著者
Tuur GHYS
出版者
1) Institute for Policy Analysis and Social Innovation, University of Hyogo 2) Graduate School of Disaster Resilience and Governance, University of Hyogo
雑誌
Japan Social Innovation Journal (ISSN:21859493)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.23-32, 2017-03-28 (Released:2017-03-29)
参考文献数
32
被引用文献数
2

This article will examine the potential of the Belgian social restaurants as a type of social enterprise for poverty reduction. A case study will be analyzed according to five factors relevant to poverty reduction using interview and survey data. It shows how the most direct contribution lies in social employment, while creating more indirect opportunities to counter social inclusion.
著者
古瀬 徳雄
出版者
関西福祉大学社会福祉学部研究会
雑誌
関西福祉大学社会福祉学部研究紀要 (ISSN:1883566X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.31-44, 2014-03

16世紀初頭の宗教改革以後,カトリックとプロテスタントにおいて相違点がいくつかあり,その一つに聖母マリアに対する信仰的態度がある.カトリック教会においては,聖母マリアは重要な崇敬の対象となり,祝祭日があり,数多くの音楽作品が生み出されている.プロテスタント教会は,マリアを信仰の対象ではなく,あくまで一人の人間であるという考え方である.従って〈アヴェ・マリア〉はプロテスタント教会では歌われない. しかし,プロテスタントであるバッハには聖母マリアを内容とする作品がある.それらは,いずれも聖書の中でも詳しい記述がされている「ルカ福音書」を基底とする《BWV10》《BWV147》《BWV243 マニフィカト》《マタイ受難曲BWV244》《ヨハネ受難曲BWV245》に出現している. 本論ではこれらの作品から,その受容の変遷を辿った結果,バッハは聖母マリアだけでなく,聖書に登場するマグダラのマリア,ベタニアのマリアなどの他のマリアたちも,芸術の対象としていることが判明した. 次に《無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番ニ短調BWV1004》〈第5楽章シャコンヌ〉の音列が,妻のマリアの突然の死に対する追悼の音楽として成り立っているとする論も検証し,さらに《マタイ受難曲》《ヨハネ受難曲》におけるマリアたちに関連するレチタティーヴォの特性を取り上げて精査した.その結果,バッハの音楽創造の原点には,これらマリアたちに対するまなざしが反映され,その中に二人の妻たちをも刻み込み,彼自ら十字架を背負い作品を作り続けてきたことを証明する.
著者
坂本 麻実子
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.1-8, 2009-03

明治32年(1899),「高等女学校令」が公布され,全国に庁府県立の高等女学校の設置が義務づけられた。同43年(1910),さらに女子の就学率を上げるため,「高等女学校令」が改正され,本科(普通教育)の高等女学校(以下,高女と略す)に対して,裁縫を重視し,主婦教育を行う実科高等女学校(以下,実女と略す)の設置が認められた。実女は,高等小学校に併置することができ,教員も高等小学校との兼務が可能なので,高女よりも設置が簡単であった。そのため,実女は,大都市よりは地方で,府県内では郡部で相次いで設立され,郡立,町立,町村組合立が多かった。本稿では,大正から昭和初期にかけて,実女から高女への組織変更に伴う音楽教員の需要について,東音の甲師卒や第四卒の配置状況と絡めて考察する。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ベンチャ- (ISSN:02896516)
巻号頁・発行日
no.244, pp.32-37, 2005-01

田中武雄は半分呆れ顔で、対面の網棚の紙袋を見上げた。荷物の持ち主はターミナル駅から電車に乗り込んできた若い男だった。夏も終わろうというのにTシャツ一枚のその男は、荷物を棚に上げるなり目を閉じてウトウトしていたが、三つ程前の駅で扉が閉まる直前、何かを思い出したかのように電車から飛び降りてしまった。
著者
井徳 正吾
出版者
文教大学
雑誌
情報研究 (ISSN:03893367)
巻号頁・発行日
no.46, pp.1-15, 2012-01

There is no doubt that there are certain significant milestones in the various stages of life. Some of the milestones are as follows: graduating from high school and leaving home for college; graduating from college and entering the work force as a full-time employee; and finding a partner in life and getting married. These milestones may affect the way people react and respond to the media and what media they are exposed to. Our previous studies specifically in the areas of TV and internet media have proven that people in a certain life stage will react quite differently from other individuals who are in another stage of their lives. It is unclear, however, if this is also true of newspaper, magazine, and radio media and is thus not known if a person's reaction to these three media is also dependent on his/her stage of life or not.
著者
宮下 振一 貝瀬 利一
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.71-91, 2010
被引用文献数
6

