著者
浜岡 克伺 前田 理奈 岡林 碧 杉元 歩実 山川 卓伸 山中 伸 橋本 豊年 吉本 好延
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.933-937, 2014 (Released:2015-01-21)
参考文献数
18
被引用文献数
13 9

〔目的〕本研究は,FIMを運動項目および認知項目別に分類しcut-off値を明らかにすることであった.〔対象〕対象は脳卒中患者215人とした.〔方法〕方法は,過去5年間の診療録を後向きに調査した.退院後の転帰先を在宅復帰と施設入所・転院の2群に分類し,cut-off値はROC曲線から算出した.〔結果〕FIM運動項目のcut-off値57.5点では,感度78.7%,特異度89.7%であり,FIM認知項目のcut-off値23.5点では,感度73.7%,特異度80.6%であった.〔結語〕脳卒中患者の在宅復帰には,FIM運動項目57.5点,FIM認知項目23.5点以上の能力が必要であることが示唆された.
著者
神山 真美 堀本 ゆかり 高島 恵
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.635-638, 2020 (Released:2020-10-20)
参考文献数
12
被引用文献数
1

〔目的〕作業療法士および理学療法士の職業生活満足度に影響を与える要因を明らかにする.〔対象と方法〕本校卒業生で就業年数1年目から9年目までの作業療法士65名,理学療法士80名の計145名を対象に,WEBアンケートにて職業生活(11項目)の満足度を調査した.〔結果〕職業生活全体の満足度への影響を与える要因(標準化回帰係数)は,仕事に対するやりがい(0.279)仕事の内容(0.275),教育・能力開発のあり方(0.210),職場の人間関係・コミュニケーション(0.150),賃金(0.149),雇用の安定性(0.119)が採択された.〔結語〕自己成長・キャリアに意味付けされる要因が重要であることが示唆された.
著者
鈴木 哲 木村 愛子 内田 芙美佳 嘉田 将典
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.413-418, 2016 (Released:2016-07-06)
参考文献数
23
被引用文献数
8 3

〔目的〕理学療法士の現状の職務に対する満足の程度およびこれに関連する因子を検討することとした.〔対象〕理学療法士379名とした.〔方法〕質問紙にて得られた職務満足度と,労働意欲,離転職意図,労働環境因子との間の関連性を分析した.〔結果〕職務満足度と,労働意欲,離転職意図との有意な相関が示された.また職務満足度に関連する労働環境因子を重回帰分析を用い検討した結果,年齢,対人ストレス,上司サポート,仕事裁量度,職業適性度,働きがいが抽出された.〔結語〕理学療法士において職務に満足することは労働意欲を向上させ,離転職意図を低減する可能性がある.また,これには対人ストレス,上司サポート,仕事裁量度,職業適性度,働きがいが関連している.
著者
岸田 和也 石垣 智也 平田 康介 山野 宏章 松本 大輔
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.53-59, 2019 (Released:2019-02-26)
参考文献数
23
被引用文献数
1

〔目的〕回復期リハ病棟退院直後に訪問リハを利用した日常生活活動に介助を要する者の家族介護負担軽減とその関係要因を検討すること.〔対象と方法〕17名を対象に介護負担尺度(J-ZBI_8)の開始時と30日後,終了時(180日後または調査終了時)との変化量と各評価項目の相関分析を行った.〔結果〕介護負担軽減は,30日後では頻回な訪問リハの実施,良好な利用者家族関係,頻回な家族教育,密なケアマネジャーとの連携,終了時では頻回かつ密な家族教育と有意な関係を認めた.〔結語〕退院後の介護負担軽減には,短期的には集中的な介入による頻回な家族教育,良好な利用者家族関係の支援や他職種連携,中長期的には指導内容を実践できるよう,密な家族教育が重要であることが示された.
著者
井上 優 平上 尚吾 佐藤 ゆかり 原田 和宏 香川 幸次郎
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.583-587, 2012 (Released:2012-12-05)
参考文献数
12
被引用文献数
1

