著者
三木 竜介 髙原 大樹
出版者
一般社団法人 日本薬剤疫学会
雑誌
薬剤疫学 (ISSN:13420445)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.25-33, 2022-06-25 (Released:2022-07-25)
参考文献数
5

神戸市では,科学的根拠に基づく保健事業の推進による市民サービスの向上を目指し,医療・介護のレセプトデータや健診データ等を連結・匿名化した「ヘルスケアデータ連携システム」を新たに整備し,2020年11月に運用を開始した.本システムには,国保・後期高齢者・生保医療レセプトデータ,国保・後期高齢者・生保健診データ,介護レセプトデータ,介護認定調査票,予防接種データ等,市民約60 万人分の公的データが,個人単位で連結された状態で格納されている.これらの連結されたデータは,研究目的であれば,学術機関に限定して無償で利用可能である.データ利用にあたっては,神戸市の倫理審査委員会の審査で承認を得る必要がある.提供されるデータセットは,研究内容に応じて必要最小限に形成され,個人が特定できないように匿名化処理が施されている. 神戸市はヘルスケアデータ連携システムに格納されたデータを,二つの用途で利用している.一つ目は,市民全体の健康状態や課題の把握,保健事業の効果検証である.比較的悉皆性の高いデータであることと,既存事業で収集されるデータであることが,市民の健康状態を永続的に追跡していく運用を可能にしている.二つ目は,学術機関へのデータの研究利用目的での無償提供である.公益性の高い研究が神戸市のデータを元に実施されれば,結果から得られる新しい知見を保健事業に反映させることができる.ひいては,科学的根拠に基づく保健事業の推進につながり,更なる市民サービスの向上が期待される.
著者
木内 貴弘
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.202-211, 2019 (Released:2019-09-14)
参考文献数
29
被引用文献数
1

CDISC標準の概要:CDISC標準は,当初は治験の電子申請のために策定されたが,現在では,電子化された臨床研究のあらゆる場面で活用可能なように規格が拡張されている.FDAとPMDAによる治験電子申請のCDISC標準の利用の義務化によって,世界の製薬会社がCDISC標準に取り組んでいる.しかしながら,CDISC標準を活用して,EDCや電子カルテからのデータ抽出等の先進的なプロジェクトを実施するのには,規制の関係から,製薬会社よりもアカデミアが適している.日本のアカデミアにおけるCDISC標準の利活用の過去の実績と現状:CDISC標準自体は米国を中心に策定された規格であるが,日本のアカデミアは,CDISC標準の利活用では,過去において,むしろ米国に先行してきたことに注目すべきである.UMINと福島県立医大によるCDICS標準にもとづくEDCによる本物の臨床試験の世界初の実施,静岡県立がんセンターによるCDISC標準による電子カルテからの世界初のデータ抽出等の試みは,特に顕著な例である.過去の顕著な実績にもかかわらず,医学研究データ収集におけるCDISC標準の活用がその後幅広く,日本で一般的になったとは言えない.日本では,臨床試験電子化の規格として,かつて中間標準という規格が策定されたが,英文による普及・広報活動とそれによる海外での仲間づくりの努力をしなかったため,CDISC標準にまったく太刀打ちできなかった.そして,中間標準を策定した人たちが日本におけるCDISC標準の導入に抵抗した経緯がある.また中間標準の採用が実際的でないと明らかになると,今度は診療用に策定された日本独自の規格であるSS-MIXを臨床研究のデータ収集に使うことが広く行われている.日本におけるCDISC標準利活用の今後:規格を策定するならば,英文による普及・広報活動を強力に実施して,国際標準を目指すこと,国際標準にできなかった規格はすぐにあきらめて,国際標準に乗り換えることが重要である.医学研究のデータ収集,電子カルテからのデータ抽出のデータ仕様は,CDISC標準に統一していくことが必須であると考えられる.これらの推進は,規制による制約のないアカデミアが主導すべきであると考える.
著者
若山 誠治 南波 哲 大野 雅二
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.92, no.3, pp.256-259, 1971-03-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
4
被引用文献数
7

ライラック紫花Syringa Vulgaris L.の花精油成分を検索して, 1-ヘキサノール, cis-3-ヘキセン-1-オール,リナロール,アセトフェノン,ライラックアルコール-b,ライラックアルコール-d,ライラックアルコール-a,ベラトロール, p-ジメトキシベンゼン,ライラックアルコール-c,ベンジルアルコール,フェネチルアルコール,メチルオイゲノール,アニスアルデヒド,シンナムアルデヒド,エレミシン,シンナミルアルコールの存在を明らかにした。このうちライラックアルコール-a, -b, -cおよび-dは新化合物で,たがいに立体異性体である。ライラックアルコール-aおよび-bはβ, 5-ジメチル-5-ビニル-2-テトラヒドロフランエタノールで,水酸基のβ-位の構造による立体異性体であることが明らかにされた。
著者
上野 悟 清水 玲子 中村 治雅
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.219-228, 2019 (Released:2019-09-14)
参考文献数
34

