著者
尾ノ井 正裕 山渕 正彦 八束 充保
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌A(基礎・材料・共通部門誌) (ISSN:03854205)
巻号頁・発行日
vol.123, no.1, pp.12-19, 2003 (Released:2003-04-01)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

A virtual cathode oscillator with a stainless-steel mesh anode of various transparencies and wire diameters was studied experimentally for improvement of microwave power and its repetitive operations. The maximum microwave power was observed to be about 20 MW at 12 GHz for the diode voltage of 250 kV and the electron beam current of 39 kA using the anode mesh with the wire diameter of 0.22 mm and the transparency of 67 %. The microwave emission enhanced with decreasing the wire diameter as the mean beam scattering angle decreased with the smaller wire diameter. Also the increased transparency of fine mesh caused an enhancement of microwave emission. Use of mesh anode allowed us a few repetitive operations.
著者
河野 勝行 平井 一男 氣賀澤 和男
出版者
北日本病害虫研究会
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.38, pp.125-126, 1987-11-10 (Released:2011-08-11)
参考文献数
5
被引用文献数
1

コガネムシ類4種 (サクラコガネ.スジコガネ.ヒメコガネ, アカビロウドコガネ) に対する誘蛾灯3種 (プラックライト, 水銀灯, 白熱電球) の誘引性の比較と, 設置場所の違いによる誘引数の比較を行った。4種ともプラックライト, 水銀灯, 白熱電球の順で捕獲数が多く, アカビロウドコガネを除く3種では統計的に有意だった。ヒメコガネは他の3種と比較すると設置場所による捕獲数の違いが大きく, 移動力が低いと思われた。
著者
都築 建三
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 (ISSN:24365793)
巻号頁・発行日
vol.125, no.2, pp.112-120, 2022-02-20 (Released:2022-03-10)
参考文献数
100
被引用文献数
1

超高齢社会の日本において, 加齢に伴う五感の低下は身体的および精神的に悪影響を及ぼすため, その対策は耳鼻咽喉科医に求められる大きな課題である. 五感の一つである嗅覚も加齢や基礎疾患の影響を受けて低下するが, それに気づかずに過ごしている高齢者は多い. 嗅覚障害のリスクファクターとして, 加齢, 男性, 鼻副鼻腔疾患, 動脈硬化, 飲酒, 喫煙などが挙げられる. 嗅覚系組織の基礎研究からも, 嗅上皮の再生能低下, 嗅上皮の面積の減少, 嗅覚中枢路組織の体積減少, 一次嗅覚野のにおいに対する活動性の低下など, 加齢に伴い嗅覚機能が低下することが示唆される. 2017年, 嗅覚障害診療ガイドラインが発刊され, 嗅覚障害患者の増加とともに, その診療の重要性は高まってきている. 嗅覚障害の診断は重症度と原因疾患が重要で, 詳細な問診, 鼻内視鏡を用いた嗅裂部の視診, 画像検査 (CT・MRI), 嗅覚検査から総合的に行う. 加齢性嗅覚障害は, 原因疾患を除外して十分な臨床経過を観察した上で診断する. この時, 嗅覚障害がアルツハイマー病, パーキンソン病, レビー小体型認知症に代表される神経変性疾患の前駆症状である可能性に留意する. いずれも嗅覚中枢路に神経病変が先行するために早期に嗅覚障害を呈する. 嗅覚機能評価は, 神経変性疾患の早期診断, パーキンソニズムの鑑別, 認知症発症の予知に高いエビデンスがある. 高齢者の嗅覚障害への対策には, 病態の把握, 危険の察知, 予防が重要である. 嗅覚障害のリスクファクターの回避と原因疾患の治療を行う. 適度な運動や生活習慣の改善は, 嗅覚低下への予防効果が期待できる. 現在, 加齢性嗅覚障害や中枢性嗅覚障害に奏功する治療法はないが, 意識してにおいを嗅ぐ行為である嗅覚刺激療法の効果が期待できる.
著者
福地 知行
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.403-408, 1987-12-15 (Released:2017-10-31)