〔目的〕脳卒中患者のDynamic gait index(DGI)による二重課題処理能力評価の基準関連妥当性の検証.〔対象〕自力歩行が可能で認知機能に問題のない脳卒中患者17名.〔方法〕DGI,stops walking when talking test(SWWT),二重課題条件下のtimed up and go test,歩行速度,歩幅を評価した.基準関連妥当性は,DGI得点と二重課題条件下の結果との相関分析と,SWWTの結果から対象者を2群に分類し,DGI得点の2群間比較により検証した.〔結果〕DGI得点は二重課題条件下の結果と強い相関を示し,歩行継続群のDGI得点は歩行停止群に比べ有意に高かった.〔結語〕DGIは基準関連妥当性を有し,脳卒中患者の二重課題処理能力の評価に有用である.
著者
草野 修輔
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.175-181, 2004 (Released:2004-08-30)
参考文献数
22
被引用文献数
5 2

厚生労働省老健局の私的諮問機関である「高齢者リハビリテーション(以下,リハ)研究会」から『高齢者リハのあるべき方向』と題された中間報告書が発表された。その中で,高齢者リハにおいては高齢者の状態像に応じた適切なアプローチが必要であるとし,リハモデルとして,(1) 脳卒中モデル,(2) 廃用症候群モデル,(3) 痴呆高齢者モデル,を提唱している。上記提言に基づいて,総論として,高齢者の疾患の特徴,加齢に伴う生理的変化,高齢者のリハ対象疾患について述べ,各論として脳卒中モデルに関して急性期脳卒中のリハについて,廃用症候群モデルに関して廃用症候群の病態について,痴呆高齢者モデルに関して,最近の痴呆の診断・治療について述べる。
著者
上條 史子 山本 澄子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.543-549, 2010 (Released:2010-09-25)
参考文献数
9
被引用文献数
5

〔目的〕本研究では,脳卒中片麻痺者の歩行自立度によって座位・立位での静止姿勢と左右への体重移動課題においての体幹アライメントの特徴が異なるかを検討した。〔対象〕対象は脳卒中片麻痺者8名で,4名は歩行自立者,4名が歩行非自立者であった。〔方法〕計測には,三次元動作分析装置と床反力計を使用した。計測結果より,座位と立位における静止姿勢と左右方向への体重移動時の際の上部体幹と骨盤の角度変化と移動量,下肢と臀部の荷重量を算出した。これらの結果が,歩行自立度で差がみられるか検討した。〔結果〕座位では,静止姿勢での骨盤後傾角度と上部体幹回旋角度,非麻痺側移動時の骨盤後傾角度,麻痺側移動時の上部体幹回旋角度,立位では,静止姿勢での上部体幹の傾斜角度と麻痺側下肢への荷重量で歩行自立度による有意差がみられた。〔結語〕座位での運動課題では移動側によって特徴がみられる部位が異なっており,動作分析をする際の注目すべきポイントと思われた。また座位と立位で共通した特徴を認めたことから,片麻痺者への治療介入が必要な場所を推察する際の有益な情報となると思われた。
著者
杉田 洋介 伊藤 克彦 高野 唯
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.537-541, 2017 (Released:2017-08-20)
参考文献数
17
被引用文献数
1

〔目的〕廃用症候群患者の歩行能力回復に影響を及ぼす因子を明らかにすることとした.〔対象と方法〕対象とする廃用症候群の診断名がついた52例を退院時歩行自立群と非自立群に分類し,身体機能,認知機能,血液検査データなどの項目をもとに,多重ロジスティック回帰分析により歩行回復に影響する因子を抽出し,Cut-off値を算出した.〔結果〕膝伸展筋力,身体活動量,総蛋白値の3項目が自立歩行の関連因子として抽出された.各項目のCut-off値は,膝伸展筋力0.35 kgf/kg,身体活動量は9.9 METs・時/週,総蛋白値は6.4 g/dlであった.〔結語〕廃用症候群患者が再び自立歩行を獲得するには,下肢筋力,歩行やベッドからの立ち上がりなどの総身体活動量,静的栄養指標として総蛋白質などが関連していることが示唆される.
著者
寺田 茂 宮田 伸吾 松井 伸公
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.715-719, 2009 (Released:2009-11-25)
参考文献数
20

