、複雑システムなどの多領域において、形態論の復権の動きが認められ、自然科学と人文科学との積極的対話の可能性が開かれつつある。倫理学においても、この観点から新たに検討されねばならないだろう。本研究では、形態という概念を手がかりに、人文科学としての倫理学の独自の意義と使命とを問い直すことを意図した。倫理思想史上の諸学説を形態論の観点から再考しつつ、応用倫理学や規範学という狭い領域に限定せず、現代の科学論における形態論復権の動向に対応する新しい倫理学の可能性を探究した。(1)古代ギリシア思想(2)古代ユダヤ思想(3)中世キリスト教思想(4)カントの形態論(5)近代思想(ドイツ観念論・イギリス経験論)(6)現代思想(7)科学論(8)藝術・文藝(9)日本近代思想(和辻哲郎・西田幾多郎・三木清)。以上の分野を専門とする研究分担・協力者を(若手研究者の研究発展にも寄与すべく特に留意)組織し、毎年度数回の全体会議において、各々の個別研究をふまえた対話・討論を行った。以上の研究成果は、最終年度に論集(成果報告書)としてまとめられたほか、別項11にある各員の業績を通じて公表された。
著者
宮下 志朗
出版者
放送大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

16 世紀にアントウェルペン(アントワープ)に移住したフランス人によって作られた、ヨーロッパ随一の印刷・出版工房を中心として、「文芸の共和国」をキーワードに、広い視野で文学・芸術を見るという目的は、一定の成果を収めることができた。プランタンが出版した『フランドル語・フランス語対照ことわざ辞典』にラブレーの短文が引用されていることを新たに発見した。アントウェルペンで活動したブリューゲル(《フランドルのことわざ》の作者だ)とラブレーとが、「ことわざ」を媒介として、間接的ながらつながった。このことをブリューゲル展のカタログで日本語と英語で発表し、確実な反響を得たのが一例といえよう。また、本研究の実践態として、この 10 年間、ラブレーの翻訳に傾注してきたわけだが、2012 年に『第五の書』を上梓して、この苦しい作業を終えたのも、大きな成果だと思う。そして、この《ガルガンチュアとパンタグリュエル》全 5 巻の翻訳に対して、「第64回読売文学賞」「第18回日仏翻訳文学賞」という2つの価値ある賞を受けることができた。研究者としては、科研費による研究の意義をしっかりと確認することができた。
著者
島内 裕子 Yuko Shimauchi
出版者
放送大学
雑誌
放送大学研究年報 = Journal of The Open University of Japan (ISSN:09114505)
巻号頁・発行日
no.31, pp.130-119, 2013

本稿では、近世に出版された数ある徒然草の注釈書の中から、『徒然草句解』(1661年刊)に焦点を当てて、この注釈書の特徴を明らかにするとともに、徒然草自体に内在する問題意識を掘り起こすことを目指す。 近世前期に刊行された各種の徒然草注釈書と『徒然草句解』を比較することによって、『徒然草句解』の注釈態度が、従来言われてきたような、儒学の立場からの注釈というよりは、むしろ『源氏物語』や『枕草子』や和歌などを通して、徒然草の本質に迫ろうとする傾向が顕著である事実を明らかにする。 また、『徒然草句解』は、数多くの箇所で、徒然草の連続する章段間の照応に着眼する注釈を付けており、この点に『徒然草句解』の新しさと達成があると評価できる。 さらに、徒然草注釈書を、研究的な詳細なものと、読みやすさに力点を置いた一般向けの簡略なものに大別するならば、『徒然草句解』がその中間に位置すること、および、そのスタンスこそが、徒然草という作品を広範な読者たちに開くと同時に、徒然草の奥深い世界に分け入る道標となっていることを明らかにする。
著者
黒須 正明
出版者
放送大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、ISO9241-210やUX白書等を参考にしたうえで、2011年度には目標達成に関してGOB, POB, SOBという行動パターンを区別した。2012年度には品質特性と感性特性を区別し、さらに意味性を位置づけた。またUXの概念を拡張し、ハードウェアやソフトウェアだけでなく、サービスというヒューマンウェアをも含めることとした。この時点で経験という一般的概念に関して経験工学の概念枠を提唱した。2013年度には、品質特性と感性特性を客観的品質特性と主観的品質特性と言い換え、また意味性についての考察を深め、以前提唱した人工物発達学が意味性を見いだす上で重要であり有用であることを指摘した。
著者
荻野 和郎
出版者
放送大学
雑誌
MME研究ノート : multi media education (ISSN:02891220)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.23-76, 1985

