著者
Loh YinHuei 原 隆浩 塚本 昌彦 西尾 章治郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.203, pp.61-66, 1999-07-23

近年, 無線通信技術の急速な発展により, 移動体計算環境が普及しつつある。移動体計算環境では, 無線の通信範囲の制限や移動体の省電力などのために, サイト間の断線が頻繁に発生する。断線した複数のサイトにおいて, 同一データの複製を更新するトランザクションが同時に実行されると, そのデータの一貫性が損なわれてしまう。そこで本稿では, サイトの断線時に, トランザクションの発生確率とホスト間の断線時間により, データベースの更新制御法をトークン手法と楽観手法のいずれかから動的に選択する手法を提案する。トークン手法では, 断線時に, トランザクションの実行権利を唯一のサイトに与えることで複製間の一貫性を保証する。一方, 楽観手法では, 複数の断線したサイトで同時にトランザクションを実行でき, 再接続時に更新操作の衝突を検出すれば, 一部のトランザクションをロールバックする。
著者
渡辺 俊和
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.1145-1151, 2008-03-25

本論文では,ダルマキールティがディグナーガによるasapaksaの定義に変更を加えた過程,およびその原因を考察した.ディグナーガはasapaksaを「sapaksaの(1)abhavaであり,(2)anyaでも(3)viruddhaでもない」と定義する.彼は(2)と(3)とが認められない理由について「(2)の場合にはたとえ同類のものであっても他の属性を持つがゆえに異類となってしまうし,(3)の場合には同類と異類とは別の,第三の領域が生じてしまう」という問題を挙げている.これに対してダルマキールティは(1)から(3)全てを認めている.彼はPramanaviniscaya第3章で,彼のアポーハ論の特徴的な点である「話者の意図」という視点を導入することにより,(2)も(3)もasapaksaの否定辞の意味として理解され得る,とする.彼が(2)と(3)を認めたのは,ウッディヨータカラによる「非存在は拠り所とはならない」という反論に答えるためでもあったと考えられる.また彼は(2)の場合に起こる問題について,その否定辞がanyaを意味している'abrahmana'という語を例に説明する.彼は「バラモンはバラモン性以外の属性とも結びついているが,世間一般では'abrahmana'と言われることはない」というように,言語慣習の点から解決を導いている.更に(3)の場合については,<共存不可能性>と<相互否定>という二つのvirodhaの定義を用いることによって解決され得る.つまり,問題となっている(3)viruddhaを,後者の意味で理解すれば第三の領域は起こり得ないのである.このようにして(2)と(3)の問題点は解決されるのであるが,ダルマキールティは自身の見解とディグナーガのそれとをはっきりとは会通させていない.この点はアルチャタ・ダルモーッタラなどの注釈者の課題として残された.
著者
増田 辰良
出版者
北海学園大学
雑誌
北海学園大学法学研究 (ISSN:03857255)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.625-659, 2004-12-31

航空法の改正によって、新千歳-羽田線に新規参入した北海道国際航空(ADO)は同路線における競争(rivalry)を促進した。例えば、ADOの参入後、ハーフィンダール指数は下がっており、同路線の競争が促進されたことがわかる。ADOは運賃の値下げと値上げの両面においてプライス・リーダーシップを発揮していた。運賃の値下げに既存大手航空会社が追随するときには交叉弾力性も大きく、競争関係は強まっていた。一方、ADOの値上げに追随しないときには弾力性も小さく、競争関係は弱まっていた。ADOの経営破綻から得る教訓として、新規参入者を育成し、成長を期待するのであれば参入前後の支援(とりわけ経営指導)と航空市場の公益性という視点を加味して既存企業の価格設定行動を規制する必要があったと思われる。
著者
渡辺 千賀恵
出版者
岐阜工業高等専門学校
雑誌
岐阜工業高等専門学校紀要 (ISSN:03864332)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.13-24, 1987-03-20

The railway enterprise is supported mainly by the fare income. The amount of this income can be increased through the following two ways: (a) increasing the number of passengers, (b) raising the fare. But we can not think that these are independent of each other. The rough raising may drive away the passengers from train to other modes. It is important for reducing the deficit to find how to increase the income without decreasing the number of the passengers. So in this paper, the influence of raising fare on the passengers is analyzed by means of the statistical data since 1950.
著者
関根 達郎 佐藤 治雄
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.241-248, 1992-12-10
被引用文献数
24

Bark stripped from tree trunks and butts by Sika deer, Cervus nippon TEMMINCK, was surveyed in twelve 20×20m^2 plots within 3 forest types on Mt. Odaigahara, Nara Prefecture, Japan. About 90% of Picea jezoensis (SIEB. et ZUCC.) CARRIERE var. hondoensis (MAYR) REHDER and 57% of Abies homolepis SIEB. et ZUCC. trees were barked while deciduous broad-leaved trees such as Fagus crenata BLUME and Quercus mongolica FISCHER ex TURCZ. var. grosseserrata (Bl.) REHDER et WILSON were not barked. The percentages of barked trees in 5 Picea jezoensis var. hondoensis-Sasa nipponica MAKINO et SHIBATA plots on the eastern part of the mountain (1550-1600 m in alt.) were 57% whereas they were 49% in 3 Fagus crenata-Sasa nipponica plots (1450-1550 m) and 17% in 4 Fagus crenata-Sasamorpha borealis (HACK.) NAKAI plots (1300-1450 m) on the western part of the mountain. These percentages appeard to be closely correlated with the intensity of the habitat utilization by Sika deer, assessed by the grazing intensity on Sasa and Sasamorpha leaves and fecal pellet density.
著者
新家 憲 吉田 光広 郭 桂芬 近江谷 和彦 松田 従三 渋谷 義樹 張 会均
出版者
専修大学北海道短期大学
雑誌
環境科学研究所報告 (ISSN:13464736)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.101-115, 2004-12-30

雨が夏季のみ集中して降る地帯において、夏に降った雨水を地下1mに貯水し、湿害を防ぐと同時に春の干ばつ期に、この水分を毛管水として作物に利用することを構想した。このため地下水層を人工的につくる機械を開発する。本報では高圧空気でつくられた地下の水平空洞(貯水槽)に砂を充填する装置(サンドガン)の開発について述べる。結果として、最適なサンドガンの構造は、砂をまずインジェクターの中に充填する。高圧空気を、この砂柱の上端に作用させる。したがって砂は連続的に噴出するのではなく、バッチで噴出する構造である。この構造では、例え土がノズルに詰っても高圧空気で、これを吹き飛ばすことができる。中国の砂も、日本の砂も土壌水分が異なると砂をノズルから噴出するのに必要なチャージタンク圧は異なった。両砂とも土壌水分10%d.b.で噴出に必要なチャージタンク圧は最大となり0.4MPaとなった。中国の砂と日本の砂で砂の移動距離はほとんど変わらなかった。土壌水分が10%d.b.の時、砂移動に必要なチャージタンク圧も最大となった。この時、砂移動に必要なチャージタンク圧は0.8MPaであった。砂移動に必要なチャージタンク圧は砂噴出に必要なチャージタンク圧より常に大きくなった。したがって、砂を地下空洞に充填する時、チャージタンク圧は砂移動に必要なチャージタンク圧とする必要がある。ノズルの数が複数あっても、順次抵抗の少ないノズルが働いて砂が噴出し、砂が空洞全体に充填された。