現代のエネルギー源としては,すでに欠くべからざるものとして,LPガスは都市ガスとともに不動の地位を築いたといってもよい. しかし,その両者ともに現在のその地位を確保するに至った経過において,必ずしも平坦なものばかりではなかった。数々の事故を引き起こし,尊い人命を奪い,さらに高価な物的代償を払わされ,それゆえにこそ,安全に使用できるための種々の方法,システム等が開発されて,今日に至ったのである。 過去に起こった事故は数々あるが,ここで述べる「つま恋」事故以前は,昭和37年9月13日に山中湖畔の山荘で起こったガス風呂の燃料としてのLPガスの不完全燃焼に起因する一酸化炭素の発生によ って1!人の生命を奪った事件が思い出される・ LPガスは安全でかつ安価であるといわれて多量に使われようとした矢先の話であり,その後LPガス使用の家庭に起こった数多くの爆発事故は,使い方によっては都市ガスと同じように安全と危険とが背中合せであるという教訓を残している. このようななかで「つま恋」の事故が起こったのである.もういまでは思い出のなかの事故のようになって終わったが,LPガスの事故としては最大の犠牲者を生じた事故となった.すなわち,静岡県掛川市満水2000番地のヤマハレクリェーション施設「っま恋」において,昭和58年11月22日午後0時48 分,爆発事故が発生し,人的には死者14名,負傷者27名,物的な被害としては鉄骨平屋建(993.7m2)が全焼,スポーツマンズクラブ室内プールガラス窓全損等となった、 この満水亭の概要について述べ,つぎに事故について日時を追って,その経過の詳細をたどってみる こととする.
著者
鈴木 大助
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2022-IOT-58, no.13, pp.1-5, 2022-07-05

大学の一般情報教育における情報通信ネットワークの教育を考えた場合,その技術や仕組みに興味がある受講生ばかりではないことをふまえると,技術的な側面に偏らない親しみやすい演習が必要である.本研究では,一般情報教育での実践に向けた予備的研究として,3 年生対象の選択科目において,ネットワークコマンドを用いた経路調査実験とネットワークに関する社会的な事例学習の両方を実践し,理解や興味を促進する効果に関して比較検討を行った.経路調査実験では tracert と whois を利用して,任意のサーバに至るまでの経路を受講生各自で調査する.事例学習では,受講生は提示された 3 つの事例の中から好きな事例を選び,それについて記事を読んで問題に解答する形でレポートを作成する.事後アンケートによると,経路調査実験では8割程度が理解と興味が促進されたと肯定的な回答であったが,事例学習ではそれを上回る9割前後が肯定的な回答であった.難易度に関しては,経路調査実験を難しいと感じた受講生の割合は事例学習を大幅に上回り,事例学習の取り組み易さが確認された.経路調査実験も十分な教育効果を見込めるが,必修や履修指定として実施する一般情報教育においては,事例学習の方がより一層効果的であると期待される.
著者
木村 和樹 石坂 正大
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.12, pp.791-797, 2016-12-30 (Released:2016-12-30)
参考文献数
16

本研究は糖尿病多発神経障害(DP)に伴い低下する身体機能・構造項目を二項ロジスティック回帰分析で検討した.対象はDM患者100例とした.身体機能・構造項目は,前方および後方10 m歩行速度,開眼片脚立位,Timed Up & Go Test(TUG),30秒椅子立ち上がりテスト(CS-30),下腿周囲長(CC)とした.DPは「糖尿病性多発神経障害の簡易診断基準案」を用いた.二項ロジスティック回帰分析よりCCの萎縮と後方歩行速度の低下が抽出された.ROC曲線より,カットオフ値はCCが33.75 cm,後方歩行速度が0.905 m/sであった.非高齢患者はCS-30の減少,高齢患者は後方歩行速度の低下が抽出された.DPを有する非高齢患者は下肢筋力低下を生じ,加齢に伴いCCの萎縮を認めた.DPを有する高齢患者はTUGや後方への動的バランスが障害され,後方歩行速度の低下と関連があった.
著者
根本 貴弘 三島 和宏 石橋 みゆき 長島 和平 青山 茂義
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2022-IOT-58, no.12, pp.1-5, 2022-07-05

