著者
赤崎 正人 時任 明男
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.218-228, 1982-03-25 (Released:2010-09-07)
参考文献数
6

1975年9月25日から12月4日まで, 宮崎大学農学部付属水産実験所において, タイ科魚類のキチヌにシナホリンを投与して人工受精を行い, 卵発生を観察するとともに, ふ化仔魚の形態変化について調べた。1.キチヌ卵の平均卵径は0.787±0.022mm (10粒) であり, 油球径は平均0.20±0.005mmであった。2.受精卵は1時間23分で2細胞, 2時間10分で16細胞となり, 4時間35分後には桑実期に達し, 12時間33分後には胚体の形成が始まる。23時間35分後には心臓搏動が確認され, 筋節数25となる。25時間40分後には胚体は卵黄をほぼ2/3周する。29時間後には胚体は卵黄をほぼ1周し, ふ化が始まる。3.キチヌ卵は水温26℃で21時間30分, 16℃で43時間5分, 常温21.5~23.2℃ (平均22.6℃) で29時間でふ化した。水温 (X) とふ化所要時間 (Y) の間にはY=79.072-2.223Xの関係がみられる。4.キチヌのふ化仔魚は全長1.8~1.95mm, 平均1.89mmである。卵黄径は0.84mmで, 油球は大部分の個体で卵黄の中央よりやや後下方に位置する。肛門は卵黄の直後にあり, 体のほぼ中央に位置する。5.ふ化後2日目の仔魚は全長2.75~3.0mmで, 卵黄はほとんど吸収される。肛門は体の前部1/3に移動し, 第5筋節目に開く。3日目には全長2.9~3.1mmに達し, 開口するとともに腸は2回転する。6.ふ化後32日目の仔魚は全長10.0mmとなり, ほぼ鰭条数も定数に達し, 稚魚期に移行したものと考えられる。
著者
A.B. ABOL-MUNAFI 楳田 晋
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.135-144, 1994-03-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
17

生簀網で飼育したキチヌの生殖巣の発育周期について調べた。体長14.0~33.0cmの機能的雄はすべて雌雄同体で, 全体の魚の39%であった。雌の体長は23.0~38.0cmであった。 GSIは10月に増大し始め, 11月に最高値を示した。産卵は10月末から11月末に生じた。総抱卵数は, 26.4cmの魚で629×104粒, 35cmの魚で1445×104粒であった。
著者
荒井 智大 藤尾 淳 島岡 理 望月 泉 宮田 剛 臼田 昌広 井上 宰 村上 和重 手島 仁 中村 崇宣 中川 智彦 中西 渉
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.12-18, 2018
被引用文献数
1

急性虫垂炎の発症については季節性変化を報告した論文がみられ,特に高気圧時の化膿性疾患の増加を指摘した報告もある.2012年1月1日から2014年12月31日までの3年間に,当院で手術を施行した急性虫垂炎450例について,診療録をもとに後方視的に発症時期を調べその季節性変動を検討した.対象の平均年齢は38.3歳で,男女比は1.5:1であった.手術症例は7-9月が11-12月に比べ有意に多かった(p<0.05).気候要因としては,気温が高いほど発症が多い傾向があるが,気圧には先行研究で示されたような化膿性疾患の増加との関連性は認められなかった.急性虫垂炎の病因は複合的であり更なる検証が必要だが,この季節性変動の情報が急性虫垂炎の発症機序解明に僅かながらも寄与する可能性があると考えられた.
著者
風間 基樹 岡田 直仁 中村 晋
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.722, pp.207-217, 2002-12-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
28

強震動を受け強非線形化した地盤の地震時挙動を解析するため, 高速ウェーブレット変換を用いた時間-周波数領域の非定常地震応答解析手法を提案した. 提案手法は地震動が入力されてから非定常に変化する地盤のせん断剛性と減衰定数を, その時点までに地盤が受けた累積損失エネルギーと最大ひずみレベルに基づいて規定する方法を示している. この方法の特長は, 地盤の時々刻々の剛性低下が陽な形で計算結果として出力されることであり, 一種の非線形解析となっている. また, 提案手法を用いて神戸ポートアイランドで観測された強震記録を対象とし, 液状化による剛性低下を伴う地盤の強震時挙動解析に対する適用性を検討した.
著者
泉 利明
出版者
千葉大学国際教養学部
雑誌
千葉大学国際教養学研究 = Chiba University journal of liberal arts and sciences (ISSN:24326291)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.1-17, 2019-03

