著者
栗山 敏秀 村上 恒夫
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.1-8, 2017

スーパーマーケットのような小売業における在庫、発注システムの IoT (Internet of Things)化の例として、従来のバーコードリーダの代わりにスマートフォンが持つバーコードリーダ機能と WiFi 機能を利用し、従来のバーコードリーダ専用機と同等の使い勝手と無線によるクラウドへのバーコード(商品) 情報の接続を目指して、スマートフォンに付加するバーコードリーダ用光学系を設計し、実装を行った。リトロープリズムとシリンドリカルレンズ付きリトロープリズムをそれぞれカメラと LED(赤色フィルタとスリットを追加) に装着することにより、一般のバーコードリーダに近い使い勝手を持つスマートフォンを実現した。
著者
寺田 勝彦 藤田 修平 田端 洋貴 脇野 昌司 井上 美里 中前 あぐり 小尾 充月季 辻本 晴俊 中村 雄作
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Ac0400, 2012 (Released:2012-08-10)

【目的】 脊髄小脳変性症(Spino-cerebellar degeneration:SCD)の立位・歩行障害の改善には,体幹の前後動揺,体幹・四肢の運動失調によるバランス障害,脊柱のアライメント異常による歩行のCentral pattern generator(CPG)の不活性化に対応した多面的アプローチ(the multidimensional approach:MDA)が必要である.今回,SCDの立位・歩行障害へのMDAの有効性について検討した.【対象および方法】 当院の神経内科でSCDと診断され,磁気刺激治療とリハビリテーション目的に神経内科病棟に入院した40例である.無作為に,従来群(the conventional approach group:CAG)20例(MSA;5例,SCA6;12例,SCA3;3例),多面的アプローチ群(MDAG)20例(MSA;8例,SCA6;8例,SCA3例;ACA16;1例)に分別した.CAGでは,座位・四這位・膝立ち・立位・片脚立位でのバランス練習,立ち上がり練習,協調性練習,筋力増強練習,歩行練習を行なった.MDAGでは,皮神経を含む全身の神経モビライゼーションと神経走行上への皮膚刺激,側臥位・長座位・立位・タンデム肢位での脊柱起立筋膜の伸張・短縮による脊柱アライメントの調整,四這位・膝立ち.立位およびバランスパッド上での閉眼閉脚立位・閉眼タンデム肢位での身体動揺を制御したバランス練習,歩行練習を行なった. 施行時間は両群共に40分/回,施行回数は10回とした.評価指標はアプローチ前後の30秒間の開眼閉脚・閉眼閉脚・10m自立歩行可能者数,10m歩行テスト(歩行スピード,ケイデンス),BBS,ICARSの姿勢および歩行項目,VASの100mm指標を歩行時の転倒恐怖指数とし,両群の有効性を比較検討した.統計分析はSPSS for windowsを用い,有意水準はp<.05とした.【説明と同意】 本研究に際して,事前に患者様には研究の趣旨,内容および調査結果の取り扱い等を説明し同意を得た.【結果】 CAGの開眼閉脚の可能者数は13例(65%)から14例(70%)(p<.33), 閉眼閉脚は7例(35%)から9例(45%)(p<.16),10m自立歩行は14例(70%)から14例(70%)(p<1.00)と有意差は認められなかった.MDAGでは,開眼閉脚が14例(70%)から20例(100%)(p<.01),閉眼閉脚が6例(30%)から14例(70%)(p<.002),10m自立歩行が12例(60%)から20例(100%)(p<.002)と有意に改善した.CAGの歩行スピード(m/s.)は,0.56±0.24から0.69±0.28(p<.116),ケイデンス(steps/m.)は101.4±20.2から109.8±13.3(p<.405)と有意差は認められなかった.MDAGの歩行スピードでは,0.69±0.21から0.85±0.28(p<.000),ケイデンスは110.6±13.6から126.6±22.4(p<.049)と有意に改善した.CAGのBBS(点)は33.2±14.6から37.4±14.0(p<.01),ICARS(点)は17.2±7.9から15.4±8.5(p<.000)と有意に改善した.MDAGのBBSでは,30.0±9.1から40.9±6.8(p<.000),ICARSは16.1±4.9から9.4±3.0(p<.000)へと有意に改善した.CAGのVAS(mm)は55.7±28.1から46.3±29.0(p<.014)と有意に改善した.MDAGのVASでは72.4±21.6から31.4±19.4(p<.000)へと有意に改善した.また両群で有意に改善したBBS・ICARS・VASの改善率(%;アプローチ後数値/アプローチ前数値×100)は,CAGでは順に,15.2±17.3,15.0±18.0,22.1±44.3,MDAGでは33.1±17.3,43.7±9.9,59.2±21.7と,それぞれにp<.03,p<.001,p<.002と,MDAGの方が有意な改善度合いを示した.【考察】 今回の結果から,磁気治療との相乗効果もあるが,MDAGでは全ての評価指標で有意に改善し,BBS・ICARS・VASでの改善率もCAGよりも有意に大きく,立位・歩行障害の改善に有な方法であることが示唆された.その理由として,SCDでは体幹の前後動揺,体幹・四肢の運動失調による求心性情報と遠心性出力の過多で皮神経・末梢神経が緊張し,感覚情報の減少や歪みと筋トーンの異常が生じる.皮神経を含む神経モビライゼーションで,皮膚変形刺激に応答する機械受容器と筋紡錘・関節からのより正確な感覚情報と筋トーンの改善が得られた.また神経走行上の皮膚刺激で末梢神経や表皮に存在するTransient receptor potential受容体からの感覚情報の活用とにより,立位・歩行時のバランス機能が向上したといえる.その結果,歩行時の転倒恐怖心が軽減し,下オリーブ核から登上繊維を経て小脳に入力される過剰な複雑スパイクが調整され小脳の長期抑制が改善された事,脊柱アライメント,特に腰椎前彎の獲得により歩行のCPGが発動され,MDAGの全症例の10m自立歩行の獲得に繋がったといえる.【理学療法研究としての意義】 SCDの立位・歩行障害の改善には確立された方法がなく,従来の方法に固執しているのが現状である.今回のMDAにより,小脳・脳幹・脊髄の細胞が徐々に破壊・消失するSCDでも立位・歩行障害の改善に繋がったことは,他の多くの中枢疾患にも活用し得るものと考える.
著者
太城 康良 和田 正法 野田 明 Tashiro Yasura Wada Masanori Noda Akira
出版者
三重大学地域人材教育開発機構
雑誌
三重大学高等教育研究 = Mie University Journal of Studies on Higher Education (ISSN:24325244)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.81-84, 2020-03

