著者
卓 小能 塩崎 修志 尾形 凡生 堀内 昭作
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.664-669, 2002-09-15
被引用文献数
1

当年生の野生種のエビヅルと栽培品種の'キャンベル・アーリー'および'巨峰'実生を用いて, 巻きひげの着生と葉の形態的変化の関係を調査した.用いた全てのブドウにおいて, 巻きひげ着生前の葉の葉序は144°の螺旋状を呈し, 巻きひげ着生後は180°の互生であった.Galetの指標による巻きひげ着生前後の葉の形態的差異は, いずれのブドウにおいても認められなかった.巻きひげ着生前の葉縁鋸歯数は発育に伴って増加し, 巻きひげ着生節位の葉の葉縁鋸歯数はエビヅル, 'キャンベル・アーリー'および'巨峰'実生でそれぞれ26.1, 27.5, 28.8であった.巻きひげ着生後の葉縁鋸歯数は, 'キャンベル・アーリー'と'巨峰'では漸増したのに対し, エビヅルの増加は非常に緩慢であった.また, 実生の発育に伴って鋸歯角度が小さくなり, 鋸歯間裂刻が深くなった.葉脈間の裂刻の深さは'キャンベル・アーリー'と'巨峰'では巻きひげの着生前後で差が認められなかったが, エビヅルでは巻きひげの着生後に深くなった.
著者
灘岡 勲 安江 正明 大竹 康之 武田 恭一 松本 一浩 柿野 克自 多田 由実
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.15-22, 2006

我々は大豆イソフラボンとブラックコホシュエキスを含む健康食品の更年期女性の SMI に対する臨床有用性について,二重盲験試験により検討した.24 名の閉経前後の女性対象者を 2 つのグループに分け,試験食品もしくはプラセボを毎日 4 カプセルずつ,8 週間経口摂取させた.1 日あたりの摂取量は,大豆イソフラボン 50.0 mg,ブラックコホシュエキス 80.0 mg であった.試験食品摂取群ではプラセボ摂取群と比較して,「肩こり,腰痛」の更年期障害スコアが有意に改善 (p<0.05) され,さらに「イライラ」のスコアにおいては統計学的に有意ではないが改善の傾向が確認された.試験食品摂取前の更年期障害重症度による層別解析の結果,試験食品の効果は症状の軽い被験者においてより顕著であった.これらの結果より,大豆イソフラボンとブラックコホシュエキスを含む健康食品は更年期の不定愁訴を緩和し,生活の質の向上に有用であることが示された.<br>
著者
堀江 幸治 奥本 侑香
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 人文・社会科学編 (ISSN:09162151)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.83-97, 2008

本研究では、筆者(奥本)が中学校の養護実習で出会った、保健室に頻繁に来室するが、室内で何も話さずにいた女子中学1年生(A子)への援助過程を、コミュニケーションの成立という視点から振り返り、検討した。関わりの初期では、A子が話してくれないことに筆者が戸惑ってしまった。そのことがA子にも伝わり、余計に話せなくなってしまったように思う。中期から後期にかけては、筆者はA子に何とか話してもらおうという気持ちよりも、A子を受けとめたい気持ちが勝った。A子もまた、必死に何かを伝えたい様子であった。そのときの『どうしたら伝わるんだろう?』という不安の裏に隠れていた『伝わりたい』という双方の思いが、はじめて筆者とA子を結びつけ、徐々にA子が筆者に話せる関係を作る要因になったように思う。
著者
吉松 組子 有川 二郎 大洞 嗣子 板倉 智敏
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.59, no.10, pp.863-868, 1997-10-25
被引用文献数
22