ヒ素の毒性が高いことはこれまでに起こったさまざまな殺人事件や事故を通じて周知の事実となっている。すでに古代ギリシアやローマではヒ素が殺人や自殺に用いられていたと言われており、またわが国でも森永ヒ素ミルク中毒事件や和歌山毒物カレー事件などのヒ素中毒事件を経験している。その一方で、われわれが呼吸や飲食物の摂取を通じて日常的にヒ素を体内に取り込んでいることはあまり知られていない。実はわれわれは空気中に存在する超微量のヒ素や、飲食物中に種々の濃度で含まれるヒ素を無意識のうちに取り込み、これらを代謝および排泄しながら生活している。また通常の環境下で摂取されるヒ素の多くは、呼吸器や皮膚からの吸収よりもむしろ飲食物の摂取に由来することが知られている。そのため体重70kgの成人の体内には常に約7mgのヒ素が普遍的に存在すると言われている。本報では、日本人における主要なヒ素摂取源である海産物、特に他の国民と比べて多食していると考えられる海藻および魚介類に焦点を当て、含有されるヒ素の化学形態や生体への影響、ならびに生体内における代謝に関して最近の知見を交えて紹介してみたい。なお、本報では触れないヒ素の化学形態別分析法については多くの総説にまとめられているので参考にされたい。またこれまでに報告された海洋環境におけるヒ素の化学形態および動態についてはいくつかの総説にも詳しくまとめられているので参照されたい。
著者
三橋 俊雄
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.46-46, 2006

1200年を超える悠久の歴史に育まれてきた京都は、今もなお、日本の伝統文化が生き続ける歴史都市である。とりわけ世界文化遺産に登録された社寺をはじめとする優れた文化財、伝統的な町並み、そして、それらを取り巻く山紫水明の自然が織り成す京都の景観は、われわれが後世に伝えていくべき日本の文化的資産である。 しかし、1980年代のバブル経済期における、投機目的の地上げや無秩序なマンション建設など、市街地の景観や自然景観の破壊が拡大した。 こうした状況下で、京都市市街地景観整備条例等により、景観の保全・保存に努力してきたが、一方、その保全・保存のあり方が、伝統的建造物に対して問われ始めている。 外壁だけを残して内部を新築する「ファサード保存」、建物のごく一部を残しただけの「カサブタ保存」、そして、現在の建物を撤去し、新たに異なる材料によってそっくりな建物を新築する「レプリカ保存」的な改築計画が実行され、建築として、景観としての真正性(authenticity)が問われることとなった。 2004年の景観法の制定を契機に、一人でも多くの市民が、真のアメニティーを標榜し、すぐれた眺望・背景景観がもつ精神的文化的価値を再認識、再評価していく必要がある。
著者
西山 保弘 佐藤 義則
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.176-176, 2003

【はじめに】第37回本学術大会にて軟部組織の徒手的アプローチ、「痛覚系末梢受容器刺激法(PRS)」を報告した。PRSは、四肢の軟部組織における痛覚過敏領域に的確に物理的刺激を加える方法である。この内、PRS徒手法(PRS刺激)は、筋間隙や骨筋間隙より母指や手指の末端を使い加圧刺激を骨や組織横断面の中心部に垂直並びに直角方向に連続的に加える手法である。我々は、関節リウマチ(RA)の軟部組織に対するPRS刺激が関節炎症に与える影響として、刺激後の皮膚温並びに自律神経活動の経時的反応を検討した。更に、同対象に中周波通電刺激を施行し同反応の比較検討を試みたので報告する。【方法】対象は両膝関節に関節熱感と疼痛を伴うRA患者2例。症例1は、24歳女性、RA、stage3、class2、C反応性タンパク(CRP)3.04mg/dl、薬物はプレドニゾロン5mg/日、アザルフィジンEN4錠/日、リウマトレックス4カプセル/週を服用中。症例2は、61歳女性、RA、stage3、class2、CRP2.3mg/dl、薬物はアザルフィジンEN5002錠/日、ロキソニン60mg錠3錠/日を服用中。刺激方法は、PRS刺激については両下肢痛の覚過敏域にPRS刺激を実施した。中周波刺激は、CHUO製WYMOTON WY-5を用い膝直上に施行した。刺激強度は、心地よいよりやや強い程度とした。自律神経活動指標の測定は、20分以上安静臥位後と刺激20分後のCVR-R(CV),RR50をフクダ電子製dynaScopeより出力した心電図波形のRR間隔をタブレット上で計測して算出した。皮膚温の熱画像検査(熱画像)はNEC三栄製サーモトレーサTH3107を使用し,室温26±1℃,湿度60%以下の室内で被検者に膝関節を露出した状態で20分間安静臥位保持後撮影した。熱画像データは,座標温度を34℃以上(関節周囲を含む範囲),34.5℃以上(関節範囲のみ)に分類し,刺激前を100%と換算し算出処理をした。熱画像測定は、無変化状態を追跡撮影の終了とした。【結果】症例1の熱画像は、中周波10分後に軽度増加を認めたが34℃以上は0%増であった。PRS刺激は20分後最大で30.3%増加した。症例2は、中周波10分後に34℃以上が-45.2%減、20分後に-24.8%減、PRS刺激は、刺激後40分以上も皮膚温の増加傾向が持続し44.3%増を認めた。自律神経指標であるCVとRR50の変化は、症例1のCVは中周波9.73から7.22、PRS刺激6.64から7.64、RR50は中周波24から27、PRS刺激30から27となり著変は認めなかった。症例2ではPRS刺激のCV8.64から4.19と低下した。RR50は変化を認めなかった。【考察】ケース検討での報告ではあるが、PRS刺激は中周波刺激より、血管拡張或いは血液循環促進効果が、優れ持続性が高い傾向にあった。またそれは、心血管系の副交感神経活動とは今回の測定範囲では関係が薄い可能性が示唆された。