著者
廣畑 輔雄
出版者
東京教育大学漢文学会
雑誌
漢文學會々報
巻号頁・発行日
vol.24, pp.24-38, 1965-06-25
著者
渋井 佳代
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.205-209, 2005 (Released:2007-10-23)
参考文献数
23
被引用文献数
6 1

女性は,月経,妊娠・出産,閉経を通して,視床下部-下垂体-卵巣系の内分泌環境が大きく変動する.それに伴い,気分の変調や睡眠が変化することはよく知られている.月経前には,いらいら,抑うつ感を伴った日中の眠気の増加が特徴的である.妊娠中に関しては,妊娠前期に過眠がみられるが,妊娠中期には比較的安定し,妊娠後期に夜間不眠が多く経験される.睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群が発症する場合もある.産褥期には夜間睡眠の分断化が余儀なくされる.更年期には,ほてりやのぼせなど自律神経症状がきっかけとなる夜間不眠がみられる.それぞれのライフステージにおけるホルモン動態を正しく理解し,適切な対処をする必要がある.
著者
岡﨑 龍史 太神 和廣 横尾 誠 香﨑 正宙
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.277-290, 2017-12-01 (Released:2017-12-16)
参考文献数
20
被引用文献数
6

2011年および2013年に行った福島第一原子力発電所事故の健康影響へのアンケート調査では健康影響への不安は,患児の保護者と放射線知識の高い医師や医学生とでは,患児の保護者の方がより強いことが確かめられた.福島県民健康調査事業で甲状腺検査によって,甲状腺がんが190名報告され,放射線影響の可能性に対する福島県民の不安は残っている.今回,事故後6年を経過後の放射線教育の受講状況や不安に対する調査を行うとともに,福島県内の患児の保護者に対して,放射線影響と福島県民健康調査事業での甲状腺検査についてアンケート調査を行った.全質問20項目の無記名自記式アンケートを福島県小児科医会各医療機関へ郵送し,受診した小児・青少年の保護者,および医療機関関係者から回答を得た.505部回収され,回収率は26.7%であった.患児の保護者では,「放射線教育を受けたことがない」が30%,「人体の影響についての教育を詳しく受けていない」が67%であった.患児の保護者では,「甲状腺がん」,「子どもへの健康影響」,「将来生まれてくる子や孫への遺伝的な影響」の項目に対し,医療従事者に比べ不安が高い傾向にあった.現状での甲状腺がんの発症は,原発事故による放射線影響と考え,甲状腺検査の継続を望む者が多いことが判明した.

212 0 0 0 OA 農商工概況

出版者
農商務省
巻号頁・発行日
vol.農業部・水産部, 1887
著者
西原 陽子
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究の目的は、ネットいじめに関わる不適切な表現を自動判定する方法を構築し、ネットいじめを減少させることである。本年度は以下の2点を実施した。1点目は、ネット上のいじめに関わる不適切な表現を収集したことである。2点目は、不適切な表現の言語特徴を明らかにし、不適切な表現を自動判定するための言語モデルを作成したことである。1点目の実施の詳細を述べる。ネット上のいじめに関わる不適切な表現が掲載されることが多いWebサイトから、掲載されている文を自動収集するプログラムを作成し、収集を行なった。その後、人手により不適切な表現が含まれる文と、それ以外に分類した。さらに、不適切な表現が含まれる文については4種類に分類した。2点目の実施の詳細を述べる。全ての文に対してその種類を表すラベルを付与した。具体的には不適切な文の4種類に対してと、不適切な表現が含まれない文に対してラベルを付与した。ラベルの系列をLong Short Term Memoryにて学習し、言語モデルを作成した。これにより、文を構成する単語の情報と、文書を構成する文の並びの情報の両方から、次にくる文が不適切な表現を含む文か否かが評価可能となった。今年度の成果の意義は、不適切な表現を含む言語モデルを作成したことにより、隠語や造語を含む不適切な表現の文も判定できるようになったことである。今年度の成果の重要性は、文脈を考慮したことによりある文脈では不適切表現であっても、別の文脈では不適切表現とならないものを判定できる可能性が生まれたことである。
著者
富田 昌平
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.177-188, 2009-06-10

