著者
吉田 昌弘 菅原 一博 吉田 真 谷口 圭吾 片寄 正樹
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.499-503, 2010 (Released:2010-09-25)
参考文献数
11
被引用文献数
1

〔目的〕超音波画像診断装置を用いて安静時と足関節前方引き出しテスト(ADT)時における前距腓靱帯(ATFL)の伸張距離の計測を行い,検者内および検者間の再現性を調べること。〔対象〕過去1年以内に足関節捻挫の既往がある大学生8名10足。〔方法〕8 MHzのリニアプローブを足関節前外側部にあて,安静時およびADT時における超音波画像撮影を行った。PC上にて距骨-外果の骨間距離をATFL伸張距離として計測し,検者内および検者間の再現性について級内相関係数(ICC)を用いて調べた。また,安静時およびADT時の距骨-外果距離を対応のあるt検定で比較した。〔結果〕安静時,ADT時ともに検者内および検者間において高い再現性が得られた。安静時の外果-距骨間距離は16.5±3.9 mm,ADT時では20.0±4.9 mmであり,両者に有意な差を認めた。〔結語〕安全性および高い再現性から,足関節捻挫群に対するADTに超音波画像を併用する定量評価の有用性が確認された。
著者
神田 賢 北村 拓也 佐藤 成登志 古西 勇 鈴木 祐介 渡辺 慶 久保 雅義
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.483-487, 2020 (Released:2020-08-20)
参考文献数
25

〔目的〕若年女性の本態性慢性肩こり有訴が頸部に影響を及ぼす因子を比較検討した.〔対象と方法〕若年女性40名(有訴群20名,無有訴群20名,平均年齢21.4 ± 0.7歳)を対象に,頸部屈伸筋群持久力および最大筋力,頸部機能不全度(NDI)を評価した.〔結果〕肩こり有訴群は無有訴群と比較して,頸部屈伸筋群持久力時間において有意に低い値を示したが,屈伸筋群最大筋力においては,有意な差を認めなかった.頸部機能不全度では,有訴群が無有訴群と比較して有意に高い値を示した.〔結語〕若年女性においては,本態性慢性肩こり有訴は頸部屈伸筋群持久力に影響を及ぼす因子となる可能性が示唆された.また,本態性慢性肩こり有訴は,頸部機能にも影響を与える可能性が示唆された.
著者
川井 謙太朗 舟崎 裕記 林 大輝 加藤 晴康 沼澤 秀雄
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.309-313, 2016 (Released:2016-04-29)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

〔目的〕野球投手において,投球時に肩関節に痛みのある群(有症状群)とない群(無症状群)で,上腕骨頭後捻角,ならびに,それを除いた2nd肢位での肩回旋可動域(補正角度)を比較した.〔対象〕男性の野球投手69名(有症状群38名・無症状群31名)とした.〔方法〕超音波画像診断装置を用いて上腕骨頭後捻角,ならびに補正角度を計測し,それぞれを2群間で比較した.〔結果〕上腕骨頭後捻角は2群間で有意差はなかった.有症状群は無症状群に比べて,投球側の補正外旋角度が有意に大きく,補正内旋角度は有意に小さかった.一方,非投球側の補正回旋角度に有意差はなかった.〔結語〕投球時痛に伴う回旋可動域の変化は,上腕骨頭後捻角より軟部組織性因子との関連性が示唆された.
著者
平尾 利行 竹井 仁 佐久間 孝志 妹尾 賢和 近藤 貴揚
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.297-302, 2016 (Released:2016-04-29)
参考文献数
24
被引用文献数
1

〔目的〕閉鎖筋の筋活動を賦活するのに適した運動負荷を検討すること.〔対象〕腰部および下肢に器質的疾患を持たない成人男性11名とした.〔方法〕高負荷の課題1(60°/sec)と無負荷の課題2(500°/sec)における等速性股関節外旋運動前後で,MRIのT2強調画像から内閉鎖筋,外閉鎖筋,大殿筋,中殿筋,縫工筋のMR信号強度率を抽出し比較した.〔結果〕抽出された課題1において内閉鎖筋,外閉鎖筋,中殿筋,縫工筋で,課題2において内閉鎖筋,外閉鎖筋,縫工筋で,運動前に比べ運動後にMR信号強度率が有意に上昇した.〔結語〕速筋線維を多く含む閉鎖筋に対しては,高負荷のみならず無負荷の運動も筋活動を得ることを可能にすると考える.
著者
小林 恵理 萩野 浩
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.23-28, 2020 (Released:2020-02-28)
参考文献数
35

