著者
大石 真澄
出版者
社会学研究会
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.57-74, 2015-10-01 (Released:2020-06-20)
参考文献数
18

本論は、生理用品のテレビCM制作物の分析を通して、テレビの受容者が生理用品に関する言及をどのようにそれとして理解しているのか知ろうとするものである。 本論では分析対象であるテレビCMの言及形式に着目する。そのために、テレビCM分析の先行研究を検討した結果、データベースから資料を抽出し、受容者の理解をそのやり方に沿って記述するという方針を得る。ここからエスノメソドロジーの立場に立って、テレビCMの理解に際して要求されるカテゴリー化の作用を記述するという作業方針を立てた。またこの方針の遂行のために、ハーヴィ・サックスの「成員カテゴリー化装置」の使用を手がかりとし、テレビCM資料に適した分析手法の検討を事前に行った。 分析の結果、理解には二つの形式があることが分かった。一つは男性/女性のカテゴリー対を提示上で用いることで男性が対象外であることを示し、生理用品というモノにつなげるやり方である。二つ目に、生理の実践を経てそれに関する知識を持つ人にだけわかる形で場面を提示することで、CM上のトピックが生理用品に関してのものであることを示す方法である。このやり方は、映画番組というジェンダーによって視聴者がセグメント化されない番組で起きていたことから、視聴活動の場においても生理用品のテレビCMを理解する/しないことで、ジェンダーカテゴリーの切り分けが起こっていたことが見出された。 以上の分析から、生理用品のテレビCMは、その理解に際した知識要求の仕方で、生理のある女性をターゲットオーディエンスとして分離した。同時に女性にとっては、それを理解するという活動そのものによって、自らの性別カテゴリーを自認する実践でもあったことが分かった。
著者
河合 清 三牧 靖典 山領 貞行 槙野 克美
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.263-268, 2003-06-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
10

銀塩フィルムの高感度, 高画質, 広いラチチュードといった特徴は, 感度の異なるハロゲン化銀粒子が3次元的配列しているという撮像システムそのものから発生する本質的なものである.しかも, ハロゲン化銀乳剤技術は今後も進歩していくことが可能である.従つて, これらの技術を取り入れて映画用フィルムを継続的に開発することで, 映画制作システムを何ら変更することなく, 更に高画質な映画表現が可能となっていく.本報告では, このような映画撮影における銀塩フィルムの特徴をデジタル撮影と比較議論し, 銀塩の特徴を最大限追求したフィルムの開発例とそこに用いられている技術を概説する.
著者
中丸 裕爾
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.117, no.5, pp.702-703, 2014-05-20 (Released:2014-06-20)
参考文献数
3
被引用文献数
1 1
著者
船見 祐揮 高野 敦 Funami Yuki Takano Atsushi
出版者
宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所(JAXA)(ISAS)
雑誌
第2回ハイブリッドロケットシンポジウム 講演集 = Proceedings of the 2nd Hybrid Rocket Symposium
巻号頁・発行日
2019-07

第2回ハイブリッドロケットシンポジウム(2019年7月11日-12日. 宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所(JAXA)(ISAS)), 相模原市, 神奈川県
著者
井上 良紀
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.297-306, 1990-12-29 (Released:2009-07-23)
参考文献数
37
著者
佐藤 輝 吉田 英樹 前田 愛 松本 健太 向中野 直哉 川村 真琴 小西 杏奈 島田 瑞希 高桑 奈緒美 鳴海 萌 天坂 興 原 幹周 小田桐 伶 前田 貴哉
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0668, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】低負荷(最大随意収縮(MVC)の20%程度)で実施される等尺性収縮後の筋弛緩法(PIR)と対象者の随意的努力を必要としない神経筋電気刺激(NMES)では,筋ポンプ作用に基づき筋血流量が改善する可能性が指摘されており,臨床では筋・筋膜性疼痛や浮腫の改善などに活用されている。しかし,PIRやNMESが筋循環動態に及ぼす影響の詳細は十分に検証されていないのが現状である。以上から本研究では,PIRとNMESが筋血流動態に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。【方法】健常者16名を対象とし,仰臥位を保持した対象者の右上腕二頭筋(BB)に対して3つの条件(条件1:PIRを実施する条件,条件2:NMESを実施する条件,条件3:コントロール条件)を無作為順序で日を改めて実施した。条件1では,対象者は,右BBに対するPIRとして,右肘関節90度屈曲位かつ右前腕90度回外位にて20%MVCでの右BBの等尺性収縮を10秒間実施し,その後,右肘関節完全伸展位かつ右前腕90度回外位にて20秒間右BBを弛緩させた。この右BBの収縮と弛緩の計30秒間を1セットとして,10セット5分間を連続で実施した。PIR終了後,対象者は安静仰臥位をさらに15分保った。条件2では,対象者は,右BBに対するNMES(波形:対称性矩形波,電流強度:肘関節の僅かな屈曲運動は起こる程度,周波数:30 Hz,パルス幅:250 μsec,オン・オフ時間:各5秒)を20分受けた。条件3では,対象者は安静仰臥位を20分保持するのみとした。各条件の実施中,筋血流量の指標として右BBの酸素化ヘモグロビン量(oxy-Hb)と脱酸素化ヘモグロビン量(deoxy-Hb)を測定し,各条件開始時の測定値を基準として各条件での5分後(条件1のPIR終了時)及び20分後(各条件の終了時)でのoxy-Hbとdeoxy-Hbの経時的変化を多重比較検定にて検討した。【結果】条件1(PIR)では,oxy-Hbの明らか変化は認めなかったが,deoxy-Hbは条件開始5分後(PIR終了時)で有意に増加し,条件開始20分後でも有意に増加した状態であった。一方,条件2(NMES)では,oxy-Hbは条件開始5分後及び20分後で増加傾向を示したが,deoxy-Hbは同時点で減少傾向を示した。条件3では,oxy-Hb,deoxy-Hbともに経過中での明らかな変化を認めなかった。【結論】本結果は,PIRではdeoxy-Hbが増加するのに対し,NMESではoxy-Hbが増加する可能性を示しており,両者の筋循環動態に及ぼす影響の違いが明らかとなった。PIRのような低負荷随意運動では筋収縮に必要なATP産生は好気的代謝系に依存するのに対し,電気刺激に伴う筋収縮では嫌気的代謝系に依存する(Hamada, 2003)。このため,PIRでは酸素需要が高まりoxy-Hbと比較してdeoxy-Hbが増加するが,NMESでは酸素需要がPIR程には高まらないため,deoxy-Hbと比較してoxy-Hbが増加したと推察する。PIRとNMESはともに筋血流量を改善する可能性があるが,筋循環動態に及ぼす影響は対照的であり,臨床では目的に応じた使い分けも考慮すべきである。