リーディング・ライティング教育を行う「教養ワークショップ」では,新書に対する書評を成果物としている.本研究の目的は,学生による評価を成績に加味することの妥当性を検証することである.相関解析の結果,教員による評価と学生による評価は,ある程度高い正の相関を示した.学生による評価では,単純な評価票を用い,評価法を指示し,匿名性を持たせることで,教員による評価と同様の傾向を持つようになる.条件を整えることで,学生による評価も成績に加味することの妥当性が示された.
著者
大森 隆生 萩野 浩
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.181-186, 2021 (Released:2021-04-20)
参考文献数
17

〔目的〕理学療法学生の臨床実習前後における自己効力感の変化を調査し,その変化に関連する要因について検討した.〔対象と方法〕対象は理学療法士養成校の4年生の学生142名で,アンケート調査を実習前,1期実習終了後,2期実習終了後に実施した.アンケート項目は,特性的自己効力感尺度,実習に関する質問を中心に調査した.〔結果〕自己効力感は,実習前と比較して2期実習終了後は有意に向上した.自己効力感の不変向上群は,低下群と比べて,2期実習終了後の実習に関する質問において担当数,目標達成,課題達成,症例理解,指導者の肯定的言動,達成感の項目で有意に高かった.〔結語〕自己効力感の変化には,臨床実習を積み重ねることと最後の実習内容が影響してくることが示唆された.
著者
寺田 勝彦 藤田 修平 田端 洋貴 脇野 昌司 松本 美里 中前 あぐり 辻本 晴俊 菊池 啓
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.E3P3179, 2009 (Released:2009-04-25)

