著者
田村 正
出版者
宮城大学
雑誌
宮城大学事業構想学部紀要 (ISSN:1344607X)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.95-116, 2003-03-28

Whereas the Ou region had a reputation for a large and fertile land in the 8^<th> century, it was said in the 19^<th> century that the whole region was worth the value of just one mountain. Giving a geopolitical overview of the Ou region from the Jomon period to the Edo period, this paper considers the reasons for the extremely different assessments of the region between the 8^<th> century and the 19^<th> century. Since the Tushima Current flew into the Sea of Japan 8,000 years ago, the region periodically went through four cold climate. While during these Neoglaciation the cold weather often damaged crops, the locals of the Ou region enjoyed the blessings of nature during the warm periods. This climate cycle, together with a political factor of whether the region was independent of the central authority, resulted in the different assessments of the region. The good reputation of the 8^<th> century was made in the region's politically autonomous and climatically warm period ; and the bad reputation of the 19^<th> century was corresponded with the period of subordination and cold climate. The prosperity of the Fujiwara clan at Hiraizumi in the 12^<th> century was the peak of the region's thriving period that began in the 8^<th> century. The I9^<th> century reputation stemmed from the 600-year cold climate period between the late 13^<th> century and the 19^<th> century as well as the consequence of the Tokugawa shogunate and domain system. The Ou region was severely damaged during the last 150 years of that cold period in particular. Even in this period, however, the population of the West side of the region slightly increased. This was partly because the damages caused by the cold weather were less severe than the East side of the region, and partly because that district yielded lots of commercial commodities. Thus, there was a differential between the East and the West parts of the Ou region at the time. This implies that Masamune Date, who understood the East-West differential, failed to take an opportunity for moving to the West part of the Ou region when the Mogami fief was deprived in 1622.
著者
日本時計学会
出版者
一般社団法人日本時計学会
雑誌
日本時計学会誌 (ISSN:00290416)
巻号頁・発行日
no.64, pp.74-78, 1972-12-20
著者
中生 勝美 Nakao Katsumi
出版者
神奈川大学 国際常民文化研究機構
雑誌
国際常民文化研究叢書4 -第二次大戦中および占領期の民族学・文化人類学-=International Center for Folk Culture Studies Monographs 4 ―Ethnology and Cultural Anthropology during World War II and the Occupation―
巻号頁・発行日
pp.83-97, 2013-03-01

世界の民族学・人類学は、第一次世界大戦と第二次世界大戦の間、いわゆる「戦間期」に飛躍的な発展をとげた。第一次世界大戦後は、民族紛争やナショナリズムの隆盛で民族問題が関心をもたれ、フィールドワークの対象が世界各地の辺境まで及び、その地誌的情報、民族誌的知識は、単なる学問だけでなく、軍事情報として蓄積された。 そうした観点で人類学者の動きや民族誌の形成過程を見てみると、イギリスとアメリカで戦争と人類学の密接な関係が浮かび上がる。日本でも、戦略展開地域を想定して、その地域に住む民族の調査を推進していた。たとえば、帝国学士院東亜諸民族調査室では、日本周辺の少数民族に関して、それぞれ民族台帳を作成して、戦争のための必要な情報を整理していた。 民族台帳の作成は、対象となった民族の研究者に執筆を依頼していた。該当する民族を専門にする研究者がいない場合は、嘱託を募り現地調査をさせて民族台帳を作成する計画をしていた。この嘱託として採用されたのは石田英一郎であった。石田は、治安維持法で逮捕され、出所した後にウィーンへ留学して1939 年に帰国し、40 年から帝国学士院東亜諸民族調査室の嘱託となった経歴がある。石田は「蒙疆の回民」(現在の内蒙古のムスリム)と「樺太のオロッコ」(現在の民族名称ではウィルタ)の研究を嘱託され、現地調査をしていた。前者の報告書は、1945 年の東京大空襲のときに原稿が焼失してしまい、公刊されなかった。後者は一部が『民族学年報』に発表されただけで、全体は未刊である。 フィールドワークからおよそ無縁な石田英一郎が担当した民族調査が、彼のもっとも忌避すべき軍隊に利用される民族であったことを、当時の時代背景と歴史資料から明らかにして、欧米の人類学と同様に、日本でも民族誌がいかに軍事利用されたかという点を明らかにしたい。
著者
冨川 雅満
出版者
中央大学
雑誌
法學新報 (ISSN:00096296)
巻号頁・発行日
vol.121, no.5, pp.269-310, 2014-10

本稿は、暴力団員がその身分を偽ってまたは秘匿して、契約約款において暴力団排除条項を設けていた相手方と契約を締結させた事案(暴力団事例)において、最高裁が下した詐欺罪に関する近時の判断について、ドイツとの比較法的観点から検討するものである。ドイツにおいては、類似の事案構造を有するものとして、いわゆる雇用詐欺が問題となっており、そこでは財産的損害、欺罔行為が肯定されるかが議論されている。ここでの議論を参照し、わが国の判例・学説と対比させることで、暴力団事例における最高裁の判断構造を分析することが、本稿の目的である。
著者
小野 一 永吉 照人 望月 明
出版者
神戸大学
雑誌
兵庫農科大学・神戸大学農学部研究報告 (ISSN:0367603X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.107-110, 1968