〔目的〕求心性収縮(COC)と遠心性収縮(ECC)時の収縮特性を筋酸素動態の変化から検討した。〔対象〕健常男性16名を対象とした。〔方法〕等速性運動機器を使用しCOC,ECCでの膝関節屈伸運動を行い,同時に近赤外線分光装置にて外側広筋の筋酸素動態の変化を記録した。得られたデータより,運動中の酸素飽和度(SdO2)最下点までの低下量,SdO2最下点までの到達時間,SdO2の回復時間を算出し,COC,ECC間で検討した。〔結果〕筋力はECCの方が高値であった。筋酸素動態では低下量は有意差を認めず,最下点到達時間はECCの方が遅く,回復時間は短かった。〔結語〕ECCではCOCよりも総仕事量が多いにもかかわらず酸素飽和度の低下は遅く,回復が早いという結果となった。これはECCでは機械的効率が高く,また筋血流量は比較的維持されていたためであると思われた。
著者
松田 雅弘 新田 收 宮島 恵樹 塩田 琴美 高梨 晃 野北 好春 川田 教平
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.129-133, 2012 (Released:2012-06-13)
参考文献数
13
被引用文献数
6 1

〔目的〕軽度発達障害児の立位バランス能力を重心動揺計にて定量的に評価した.〔対象〕対象は軽度発達障害児群17名(平均5.4歳),健常児群17名(平均5.4歳)の児童を対象とした.研究の対象者と対象者の親に対して,事前に本研究の目的と方法を説明し,研究協力の同意を得た.〔方法〕被験者は重心動揺計(ANIMA社製)の上で,開眼・閉眼,各30秒間静止立位保持をサンプリング周波数20 Hzにて計測を行った.〔結果〕開眼・閉眼時とも軽度発達障害児群において健常児群よりも有意に重心動揺・動揺速度が大きかった.〔結語〕幼児の静止立位の重心動揺の評価を行ったが,健常児群と比較して軽度発達障害児群で動揺が大きく,姿勢制御能力の未熟さのあることが考えられる.
著者
和田 敏江 山本 洋之
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.473-477, 2014 (Released:2014-09-25)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

〔目的〕理学療法養成課程において,学業成績と自己効力感との関係について検討した.〔対象〕理学療法学科入学者77名(男性59名,女性18名,平均年齢21.03歳±4.4).〔方法〕調査回数は,入学前から入学後の合計4回実施.調査内容は,志望動機,職業イメージ,学業自己効力感尺度,実習自己効力感尺度,動機づけを質問紙により調査した.〔結果〕先行する自己効力感が高ければ学業成績は良好であるが,試験の結果が良くても悪くてもその後の自己効力感が高まっていなかった.〔結語〕試験の結果からどのような問題に対して,どのように間違っていたのか,どのような回答が考えられるのか,学生自身による正しい自己評価を行う教育が必要である.
著者
鈴木 哲 平田 淳也 栗木 鮎美 富山 農 稙田 一輝 小田 佳奈枝 高橋 正弘 渡邉 進
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.115-119, 2009 (Released:2009-04-01)
参考文献数
13
被引用文献数
9 3

〔目的〕不安定面上座位時の体幹筋活動とその際の重心動揺との関係を検討することである。〔対象〕健常者10名(25.1±4.4歳)を対象とした。〔方法〕安定面上座位と不安定面上座位での体幹筋活動と重心動揺をそれぞれ測定した。〔結果〕不安定面座位では,安定座位と比べ,腹直筋,外腹斜筋,内腹斜筋,腰部多裂筋で有意に筋活動が高かった。不安定面上座位においては,グローバルマッスルである腹直筋・胸部脊柱起立筋・腰部脊柱起立筋の筋活動と重心動揺との間に有意な正の相関がみられたが,ローカルマッスルの筋活動との有意な相関はみられなかった。〔結語〕不安定面上座位バランスには,グローバルマッスルに分類される腹直筋,胸腰部脊柱起立筋の筋活動が関与していることが示唆された。
著者
中林 紘二 兒玉 隆之 松本 典久 山本 裕宣 野見山 通済 福良 剛志 甲斐 悟
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.151-154, 2012 (Released:2012-06-13)
参考文献数
22
被引用文献数
6 1

