著者
宇良田 大悟 古島 弘三 貝沼 雄太 安田 武蔵 川鍋 慧人 西 亮介 船越 忠直 草野 寛 高橋 啓 堀内 行雄 伊藤 惠康
出版者
日本肘関節学会
雑誌
日本肘関節学会雑誌 (ISSN:13497324)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.288-292, 2020 (Released:2021-03-16)
参考文献数
19

【はじめに】近年,内側型野球肘の外反不安定性評価としてring-down artifact(RDA)が報告されている.RDAは関節内の線状高エコー像と定義され,関節弛緩性を示す.本研究の目的は,健常高校野球選手におけるRDA陽性率と,その後の肘内側痛の発症に関して前向きに調査することである.【方法】対象は,高校硬式野球部新入部員32名とした.超音波診断装置を用い,自重外反時,自重外反+尺側手根屈筋(FCU)・浅指屈筋(FDS)収縮時のRDAの有無を評価した.検診後6か月間,肘内側痛の有無を聴取し,有痛日数を調査した.【結果】RDA陽性率は18名(56.3%),FCU・FDS収縮時のRDA陽性率は7名(21.9%)であった.RDA有群は有意に肘内側痛を発症しやすかった(Risk Ratio: 7.0).有痛日数は,RDA有群で有意に長期化していた.また,FCU・FDSの収縮によってRDAが残存する場合,有痛日数が有意に長期化していた.【考察】RDA有無の評価は,将来的な肘内側痛の予測因子として有用であると考えられた.
著者
石井 望 中村 光彦
出版者
長崎総合科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

平成十八年度、北京にて發見した「北西廂訂律」は、現存最古の元曲譜として極めて貴重なものだったので、平成十九年度はその詳細な分析のために、比較の封象となる曲譜を蒐集し、比較を行なった。その結果「北西廂訂律」に古メロディーが留存してゐることがいよいよ明瞭になって來た。メロディー研究の基礎となる曲韻研究に於いては、范善臻「中州全韻」の七聲體系こそが崑曲の正統であることを示す證據を「韻學驪珠」など諸韻書に求め、學會にて口頭發表した。曲韻研究の基礎となる音韻學概念を六朝に遡って探求し、インド輪廻方式の呉語音圖「歸三十字母例」が音韻學の源であり、それ以來呉語の曲韻に至るまで清濁を高低としてゐることを明らかにした。メロディー研究の今一つの基礎となる音階研究に於いては、太平御覧等に見える「制は角音にのっとる」との記載にもとづき、ファ・ファ#・シ・シ♭を曖昧にする音階が唐代より宋詞・元曲を経て崑曲に至るまで基本原理となってゐることを明らかにし、臺灣にて口頭及び誌上にて發表した。また分擔者中村光彦の指導する卒研にては、機器吹奏を以て崑曲笛の音階を試測し、今後各地の古樂器の音階を計測するための準備を整へた。
著者
砂本 文彦
出版者
一般社団法人 日本観光研究学会
雑誌
観光研究 (ISSN:13420208)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.1-8, 2002-09-30 (Released:2017-04-01)
被引用文献数
2

The purpose of this study is to clarify the planning process of the Policy of Tourist Industry during 1930s in Japan. This paper focuses 3 persons who belong to Japanese Government Rai Iways and J. Inoue. Findings are as fol lows; Beginning of the pol icy had been prepared by J. Takaku and G. Arai as an officer of Japanese Government Railways. Then Y. Hatta who changed his occupation from an officer to a member of Parliament negotiated with others to legislate. The role of J. Inoue was that hotel enterprise in Osaka-City promoted by him had contributed towards the construction of Kokusai Kanko Hotel and its resort after 1930.
著者
宮﨑 達郎 松下 秀介 氏家 清和
出版者
農業情報学会
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.42-49, 2012 (Released:2012-06-29)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

東海地震は発生が予想される国内有数の震災であるが,その家庭対策の1つとして食料品備蓄が挙げられている.本研究は家庭による食料品備蓄の普及のために,食料品備蓄の便益と費用に対する家庭の評価の形成要因を明らかにすることを目的とした.分析に用いたデータは2011年5月に静岡県静岡市において実施した調査より収集した.分析結果より,食料品備蓄が実施されない理由として,食料品備蓄の必要性が十分に家庭に認識されていないこと,備蓄の計画を立てる能力が不足していることが考えられた.また,食料品備蓄を実施しても継続を断念してしまう家庭が存在するが,その理由として,食料品の買い出しの手間や備蓄食料品の消費の問題,備蓄スペース等の負担が,食料品備蓄を実施した経験により増幅され,顕在化した可能性が考えられた.他方,食料品備蓄の知識が豊富な家庭ほど,食料品備蓄の必要性を認識し,食料品備蓄実施に伴う様々な負担も感じにくい傾向があることが指摘された.さらに,各家庭が持つ備蓄食料品の食味や消費期限に関するイメージが,食料品備蓄の費用に対する評価に大きく影響することが分かった.以上より,地方公共団体や農林水産省等関係機関による情報提供や,備蓄食料品の食味の改良等,高品質化による食料品備蓄の普及の可能性が指摘された.
著者
野村 真未 石田 健一郎
出版者
日本植物形態学会
雑誌
PLANT MORPHOLOGY (ISSN:09189726)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.47-51, 2017 (Released:2018-04-06)
参考文献数
13
被引用文献数
1