本研究では,サンタクロースのリアリティに対する幼児の認識を調べた。研究1と2では,私たちは"昼間に保育園のクリスマス会で出会う大人が扮装したサンタ"(直接的経験)と"夜中に子どもの寝室にプレゼントを届けてくれるサンタ"(間接的経験)について子どもにインタビューした。その結果,4歳児は大人が扮装したサンタを"本物"と判断する傾向があるのに対し,6歳児は"偽物"と判断する傾向があることが示された。他方,6歳児は夜中にプレゼントを届けてくれるサンタを"本物"と判断していることが示唆された。研究3では,研究1と2の2種類のサンタに加えて,"デパートで出会うサンタ","昼に子どもの家を訪問するサンタ","夜に空を飛んでいるサンタ","夜にサンタ国に子どもを招待するサンタ"について,本物か偽物かの判断を求め,その根拠も求めた。その結果,5歳児は外見の類似をもとにサンタを「本物」と判断する傾向があるのに対し,6歳児は伝承されているサンタクロース物語と登場文脈との一致をもとに,"寝室","空の上","サンタの国"サンタを「本物」,"デパート","保育園","玄関"サンタを「偽物」と判断する傾向があった.以上の結果は,サンタクロースのリアリティ判断の発達における直接的経験と登場文脈の影響という点で議論された。
著者
宮本 顕二 宮本 顕二 宮本 顕二
巻号頁・発行日
2012-11-03

保健科学研究院公開講座: ようこそ!ヘルスサイエンスの世界へ(Public Program by the Faculty of Health Science: Welcome to the world of health science). 2012年11月3日(土). 北海道大学大学院保健科学研究院 3-1講義室, 札幌市.
著者
小倉 昌弘 柴田 瞳 前田 隆平 佐藤 翼
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.261-266, 2020-04-01 (Released:2020-04-01)
参考文献数
16

緒言:子宮頸部小細胞神経内分泌癌(small cell neuroendocrine carcinoma; SCNEC)は比較的稀な腫瘍で悪性度の高い腫瘍として知られている。今回我々は細胞診で術前診断が可能であった子宮頸部原発のSCNECの1例を報告する。症例:患者は20歳代,女性。持続する子宮出血で,擦過細胞診が施行された。細胞診では特定構築のない集塊配列と核の相互圧排像,裸核状で乏しい細胞質と核の細顆粒状の細胞所見からSCNECと診断された。一方で,細胞質が豊富で大型核を有する異型細胞集塊の細胞所見から扁平上皮癌の存在も疑われた。生検による組織診断では小型で単一のN/C比の高い細胞が密に増殖しておりSCNECと診断され,その後広汎子宮全摘出術が行われ,免疫組織化学的検索により扁平上皮癌成分を含むSCNECと最終診断された。本症例は腫瘍径6 cmで傍大動脈リンパ節転移陽性であったが,術後36ヶ月間再発および転移は認められていない。結論:子宮頸部SCNECの細胞診断には特定構築のない細胞配列と核の相互圧排像および細顆粒状核クロマチンの出現が必要である。
著者
上田 大貴 川端 祐一郎 藤井 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.78, no.6, pp.II_668-II_676, 2022 (Released:2022-04-20)
参考文献数
24

2020年に発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大は,健康被害のみならず,感染症対策のための社会活動制限を通じて,経済にも大きな損失をもたらした.本研究では,2020年第2・第3四半期において,新型コロナウイルス感染症対策のための行動制限が各国のGDPに与えた影響を44ヵ国のデータを用いて検討し,行動制限がGDPを大きく低下させることを確認する.また,データの比較が可能なG7各国について,労働者の賃金に対する政府補償の充実度合いが行動制限及びその緩和に与える影響についての実証研究を行った.その結果,政府による補償の充実は感染拡大を抑止するための行動制限を促進する効果とともに,制限の解除時においては経済活性化の促進効果を持つことが示唆された.
著者
藤村 彰夫
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.44, no.Supplement, pp.41-51, 1991-07-24 (Released:2010-03-11)
参考文献数
50
被引用文献数
2

Internal structure of terrestrial planets and moons are best characterized by seismological method. In the present paper, we will briefly describe the seismological instrumentation and results obtained for the moon and Mars. Since the most significant seismological data were obtained by the Apollo seismic network, emphasis is put on the lunar study. The velocity structure of the shallow moon (<120km depth) has been determined by the analysis of man-made impacts. On the other hand, the velocity structure of the mantle (120km-1, 000km) has been determined by using 41 deep moonquakes, which periodically occur at depth from 800km to 1, 150km. The velocity structure at depth below 1, 000km has not yet been established. Several petrological models are made by using the velocity structure of the mantle and other geophysical constraints such as the density distribution, moment of inertia, temperature distribution, and elastic data of the candidate minerals of the moon. These petrological models, however, are not so accurate that they do not constrain the formation process of the moon. The more detailed information on the lunar interior such as the size of core is required for clarifying the formation process of the moon. The forthcoming Japan lunar penetrator (LUNAR-A) mission, which is planned to be launched in 1996, will provide useful data on the lunar interior. A new seismic network of triangle form with about 5, 000km length will be constructed by the penetrator seismometers. We expect the results by the LUNAR-A mission to clarify several unsolved problems of the deep sturucture of the moon.
著者
鈴木 毅彦
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.122, no.6, pp.1088-1098, 2013-12-25 (Released:2014-01-16)
参考文献数
40
被引用文献数
1 6