〔目的〕変形性膝関節症(osteoarthritis of the knee:膝OA)患者の足部形態を調査し,転倒発生との関連を検討することである.〔対象と方法〕対象:一次性膝OAに対する手術目的で入院した40歳以上の女性患者30名.方法:手術前日に転倒歴の聴取,自己記入式アンケート調査,足部形態評価,歩行分析,運動機能評価を実施した.〔結果〕手術適応のある膝OA患者において,舟状骨沈降度(navicular dropping test:NDT)が転倒リスク因子として挙げられた.〔結語〕手術適応のある膝OA患者において,足部の機能訓練やテーピング,足底挿板療法などを用いた物理療法など,足部へ介入することは,患者の転倒を予防する可能性があると考える.
著者
宮﨑 茂明 鳥取部 光司 帖佐 悦男 石田 康行 河原 勝博 渡辺 将成 屋嘉部 愛子 平安 堅吾 濱野 友生 常盤 直孝 加藤 浩
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.703-708, 2013

〔目的〕投球動作における体幹回旋運動と肩甲帯周囲の筋活動の関連性を検討することである.〔対象〕高校の野球部投手(疼痛既往肩8名,コントロール10名)とした.〔方法〕検討項目は投球動作時の胸郭および骨盤回旋角度とその変化量,表面筋電図周波数解析による肩甲帯周囲の筋活動(平均周波数とその差分)とした.〔結果〕疼痛既往肩の投手は,胸郭回旋角度の変化量ではコッキング期に有意に低値を,加速期に有意に高値を示した.骨盤回旋角度の変化量はコッキング期に有意に低値を示した.肩甲帯周囲の筋活動はコッキング期に僧帽筋下部線維,前鋸筋で有意に低値を示した.〔結語〕投球障害肩の発生要因として,体幹回旋運動減少と肩甲帯周囲の筋収縮リズムに生ずるインバランスにより,肩関節への負荷が増大した可能性がある. <br>
著者
南場 芳文 藤井 瞬 大谷 啓尊 井上 由里 上杉 雅之 武政 誠一 宮本 重範 弘津 貴章 田中 日出樹
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.799-803, 2014 (Released:2014-10-30)
参考文献数
29

〔目的〕上肢挙上位におけるclosed kinetic chain(以下,CKC)運動が腱板筋の筋活動に及ぼす効果を明らかにし,腱板筋の機能回復に有効な徒手抵抗による運動方法を検証することである.〔対象〕健常な男女29名(平均年齢21.5 ± 4.7歳)の右29肩に対して行った.〔方法〕肩甲骨面上での拳上150°または,120°及び,外転位,下垂位にて棘下筋,三角筋(中部線維),僧帽筋(上部線維)の徒手抵抗に対する筋活動を積分筋電法(5秒間)にて計測した.〔結果〕肩甲骨面上での挙上150°,体重比5%の徒手的な負荷を用いたCKC運動は,棘下筋の随意最大収縮の約30%の筋活動を認めた.〔結語〕肩関節挙上位でのCKC運動は棘下筋の理学療法に有効である.
著者
芳野 純 佐々木 祐介 臼田 滋
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.495-499, 2008 (Released:2008-10-09)
参考文献数
7
被引用文献数
4 3

[目的]回復期リハビリテーション病棟退院後患者のADLの変化の特徴と影響を与える関連因子を解明する。[対象]回復期リハビリテーション病棟より自宅退院した患者117名。[方法]退院後のADLに影響を与えると思われる因子,退院時および退院1ヵ月後のFIM運動項目を調査し,統計学的に分析した。[結果]退院時と比較すると退院1ヵ月後のFIM運動項目は有意に低下していた。各項目では,セルフケアが有意に低下しており,排泄コントロールは有意に向上していた。退院時のFIM運動項目が50~69点(半介助群)の患者および通所系サービス利用者が有意に低下していた。[結語]回復期リハビリテーション病棟退院患者は,退院1ヵ月後においてADLが低下する恐れがあり,低下を予防する必要性がある。
著者
石井 慎一郎 山本 澄子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.11-16, 2008 (Released:2008-04-05)
参考文献数
15
被引用文献数
2 3