[要旨] バルザックの小説の文体については、出版当初より、多くの批評家から悪文だと非難されてきた。しかし、フランスの社会状況は古典主義的な言語美学が支配していた時代から大きく変化した。とりわけバルザックのような写実的な小説という文学形式においては、「正しく美しいフランス語」ではない語彙も数多く導入される。本論では、そうした語彙の多様性の意味を、まず、言葉に含まれる時間性という観点から分析し、古語や新語の利用がどのような意図よってなされているかを探る。続いて、空間的に見たときの言語の相違や、職業あるいは階層ごとに特徴的な語彙の使用に着目し、俗語や隠語の効果について検討する。最後に、登場人物間での言語的交流が行われてる箇所を取り上げ、規範にそぐわない語彙の使用が小説の中で生み出している効果について論じる。
著者
櫻井 治彦
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
vol.44, pp.S26-2, 2017

産業の場では、従来利用されたことのない化学物質が今後も次々と導入されることが予想される。特に研究開発、製造等の川上側では、労働者が相対的に高いリスクを負うことが危惧される。<br> 産業衛生の目的は労働者の健康を守ることであり、そのための化学物質管理では、労働者の曝露の特徴をまず念頭に置く必要がある。1日8時間、週5日を基本とする吸入経路の断続曝露が主に起こっており、その場合のトキシコキネティックスに関する定量的な情報が求められる。特に粒子状物質の吸入では、気道と肺での沈着、粘液繊毛輸送系による排出、肺胞領域での生体防御機構による処理、肺間質への蓄積等についての、その物質固有の性質に関する情報が必要である。経皮吸収による発がん等の重大な毒性影響もしばしば発生しており、考慮すべき課題である。<br> 曝露期間からみると災害性の高濃度曝露から、数十年もの長い期間にわたる比較的低い濃度の曝露まで、幅広い曝露状況における毒性発現についての情報が求められる。<br> 毒性影響の種類、強さ等については包括的な情報が必要とされるが、吸入曝露による肺への局所的影響(炎症、繊維症、肺がん等)は産業衛生における特徴的な課題である。<br> リスク評価の基本ツールである曝露限界値は、産業衛生においては人の観察と動物実験による情報を基に設定してきたが、今後は後者への依存度が高くなると考えられる。その際に用いる不確実性係数の妥当な選択について、科学的根拠をより明確にすることは毒性学全体の課題である。特に産業衛生においては、労働者の健康をモニターすることを前提として、小さい不確実性係数を採用してきた経緯があるので、個人曝露の評価及び早期の毒性影響の検出を目的とする方法を確立することが常に求められている。<br> さらに将来に向けては、比較的低い濃度で長期の曝露における毒性とそのメカニズムを解明し、化学構造からの予測を目指すことが期待される。

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著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1947年07月23日, 1947-07-23
著者
本山 達男 尾川 貴洋 小川 貴久 古江 幸博 永芳 郁文 川嶌 眞之 佐々木 聡明 渡邊 裕介 小杉 健二 川嶌 眞人 田村 裕昭
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.481-484, 2015-09-25 (Released:2015-12-03)
参考文献数
6

