著者
東 博純
出版者
The Surface Science Society of Japan
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.205-209, 1999-03-10 (Released:2010-02-05)
参考文献数
3

To promote the common use of soft X-rays, development of an easy method for soft X-ray generation is necessary. Laser-plasma soft X-rays can be generated with a pulse laser system and some simple optics in a laboratory. For observation of plasma images and soft X-ray spectra, a pin-hole camera and a soft X-ray spectrometer with a diffraction grating can be used. Smart uses of “Low-Technology”; will advance many useful applications of soft X-rays in future.
著者
Sarad PAUDEL 坪田 敏男
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.65-69, 2016-04-30 (Released:2018-05-04)
参考文献数
27
被引用文献数
5

ゾウにおける結核は,ヒト型結核の病原体であるMycobacterium tuberculosisによって主に引き起こされる再興感染症の1つである。ゾウからヒトへの伝播が,いくつかの動物園で報告されており,公衆衛生上大きな問題となっている。ゾウの鼻腔洗浄によって得られる呼吸器系サンプルの培養が,ゾウ結核診断の最も信頼できる手法である。しかしながら,この手法の適用はあまり現実的でない。世界の動物園やゾウ飼育施設では,ゾウの結核診断法として抗体検査が開発され,広く使われている。ゾウと象使いでの定期的な結核スクリーニング検査が実施されるべきである。結核陽性の象使いはすぐに隔離され,抗結核薬が処方されるべきである。スクリーニング検査,隔離および治療はゾウとヒトと間での結核伝播を防ぐのに有効であり,飼育ゾウ-野生ゾウ間の結核感染の広がりを抑えることが絶滅危惧種である野生ゾウの保全に貢献することにつながる。
著者
丸川 哲史
出版者
講談社
雑誌
群像
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.232-248, 1998-09
著者
田中 雅章 神田 あづさ
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第17回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.71-76, 2020 (Released:2020-06-19)

2019年4月より学校教科書法が改正され、2020年の4月から小学校でデジタル教科書の利用が始まった。筆者が所属する学園の看護師養成課程では、それよりも5年早い2015年からデジタル教科書の利用を始めた。ただ、全ての教科書ではなく、50冊中39冊がデジタル教科書、11冊が従来の紙の教科書から始められた。さらに、2016年からはデジタル教材も追加された。これらのサービスは電子書籍配信サービス(以降配信サービス)のシステムを利用することで実現できた。この配信サービスを利用するには、専用ビューアーアプリをタブレットにインストールする必要がある。配信サーバーから書籍データをダウンロードすることで、デジタル教科書やデジタル教材が利用できる。利用者である学生は高校生の時からスマートフォンを所有しており、普段からスマホでマンガや小説を読む環境に慣れていた。したがって、ほとんどの学生はデジタル教科書になれるのが速かった。入学時から看護師国家試験受験の時期までの3年間にわたりデジタル利用ログを収集した。収集した利用ログを同国家試験の合否別に分析した。本稿では国家試験の合否に基づいた学生の解析結果を報告する。
著者
南出 隆久 畑 明美 TAKAHISA MINAMIDE AKEMI HATA
雑誌
京都府立大学学術報告. 理学・生活科学 = The scientific reports of the Kyoto Prefectural University. Natural science and living science (ISSN:0075739X)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.23-28, 1990-11-19

大豆の利用拡大を図る目的で, 極大粒種のオオツル, 普通黄大豆タマホマレ, 緑大豆井手町在来の3品種を用い, 枝豆としての収穫時期の判定と, 収穫後の品質変化について検討した。本実験で用いた大豆3品種とも一莢当りの種子数が1,2粒と枝豆用の品種に比べ少なく, また収穫までの生育日数も長くかかることがわかった。大豆の風味や品質に関与する還元糖, アミノ酸, アスコルビン酸は種子の成熟にしたがい減少した。しかし, 全糖は増加傾向にあった。大豆の莢の外観による収穫適期の判定には, CIEのa値が化学成分の変化と高い相関関係にあることがわかった。収穫後の品質保持には, 低温貯蔵が有効であるが, 井手町在来のように, 20℃貯蔵でも全糖, アミノ酸含量の減少が少ない品種のあることがわかった。
著者
南出 隆久 畑 明美 TAKAHISA MINAMIDE AKEMI HATA
出版者
京都府立大学学術報告委員会
雑誌
京都府立大学学術報告 理学・生活科学 (ISSN:0075739X)
巻号頁・発行日
no.41, pp.p23-28, 1990-11