【目的】脊髄小脳変性症(SCD)では,立位保持および歩行障害が在宅生活での支障となる.現状においても,フレンケル体操,重り負荷法,弾力包帯装着などが行なわれている.今回,SCD患者への立位保持および歩行障害への介入法を,模索・検討したので報告する.【対象】本院の神経内科にてSCDと診断された10例(平均年齢63才,男性5例,女性5例,多系統萎縮症;5例,SCA6;2例,SCA2/SCA4/遺伝性SCD;それぞれ1例).【介入法】SCDでは,立位・歩行時に,開脚や身体の前後動揺が見られる.開脚位では骨盤が挙上位となり,歩行時の平衡機能の安定を図る下腿三頭筋の伸張反射の抑制や倒立振子モデルに必要な骨盤の上下運動が阻害される.また身体の前後動揺では,体性感覚の情報のずれによる運動感覚の錯覚を生じ,同時に遠心性コピーをも歪め,立位保持・歩行を困難にする.歩行の交互リズムの獲得には,Central Pattern Generator (CPG)を駆動する必要がある.CPGを形成する神経回路にはFlexion Reflex Afferents(FRA)からの情報を受容する介在ニューロン群の活動が必要となる.介在ニューロン群の活動には,FRAを伝導する皮膚,関節の圧・触覚受容器などの興奮性入力が必要である.そして重力下における姿勢調整にとって,頚筋を含めた固有背筋のコントロールは極めて重要である.以上の観点を考慮し,仰臥位,側臥位(ステップ肢位),長座位,四つ這い位,膝立ち位,バランスパッド上での開閉眼での閉脚立位・タンデム立位において,脳神経・末梢神経・頭頸部および四肢の皮神経,体幹の脊髄神経後枝の内外側皮枝からの伸張により,体幹動揺・骨盤挙上の改善と頚筋を含めた固有背筋のコントロールを行い,立位保持および歩行障害の改善に繋げた.実施回数は10回,一回の施行時間は40分であった.なお介入の実施を行なうにあたり,全患者の同意を得た.【Outcome Measures】 International Co-operative Ataxia Rating Scale (ICARS)の姿勢および歩行項目,10m自立歩行者数,最大歩行速度,ステップ数,歩行時のBalance Efficacy Scale(BES),Berg Balance Scale(BBS),静止立位時の重心動揺,閉眼閉脚立位(30秒)可能者数を介入前後で比較した.【結果】ICARSの姿勢および歩行項目,10m自立歩行者数,最大歩行速度,ステップ数,歩行時のBES,BBSで有意差を示した.しかし静止立位時の重心動揺,閉眼閉脚立位(30秒)可能者数では,有意差を示さなかった.【考察】今回の介入法において,筋に存在する筋紡錘,腱に存在するゴルジ腱器官,皮膚および関節に存在する機械受容器からの体性感覚入力の過多になっているSCDにおいて,緊張の亢進している脳神経・末梢神経・頭頸部および四肢の皮神経,体幹の脊髄神経後枝の内外側皮枝をコントロールすることで,各動作での姿勢共同運動や脊髄の運動制御の獲得が得られ,SCDの立位姿勢調節や歩行能力の向上に寄与したといえる.
著者
赤塚 若久 大口 敬 大島 大輔 洪 性俊 花房 比佐友
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.211-214, 2014

電気自動車(EV)の普及率上昇には様々な課題が存在する.EVはエネルギー問題や環境問題解決に大きな役割を果たすと考えられているが,その実用に当たっては克服すべき課題として,EVの航続距離の短さに起因する,頻繁な充電行動の必要性が挙げられる.また,長い充電時間も大きな課題である.本研究は交通シミュレーションによりEVの充電行動を分析することを目的とする.交通シミュレーションにおいてEVの電池残量を考慮するため,既存のOD交通量より推定したトリップチェインに対応できるように交通シミュレーションモデルを改良する.さらに,東京都の環状8号線内側を対象地域とし,ケーススタディを行う.
出版者
日経BP社
雑誌
日経コミュニケ-ション (ISSN:09107215)
巻号頁・発行日
no.292, pp.43-45, 1999-04-19