スクリューホームムーブメントの特性を明らかにするため,非荷重位での膝関節伸展運動をPoint Cluster法を用いた三次元動作解析により計測した。対象は20~65歳までの健常成人30名とした。その結果,19人の被験者は膝関節の伸展運動中に脛骨が外旋し,5人の被験者は終末伸展付近から脛骨が内旋し,6人の被験者は伸展運動中に脛骨が内旋していた。終末伸展付近から脛骨が内旋する被験者は女性が多く,全ての被験者がLaxity Test陽性という身体的特徴を有していた。また,膝関節伸展運動中の脛骨前方変位量も大きいという特徴も認められた。伸展運動中に脛骨が内旋する被験者は,40~60歳代の年齢の高い被験者であった。スクリューホームムーブメントは,靭帯の緊張や加齢変化によって影響を受けることが明らかとなった。
著者
関屋 昇
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.139-143, 2001 (Released:2001-12-27)
参考文献数
18
被引用文献数
3 2

歩行開始の運動制御を理解することは、定常歩行と同様に重要である。健常者の歩行開始は、下腿三頭筋の活動低下およびこれに続く前脛骨筋の活動により開始される。これらの筋群の作用による足圧中心の後方移動が起こって、身体が重力に引かれて前方に回転することにより、前方への重心移動が開始される。この基本パターンは年齢に関係なく一定であるが、足圧中心の後方移動は子供や高齢者では小さくなる。また、大人でも子供でも、最初の一歩の終了までに必要な時間は歩行速度には依存せず、生体力学的条件により決定される。パーキンソン病の歩行開始は、振り出し開始までの時間が延長することが特徴的である。
著者
山﨑 博喜 加藤 浩 村上 拓郎 大﨑 万唯美 冨田 愁
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.109-114, 2015 (Released:2015-03-18)
参考文献数
19

〔目的〕高齢者に対して2種類の腹筋運動を実施した後に端座位側方移動動作を行わせ,その影響を分析し,両腹筋運動の臨床的意義について検討することである.〔方法〕健常高齢者17名に対し,腹筋運動前後に端座位側方移動動作時の座圧中心軌跡,および体幹・下肢筋活動を測定した.〔結果〕座圧中心総軌跡長が腹筋運動後に減少した群を良好群,増加した群を不良群と群分けした結果,不良群では外内腹斜筋の活動比率(EO/IO比率)が100%に近づき,増加した群では100%から乖離した.〔結語〕腹筋運動の研究では筋活動量が着目されているが,端座位側方移動動作においては筋活動量や腹筋運動方法よりも,EO/IO比率が重要であることが示唆される.
著者
前岡 浩 冷水 誠 庄本 康治 嶋田 智明
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.859-865, 2009 (Released:2010-01-28)
参考文献数
30
被引用文献数
1

〔目的〕本研究の目的は,電気刺激にて客観的に痛みの耐性を測定し,痛みの耐性と臨床的評価尺度における痛みの感覚的および情動的側面についての関連因子を検討することである。〔対象〕研究対象は健常学生30名とした。〔方法〕痛み耐性と知覚閾値の客観的測定にNeurometerを使用した。本研究では250 Hz,5 Hzの異なる周波数刺激を使用することでAδ線維,C線維の選択的興奮が得られるようにした。そして,測定項目は,最大電気刺激量である痛み耐性閾値(PTT値)および最小電流知覚閾値(CPT値),臨床的評価尺度には,Visual Analogue Scale(VAS)およびMcGill Pain Questionnaire(MPQ)を使用した。〔結果〕PTT値とMPQの痛みに対する不快感などを示す質的要素の項目を中心に相関が認められた。また,PTT値とVASおよびPTT値とCPT値に関連が認められず,VASとCPT値に相関が認められた。〔結語〕痛み耐性には情動的側面の関与が示され,持続的な強い痛みの評価では質的要素の影響がどの程度であるかを評価する必要性が示唆された。
著者
戸田 秀彦 戸田 香 木山 喬博 三宅 洋之
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.411-415, 2011 (Released:2011-07-21)
参考文献数
13
被引用文献数
3 2