大豆の利用拡大を図る目的で, 極大粒種のオオツル, 普通黄大豆タマホマレ, 緑大豆井手町在来の3品種を用い, 枝豆としての収穫時期の判定と, 収穫後の品質変化について検討した。本実験で用いた大豆3品種とも一莢当りの種子数が1,2粒と枝豆用の品種に比べ少なく, また収穫までの生育日数も長くかかることがわかった。大豆の風味や品質に関与する還元糖, アミノ酸, アスコルビン酸は種子の成熟にしたがい減少した。しかし, 全糖は増加傾向にあった。大豆の莢の外観による収穫適期の判定には, CIEのa値が化学成分の変化と高い相関関係にあることがわかった。収穫後の品質保持には, 低温貯蔵が有効であるが, 井手町在来のように, 20℃貯蔵でも全糖, アミノ酸含量の減少が少ない品種のあることがわかった。
著者
田畑 文也
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第17回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.37-42, 2020 (Released:2020-06-19)

AI(人工知能)を用いて特許調査の効率化が検討されているが、なかなか思ったように精度が出ない場合も多い。本検討では、アイ・ピー・ファイン(株)のDESKBEE®を用いて、特許調査精度を向上させる手段を検討した。半導体薬液特許を母集団とし、フッ酸の有無で正解・ノイズと分け、どのようにすれば精度が向上するか調べた。今回の特徴量であるフッ酸について、同義語の用語統制を行ったが、まだ十分な精度が得られず、その原因が形態素解析起因の問題であると考えた。そこで、DESKBEEで用いられている形態素解析システム(MeCab)が、日本語処理において、アルファベットの文字列を一塊の文字列として処理する特性を利用して、フッ酸を“AAAA”などと、一塊のアルファベットの文字列に置き換え(カプセル化)、形態素解析起因の問題を回避し、劇的に精度を向上できることを見出した。また、特徴量の重み付けとして、カプセル化した“AAAA”を、“AAAA、BBBB” や “AAAA、BBBB、CCCC”などと、複数の形態素が近くに存在するような形に読点”、“で区切って連続させると、正解・ノイズの分離精度が上がり、特徴量を重み付けることができることを見出した。これらの精度向上方法は、DESKBEEだけでなく、いろいろなAI系ツールでも同様に使える可能性あるので、ここに報告する。
著者
アムール=マヤール オリビエ
出版者
国際基督教大学ジェンダー研究センター
雑誌
Gender and Sexuality (ISSN:18804764)
巻号頁・発行日
no.13, pp.29-47, 2018-03-31