99年3月下旬に発見されたマクロウイルス「Melissa」(メリッサ)は,米国を中心に数百以上の企業に被害を与えた。分単位で拡大する感染を防ぐには,新ウイルスの解析時間が鍵になる。 米国時間の99年3月26日午前7時ころ,米アメリカ・オンライン(AOL)のニュース・グループ「alt.sex」に「Passcode list」という名のニュースが投稿された——。
著者
石井 健太郎 香川 将樹 島谷 和樹
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.2127-2138, 2019-12-15

パスワード/パスコード認証やパターンロック認証では,認証場面ののぞき見により他者が不正認証を受けるための情報を取得することが容易である.本研究では,この問題の低減を目指して,ワンタイム図形生成に基づく認証手法を提案する.提案手法では,正規のユーザが知る認証図形群生成ルールに基づいて,ワンタイムの正解図形とダミー図形を生成して画面に提示する.被認証者は,提示された図形群の中から正解図形を選ぶことによって認証を受ける.画面にはつど生成された図形が提示されるため,のぞき見が行われた場合であっても正解の手がかりをつかみにくいことが期待できる.詳細な検討の結果,提案手法の認証図形群生成ルールとして,4カテゴリ12ルールを定義した.定義したルールについて,1名の実験参加者が認証を受けている場面をもう1名の実験参加者がのぞき見を行う評価実験を行ったところ,のぞき見を認めているにもかかわらず高い本人パス率と他者拒否率を示し,同様の既存手法と比較してのぞき見への対策性能が高いことが示された.
著者
溝口 佑爾
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.1-36, 2021-03-31

被災写真救済活動が東日本大震災に関する記録として参照されることが増えてきた一方で、関連する研究同士の参照は積極的に行われてはこなかった。本研究は被災写真救済活動に関する包括的なレビューを行うことで、学術の分野において被災写真を題材として切り開かれた地平を見極め、以降の研究の出発点を定めるためのものである。Vol.2では2014年から2020年3月までに発行された論文について取り扱う。
著者
角 隆司 越川 陽介 中井 美彩子
出版者
関西大学臨床心理専門職大学院 心理臨床センター
雑誌
関西大学心理臨床センター紀要
巻号頁・発行日
vol.11, pp.33-43, 2020-03-15

本稿は心理援助職の個人的成長に関する先行研究を概観し、心理援助職が経験すべき訓練を検討すること、訓練に関するSD合宿の意義について考察を行うものである。心理援助職の成長についての先行研究から、個人的自己と職業的自己の統合が求められること、職業的発達には個人的・専門的領域での対人的経験が影響することなどが論じられている。また、個人的自己の成長に関しては、日本人は特に他者との繋がりの中で感じられる成長感が存在することが指摘され、グループ体験や教育カウンセリングなど体験学習を通じた訓練において自己理解や他者理解、他者との関係の変容が重要視されている。しかし、心理援助職の個人的成長という観点からそれらを検討した研究は本邦において見られず、訓練のあり方を再検討することの必要性が示唆された。そこで、これまでの職業発達に関する研究および合宿体験により得られた知見から、心理援助職の個人的成長を「Self-Development」と定義し、訓練の一方法として筆者らが実施してきたSD合宿についての意義について、体験を自己選択することによる自己理解の促進、成長の最接近領域に即した学び、対人的経験、グループの構造の観点から考察した。
著者
堀井 新
出版者
一般社団法人 日本めまい平衡医学会
雑誌
Equilibrium Research (ISSN:03855716)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.251-255, 2008 (Released:2008-08-01)
参考文献数
10
被引用文献数
6 3

Based on our recent papers (Horii A et al. Otol Neurotol 2004, Horii A et al., J Vestibular Res 2007), we discussed the psychiatric involvement in patients with vertigo and dizziness. Seventy percent of patients with chronic dizziness showed a high score in the Hospital Anxiety and Depression Scale (HADS), suggesting that many dizzy patients have comorbid psychiatric disorders. Fluvoxamine, one of the selective serotonin reuptake inhibitors (SSRIs), administered at a dose of 200mg per day was effective for subjective handicaps due to dizziness in patients with or without neuro-otologic illnesses, owing to its actions on both the comorbid anxiety and depressive disorder. More aggressive psychiatric treatment, such as administration of higher doses, may be the next step of treatment for non-responders without neuro-otologic diseases, because these patients have been shown to suffer from more severe psychiatric illnesses. In contrast, other types of drugs that are known to help recovery of the vestibular function are recommended for neuro-otologic diseases in patients without clinically significant anxiety or depression and non-responders to fluvoxamine. The main causes of dizziness in patients without physical neuro-otologic findings were psychiatric disorders. Bidirectional relationships between vertigo/dizziness and psychiatric disorders could be explained by the anatomical connections between the brainstem and limbic system, including the amygdala.
著者
富士田 夏子 松原 あけみ 甲斐 キヨ子
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.148-151, 1975-02-01