東京農工大学では,近年の高度化するサイバー攻撃から学内情報資産を守るために,2021 年より全学的な多要素認証の導入に取り組んでいる.2022 年 5 月には,Microsoft365 のクラウドメールサービスを利用した「旧教職員向け電子メールシステム」の全アカウントに対する多要素認証の有効化を完了した.本システムでは,Microsoft が提供する多要素認証機能を使用しており,利用者が事前に各自で多要素認証の設定を行えるように,多要素認証設定マニュアルの作成や多要素認証設定講習会の実施,学内の会議体での説明や教職員向けのポータルサイト等で周知をしてきた.本稿では,「旧教職員向け電子メールシステム」における多要素認証導入における取り組みとして,導入に向けたこれら周知活動に加え,問い合わせ状況可視化ツールを用いた総合情報メディアセンターへの問い合わせ状況と多要素認証の設定状況についてまとめ,報告をする.
著者
松井 利郎 桑原 滋 伊福 靖 下田 満哉 筬島 豊
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.116-121, 1991-02-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
12
被引用文献数
2

柑橘果皮油のテルペンレス化を目的として,減圧(4~5mmHg)の蒸留法の適用を試みた.モデル系を用いて,以下のことを明らかにした.1) リモネンとシトラール2成分系で,リモネンの分別蒸留を試みたところ,沸点はリモネン濃度の低下とともに上昇し,特に体積分率が0.4以下で顕著であった.2) リモネン,リナロール,シトラール3成分系においては,リモネンの濃度は60℃まで顕著に減少し,それ以上ではほぼ一定となった.一方,リナロールの沸点は61℃であったことから70℃付近までは含有率が顕著であったが,それ以降では含有率は急激に低下した.従って,目的とする組成のテルペンレスオイルを作製するには抽出温度の設定が重要となることが明らかとなった.つぎに実試料のテルペンレス化を試み,以下のことを明らかにした.3) レモン果皮油のテルペンレス化は60℃, 30分間で最大となり,リモネン含量は約1/26に減少した.一方,シトラールは50℃でテルペンレス化を行ったとき最も効率よく濃縮され,全体の約27%を占めた.4) バレンシアオレンジ果皮油においては,香気寄与の高いリナロールの含量が50℃, 30分間の蒸留で約7倍となり,より芳香性に富むオイルを得ることができた.
著者
Naoyuki Kishimoto Koki Hara
出版者
Japan Society on Water Environment
雑誌
Journal of Water and Environment Technology (ISSN:13482165)
巻号頁・発行日
vol.19, no.6, pp.283-293, 2021 (Released:2021-12-10)
参考文献数
29

This study reports the availability of seawater as an economical chloride (Cl−) source for the UV/electro-chlorine process from the viewpoints of advanced oxidation performance and unwanted byproduct formation of chlorate ion (ClO3−) and bromate ion (BrO3−). In the electrochemical oxidant production stage, the oxidant production rate in diluted seawater containing 30 mM Cl− was 21% lower than that in the NaCl solution due to coexisting electrolytes in the seawater. The ClO3− formation during electrolysis was successfully inhibited under acidic conditions and BrO3− formation was not detected in the diluted seawater. However, ClO3− and BrO3− were steadily formed in the undiluted seawater electrolysis, even when the initial pH value was set to 3. The oxidant utilization efficiency for 1,4-dioxane removal during UV irradiation was not deteriorated in the diluted seawater but decreased under basic conditions due to the radical scavenging effect of electrochemically produced free bromine and free chlorine. As a result, the formation of BrO3− and ClO3− was enhanced under basic conditions, whereas BrO3− formation was completely inhibited at an initial pH ≤ 5. Consequently, the diluted seawater was thought to be available as a Cl− source for the UV/electro-chlorine process if an acidic condition was maintained throughout the operation.
著者
小林 孝史 嶋田 洸希 大歳 英征 伊佐 眞寿 武田 瑞樹
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2022-IOT-58, no.11, pp.1-6, 2022-07-05