〔目的〕振動刺激を負荷する部位の違いが骨格筋の筋緊張に及ぼす影響を明らかにする.〔対象〕下肢に神経障害の既往がない健常男性15名.〔方法〕周波数76.6 Hz,振幅2 mmの振動刺激を用いて左下腿三頭筋の腱部あるいは筋腹部に3分間の振動刺激を行った.振動刺激前後のH波とM波の最大振幅の値から算出された最大振幅比(Hmax / Mmax)により,下腿三頭筋の筋緊張の状態を評価した.〔結果〕下腿三頭筋の腱部あるいは筋腹部に振動刺激を負荷すると最大振幅比は低下した.刺激部位で比較すると,腱部に振動刺激を負荷した場合に最大振幅比の低下は大きかった.〔結語〕負荷する部位にかかわらず,振動刺激は骨格筋の筋緊張を抑制し,臨床において振動刺激の適応が拡大することが示唆された.
著者
塩本 祥子 松村 純 森 健太郎 三秋 泰一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.337-340, 2011 (Released:2011-07-21)
参考文献数
9
被引用文献数
2

〔目的〕本研究では端座位における骨盤前後傾運動中の股関節,脊柱の運動について明らかにするために,各関節の角度について分析した.〔対象〕健常成人男性18名(平均年齢24.7±3.7歳)とした.〔方法〕骨盤傾斜角度,股関節角度,脊柱を上部胸椎,下部胸椎,腰椎にわけた各々の角度について,3次元動作解析装置を用いて角度変化を測定した.〔結果〕骨盤前傾運動に伴い,股関節屈曲,腰椎・下部胸椎の伸展がみられた.また,骨盤後傾運動に伴い,股関節伸展,腰椎・下部胸椎の屈曲がみられた.骨盤可動範囲と下部胸椎可動範囲で正の相関(前傾運動時r=0.47,後傾運動時r=0.54)がみられた.〔結語〕骨盤前後傾運動中の脊椎・股関節の動きは相互に影響していた.また,骨盤傾斜可動範囲と下部胸椎可動範囲に正の相関がみられたことから,脊柱の可動性と骨盤の可動範囲が影響し合うことが示唆された.
著者
伊藤 陸 早田 荘 藤本 将志 大沼 俊博 渡邊 裕文 鈴木 俊明
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.443-447, 2017 (Released:2017-06-23)
参考文献数
13
被引用文献数
4

〔目的〕端座位で股関節内旋位,外旋位を保持した際の股関節周囲筋の筋活動について筋電図を用いて検討した.〔対象と方法〕健常男性10名の両下肢20肢とした.端座位,股関節内旋・外旋10°,20°,30°の肢位で大殿筋上部線維,中殿筋前部線維,大腿筋膜張筋の筋電図を測定し,各股関節内旋角度間と各股関節外旋角度間で比較した.〔結果〕大殿筋上部線維は股関節内旋10°,20°と比較して30°で,中殿筋前部線維,大腿筋膜張筋は股関節内旋10°と比較して30°で有意に増加した.股関節外旋角度間ではいずれも変化を認めなかった.〔結語〕大殿筋上部線維は,股関節屈曲90°では股関節外旋保持には関与せず,股関節内旋保持に関与することがわかった.
著者
南角 学 神先 秀人 石倉 隆 川那辺 圭一 中村 孝志
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.121-125, 2005 (Released:2005-07-27)
参考文献数
17
被引用文献数
1 4