細胞が細胞としてあり続けるため,また自己増殖するためには,エネルギー生産や細胞分裂は欠かすことができない機能であり,これらの機能はすべての細胞が持ち合わせている.一方,主に単一の細胞のみで生活する微細藻や原生生物に目を移してみると,各々の細胞は実に多様で,特殊な機能を有していることが分かる.例えば,珪藻の細かくて精巧なガラスの殻形成や,ハプト藻のハプトネマの急速なコイリング,渦鞭毛藻のベールを使った捕食,そして,有殻アメーバの細胞外での殻形成など,これまでの細胞研究から得られた知見では説明できない現象が多数存在する.本稿では,有殻アメーバの殻形成という現象に焦点をあてた.有殻アメーバは,仮足以外の細胞質を殻の外に出すことはなく,殻を細胞分裂に先立って新たに構築し,新規殻へ娘細胞を送り込むという分裂様式を持っている.驚くべきことに,新規殻は細胞外の鋳型のない空間に,レンガ状の鱗片を仮足を使って積み上げることで構築される.Paulinella chromatophoraは,安定した培養系の確立された数少ない有殻アメーバの一種である.我々は,P. chromatophoraを材料として,有殻アメーバによる被殻構築という現象が,細胞のどのような構造や機能により引き起こされるのかを理解することで,細胞が持つ機能の可能性を探ってきた.
著者
松村 良之
出版者
北海道大学大学院法学研究科
雑誌
北大法学論集 (ISSN:03855953)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.142-132, 2017-11-30
著者
田附 紘平
出版者
日本箱庭療法学会
雑誌
箱庭療法学研究 (ISSN:09163662)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.51-60, 2021 (Released:2022-05-13)
参考文献数
15

我が国において,夢に関する臨床的な研究は,夢の内容を扱ったものがほとんどであった。近年,夢の構造に着目する意義が指摘されているが,その基礎研究・事例研究ともに不足している。本研究の目的は,基礎研究として,日本人の夢の構造の年齢による差異および性差を検討することであった。オンライン調査によって得た20代~70代の調査協力者392名による夢の記述を評定した後,重回帰分析を実施した。その結果,性差はみられず,年齢による差異が多くみられた。具体的には,年齢が高いと,「困難状況の発生」「他(者)による主導権」「他(者)からの働きかけ」「他(者)とのやりとり」「他(者)の状態の連続性なし」「他(者)の実態の曖昧さ」「私の行動の制御不可能性」「私の状態の連続性なし」が有意に少なく,「私の主体的行動」「私の主観的描写」が有意に多かった。
著者
藏重 久弥 村上 晃一
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.78, no.3, pp.120-124, 2023-03-05 (Released:2023-03-06)
参考文献数
26

Geant4(ジアントフォー)は,放射線シミュレーションのためのソフトウェアツールキットである.一般に,放射線とは運動エネルギーをもつ素粒子および原子核のことである(光子を含む.以後“粒子”と呼ぶ).粒子は電磁相互作用,強い相互作用,弱い相互作用によって物質との反応や粒子壊変を行う.素粒子・原子核実験においては,粒子個々に対する観測が行われ,ミクロな事象ベースでの解析が行われる.Geant4ではモンテカルロ法によって,対象となる粒子の一つ一つを物質との相互作用を考慮しながら発生点から停止・消滅点までシミュレーションを行う.Geant4は他の放射線シミュレータと異なり,オープンソースのプロジェクトとして,組み込み可能なクラスライブラリを提供している.それによって幅広い分野での応用が可能となり,素粒子・原子核実験,宇宙線観測はもとより,衛星での機器や人体への放射線の影響評価,放射線医学などに利用されている.Geant4は,LHCのための開発プロジェクトとして1994年に開始された.1998年12月に最初のバージョンであるGeant4 0.0が公開され,バージョン11.0-patch03が最新版となっている.LHC加速器の高輝度化計画HL-LHCに向けて,計算資源の効率的な使用および処理速度の向上が求められている.また,Geant4は粒子線治療における線量計算への応用も行われているが,この分野でも計算速度の向上が実応用への課題となっている.科学技術計算では,流体解析などの分野でベクトル化による並列処理は古くから行われてきた.一方,モンテカルロ法によるシミュレーションにおいては,条件分岐処理が重要であるためベクトル化には向かない.Geant4では各イベントは独立で並列に処理可能であり,MPIを用いたマルチ・プロセスによる並列化は以前から行われてきた.しかし,プロセスごとに測定器の形状記述や相互作用記述のためのメモリを確保するため,測定器の大型化・細密化に伴いメモリの使用量が増加している.そのため,マルチコア・プロセッサにおいて多くのプロセスを並列処理する場合の性能が課題となる.そこで,Geant4の最新リリースでは,マルチ・スレッドによるイベント並列処理に力を入れ,メモリ管理を改善することによる計算性能の向上を目指している.また,近年の高性能GPU(Graphics Processing Unit)やメニーコア・プロセッサに特化した並列化処理によるプログラミングが重要となってきている.そこで,Geant4で培った相互作用の知見を用いて,GPU上の超並列計算に適応した放射線シミュレータが,CUDAを用いて開発されている.粒子ごとの並列処理に取り組むことにより,従来の数百倍の処理速度を達成しており,粒子線治療における線量見積もりの精密化につながると期待されている.

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著者
山本 富佐子
出版者
相愛女子大学相愛女子短期大学
雑誌
相愛女子大学相愛女子短期大学研究論集
巻号頁・発行日
vol.10-11, no.2-1, pp.50-36, 1964-06
著者
奥平 志づ江
出版者
文教大学女子短期大学部
雑誌
研究紀要 = Annual Reports of Studies (ISSN:03855309)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.28-42, 1984-12-01
著者
西谷 尚道
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.12, pp.1145-1149, 1971-12-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
5
被引用文献数
2 2

しょうちゅうがなぜ熟成されずに売られる習慣がついてしまったのか, 残念なことであるが, ようやく見直され, 熟成された製品が出回り出したことは慶びにたえない。この一文からその理由がさぐれそうな気がする。