筋ジストロフィーを含む神経筋疾患領域の多くは希少難治性疾患であり,有効な治療法の開発が求められている.新薬開発のためには,患者の背景情報や症状,症候など疾患に関する情報が必要となる.患者レジストリ(疾患登録システム)は,患者情報を登録し行政や研究者,製薬企業に対して患者の疫学的データを提供することができる.また,患者レジストリで収集するデータは,製薬企業には患者の状況把握を可能にし,患者には新薬開発のために治験の情報提供や新薬に関する情報を提供することが可能となる.神経筋疾患領域では,国際的なイニシアティブとして2007年に欧州にTREAT-NMDが設立され,その中の活動の一つとして患者レジストリの構築が行われた.2009年にはTREAT-NMDに続いて,日本においても筋ジストロフィー患者登録システム(Registry of Muscular Dystrophy: Remudy)が立ち上がり患者レジストリを運用している.クリニカル・イノベーション・ネットワーク(Clinical Innovation Network: CIN)は患者レジストリ等の疾患登録情報を活用した臨床開発のインフラであり,2016年からCIN構想として疾患登録情報を活用した効率的な治験,リアルワールドデータの利活用を可能にするインフラ整備と運用が行われている.RemudyはTREAT-NMDと協調してレジストリの項目を設定しているが,国際的なデータの利活用を促進するためにはデータの標準化が有用であり,承認申請データとのデータの利用を考慮すると,現在広く利用されている国際標準の利用は必要不可欠である.CDISC(Clinical Data Interchange Standards Consortium)標準は医学研究における国際標準であり,計画,データ収集,データ交換,解析までを一貫した標準が整備されており,承認申請データの標準としても用いられている.また,CDISCはデュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne Muscular Dystrophy: DMD)などの疾患領域別データ標準も公表している.リアルワールドデータの利活用を考えると,データトレーサビリティを確保でき,標準化によるデータの品質管理にも寄与するため,CDISC標準を用いることに意義は大きい.しかし,CDISC標準が万能ということではなく,他の国内外の標準の調査や実臨床での測定方法や測定環境,評価指標など,研究の実施体制や環境を考慮する必要がある.本稿では,データの利活用を活性化するための事例紹介として,神経筋疾患領域における患者レジストリと標準化について解説する.
著者
上野 悟 竹下 絵里 清水 玲子 小居 秀紀 小牧 宏文 中村 治雅
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.191-195, 2018-05-31 (Released:2018-06-30)
参考文献数
12

クリニカル・イノベーション・ネットワーク(Clinical Innovation Network: CIN)とは疾患登録システム(患者レジストリ)等の疾患登録情報を活用した臨床開発インフラの整備のことであり,疾患登録情報を活用した効率的な治験や製造販売後調査および臨床研究の体制構築を推進する構想である.2009年より筋ジストロフィー患者登録システム(Registry of Muscular Dystrophy: Remudy)が運用されている.レジストリを国際的に連携させるためには,同じ収集項目を設定する必要がある.レジストリの最低限必要となる収集項目として,米国ではGlobal Rare Disease Registry Data Repository(GRDR)から,欧州ではEuropean Union Committee of Experts on Rare Diseases(EUCERD)から収集項目に関する標準が発表されているが,日本ではGRDRやEUCERDが提案する最小データセットは提案されていない.CDISC(Clinical Data Interchange Standard Consortium)は,臨床試験を初めとするヘルスケア業界のデータ共有,交換,再利用等のための世界標準を提案する非営利団体であり,汎用性が高く,様々な疾患の臨床試験データに適用できるCDISC標準を定めている.また,CDISCは2017年にデュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy: DMD)の疾患領域別データ標準(Duchenne Muscular Dystrophy Therapeutic Area User Guide: TAUG-DMD)も公表している.疾患横断的な研究では,収集項目の設定漏れによるデータの欠損,試験毎の回答の選択肢が異なる等の問題が生じるため,レジストリの構築にはCDISC標準等のデータ標準を用いることは大切である.臨床でのデータ収集のしやすさも考慮し,臨床現場とデータ標準の両方の視点をもつことが重要である.RWD(Real World Data)の利活用を活性化するためにも,レジストリに関する国際的な標準を整備し普及する意義は高いと考えられる.現在,TAUG-DMDおよびGRDR,EUCERD等の国際標準を用いて収集項目を調査し,患者レジストリの標準項目を検討している.
著者
佐藤 邦明 安部 香奈江 高松 亜弥 岩島 範子 増永 二之
出版者
環境技術学会
雑誌
環境技術 (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.146-155, 2019-05-20 (Released:2019-05-25)
参考文献数
14