This paper reviews historical volcanic disasters that have affected the Tokyo Metropolitan area and its surroundings, central Japan, and discusses the dangers of volcanic disasters occurring in future. The 1707 (Hoei) eruption of Fuji volcano, the 1783 (Tenmei) eruption of Asama volcano, and the so-called Kanto Loam, volcanic soil deposits containing large quantities of Holocene to Pleistocene fall-out tephras, suggest the potential hazards that originate from volcanic activities. Small to moderate eruptions (VEI 1 to 2) of Asama volcano have resulted in minor ash falls in and around Tokyo every one to two decades. It is most likely that Asama volcano will generate minor ash falls in the near future. Volcanic disasters caused by larger but rare eruptions of VEI 4 to 5 are considered, referring to the 1707 (Hoei) eruption of Fuji volcano, and measures and predictions for the next eruption of Fuji volcano. In this paper, volcanic disasters affecting Tokyo in the near future are not only those caused by ash falls but also those caused by lahar along the Tone, Edo, Sakawa, and Sagami rivers related to Asama, Haruna, and Fuji volcanoes, because the landform developments of these areas in Holocene and historical disasters suggest that these drainage basins have the potential for lahar disasters. In addition, more severe eruptions of VEI 6 to 7 are considered for their impacts and frequencies referring to geological records of air-fall tephras and/or pyroclastic flow deposits such as VEI 6 Hakone-Tokyo tephra (ca. 66 ka) and VEI 7 Aira-Tn tephra (ca. 29 ka).
著者
岩田 健太郎 野口 善令 土井 朝子 西本 隆
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.289-302, 2013 (Released:2014-02-28)
参考文献数
64
被引用文献数
1 1

迅速診断検査(RIDT)とノイラミニダーゼ阻害薬(NI)が開発され,インフルエンザ診療の様相は激変した。しかし,RIDT の感度の低さ,副作用や薬剤耐性など NI の問題もあり,その診療は未だ最適とは言えない。そこで,インフルエンザをウイルスという「モノ」ではなく「現象」として認識し,漢方薬を治療選択に加えた診療意思決定モデルを開発した。まず患者の重症度を吟味し,重症・ハイリスク患者では RIDT に関係なく NI 点滴を基本とする。重症でもハイリスクでもない場合は,NI か漢方薬を患者に選択させ,前者の場合は検査前確率が50%未満で RIDT を用い,それ以上では事後確率への影響の低さから RIDT を行わない。漢方薬では「現象」を対象としているため,原則として RIDT は行わないものとした。本モデルでは RIDT を選択的に行うことで検査属性を活かし,かつ検査の乱用や誤解釈を回避することが可能になる。
著者
広重 佳治
出版者
日本生理心理学会
雑誌
生理心理学と精神生理学 (ISSN:02892405)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.66-76, 1995 (Released:2012-11-27)
参考文献数
27
被引用文献数
1 1

覚醒・睡眠移行時における様々な意識体験を25名の女子学生より聴取した.強制覚醒前3分間のポリグラフ記録は標準的睡眠段階と緩徐眼球運動 (SEM) の変動性を反映した5つのEEG-EOG段階に分類された : W (低頻度のSEMを伴う標準的段階W), D1 (高頻度のSEMを伴う標準的段階W), D2 (高頻度のSEMを伴う標準的段階Wと1), D3 (高頻度のSEMを伴う標準的段階1と2) およびS (低頻度のSEMを伴う標準的段階2と3+4).睡眠感と眠気はEEG-EOG段階の関数として増加したが, SEMが睡眠感と直接関係した.視覚心像は段階Wを除くすべての段階で報告され, その半数は夢見あるいは幻覚の印象を伴い, 経過時間の過小評価と相関した.思考は段階D1とD2では未来定位, 現実定位および過去定位を含んだ多様な内容をみせたが, 段階D3とSでは曖昧さが増して内容忘却が優勢となった.こうした混沌とした思考活動はしばしば視覚心像とともに生じた.