著者
小柳津 誠
出版者
独立行政法人日本原子力研究開発機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

トリチウム水によるSUS304ステンレス鋼の自己不動態化阻害により、腐食が大きく促進されることが明らかとなった。また、この効果はpH、溶存酸素濃度、トリチウム濃度に依存しており、pHは低いほど、トリチウム濃度は高いほど影響が大きいが、溶存酸素無しには有意な影響が現れないことが明らかとなった。そして溶存酸素濃度はトリチウム濃度の増加とともに影響を強く及ぼす濃度が高くなり、また腐食促進効果が高くなることが明らかとなった。
著者
吉本 龍司
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.97-105, 2012 (Released:2012-05-01)
参考文献数
2
被引用文献数
1 1

図書館蔵書検索サイト「カーリル」は,無料で利用できるWebサービスである。全国の図書館が,Web-OPACにより提供する書籍の所蔵情報を,横断的に抽出し,整理・統合した上で,利便性の高いユーザーインターフェースにより利用者に提供している。カーリルは,楽しい本との出会いを提供し,図書館に足を運ぶきっかけをつくることをコンセプトに開発が進められた。サービス開始時は,主に公共図書館の利用者を対象としたサービスであったが,現在では,大学図書館や専門図書館への対応も進んでいる。本稿では,サービス立ち上げから開発に携わり,現在,エンジニアとしてカーリルの開発マネージャーを担当する筆者の立場から,カーリルの基本的な機能やコンセプト,サービス提供開始以降の進化と,今後の展開について紹介する。
著者
池田 かよ子 半藤 保 西脇 友子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.91-100, 2011-04
被引用文献数
1

思春期以降の母性準備期にある女子と携帯電話などの電子メディアの使用状況と疲労との関連を包括的にとらえた研究は見あたらない。この研究の目的は,思春期女子における携帯電話などの電子メディアの使用状況と疲労度および疲労自覚症状との関連を明らかにすることである。2009年4〜7月に信越地方の共学の私立高等学校の1年生女子217人を対象に,高校入学時の定期健康診断の時期に合わせて,面接により携帯電話などの電子メディアの使用状況,疲労自覚症状の聞き取り調査とフリッカー測定器による疲労度の測定を行った。その結果は以下のようである。1.携帯電話やゲーム,パソコン,テレビなどの電子メディア全体に接触している時間は1日平均9時間であり,そのうち携帯電話の平均使用時間は4.8時間であった。2.メールの1日平均送受信回数は118.7回であった。3.携帯電話,メール,電子メディアを量的に2群に分け,疲労自覚症状との関連についてみると,携帯電話の1日使用時間が5時間以上のほうに,またメールの1日送受信回数が120回以上のほうに,さらに電子メディアの暴露時間が10時間以上のほうに有意な関連があり,共通していた疲労自覚症状は,「きちんとしていられない」「めまいがする」の2項目であった。その他の症状としては「全身がだるい」「ねむい」「気が散る」「物事に熱心になれない」「瞼や筋肉がピクピクする」であった。以上より,最近の高校生は,携帯電話を代表とする電子メディアに多く接触しており,長時間の使用により身体のどこかに疲労が生じていることが示唆された。
著者
安藤 里美
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.1-5, 1992-03-30

特殊学級に在籍している自閉症児T君のコミュニケーション能力および普通学級の先生や児童との交流を促進する目的で、毎朝、コミュニケーションカードを用いて普通学級で「欠席調べ」を行うという係活動の実践を行った。この活動の効果は、各学級での「欠席調べ」の遂行の変化と、個別に各普通学級担任がT君に本を読ませるという「音読テスト」の場面で検討された。効果測定では、直接の行動観察の他に、第三者による印象評定が用いられ、それぞれ「欠席調べ」による効果が確認された。また、他の日常場面でも、T君と普通学級担任ならびに児童との交流の変化がみられ、当実践はT君のコミュニケーション能力と交流の促進のために有効なプログラムのひとつであったと言えよう。