本研究では,土壌を利用した水質浄化技術の開発を目的とし,黒ボク土壌へ各種資材を混合し攪拌造粒によって人工的に土壌団粒を作成した.そして,高速処理条件で水質浄化試験を実施した.ミミズ糞団粒やケイ砂と比較して人工土壌団粒は高い有機物除去能を持ち,同時に高いリン除去能も示した.ただし,おがくずを混合した人工団粒では,生物膜が肥大化しやすかったためか水質浄化能は低かった.鉄粉を混合した人工団粒では,過剰な送気によって水質浄化能が低下する傾向が示され,それは過剰に酸化鉄が生成したためと推察された.ゼオライトを人工団粒に混合することによって,アンモニア除去及び窒素除去能が向上した.しかし,高速処理で従来法と同程度の窒素除去率を示したものの,今後は窒素浄化能をさらに向上させる手法の検討が必要であると考えられた.
著者
Min He Edmund Fec
出版者
The Tohoku English Language Education Society
雑誌
東北英語教育学会研究紀要 (ISSN:13462504)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.69-83, 2023-05-12 (Released:2023-05-17)
参考文献数
43

The syllable is a basic unit of the English language. For young Japanese learners of English, whose L1 comprises morae rather than syllables, a clear explanation of what a syllable is can help the perception and production of English speech. Despite this, there is a paucity of research regarding syllable instruction, and what research there is can give conflicting ideas on when and even whether syllables should be taught. In this paper, we attempt to clarify the issues by reviewing the literature concerning syllable instruction, and by examining the way syllables and the phonemes that make up the syllables are covered in authorized Japanese junior high school English textbooks. We conclude that there is insufficient explanation of syllables and phonemic symbols in the textbooks, especially concerning the relationship of syllables with grammatical features such as comparatives, and we recommend measures to improve pronunciation teaching which include phonemic and syllable instruction.
著者
前濱 智子 林田 晃寛 久米 輝善 和田 希美 渡邉 望 根石 陽二 川元 隆弘 豊田 英嗣 大倉 宏之 吉田 清
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.40, no.Supplement3, pp.121-126, 2008-07-30 (Released:2013-05-24)
参考文献数
7

症例は61歳,男性.1997年から全身性強皮症と診断され,加療されていた.膠原病性肺高血圧症が急速に進行し,2006年から在宅酸素療法およびボセンタンを導入された.2007年6月,自宅で突然心肺停止となった.家人による心臓マッサージを受け,救急隊が装着した自動体外式除細動器(AED)にて心室細動が確認され,除細動2回目で心肺停止から約25分後に自己心拍の再開を認めた.来院時GCS:1-1-1で除脳姿勢を呈していたが,軽度低体温療法を行った結果,若干の記憶障害が残るものの,意識はほぼ清明となるまで回復した.原因検索の際の冠動脈造影検査にて虚血性心疾患は否定されたため,全身性強皮症の心病変による心室細動であったと診断し,植込み型除細動器を植え込み,約1カ月後に退院した.今回われわれは,強皮症による心筋障害が原因と思われる心室細動をきたし,AEDにて蘇生された貴重な症例を経験したので文献的考察を加え報告する.
著者
芳賀 道匡 坂本 真士
出版者
公益財団法人 パブリックヘルスリサーチセンター
雑誌
ストレス科学研究 (ISSN:13419986)
巻号頁・発行日
pp.2022001, (Released:2023-05-17)
参考文献数
17

The purposes of the present study were to report a loneliness reduction model using student’s subjective social capital (SSC), computer mediated communication (CMC) or face to face (FTF) behavior and perceptions of the closed spaces, crowded places, close-contacts avoidance (perceptions of the norms of avoiding 3Cs) in COVID-19 pandemic. In this article, we focused on subjective social capital as people’s cognition of the psychosocial resource availability accumulated by contact with others. Online cross-section research was conducted at 3th faculties in a Japanese private university, in July 2020, collecting 732 samples. And analyses were done for 659 samples. The results showed that the norms of avoiding 3Cs affected computer mediated or face to face communication behavior, and computer mediated or face to face communication behavior affected SSC, and the SSC reduces loneliness. These results imply that SSC, CMC and FTF are the important factor for student to decrease loneliness in COVID-19 pandemic.
著者
鈴木 美樹江 加藤 大樹
出版者
日本感情心理学会
雑誌
感情心理学研究 (ISSN:18828817)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.11-15, 2023-05-15 (Released:2023-05-20)
参考文献数
22