膝前十字靭帯(ACL)損傷に伴う骨挫傷は,MRIでのACL損傷診断の補助となる.ACL新鮮例のMRIでの骨挫傷について検討した.対象と方法)対象は2011年7月より2014年7月まで当院でACL損傷にて関節鏡もしくは鏡視下靭帯再建を行った41例,41膝,男性21例,女性20例,平均年齢30歳(13-58)右膝12例,左膝29例であった.MRIにて骨挫傷の有無,部位について,また受傷機転,スポーツ種目について検討した.結果)41膝中39膝(95.1%)に骨挫傷を認め,脛骨外側顆36膝,大腿骨外側顆28膝,脛骨内側顆13膝,大腿骨内側顆6膝であった.また内側コンパートメントの骨挫傷単独例はなく,外側コンパートメントの骨挫傷を合併していた.41例中39例はスポーツが原因で,バレーボール17例,バスケットボール10例,サッカー6例などであった.受傷機転はジャンプし着地時の受傷が21例と多かった.非接触型の受傷は34例(82.9%)を占め,接触型より内側の骨挫傷を多く合併していた.
著者
五島,清太郎
出版者
東京動物學會
雑誌
動物学雑誌
巻号頁・発行日
vol.23, no.278, 1911-12-15
著者
中岡 哲郎
出版者
社会経済史学会
雑誌
社会経済史学 (ISSN:00380113)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.329-351, 2010-11-25 (Released:2017-07-18)

明治の工業化と共に急成長した若松-大阪間の石炭輸送では,政府の汽船奨励にも拘らず,初期は在来帆船が主流,中期は小汽船で複数帆船を曳く曳船方式,後期は発動機付き帆船(機帆船)と,帆船の流れをくむ輸送法が,沿岸や島嶼地帯の帆船船主にも支えられ,優勢だった。この背後には,遠浅の在来河口港に,汽船が入港出来なかった問題がある。その代表が大阪港であり,汽船は沖泊まり・沖荷役を要求された。このため,水深の深い神戸港を外航船用港湾とし,阪神間は艀船曳船で乗客貨物を輸送する体制をとりつつ,大規模な河川の浚渫・改修と築港建設事業を強行し,江戸時代に発展した堀川と外航船入港可能な新築港とが,河川曳船による港内輸送で結合された,特異な港湾が完成する。この堀川を石油発動機付き巡航船が走ったことが,発動機船への関心を高め,当時の漁民や帆船業者に使い易く,町工場にも作り易い焼玉機関が一時期ブームとなり,機帆船の発展も支えたのである。その日本近代技術にとっての意味と,内海地帯の歴史地理や社会経済との関係を探りつつ,産業技術史学と社会経済史学の関連が考察される。
著者
福井 浩二 大矢 昌樹 大谷 晴久 吉川 聡介 玉井 浩 宗 正敏
出版者
公益社団法人 日本ビタミン学会
雑誌
ビタミン (ISSN:0006386X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.10, pp.525-526, 2004-10-25 (Released:2017-10-10)