27 0 0 0 OA 赤軍服制図

著者
兵用図書株式会社 編
出版者
兵用図書
巻号頁・発行日
1934
著者
M A Parsons P A Fox
出版者
CODATA
雑誌
Data Science Journal (ISSN:16831470)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.WDS32-WDS46, 2013 (Released:2013-02-10)
参考文献数
58
被引用文献数
50

International attention to scientific data continues to grow. Opportunities emerge to re-visit long-standing approaches to managing data and to critically examine new capabilities. We describe the cognitive importance of metaphor. We describe several metaphors for managing, sharing, and stewarding data and examine their strengths and weaknesses. We particularly question the applicability of a “publication” approach to making data broadly available. Our preliminary conclusions are that no one metaphor satisfies enough key data system attributes and that multiple metaphors need to co-exist in support of a healthy data ecosystem. We close with proposed research questions and a call for continued discussion.
著者
佐藤 翔 サトウ ショウ
巻号頁・発行日
2013

筑波大学博士 (図書館情報学) 学位論文・平成25年3月25日授与 (甲第6645号)
著者
好村 滋行
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.80, no.2, pp.349-366, 2003-05
被引用文献数
1

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
河村 隆 山藤 和男 小林 剛
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.57, no.544, pp.3895-3900, 1991-12-25
被引用文献数
4

The authors developed a 3D moving robot 'ROBOT CAT' which could control its posture in the air and could perform soft landing. This paper describes the control method of the ROBOT CAT and the experimental results. An animal cat can control its body by turning motion when released upside down from a high place. In order to realize this turning motion, the ROBOT CAT was consisted in two parts (anterior and posterior body) connected with a flexible backbone which has two degrees of freedom of motion. The backbone proposed in this paper operates on two pairs of artificial rubber muscles driven by compressed air. It is possible that this motion is applied to the posture control of astronauts and space structures.
著者
西田 豊明
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.461-471, 2012-10-01 (Released:2012-10-01)
参考文献数
14
被引用文献数
3 4

ネットワーク社会が急速に形成されつつある今日,人工知能研究は1950年代から今日までの五十余年にわたる1番目のステージを終え,2番目のステージに移りつつある。本稿では,第2ステージの人工知能研究のあり方を議論するため,まず,過去の人工知能研究の流れを回顧し,顕著な成果が大規模探索,知識ベースシステム,言語・音声・画像処理,プランニング,機械学習とデータマイニング,人工知能と芸術との融合であることを指摘する。次に,「すごい」と言わせるくらいの高い問題解決能力を持つ知的エージェントを作ることを目指した従来研究に対して,これからの研究では,ユーザーに「君がいてよかった」と言ってもらえるような高い共感力を持ち,計算知能と人間社会をつなぐコミュニケーション知能の実現にもっと重点を置くべきであることを論じる。
著者
TOMOTAKA SOBUE
出版者
THE FUKUSHIMA SOCIETY OF MEDICAL SCIENCE
雑誌
FUKUSHIMA JOURNAL OF MEDICAL SCIENCE (ISSN:00162590)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.90-92, 2012 (Released:2012-02-22)
参考文献数
2
被引用文献数
4 6

When evaluating cancer risk of low-dose radiation, it is difficult to distinguish the actual effect from that of chance, bias, and confounding as they become relatively large. This is why the relation between radiation doses of less than 100 mSv and cancer risk is considered unknown. Based on data of atomic bomb survivors in Hiroshima and Nagasaki, the cancer risk at 100 mSv is calculated at 1.05 times. On the other hand, the risk ratio for the relation between passive smoking and lung cancer is estimated at approximately 1.3 and judging the actual effects faced difficulties. It is almost impossible for epidemiology research alone to show that the risk ratio of 1.05 is the actual effects of radiation. The ICRP estimation, “ exposure to 100 mSv increases cancer risk by 0.5%” , has been frequently cited, however, it is not a simple excess lifetime risk of death. It will be more appropriate to indicate a value with clear definition to people in general, such as excess lifetime risk of death or excess lifetime risk of morbidity rather than the value obtained from such complicated process. Radiation epidemiology equally uses ratio and difference to indicate degrees of risk increase. Difference largely changes depending on effects of background factors whereas ratio is often relatively stable. Therefore the use of ratio would be more appropriate when comparing other cancer risk factors.
著者
石島 英 セルバンド ナタニエル 宜野座 亮
出版者
日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.467-478, 2006-06-30
参考文献数
18