ヴァンパイアについての最近の映画やテレビドラマシリーズの中には、社会的-政治的観点から、特に2 つほど注目に価するものがある。ギレルモ・デル・トロ (Guillermo del TORO ) によって制作された、アメリカのテレビドラマシリーズ『ストレイン (The Strain)』(2014) と、ジョン・ローガン (JohnLOGAN) のイギリスのテレビドラマシリーズ『ペニー・ドレッドフル (PennyDreadful)』(2014) は、ロマンティックな要素と性的な含意がすべて奪い去られた、まったく新しいヴァンパイアのイメージを描いている。『ストレイン』と『ペニー・ドレッドフル』、どちらのケースにおいても、ヴァンパイアはもはや、19世紀のブラム・ストーカー(『ドラキュラ』)、あるいは20世紀初頭のムルナウ(『ノスフェラトゥ』)によって描かれた、彼らの祖先のように、ユダヤ人共同体の暗喩的な表象としては描かれていないことは明らかである。実際には彼らは今では、イスラム原理主義者という侵略者のステレオタイプとして描かれている。これらのドラマのどちらにも、政治的・経済的衰退の中で構築されたスケープゴートの同じような輪郭を見ることができる。 本稿では、初めにある1つの共同体(ユダヤ人)から別の共同体(擬似ムスリム)への、固定観念の転換を示す。 次に、ある1つのスケープゴートの姿が別のものへと変わることについて、イスラム原理主義者のメタファーとしてのヴァンパイアを描こうとして過去から取り入れた、特徴的な姿を強調するために、本稿では2つのテレビドラマシリーズを別々に提示する。 最後に、どのようにして宗教的な差別が、何らかの形で、ジェンダー/LGBTQ差別と常に強く結びつけられているかを強調するために、(筆者がこのように呼んでいる)「マイノリティ・ポリシー」の問題に焦点をあてる。
著者
桐山 勉 栗原 健一 藤城 享 川島 順
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第17回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.31-36, 2020 (Released:2020-06-19)

空飛ぶタクシー技術の研究が,世界規模の開発競争にて行われている。日本でも当初予定の東京五輪の特別イベントとして空飛ぶタクシーのデビュー実現化が構想されていた。トヨタ自動車がMaaS(Mobility as a serviceの略語)の具現化として米新興のJoby Aviation社に430億円の出資を決定した。Uber社が目論む2023年からのMaaSに対するビジネス事業の競争が一段と色めき始めた。新型コロナウイルスの危機で,当初の目論見が狂い始めてきた。当該PDG部会では,eVTOL/Hybrid-eVTOL実証機の該当特許群を分析して,トヨタ自動車のJoby-S4実証機の選択・決断は正しいかの検証を試みるという挑戦は継続した。その際に,C-Suite (CEO,COO,CTOなどの経営層の総称略語)の心に突き刺さる感動の分析図はどのようなモノかも,併せて研究した。結論としては,eVTOL/HybrideVTOL実証機の巡航可能距離と巡航速度の図を見つけることが重要と判明した。この図を基に,巡航可能距離と巡航速度の両方を追及した企業は,素晴らしい電池技術を見つけていることに気が付いた。そして概略1時間を超える巡航時間を目標としていることも解った。その報告をINFOSTA-SIG-PDG部会の活動報告として発表する。尚、eVTOLとは、electric Vertical Take-Off & Landingの略号で、電動垂直離着機を指す。Hybrid-eVTOLとは、発電機も搭載した電動垂直離着機を指す。
著者
小竹 理奈 羽成 恭子 岩上 将夫 大河内 二郎 植嶋 大晃 田宮 菜奈子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.390-398, 2020-06-15 (Released:2020-07-02)
参考文献数
27