これまで,SSH 接続時の認証時間(パスワード要求からパスワードを入力して送信してくるまでの時間)を利用した攻撃検知の研究を行ってきた.以前の研究では,この認証時間に閾値を設定したり,時間帯や接続元 IP アドレスに依る適応的に閾値を設定して検知を行ってきたが,認証時間を用いることの有効性が明らかになっていなかった.本研究では,認証時間を用いることにより,いくつかの機械学習においても検知率の向上に寄与できることを示す.
著者
ドゥエ フランソワーズ 黒木 朋興
出版者
物語研究会
雑誌
物語研究 (ISSN:13481622)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.74-84, 2008-03-31 (Released:2018-03-27)

Highly influenced by Dumarsais's treatise On Tropes (1730), French rhetoric in the 18th century was "restricted" to the study of models of signification or tropes. I shall propose here four historical counter-arguments to this thesis put forward by Gerard Genette in 1970. First, in the 18th century there is no relevant break in French rhetoric since it remained unrestricted from 1598 to 1885. Second, considered a grammar by its own author and a poetics by its contemporaries, the treatise On Tropes is not in fact significantly representative of the evolution of rhetoric. Third, even in the treatises of rhetoric influenced by Dumarsais, the part assigned to tropes remained unchanged throughout the 18th century. Fourth, some other aspects of rhetoric structure reveal a considerable amount of mobility in the 18th century: action, passions, design, models of construction and styles. In brief, though stimulating in 1970, this thesis of "restricted rhetoric" has nowadays become an epistemological obstacle to the understanding of the history of rhetoric in France.
著者
中村 由行
出版者
日本水産工学会
雑誌
日本水産工学会誌 (ISSN:09167617)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.229-233, 2010-02-15 (Released:2017-09-01)
参考文献数
24
被引用文献数
3

Huge subaqueous borrow pits are widely distributed in coast of Japan as a result of dredging action for sandmining or other purposes. In this study, we first review the present status of the borrow pits in whole of Japan. The borrow pits can be classified into two categories: one is the flatten-out type that is typical in Seto Inland Sea, and the other is the depression type that are widely distributed in whole country. The latter type are often steep sided and much deeper than the surroundings. Water circulation inside of the pits is strongly inhibited and organic materials are easily accumulated in the bottom of the pits and therefore, water quality deterioration such as development of severe oxygen depletion is often observed. Therefore, some remediation actions are urgent task to restore damaged ecosystems. Recontouring, which is one of the promising methods to restore the damaged ecosystems, has been conducted in the borrow pits in Mikawa Bay by using maintenance dredging sediments. In the latter half of this paper, we report the outline of the restoration action and main results of a research project which aims to develop evaluation methods to estimate beneficial effects of the recontouring on the coastal environment. In the research project, we successfully developed a comprehensive procedure to predict the response of benthic community structure and their purification function after restoration actions conducted in the Mikawa bay.
著者
三島 和宏 根本 貴弘 青山 茂義
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2022-IOT-58, no.10, pp.1-6, 2022-07-05

東京農工大学(以降,本学)では,約 5 年ごとに教育系計算機システム(現:学術情報基盤システム)の更新を行っている.このシステムには,教育用計算機システムのほか,プリンティングシステム,図書館システム,さらには認証基盤システムまで含まれる幅広いものとなっている.本学の認証基盤として 2016 年更新のシステムでは認証サーバや ID 管理システムなどをプライベートクラウドでの運用に切り替えを行った.このシステムが 2021 年に更新を迎えるタイミングとなるのに合わせ,本学では新たな認証基盤のために従来のプライベートクラウドではあるがオンプレミスに類似されるシステムからクラウドでの認証・ID 管理基盤であるIDaaSへの移行を検討した.これに基づき,2021 年のシステム更新では,認証機能と ID 管理機能の一部として IDaaS を導入し,学内の人物情報源との統合と IDaaS でカバーできない ID 管理機能を持つ情報源システム(申請管理システム)と連携する形でシステムの運用を開始した.本システムでは,これまで本学で運用していなかったシングルサインオンや多要素認証なども運用を開始する.IDaaS と周辺システムの導入と初期段階での運用についてまとめ,これらについて報告する.