電々公社の技術局で画像通信システムの開発実用化を担当しています荻野と申します。直接の仕事は画像関係のメディアの開発ですが、今日は、INSについてお話をさせていただきます。まず、現在の電気通信サービスの現状と動き、次いで、新しいメディアを開発をしていく上で社会の発展と電気通信が、どのように関係し合っているのかということを踏まえつつ、INSが出てくる背景をお話します。それから、将来に向けてどういうステップでINSが構築されてゆくのかをお話しし、最後に社会的に見た場合の問題点等にも触れさせていただきたいと思っています。
著者
宮下 志朗
出版者
放送大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

「プランタン=モレトゥス工房」は、フランスからアントウェルペン(アントワープ)に移住したクリストフ・プランタン(1520?-1589)が立ち上げた出版工房で、16世紀後半から17世紀前半にかけて、ヨーロッパ随一の規模を誇り、いわばヨーロッパの出版センターとして繁栄します。工房は出版物はもちろんのこと、活字・版木・道具類なども、その建物と共に非常に大切に保存されてきました。そして2005年には「世界文化遺産」に指定されて、ますます注目を浴びるようになっています。そこでわたしは、「文芸の共和国」という切り口により、ネットワーク上の作家(モンテーニュ、リプシウス)や、プランタンの活動を考察しました。
著者
川原 靖弘
出版者
放送大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

PHS基地局の電界強度の利用のみでは探索が不可能な、紛失した輸送物を端末の電波を受信解析により探索する方法の考案と検証を行った。また、長期にわたり使用しない期間がある物流移動機器の測位において、移動機器の振動解析により移動停止判定を行うことで、PHS端末の消費電力及び通信コストの削減を実現する方法について、試作機を用い物流現場における有効性を評価した。
著者
三野 博司
出版者
放送大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

アルベール・カミュは、二つの世界大戦をもたらした激動の時代である20世紀を生きた。彼は、人間を襲う暴力的なるもの(病気、死、災禍、テロ、戦争、全体主義)に対抗して、一貫して超越的価値(キリスト教や左翼革命思想)を拒否し、人間の地平にとどまって生の意味を探し求めた。この観点から、カミュが生きた時代状況をつぶさに検討し、作家の全作品を読み直し、その特性を明らかにした。その成果は、2016年6月に刊行した単著『カミュを読む―評伝と全作品』、日本語およびフランス語によって研究誌に発表した論文として結実した。
著者
森 津太子
出版者
放送大学
雑誌
放送大学研究年報 (ISSN:09114505)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.31-39, 2012

近年、自由意思に関する関心が心理学者、とりわけ社会心理学者において高まっている。しかし研究者間の見解の相違は大きく、何が争点であるのかも明確ではないのが現状である。そこで本稿では、2009年に開催されたSocietyfor Personality and Social Psychologyの年次大会の中で行われた二人の著名な社会心理学者(John A. BarghとRoy F.Baumeister)による自由意思の存在をめぐる討論と、それに関連する論考に着目し、社会心理学における自由意思の問題について考察を行った。自由意思の存在を肯定するBaumeisterと、その存在を懐疑的に見ているBarghは、興味深いことに、いずれも進化心理学的な観点からこの問題を捉えようとしていた。しかし、Baumeisterは自由意思を進化的適応の産物と見なし、自由意思こそが人間が文化を営む上で必須のものだと考えているのに対し、Barghは自由意思の存在を否定し、そのような"何ものによっても引き起こされない行為の原因"を仮定することは非科学的だと主張している。彼は、無意識的過程こそが進化的適応の産物であり、意思すらも自動化されたものだと主張する。彼によれば、意思とは「遺伝的に継承されたものと、幼少期に吸収した文化的規範や価値観と、個人の人生経験の合流点」なのである。二人はまた、自由意思を信じることの心理学的意味においても意見を違えており、Baumeisterが自由意思を信じることには心理学的な効用があると考えているのに対し、Barghはそのような効用は限定的で、時には有害にすらなると反論する。このように、彼らの見解は平行線を辿り、最後まで一致を見ることはなかったが、彼らの討論の内容を吟味することにより、社会心理学における自由意思をめぐる問題の重要なポイントが何なのかが明確になった。
著者
青山 昌文
出版者
放送大学
雑誌
放送大学研究年報 (ISSN:09114505)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.85-90, 2007