目的 介護老人保健施設(以下,老健施設)での看取りの実施割合は増加傾向にあり,老健施設での質の高い看取りを提供することは重要である。しかし,日本で老健施設における遺族による看取りの質の評価と施設の体制との関連を調査した研究はない。そこで本研究では,老健施設における看取りの質の指標のひとつである遺族の満足度と施設体制との関連を明らかにすることを目的とした。方法 全国老人保健施設協会が2014年1に実施した調査の個票匿名データを,二次的に分析した。調査対象は,同会会員施設の各施設で計画的な看取りを行った直近3ケースの遺族であった。従属変数は,遺族における看取りの「満足度」(「直後は悔いのない看取りだったと思えましたか」という5段階の質問に対して,最良の「大いに思えた」およびそれ以外)とした。独立変数は,各施設での各種説明体制(入所~死亡までにおける説明の状況など),運営・教育等への取り組み状況とした。単変量解析および多変量ロジスティック回帰分析により,従属変数と独立変数との関連を検討した。結果 分析対象は363人の遺族であった。このうち250人(68.9%)が「満足度」では「大いに思えた」を選択していた。多変量ロジスティック回帰分析の結果,遺族の看取り「満足度」と有意に正の関連を示したのは,利用者への定期的な診察があること,(オッズ比2.94,95%信頼区間1.52-5.70),入所時に利用者に対し疾病状態の説明が医師・多職種協働でなされていること(2.07,1.01-4.25),病態悪化時に利用者および家族に対し状況説明が医師・多職種協働でなされていること(3.12,1.17-8.33),施設職員のストレスマネジメントに取り組んでいること(3.63,1.84-7.16)であった。結論 遺族の看取りの高い満足度に関連する要因として,利用者および家族への説明において医師以外の職種の関わりが多いことや,管理医師が施設職員へのストレスに配慮していることが示唆された。施設の運営でこれらの要素を重視することによって,老健施設での看取りの質が向上する可能性がある。
著者
富山 明俊 長谷部 雅彦 大山 玲子 亀田 倫子 杉山 典正
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第17回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.13-19, 2020 (Released:2020-06-19)

本研究は,コモディティ化した掃除機市場を対象とし,新規参入の成功例として国外企業2社(サイクロン掃除機:D社,ロボット掃除機:iR社)に着目し,成功の背景と要因について知財情報分析から明らかにするものである.分析では,2社に関する情報を特許,意匠,商標,新聞・ウェブ情報から収集し,掃除機市場で高いシェアを獲得した要因を探った.分析の結果,D社は掃除機市場のサイクロンタイプのカテゴリにおいて,iR社は新たに開拓したロボット掃除機のカテゴリにおいて,シェアを拡大すると同時に特徴的な出願を行っていることが明らかになった.さらに,後発類似製品の出現を許しているものの,追随させない高いシェアをブランド力によって確保していることが分かった.そこで,継続性の高いブランド力を獲得するための知財戦略について,調査結果を元にした戦略展開マップとSWOT分析により整理し,考察を行った.
著者
坂本 泉 開本 亮 高石 静代 近成 涼香
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第17回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.7-12, 2020 (Released:2020-06-19)

本研究では、「睡眠の質」に着目し、現状の睡眠ビジネスにおける課題を分析し、今後期待されるサービスを予測することを目的とした。まず現状の睡眠ビジネスにおける課題について、睡眠ビジネスに関する市場、睡眠ビジネスの全体像、睡眠ビジネスのプレイヤー、睡眠ビジネスの具体例を把握し、睡眠に影響を与える要因マップの作成をして、調査および分析を行った。次に、新聞記事を中心とした市場調査、睡眠分野でトピックになっている論文の抽出、特許調査を行い、さらに中央官庁の関連する政策から課題を分析した。その結果、睡眠の質の測定は向上してきており、病院や介護施設等を対象とするBtoBのソリューションはすでに実用化されているものの、個人にフォーカスするBtoCのソリューションが不足していることが分かった。したがって、将来においては、そのソリューションを加味したデバイスをパーソナルで使用できる睡眠ビジネスが普及すると考えられる。
著者
Paul D. YABLO Nigel P. FIELD
出版者
Psychologia Society
雑誌
PSYCHOLOGIA (ISSN:00332852)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.236-251, 2007 (Released:2007-12-14)
参考文献数
59
被引用文献数
4 13