This study aimed to examine the potential associations between rolefulness and hardiness among high school students. We hypothesized that rolefulness would positively predict hardiness. The present study utilized data from assessments completed by 301 students (51% girls) in three waves over three years. Cross-lagged panel analysis indicated a significant relationship between rolefulness and hardiness. Specifically, social rolefulness at Time 1 influenced control at Time 2, and control at Time 2 predicted challenge at Time 3. Control at Time 1 influenced rolefulness at Time 2, and rolefulness at Time 2 predicted hardiness at Time 3.
著者
川西 幸弘 末次 典恵
出版者
公立大学法人 宮崎県立看護大学
雑誌
宮崎県立看護大学研究紀要 (ISSN:1345692X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.1-9, 2023 (Released:2023-04-03)
参考文献数
26

本研究では,利き手と作業への影響を明らかにすることにより,左手利き者に対する,看護技術習得における教育的配慮に関する示唆を得ることを目的とした。検索エンジンは医中誌 Web,CiNii,Google Scholarを使用し,「 右利き 」,「 左利き 」,「 作業 」,「 手 」 をキーワードに検索し,対象の利き手と非利き手または,右手利き者と左手利き者の作業能率の比較を基準に7つの論文を選定した。文献は,道具を使用する作業や高い操作性を求められる場合には,利き手の使用が有用であるというもの,左手利き者は非利き手での道具の使用に関して順応性が高く,簡単な作業においては,両方の手を効率的に使用できるというもの,利き手の違いによる看護技術評価点への影響に関するものに分けられた。これらから,左手利き者に対する看護技術習得における教育的配慮として,基本的に利き手で習得した方が上達すること,看護技術習得の状況を個別に確認した上で,慌てず確実な手技を身につけるように助言をすること,実施しやすい物品の配置や立ち位置の調整を促すことが,左手利き者への看護技術習得支援につながる可能性が示唆された。
著者
森永 睦子 片岡 浩巳 通山 薫
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.25-32, 2023-01-25 (Released:2023-01-25)
参考文献数
11

救急医療の現場では,意識障害,ショック患者に薬物が関与している場合がある。原因検索の一手段として薬物検出検査は有用であるがこれらの分析は精密機器を使用しているため操作が煩雑であり検査結果報告および手技の取得に時間と人員およびコストを要する。そのためどの施設でも直ぐに測定を確立するのは簡単ではない。そこで,一般的に測定される臨床検査項目やバイタルサイン等の病態パラメータ,病歴,薬歴および治療歴などの患者背景を用いて,網羅的に単変量解析し重症化に関連する因子を抽出した。さらに,ROC解析と多重ロジスティック解析を行い重症処置の有無を予測する式を導出した。対象は,川崎医科大学附属病院高度救命救急センターに搬送された薬物中毒患者197症例を用いた。その結果,重症処置の有無に強く関与する因子は入院の有無,中毒域薬物の有無,大量服薬の有無,向精神薬検出の有無,WBC,D-ダイマー,CK-MB,APTT,GCS,BE,白血球分画の単球(monocyte %)であった。重症化の予測にはGCS,大量服薬の有無,来院時のCK-MB,APTT,monocyte %が関連しており,重症化予測の適合度を表すROC分析では患者背景のみでは0.701,臨床検査値のみでは0.700,患者背景と臨床検査値では0.789であり両者を組み合わせた方が判別度の妥当性が高かった。
著者
峯尾 隼人 正岡 功士
出版者
一般社団法人 粉体工学会
雑誌
粉体工学会誌 (ISSN:03866157)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.596-603, 2017-09-10 (Released:2017-10-31)
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

We examined about the chemical change of Japanese sea salt using Thermo Gravimetric and Mass Spectrometric analyzer (TG-MS). TG-MS spectrums of the salt, calcium chloride tetra-hydrate and magnesium chloride hexa-hydrate were measured. From the result, it’s thought that a formation of hydrogen chloride by heating the salt is caused by the chemical decomposition of magnesium chloride hydrate in general. On a temperature rising process, practical reaction temperature is increased with sample mass and heating rate. And the formation rate of the hydroxyl magnesium chloride and magnesium oxide is increased by moisture in a gas phase. The moisture in a gas phase cause oxidize anhydrous magnesium chloride to magnesium oxide around 500°C as shown in following reaction. MgCl2+H2O→MgO+2HCl. From these result, we concluded that control of residence time, gas-solid volume ratio and moisture in gas phase is important for reduce of hydrogen chloride formation in drying process and calcining process.