ディドロの『絵画論断章』は、美学の領域におけるディドロの最後期の著作の一つである。本研究において、我々は、この『絵画論断章』のテクストのうちの第46断章から第50断章までを日本において初めて日本語に翻訳し、それらについて美学的、文献学的、歴史的な注釈を加えることにしたい。注釈にあたっては、今日までに刊行されている全ての『絵画論断章』の現代的校訂本を照合するだけではなく、フランス国立図書館に保管されている『絵画論断章』の手書き筆写原稿をも照合し、更に、ハーゲドルンやその他の著作家の著作並びに18世紀の代表的フランス語辞書である『トレヴー辞典』などをも参照する。我々の研究において論じられるのは、以下の主題である。断章46:美、快、怪物断章47:美と恐怖断章48:オウィディウスとホメーロス断章49:詩と絵画断章50:オウィディウスの『転身物語』の主題ディドロ美学は、通常一般に思われているのとは反対に、極めて一貫した、肯定的・建設的な美学である。
著者
小城 勝相 市 育代
出版者
放送大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

メタボリックシンドロームでは脂質代謝が重要であり、特にセラミドが重要な役割をもつことがわかった。シークワーシャーに含まれるノビレチンという物質が脂質代謝異常に関与するタンパク質の発現に影響を与え、メタボリックシンドロームを予防する可能性を見出したが、今後はこのような脂質代謝に影響を与える食品成分が重要であることがわかった。
著者
黒須 正明
出版者
放送大学
雑誌
放送大学研究年報 (ISSN:09114505)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.71-83, 2010
被引用文献数
1

機器やシステムの設計における人間中心設計(HCD) の枠組みは、教育におけるインストラクショナルデザイン(ID)の枠組みときわめて類似している。近年、HCDの分野においては、ユーザエクスペリエンス(UX:UserExperience)という概念が注目されており、著者も、購入前の期待感、購入時のインタラクションによる印象形成、購入後の実利用による評価という3 フェーズに分けたモデルを提唱している。特に3 番目のフェーズにおいては満足感が重要な指標とされ、それをどのように測定するかが課題となっている。本稿では、この考え方を学生の学習経験(LX:Learning Experience)と学生満足度(Student Satisfaction)にも援用しようと試みた。ただし、IDにおいては教育場面特有の事情を考慮しなければならない。本稿では学生満足度に関する概念構造とその測定法を、このようなHCD分野との比較において論じた。
著者
中原 淳 西森 年寿 杉本 圭優 堀田 龍也 永岡 慶三
出版者
放送大学
雑誌
メディア教育研究 (ISSN:13441264)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.61-74, 2000

近年、教師教育において情報技術を用いた学習環境が注目されており、その中のひとつの可能性としてCSCL(コンピュータを用いた協調学習支援)がある。本論文では、教師を対象としたCSCL環境を具体的にどのようにデザインすればよいのか、という問いに対して、状況的学習論とCSCLの先行実践、教師教育の知見を理論的に考察することを目的とする。より具体的には、CSCL上で展開されるべき教師同士の相互作用の室と、そうした相互作用を支援するインタフェースの2点に言及する。教師教育を目的としたCSCLは、学習者としての教師が自らの教育実践を他の教師と語り、批評しあい、それをもとに教育実践に対して内省を深めることができる環境としてデザインされるべきである。
著者
望月 俊男 小湊 啓爾 北澤 武 永岡 慶三 加藤 浩
出版者
放送大学
雑誌
メディア教育研究 (ISSN:13441264)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.25-37, 2003
被引用文献数
9

本研究の目的は、ポートフォリオ評価法の理論的枠組みと、ポートフォリオ評価法をe-Learningに導入した研究の知見を概観し、ポートフォリオ評価法を応用したe-Learning環境のデザインについて考察することにある。ポートフォリオ評価法の研究は勃興期に位置づけられる。多くの研究が学習者中心型アプローチの立場から、ポートフォリオ評価法をe-Learning環境に導入するフレームワークを検討し、一部の研究はその効果を検証している段階にある。ポートフォリオを作成することや、そのための支援ツールの実装に注目が集まっている。ポートフォリオ評価法の理念に立ち返れば、学習者と熟達者間、あるいは学習者相互によるポートフォリオの検討やその評価、学習活動の改善に向けた内省や計画立案といった学習活動を行うためのコミュニケーション環境を充実させることが重要である。また、様々な学習方法に対応して、その学習プロセスに対する内省を促進するようなポートフォリオ作成を支援することが、e-Leamingにおける学習環境デザインに必要である。
著者
渡邉 融
出版者
放送大学
雑誌
放送大学研究年報 (ISSN:09114505)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.236(1)-211(26), 1996