γ-トコフェロール(γ-Toc)の生体内での主要な代謝産物であるとされる2, 7, 8-trimethyl-2-(β-carboxyethyl)-6-hydroxycroman(γ-CEHC)が発見されて以来, その物質が保持するであろう生理機能に関し, いくつかの報告がなされてきた. その多くは, 高NaCl食下の際の尿中でのNa排泄促進効果とされており, 実際に動物モデルでの検討が広く行われている. しかし, 人においての詳細な検討はまだ十分とは言いがたい. そこで本実験では健常人に400mgのγ-Tocを単回経口投与し, 尿中のNa排泄促進作用について検討を行った. その結果, γ-Toc製剤投与群(5名)では, 投与後6時間までのNa排泄量およびNa排泄率がプラセボ群に比べて有意に高値であった. また, 投与前後において両群の間に, 尿量およびクレアチニンクリアランスに有意な変化は認めなかった. 更に尿中におけるγ-CEHC量は, 投与後12時間で最大となった. 以上のことから, γ-Tocは健常成人で高食塩食下において尿Na排泄促進効果を有するものと考えられる. 〔論議〕岡野委員 以下の2点をお教えください. 1)NaK-ATPaseは腎細管でPi輸送とカップルしていると思いますが, γ-トコフェロール投与においてPi酸の尿中排泄に変化は見られなかったでしょうか. 2)γ-CEHCの産生臓器は既に特定されているのでしょうか. 宗 正敏氏1)γ-トコフェロールの作用機序としては, Kチャネル阻害が主と考えられていますので, リン酸の尿中排泄は検討していません. 2)γ-CEHCの産生臓器は主に肝臓と考えられています. <玉井副委員>アルドステロンなどホルモンの影響はお考えでしょうか. <宗正敏氏>Kチャネル阻害により遠位尿細管へ到達するK量が増加することから, アルドステロンの関与が考えられる. 他のホルモンについては不明です. <阿部特別委員>1)血中のγ-CEHCの測定はされておりますか. 2)病態におけるγ-CEHCの変動を検討する予定はありますか. <宗正敏氏>1)現在, 検討中です. 2)腎臓病, 肝臓病等におけるγ-CEHCの変動を検討したいと考えています. <吉村特別委員>投与したγ-トコフェロールの量に対して, 尿中に出てきたγ-CEHC量の割合(モル比)はどの程度か. 追記:動物実験の場合との比較で考えられていると更によいのですが. <福井浩二氏>投与から排泄まで時間的なラグもあることから割合を出すことは難しいと考えられます. また, γ-CEHC自体がどの臓器にどの位存在するかを明らかにしなくてはならず, この点も問題を複雑化しているといえると思います. <吉川聡介氏>(共同演者)γ-トコフェロール投与量において尿中Na排泄量は0〜6hの間で有意に増加, 尿中γ-CEHC量はγ投与後6h以降で有意に増加した. 尿中γ-CEHCの増加時期と尿中Na排泄量の増加時期とにはずれがあるが, 血中γ-CEHCと, 尿中γ-CEHCのどちらがNa利尿作用を示すか. <宗正敏氏>今回のデータからは血中γ-CEHCが作用したと考える方が理解しやすいですが, ご質問の点は更に検討したいと思います. <宮澤委員>γ-CEHCより側鎖の長い代謝中間体にはこのような活性はないのでしょうか. γ-CEHCに特異的な作用でしょうか. <福井浩二氏>現在報告されている中では, γ-トコフェロールの最終産物であるγ-CEHCが最も高いNa利尿作用があるとされています. 中間体も確かに存在しますが, その濃度は非常に低く, 今のところ, 生理的な作用はないのではないかとされています.
著者
山田 利彦 金丸 雄介 石井 孝法 福見 友子 上水 研一朗 金野 潤 柏崎 克彦
出版者
了德寺大学
雑誌
了徳寺大学研究紀要 (ISSN:18819796)
巻号頁・発行日
no.8, pp.79-87, 2014

本研究は2001年から2011年の間,講道館と全日本柔道連盟との合同プロジェクトとして行われた「柔道ルネッサンス」について,2010年のルネッサンスフォーラム参加者に対してアンケート調査を行い,その認知度や効果,必要性等を把握し,今後の柔道界が目指すべき方向性について示唆を得ることを目的とした.選手や会場使用のマナーについては改善に向かっていることが示唆される結果であったが,応援者のマナー,強化選手及び強化指導者のマナーについては,更なる改善が望まれる結果であった.柔道選手及び柔道指導者のマナーについて他競技と比べた場合,どちらでもない,あまり良くない,とする回答の合計が6割近くになり,改善の必要性がうかがえた.柔道ルネッサンスにより,柔道に対する意識は9割の者が良くなった,まあ良くなったととらえており,柔道界にとって非常に有益な活動として認識されていた.活動の継続については,100%の者が必要であると認識しており,今後,柔道ルネッサンスの復活,或いはそれに変わる活動が行われることが強く望まれる.
著者
富永 真琴
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.51, no.11, pp.1047-1052, 2015 (Released:2018-08-26)
参考文献数
25
被引用文献数
1

細胞は,それを取り巻く環境の変化の中で,その環境情報を他のシグナルに変換し,細胞質・核や周囲の細胞に伝達することによって環境変化にダイナミックに対応している.細胞外環境に直接接する膜タンパク質は細胞膜センサーとして細胞感覚に重要な役割を果たしているが,特にTRPチャネルは化学物質刺激・物理刺激のセンサーとして注目を浴びている.TRPチャネルは多くの疾患と関連があることが明らかになっており,創薬標的になると同時に物理療法の標的にも成り得る.
著者
小野正文文 浜田正二絵
出版者
津軽書房
巻号頁・発行日
1966
著者
小野正文著
出版者
未知谷
巻号頁・発行日
2006