重症複合型免疫不全 (SCID) マウスをハンタウイルスHantaan76-118およびSR-11株に感染させ正常マウス, 新生マウスおよびヌードマウスにおける感染経過を比較した. SCIDマウスは両ハンタウイルス感染によって感染後32日から38日目に死亡した. ハンタウイルスによって致死的となる新生マウスの場合と異なり, 神経症状よりも全身の衰弱が顕著であった. 感染後2週間目までにBALB/cマウスから脾細胞を移植することによってSCIDマウスには受け身感染防御が成立した. 免疫組織染色と主要臓器からのウイルス分離によってヌードマウスもSCIDと同様に全身感染が成立していることが明らかとなったが, ヌードマウスは感染後, 観察期間の8週間以上生存した. 以上の結果から, マウスにおける致死的なハンタウイルス感染からの防御には宿主の免疫が重要であることが示された. さらに免疫介在性の病原性についてSCIDマウスへの脾細胞移植によって検討した. 感染後3週目に脾細胞移植を受けたSCIDマウスは, 血中抗ハンタウイルス抗体の出現に伴って血中尿素体窒素 (BUN) の上昇が見られ, 宿主の抗ウイルス免疫が病原性に関わっていると考えられた.
著者
野口 隆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.159, pp.9-12, 2003-06-23

Si MOSおよびSOIトランジスタ応用に対しての紫外光レーザーアニールによる接合形成技術に関して述べる。Si LSI中のサブ0.1μm MOSトランジスタでは、十分なオン電流を確保し短チャネル効果を抑えるために、低抵抗の超浅接合が要求される。Siに対して高い吸収をもつ均一なビームによるエキシマレーザーアニールは、TFTを用いるAM-FPDにおいてと同様に、Siマイクロエレクトロニクスにおいても浅い接合ドーピングプロセスとして期待される。また、活性化したSi表面を非接触で評価できる有効な方法を提案し述べる。
著者
鬼沢 岳 加藤 慎一 青山 敬幸 奈良 安雄 大路 譲
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SDM, シリコン材料・デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.139, pp.103-107, 2008-07-10

自由にパルス形状を変えることの出来るフラッシュランプアニール技術(FSP-FLA:Flexibly-Shaped-Pulse Flash-Lamp-Anneal)を用いて、極浅接合形成およびメタル/高誘電率絶縁膜トランジスタの特性改善を行った。従来のFLA処理は、メタル/高誘電率絶縁膜トランジスタの移動度劣化・BTI (Bias Temperature Instability)寿命の劣化を引き起こす。FLA処理後の回復アニールによりそれらの劣化は改善できるが、不純物の拡散・不活性化を伴うため浅接合形成が困難となる。FSP-FLAを用い、高出力フラッシュ後に低出力・10ミリ秒のフラッシュを追加することで、不純物の拡散・不活性化を伴うことなく、高移動度・高BTI寿命を得ることに成功したので報告する。
著者
吹田 義一 正箱 信一郎 佐藤 順子 黒川 哲平 高井 大輔 佃 芳行 寺嶋 昇 藤澤 正一郎 黄地 尚義 増渕 興一
出版者
社団法人溶接学会
雑誌
溶接学会論文集 : quarterly journal of the Japan Welding Society (ISSN:02884771)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.33-38, 2003-02-05
被引用文献数
6 8

As a welding method in space, the authors have proposed the GHTA (Gas Hollow Tungsten Arc) welding method in the previous papers, where some GHTA welding experiments have been conducted under the condition of low pressure (10^-2 Pa) and/or the micro-gravity. In the present paper, a feasibility study has been conducted whether the method can be used under such a high vacuum condition (10^-5 Pa) as on the space station orbit. As a result, it is made clear that the GHTA method is quite feasible under the high vacuum condition and its melting process strongly depends on the operating gas species such as Ne, Ar and Kr. Increasing the flow rate of operating gas decreases the mass of metal vapor from molten pool and the use of a heavy operating gas such as Kr also decreases the mass of metal vapor.
著者
岩田 学
出版者
日本医療機器学会
雑誌
医科器械学 (ISSN:0385440X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, 2003-04-01