〔目的〕人工膝関節置換術の術前と術後6週までの膝屈曲可動域(以下ROM)を用い,回復傾向の分析により,術後早期のROMからその後に獲得できるROMを予測することを目的とした.〔対象〕対象は126人190膝(変形性膝関節症(以下OA)81人,122関節;関節リウマチ(以下RA)45人,68関節)とした.〔方法〕疾患に基づきOA群とRA群,また術前ROMに基づき良好群,中間群,不良群の3群に分けて検討した.〔結果〕術前ROMが良好なものは術後も経過がよく,反対に不良なものは術後も悪い傾向であった.術後のROM回復角度は疾患および術前ROMによる差を認めず,回復率は術後2週までに約50%,3週までに約75%を示した.〔結語〕術前ROMは術後ROMに影響を与え,術後2週のROMから,その後に獲得できるROMを予測することが可能である.
著者
宮下 浩二 播木 孝 谷 祐輔 太田 憲一郎 小山 太郎
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.707-711, 2019

<p>〔目的〕投球障害肩の要因となる肩内旋制限(硬さ)と肩後方動揺性(緩さ)は一見相反する現象だが,投手の肩で併存するか明確でない.本研究は両者の関係性を明らかにすることを目的とした.〔対象と方法〕社会人投手47名を対象とした.両側の内旋・外旋可動域と後方動揺性を測定した.左右の肩内旋可動域の差が20°以上をGIRD群(24名),20°未満を健常群(23名)とした.両群間の可動域の差,後方動揺性の陽性割合の差を検定した.〔結果〕内旋可動域はGIRD群26.0 ± 12.6°,健常群50.0 ± 14.3°で有意差があった.後方動揺性は両群間で割合に有意差はなかった.〔結語〕投手の肩は内旋可動域制限がある一方,同時に後方動揺性も併存する場合があることが示された.</p>
著者
伊藤 忠 太田 和義 馬渕 晃好 國島 宏樹 山崎 一徳 森田 良文 谷川 智康 吉久 みな子 久保 晃 酒井 義人
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.751-756, 2013 (Released:2014-01-21)
参考文献数
19

〔目的〕本研究は,ケイデンスを変化させた後進歩行練習直後の運動機能の影響を検証することである.〔対象〕対象者は,高齢者6名(以下高齢者群),若年者7名(以下青年群),中学生7名(以下少年群)とした.〔方法〕3分間の後進歩行練習を,メトロノームを使用して,ケイデンスを自由速度から50%の速度へと30秒ごとに増減させて実施した.運動機能評価は,自由歩行速度,timed“up & go”test (以下TUG),5 m最大歩行速度,片脚立位時間,座位開閉ステッピングテスト,chair stand test(以下CS-30)とした.〔結果〕共通して,5 m最大歩行速度,CS-30で有意な向上を認めた.〔結語〕後進歩行練習は,年齢によって若干の違いは出るが,運動機能向上に有用であることが示唆された.
著者
石田 弘 正木 寛 村上 大祐 渡邉 進
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.493-496, 2012 (Released:2012-09-07)
参考文献数
19

〔目的〕内反捻挫後の運動療法の開発に資するため,踵を上げて行う足関節の運動方向が下腿筋活動に及ぼす影響を明らかにすることとした.〔対象〕健常成人男性10名とした.〔方法〕足関節について回外位での底背屈,底屈角度0°位での回内外,最大底屈位での回内外という3つの課題間で,腓腹筋内側頭,腓腹筋外側頭,長腓骨筋の筋活動量を比較した.〔結果〕腓腹筋内側頭と腓腹筋外側頭での筋活動量は,底屈角度0°位での回内外において他の課題に比べ有意に低い値を示した.長腓骨筋での筋活動量は,最大底屈位での回内外において他の課題に比べ有意に高い値を示した.〔結語〕下腿筋の筋力に応じ,踵を上げて行う足関節の運動方向を選択することが有用である.
著者
宮﨑 茂明 石田 康行 河原 勝博 渡辺 将成 屋嘉部 愛子 平安 堅吾 濱野 友生 常盤 直孝 加藤 浩 鳥取部 光司 帖佐 悦男
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.703-708, 2013 (Released:2014-01-21)
参考文献数
16