1) アクリルアミドを担体としたディスク電気泳動を用いて, コムギの胚乳に含まれるアミラーゼの分析を行なった。2) 供試材料はTriticum monococcum var vulgar, T. timopheevi, T. durum var Stewart, およびT. aestivum var Chinese Springの4種である。3) 貯蔵種子のアミラーゼ含量は低く, T. timopheeviとT.durumにおいて, 僅かに1本の活性部位を検出できた。4) 発芽後時間と共にアミラーゼ活性は急にたかまる。発芽後3日目の胚乳のザイモグラムから合計9つのアミラーゼアイソザイムを検出した。それらに易動度の小さいものからA, B, C, ……, Iと符号をつけた。5) A, B, C, Dはα-アミラーゼ, G, H, Iはβ-アミラーゼと推定した。6) A, B, バンドは供試4種のコムギに共通の主バンドで, 各種が共通にもつAゲノムがこの形成に関与すると推察された。一方IはT. timopheeviに個有の主バンドで恐らくGゲノムに由来すると考えた。
著者
孫寧 安倍 正人 根元 義章
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.110(1994-CG-072), pp.169-176, 1994-12-16

距離尺度は手書き文字認識システムの精度を左右する重要な要素の一つであるため,これまで数多くの距離尺度が提案され,理論的に論じてきた.代表的距離尺度として,シティブロック距離,ユークリッド距離,重みつきユークリッド距離,部分空間法,複合類似度法,ベーズ法,マハラノビス距離などが挙げられる.しかし,大規模な手書き文字認識システムの距離尺度として,それぞれの距離尺度が実際どの程度の効果があるかについては,大変重要にもかかわらず,殆ど議論されていない.本稿では,認識システムにとって,最も重要な認識精度に重点をおき,代表的な7種類の距離尺度について,実験的にそれぞれの有効性を比較し,最も有効な距離尺度を明らかにする.さらに,比較実験によって得られた最も有効な距離尺度(マハラノビス距離)に対し,軸の分散特徴を考慮した高速かつ高精度な改良型マハラノビス距離を提案する.提案する改良型マハラノビス距離を用いた認識実験では,ETL9Bの全セットに対し,平均98.24%(オープン)の高い認識率が得られた.本稿では,距離尺度に関する比較実験および改良型マハラノビス距離を中心に報告する.
著者
廣部 泉
出版者
東京大学大学院総合文化研究科附属グローバル地域研究機構アメリカ太平洋地域研究センター
雑誌
アメリカ太平洋研究 (ISSN:13462989)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.14-21, 2013-03

特集 : 太平洋関係のなかのアメリカと日本 : 歴史からの問い
著者
宮本 幹 山口 義夫 笹津 備規
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.127-132, 2000-05-18 (Released:2010-07-21)
参考文献数
17

レジオネラ症や非結核性抗酸菌症の原因となるレジオネラ属菌および非結核性抗酸菌について, その感染源となりうる身近な生活環境中の分布状況を把握するために河川, 湖沼, 海水および土壌等の自然環境, 修景用水, 温泉水, 公衆浴場水, 一般家庭浴水および循環風呂浴水などの人工環境, また各種細菌が検出されないと思われる対照として水道水と飲料用水の調査を行った.その結果, レジオネラ属菌は河川水, 温泉水, 公衆浴場水, 一般家庭浴水および循環風呂浴水から分離された.非結核性抗酸菌はレジオネラ属菌と同様, 生活環境中に広く分布していることが確認された.また, 一部飲料用水からも非結核性抗酸菌が分離された.循環風呂浴水に関しては循環機本体の熱洗浄システム等を導入した物理浄化方式の装置を試験対象とした.その結果, 温泉水や公衆浴場水等と比較してもその菌数, 分布ともに低値であった.
著者
西田 幸次 平林 哲雄 田中 健太郎 森田 秀幸 松葉 豪 金谷 利治
出版者
社団法人 繊維学会
雑誌
繊維学会誌 (ISSN:00379875)
巻号頁・発行日
vol.71, no.10, pp.297-301, 2015-10-10 (Released:2015-10-10)
被引用文献数
4

Methylcellulose attains the water‐solubility by reducing the strong hydrogen‐bonding. The reduction of the hydrogen bonding is achieved by partially substituting hydrophobic methoxy group for hydroxy group in cellulose. However, the substitution gives double‐bladed property to the aqueous methylcellulose, namely, excessive substitution makes again methylcellulose insoluble in water. Therefore, the water‐solubility of methylcellulose is strongly affected by the degree of substitution and moreover the distribution of the substituents. In this study, however, for a commercially available methylcellulose we have modified the cloud point by the addition of various organic salts. Sodium styrene sulfonate (NaSS) showed a strong salting‐in effect, whereas the polymeric NaSS, i.e., sodium polystyrene sulfonate (NaPSS), showed oppositely a salting‐out effect.
著者
榊原 和子 中家 洋子 Kazuko Sakakibara Youko Nakaya
出版者
四條畷学園短期大学
雑誌
四條畷学園短期大学紀要 (ISSN:18811043)
巻号頁・発行日
no.41, pp.1-8, 2008

介護福祉士は、人のライフサイクルにおけるさまざまな時期や場面、暮らしの支援を業とする。少子高齢化、後期高齢者の増加とともに介護福祉士の役割として、看取りの問題は避けて通ることのできない身近な問題となった。だが、厚生労働省は現行のカリキュラムに、ターミナルケアについての指導指針を明確には示してはいない。本研究は、社会福祉士及び介護福祉士法の改正による新カリキュラムに、「デス・エデュケーション・プログラム」をどのように位置づけていくかを検討したものである。ターミナルケアの概念整理を行い、介護現場のターミナルケアの先行研究から、新カリキュラムの教育にどのような内容を組み込むかを検討した。
著者
山田 尚勇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.76, no.12, pp.1278-1288, 1993-12-25
被引用文献数
1

研究に至るまでの経験,動機,発展など提言を交えての回想