現在の病院の電気設備はJIS「病院電気設備の安全基準」に基づいて施工されている.しかし,この規格が制定されたのは,昭和57年11月であり,平成8年に改正されている.このためこれら以前に建てられた病院では現存のJISの設備とは異なっている場合がある.竣工から10年以上経った病院の手術室の電源事情について聞き取りと現地調査により問題点を調べた.調査では,「使用中に電気が止まったことがある」と「時々警報が鳴る」の答えが約半数からあった.この内,了解の得られた病院で現場調査を行った所,(1)コンセントの口数が足りない.(2)電気の取り方が偏っている.(3)機器の消費電力を知らない.(4)アイソレーション電源の警報が鳴っても対処方法が解らない,(5)警報が出た原因が判らない.(6)電源容量に不安を持っている.等が判った.これらの病院で現在のJISで施工される場合との違いを調べたところ,保護接地は正しく行われていたが,等電位接地はほとんど行われていないか不十分,非接地配線方式(アイソレーション電線)は持っていたが,電源容量が1室5kVAとなっていた.これらの内,心臓外科の手術室では増設工事を行って+5kVAとしている所があった.非常電源はほぼ使われていたが,瞬時特別非常電源(無停電)の使用は限られていた.また調査した手術室の多くで,電源配線に変更が加えられていたが,これは十数年間の間に医用電気機器が増えて来たためと推察された.これらの問題点を整理して,土曜日1日で改修できる計画を立てて実施した.主な改善は,(1)電源回路を目的別に分配,(2)コンセント回路数の増設,(3)コンセントモジュールの追加,(4)過電流警報器の設置,である.
著者
石 明寛 石 政道 吉田 耕治 柏村 正道
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.185-189, 2000

目的:生殖年齢婦人の長期大量飲酒によって続発性無月経,性機能障害,不妊など起きることが報告されている.今回,長期間の不妊治療でも妊娠できないことを悩んでアルコール依存症となった2症例を報告する.症例1:36歳の主婦で0妊,32歳で結婚,夫婦は円満で,結婚2年目から夫の晩酌の相手をして,少量飲酒を始めた.近医で不妊治療を受けても2年間妊娠せず,不安と淋しさから飲酒を始めるようになった.平成5年より月経不順となり,その後続発性無月経となったため当科に受診となった.禁酒と当科での診療約1年2ヵ月後,妊娠に至った.症例2:29歳の主婦 0妊,20歳で結婚.仕事を継続していた.結婚して3年経過しても,妊娠しないため,治療に専念する目的で会社を辞めたが,2年経過しても子供に恵まれなかったことを契機として,飲酒を始めようになった.28歳時,肝機能異常及び無月経などを呈し,近医を経て当科紹介となった.現在禁酒及び不妊治療を受けている.考察:女性がストレスを感じた時のfright反応としての行為は買い物,やけ食い,飲酒などが多い.不妊であることは,女性にとって強いストレスのひとつである.今回の2例の患者はfright反応として飲酒に走ったものである.不妊治療のときには,患者の飲酒歴の検討や心理教育も大切と思われる.
著者
丹羽 博之
出版者
大手前大学・大手前短期大学
雑誌
大手前大学論集 (ISSN:1882644X)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.(19)-(28), 2008

元和十年秋、白楽天は江州司馬に左遷され、潯陽に下る。その地で、廬山の香炉峰の近くに草堂を構え、半隠の生活を送る。この草堂は綿密な計画の下に造営され、十分に満足のいくものであった。それは「草堂記」やその他の詩文から窺われる。第一章では、彼の草堂生活が五感を十分に満足させるものであったことを、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚に分類し、分析していく。特に人工的に池や泉を作り、魚を放ち白蓮を植え、さらには崖から筧を架けてその水滴を楽しむといった、手の込んだ趣向を凝らして楽しんだことを述べる。茶畑も作り、その茶や酒を味わい、琴の音楽や自然の音も楽しんでいる。第二章では、白楽天が草堂建設に当って、事前にどのように準備したかを詩文から探る。次に草堂建設にあたって経済的な裏付けも十分に有ったであろうことを考察する。第三章では、江州を去った後、白楽天が草堂を追憶した詩を考察する。