はじめに 戦前腸チフスに罹患したことのある女性が,35年後,職場の健康診断で糞便培養検査の結果腸チフス菌の保菌者と診断された.入院後の精査の結果,胆汁から腸チフス菌が分離され,さらに胆嚢胆石の存在が明らかになった.胆石をもつ保菌者は化学療法では除菌できないので胆嚢摘除術が必須な治療方針となる.腸チフス保菌者のこの種の手術は,北海道内で3例目の症例であり(当病舎で2例目),これらの看護に対する文献が少なく常にとまどいを感じた.特にその半生を腸チフス菌保菌者として全く自覚することなく生活していた患者の,それと知ったあとの精神的動揺と手術に対する不安を私たちも強く感じたので,精神看護の重要性を学びながら術前術後の看護を通し経験した事例を紹介したい.
著者
ニー ライミトナ 谷山 茂人 柴野 啓輔 余 振輝 高谷 智裕 荒川 修
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.361-365, 2008
被引用文献数
20

カンボジア・シアヌークヴィル沿岸に生息する<i>Lagocephalus</i> 属フグ3種,シロサバフグ<i>L. wheeleri</i>&ensp;(20個体),モトサバフグ<i>L. spadiceus</i>&ensp;(15個体) およびドクサバフグ<i>L. lunaris</i>&ensp;(82個体) 計117個体につき, マウス試験法により部位別毒性を調べたところ,シロサバフグとモトサバフグは全個体が無毒(2 MU/g未満),ドクサバフグは全個体ないしロットが有毒であった.最高毒性値は, 皮 25 MU/g, 筋肉 67 MU/g, 肝臓 257 MU/g, 腸 127 MU/g, 精巣52 MU/g, 卵巣238 MU/gで,いずれも食用可否の目安となる10 MU/gを上回っていた.LC/MS分析により,毒の本体はフグ毒テトロドトキシン(TTX)と関連成分で,TTXがマウス毒性の80%以上を占めることが示された.
著者
藤田 矢郎
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.162-168, 1966

1965年6月22日, 長崎市郊外の野母崎沖でサバフグの入工授精を行い, ふ化仔魚を約1か月間飼育し, 卵発生およびふ化仔魚について次の結果を得た。<BR>1. サバフグの卵は無数の小油球からなる油球塊を有する無色透明な球形の沈性卵で, かろうじて認められる程度の微弱な粘着性があり, 卵径0.61-0.70mm, 平均0.65mmである。<BR>2. 水温21.7-24.5℃で, 授精後67時間でふ化する。本種の卵発生においては, 発生後期・に油球の癒合が行われ, ふ化直前には大油球2-3個と小油球1-2個になるが, これは他のフグ類 (Fugu属およびSphoeroides属) の卵発生にはみられない特異な現象である。<BR>3. ふ化直後の仔魚は全長1.91mm, 筋節数8+13=21で, 卵黄は細長い楕円形で, 大油球2-3個と小油球1-2個があり, 魚体はやせ長い。<BR>4. ふ化後24時間頃から, 仔魚膜鰭は異状に発達し, 頭胴部においては特に巾広くふくらむが, これは本種の仔魚前期の特徴の一っで, 顕著な浮游生活と関連があるのではないかと推測される。<BR>5.ふ化後5日, 全長2.40mm内外で卵黄を吸収し仔魚後期に入る。<BR>6.ふ化後96時間でニワトリの卵黄に, 9日でブライ・ンシユリンプのノウプリウスに餌付きし, ふ化後26-31日で全長6.6mm前後になり稚魚期に達する。