北太平洋西部海域におけるバイナリー台風(相互作用しあう2つの台風を1組のシステムとみてBTSと略記する)の出現状況および特徴的経路モードの出現度数および出現背景について調べた.BTSは1年に約2回の割合で,5-11月に出現している.地理的には解析対象海域の中央部のブロックBにおけるE-W(東西方向)の初期相対位置から出現したケースが最も多かった.経路の特徴としては,BTS期間を通して相互に低気圧性回転・接近する経路(CAモード)が全体の約35%を占め,その中の約半数は併合したケースであった.前半の低気圧性回転・接近のあと高気圧性回転・離反に転じる経路(CADモード)は45%であった.相互に高気圧性回転を主とした経路(aCモード)は僅か10%であった.BTSを構成する2つの台風の強度は一般に不等であり,BTS期間平均の強い台風に対する弱い台風の強度比は0.64であった.強度およびサイズの不等性が経路モードの特性に影響する可能性を指摘した.
著者
田副 博文 細田 正洋 反町 篤行 中田 章史 吉田 光明 床次 眞司 山田 正俊
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2011年度日本地球化学会第58回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.67, 2011 (Released:2011-09-01)

東日本大震災に伴う津波によって発生した福島第一原子力発電所事故は多くの人工放射性核種を環境中へと放出した。原子力発電所周辺に設置されたモニタリングポストの計測値も3月14日から16日にかけて非常に高い空間線量率が示しており、1号機および3号機の水素爆発による拡散が主要な放出源となっていると考えられる。放出された放射性物質は川俣町、浪江町、飯舘村のある北西方向へと輸送され地表へと沈降し、不均一に分布している。弘前大学では3月16日より住民の被ばく状況調査と環境試料の採取を行った。NaIシンチレーションサーベイメータを搭載した車両を用いて青森県から福島県にかけての走行サーベイを行うとともに南相馬市、飯舘村、浪江町を含めた福島県内の土壌・植物・水試料の採取を行った。南相馬市から採取された植物試料からは131Iや134Cs、137Csが非常に高い濃度で検出されている。また、特に高線量の地域で採取された試料からはNp-239、Ce-144、Ce-141、Ra-226、129Te、Ru-103、Nd-147、Ba-140、Sr-91、137Cs、129Tem、Zr-95、Zr-97、95Nb、Tl-206、Mn-54、Ag-110m、Y-91、La-140、Sb-124など様々な核種が検出されている。131Iを含めた短寿命の核種の多くはすでに減衰しているが、Cs-131や137Csのような比較的寿命の長い核種に関しては今後もモニタリングと動植物への取り込みに関する情報を常に監視する必要がある。Sr-90やPuのような内部被ばくにかかわる核種に関してのデータの取得は限定的であることから速やかに化学分析を行うことが求められる。弘前大学では福島市内に活動拠点を設け、今後も長期的なモニタリングを継続していくことを予定している。
著者
舟木 貴久 村山 明生
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.303-312, 2004-10-29 (Released:2007-12-21)
参考文献数
11

大規模システムをめぐる事故への法的対応を論じるにあたっては, 原因究明に基づく適切な対策の実施と法的責任追及による制裁のバランスをどのように図っていくかが重要な論点となる.本論文ではフランスの航空事故調査の法システムを取り上げ, 原因究明を行うBEA, 責任追及を行うGTA, 行政処分を行うDGACの任務・権限, 組織, 調査件数, 人員, 調査の流れ等を調査整理した. フランスの航空事故調査システムはBEAにおける専門性を確保した調査体制, GTAという航空機事故に特化した警察組織の存在, GTAとBTAとの証拠の融通, 調査の連携, 証拠や調査結果の流用などの点で特徴的である.最後に, 日米仏の比較整理を行うことにより, 航空事故をめぐる安全確保の法システムのオプションの抽出とその選択の考え方の例を提示した.