〔目的〕投球動作における体幹回旋運動と肩甲帯周囲の筋活動の関連性を検討することである.〔対象〕高校の野球部投手(疼痛既往肩8名,コントロール10名)とした.〔方法〕検討項目は投球動作時の胸郭および骨盤回旋角度とその変化量,表面筋電図周波数解析による肩甲帯周囲の筋活動(平均周波数とその差分)とした.〔結果〕疼痛既往肩の投手は,胸郭回旋角度の変化量ではコッキング期に有意に低値を,加速期に有意に高値を示した.骨盤回旋角度の変化量はコッキング期に有意に低値を示した.肩甲帯周囲の筋活動はコッキング期に僧帽筋下部線維,前鋸筋で有意に低値を示した.〔結語〕投球障害肩の発生要因として,体幹回旋運動減少と肩甲帯周囲の筋収縮リズムに生ずるインバランスにより,肩関節への負荷が増大した可能性がある.
著者
村田 伸 江崎 千恵 宮崎 純弥 堀江 淳 村田 潤 大田尾 浩
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.939-942, 2010 (Released:2011-01-28)
参考文献数
21
被引用文献数
3 1

〔目的〕女性高齢者の周径および大腿四頭筋筋厚を測定し,大腿四頭筋筋力や歩行・バランス能力との関連について検討した。〔対象〕地域在住の女性高齢者56名(平均年齢は71.6±6.5歳)とした。〔方法〕膝蓋骨上方10 cm部,15 cm部,20 cm部の大腿周径と大腿四頭筋筋厚を測定し,大腿四頭筋筋力,歩行速度,Timed up & go test(TUG)との関係をピアソンの相関係数を求めて検討した。〔結果〕すべての大腿周径と大腿四頭筋筋厚の測定値は,大腿四頭筋筋力と有意な相関を認めたが,膝蓋骨上方15 cm部と20 cm部の筋厚との相関係数が高かった。また,15 cm部と20 cm部の筋厚のみ,歩行速度やTUGと有意な相関が認められた。〔結語〕膝蓋骨上方15 cm部と20 cm部の大腿四頭筋筋厚は,筋力のみならず歩行能力やバランス能力をも反映する有用な指標となり得ることが示唆された。
著者
松田 徹 吉田 晋 井上 美幸 村永 信吾 大嶋 幸一郎 川間 健之介
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.69-75, 2018 (Released:2018-03-01)
参考文献数
29

〔目的〕臨床判断を基盤とした転倒危険性の感じ方が,臨床経験により異なるか,Timed “Up& Go” Test (TUG)遂行時の高齢者映像から検討すること.〔対象と方法〕「学生」群32名,臨床経験「1-2年目」群46名,「3-4年目」群34名,「5-9年目」群43名,「10年目以上」群15名.映像を見て,Visual Analogue Scale(VAS)で評価した.本研究上定義した転倒リスク分類との一致率とVAS測定値を臨床経験で比較した.〔結果〕転倒高リスク映像にて,「学生」群よりも「1-2年目」群,「10年目以上」群の一致率が有意に高く,「10年目以上」群で最も高かった.〔結語〕10年以上臨床経験を積むことで,転倒リスクの高い高齢者映像をより正確かつ明確に評価できる可能性が示唆された.
著者
竹田 圭佑 小島 聖 渡邊 晶規 松﨑 太郎 細 正博
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.759-763, 2019
被引用文献数
1

<p>〔目的〕ギプス固定期間中の膝関節に振動刺激を行い,膝蓋下脂肪体の変化を予防できるか,組織学的に観察,検討を行うことを目的とした.〔対象と方法〕対象は9週齢のWistar系雄ラット14匹を用いた.無作為に通常飼育のみ行うC群(n=5),ギプス固定により不動化のみ行うI群(n=5),不動期間中に振動刺激を行うV群(n=4)の3群に振り分けた.不動化は右後肢とし,ギプス固定を行った.V群は,毎日15分間の振動刺激を加えた.実験期間は2週間とした.〔結果〕I群V群では膝蓋下脂肪体における脂肪細胞の大小不同,線維増生が認められたが,V群では変化は軽度であった.脂肪細胞の断面積は全ての群間において有意差を認めた.〔結語〕振動刺激は関節不動に伴う脂肪細胞の変化に対して予防効果がある可能性が示唆された.</p>