62 Thai and 56 U.S. college students were examined on altruism and helping behavior. Thai-Buddhist culture has traditionally taught the importance of prosocial behaviors. Participants were administered the Self-Report Altruism (SRA) Scale, a specially developed projective measure (Altruism Apperception Test) and an indepth interview. Thais scored significantly higher than U.S. subjects on the SRA Scale (p < .001), and manifested a greater tendency to both offer altruistic projections on the AAT (p < .001) and report that they would personally help in such situations (p < .001). An exploratory, mediational analysis performed on the interview data of a subset of participants revealed that Thais appealed to religion as a reason for helping significantly more than Americans (p < .001), while Americans specifically mentioned religion was not a reason significantly more than Thais (p = .002). Findings suggest a relationship between socio-cultural-religious values and prosocial behavior in that Thai-Buddhist-affiliative-collectivistic society appears more altruistically-oriented than the American relatively more areligious achievement or individualistic-based society. Recommendations are that further studies be conducted to support the validation of the projective measure and explore the possible influence of the spirituality and individualism-collectivism constructs.
著者
田中 敬大 齋藤 剛史 吉村 翔 細沼 栞 堂前 伸 堀田 拓
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.46, pp.E-189_1-E-189_1, 2019

<p>【はじめに】</p><p> 急性期における脳卒中罹患後の早期離床の有用性については様々な因子の検証が行われている. 先行研究では, 早期の離床は身体機能の向上に大きな影響を与えると重要視されている一方で, 脳卒中罹患後24時間以内の超早期に離床し, 通常群と比較した研究では, 3ヶ月後に良好な転帰を示さなかったとの報告もある. このように脳卒中罹患後の早期離床の是非に関しては統一された見解がない.</p><p> 脳卒中罹患後の歩行に関しては, 早期にリハビリテーション (以下リハビリ) が介入することで有意に歩行を獲得出来たという報告はあるが, 早期に離床することが直接歩行の獲得に有効かどうかの報告はない. そこで本研究は脳卒中罹患後の離床時期による差が, 歩行の獲得に関連するかを検証した.</p><p>【方法】</p><p> 対象は2014年1月1日から2016年12月31日の間, 東京歯科大学市川総合病院脳卒中センターに入院し, リハビリが介入した脳卒中患者724名のうち, 入院期間中に歩行を獲得した176名 (男性115名 女性61名 年齢70±11) と歩行を獲得出来なかった304名 (男性277名 女性127名 年齢74±12) を対象とした. 本研究の歩行獲得はFunctional Independence Measure (以下FIM) の移動の項目の歩行で5点以上とした. 除外基準はくも膜下出血の診断を受けた者, 入院前のFIMの移動の項目の歩行で5点未満の者とした. </p><p> 方法は, 超早期離床群 (脳卒中罹患後24時間以内に離床) , 早期離床群 (脳卒中罹患後24時間から72時間以内に離床) , 離床遅延群 (脳卒中罹患後72時間以降に離床) の各群で歩行を獲得した人数をフィッシャーの正確検定にて群間比較した. また離床時期と歩行獲得の可否を目的変数,Brunnstrom Recovery Stage (以下Br.stage) を説明変数として多変量解析した. また歩行には離床と運動麻痺のどちらが寄与するかを重回帰分析にて解析した. 統計解析にはR (Ver2.4.1)を使用した. </p><p>【結果】</p><p> 離床時期別に比較すると超早期離床群の方が他の2群と比較して有意に歩行を獲得できた割合が高かった (p<0.01) . また全ての離床時期の歩行獲得群と歩行未獲得群でBr.stageを比較した結果, 歩行未獲得群に比べ歩行獲得群の方がBr.stageの値が有意に高かった (p<0.01) . さらに歩行の獲得に離床時期とBr.stageのどちらが強く関連しているか比較した結果, 有意にBr.stageの方が関連した (B=0.68, p<0.01) . </p><p>【考察】</p><p> 本研究より脳卒中罹患後の歩行獲得は離床遅延群よりも超早期離床群が有意に高かったが, 離床時期と運動麻痺の程度を比較すると, 運動麻痺の方が歩行獲得に際し,より関連していることが示唆された. </p><p> 本研究では運動麻痺と離床時期の解析を行ったが, その他の因子についても今後検証していく必要がある.</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本研究は東京歯科大学市川総合病院倫理審査委員会 (承認番号Ⅰ17‐55) および東京歯科大学市川総合病院病院長の承認を得た.</p>