本研究の目的は,人工股関節置換術術後早期での歩行中の股関節伸展角度の減少が重心移動に与える影響について検討することである。対象は片側THA術後4週が経過した女性9名と健常女性11名であった。床反力計,3次元動作解析装置を用いて歩行速度,股・膝関節の屈曲-伸展運動,重心移動,各両脚支持期における正の仕事量,一歩行周期及び体重1 kg・進行距離1 m当りの重心の仕事量を算出した。THA群で股関節伸展角度の減少を示し,立脚期での膝の屈曲-伸展運動が認められなかった。また,THA群の各両脚支持期における正の仕事量は,非術側の踵接地後の正の仕事量が術側と比較して有意に低い値を示した。重心移動に関しては,術側の立脚中期の重心位置が非術側と比較して有意に高い値を示した。一歩行周期及び体重1 kg・進行距離1 m当りの重心の仕事量の値から効率良い重心移動が行われていないことを示した。THA術後患者の歩行中における股関節伸展角度の減少は,蹴り出しによる上方への推進力を低下させるとともに,術側立脚期での膝関節のコントロールを阻害し,円滑な重心移動を阻害する一因となることが示唆された。
著者
江戸 優裕 柿崎 藤泰 山本 澄子 角本 貴彦 石田 行知
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.173-176, 2018 (Released:2018-03-01)
参考文献数
18
被引用文献数
2 3

〔目的〕体幹の回旋運動に伴って副次的に生じる胸郭の前後・左右への並進の運動特性を明らかにすることとした.〔対象と方法〕対象は健常若年者13名とした.光学式三次元動作解析システムを用いて立位での身体の回旋動作を計測し,骨盤に対する胸郭の回旋角度と前後・左右への偏位距離を分析した.〔結果〕体幹の回旋には前方および回旋と反対側への胸郭の並進が伴っていた.また,回旋に伴う前方並進が大きければ対側並進が小さく,前方並進が小さければ対側並進が大きかった.〔結語〕体幹の回旋に伴う胸郭の前方並進と回旋と反対側への並進は補完的な関係にあることが示唆された.
著者
大原 佳孝 池田 耕二 古家 真優 高橋 昇嗣 池田 秀一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.725-729, 2018 (Released:2018-08-21)
参考文献数
16

〔目的〕高齢血液透析患者2症例の腎臓リハビリテーションから理学療法士の役割を明らかにすること.〔対象と方法〕高齢血液透析患者(76歳女性と74歳男性)2症例とし,症例研究法を用いた.〔結果〕運動療法による身体機能の改善,行動変容に対する支援,身体活動量の管理,生活の再構築に向けたソーシャルワーク的実践という理学療法士の4つの役割が示唆された.〔結語〕腎臓リハビリテーションにおける高齢血液透析患者に対する理学療法士の4つの役割が示唆された.
著者
村田 潤 村田 伸 甲斐 義浩
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.195-198, 2007 (Released:2007-07-11)
参考文献数
10
被引用文献数
8 1

本研究は,簡易下肢機能評価法として紹介された下肢荷重力測定について,大腿部筋の筋電図および下肢荷重量をリアルタイムで測定し,それぞれの動的変動の関連性から,下肢荷重力に対する大腿筋の役割について検討した。対象は健常成人男性9名であり,下肢荷重力測定時の荷重量と大腿四頭筋および大腿二頭筋の筋電図を測定した。下肢荷重力測定時に大腿四頭筋および大腿二頭筋の筋放電量はともに増加するが,その増加量は大腿四頭筋でより大きく,荷重力発揮に対する大腿四頭筋活動の貢献が大きいことが示唆された。また,筋放電量と荷重量のピーク値までの到達時間は異なることら,下肢荷重力に対して下肢筋力以外の要因の関与が考えられた。
著者
金子 賢人 松田 雅弘 千葉 康平 山下 智幸 刀祢 麻里 粟野 暢康 久世 眞之 猪俣 稔 林 宗博 出雲 雄大 森本 正
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.547-551, 2021 (Released:2021-08-20)
参考文献数
12

〔目的〕新型コロナウイルス感染症(COVID-19)群と細菌性肺炎群の身体機能と経過について検討する.〔対象と方法〕入院前ADLが自立していた患者で,入院中に人工呼吸管理を行ったCOVID-19患者12例,または細菌性肺炎患者10例を比較検討した.〔結果〕COVID-19群の入院からリハビリテーション開始までの期間は,細菌性肺炎群の入院からリハビリテーション開始までの期間と比較して有意に遅延していた.しかし,リハビリテーション介入を実施することで身体機能や基本動作能力が向上する傾向にあり,対照群との身体機能の回復傾向は同等であった.〔結語〕COVID-19患者においても早期からリハビリテーションを開始する必要性があることが示唆された.