著者
吉川 祐子
出版者
国学院大学
巻号頁・発行日
2003

博士論文

1 0 0 0 OA 主体と環世界

著者
中島 秀之
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第26回 (2012)
巻号頁・発行日
pp.3E2OS169, 2012 (Released:2018-07-30)

知は環境との相互作用の上に成立しており,その相互作用こそが身体性だ.いや,そもそもこの主体と環境という分離がいけない.「境」などどこにも存在していないのだから.実は,この考え方は古来より様々な分野において異なる言葉で表現され,繰り返し主張されて来た.本発表ではそれらを概観し,知の本質に近づきたい.
著者
木澤 敏毅 加藤 辰輔 重富 浩子 田中 藤樹 飯田 一樹 永井 和重 五十嵐 敬太 山本 雅樹 畠山 直樹 鈴木 信寛 堤 裕幸
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.150-155, 2012 (Released:2012-04-28)
参考文献数
13

約6カ月間にわたり移動性関節痛・骨痛,皮膚紅斑を呈し,血液検査ではCRP,赤沈値の持続的な上昇,軽度の貧血を認めた1女児例を経験した.当初は若年性特発性関節炎,慢性再発性多発骨髄炎を疑ったが,約6カ月後にLDH 573 U/mLと上昇し,また末梢血中に芽球が出現したため骨髄穿刺を行い急性リンパ性白血病と診断した.骨痛,関節痛を主訴とする慢性炎症性疾患には感染性骨髄炎,リウマチ性疾患,血液・悪性腫瘍,骨の自己炎症症候群(とくに慢性再発性多発骨髄炎)などが鑑別に挙げられるが,炎症所見の他には血液検査上の異常所見に乏しく,画像検査によっても一般小児科医にとって,診断の確定が困難な例が存在する.とくに小児白血病においては,画像検査を行い,特異な所見の検討を行った報告は少なく,また非特異的な画像所見を呈することも多く,鑑別に苦慮した.しかし今回の症例を通じて,小児放射線専門医によれば,早期の画像から白血病特有の所見が読み取れるとされ,画像を専門的に読影することが重要と思われた.また,小児の画像検査の蓄積により骨痛,関節痛を伴う急性リンパ性白血病の病態解明や早期診断につながることが期待された.
著者
殿山 希 ジュアンド 康子 成島 朋美
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.137-146, 2013-02-28 (Released:2013-10-23)
参考文献数
3
被引用文献数
1

2012年3月19∼28日、フランスに滞在して現地でスパセラピーを視察する機会を得た。  SPAセラピーとは、「水による健康法」の意味で、温泉水を用いる温泉療法le thermalisme、海水を用いる海洋療法la thalassothérapie、水を用いる水治療法la balnéothérapieを指し、フランス自然療法のひとつである。  フランスには、89ヵ所の温泉地がある。18日間(日曜を除く3週間)の温泉地滞在での温泉水を用いた治療である温泉療法に国の健康保険が適応となる。一方、海洋療法は、現在はリラクセーションとして扱われている。  温泉療法と海洋療法では、ジェットバス入浴、シャワーマッサージ(シャワー圧注)、マッサージ、プールでの運動法、泥療法(泥パックとラッピング)など同様の施術を行うが、使用している水(温泉水·海水)、目的(病気の治療·ウェルビーイング)、対象(患者·一般健康者)、施術を行う者(医療マッサージの免許を持つ人·エステティシャンや水治療法士)が異なる。また、温泉療法センターにおいても、治療部門とリラクセーションスパでは、同様の違いがあった。  フランスでは、マッサージとは医療マッサージを指し、masseur-kinésithérapeuteの国家資格を持つ人が行い、国の健康保険の適応となる。病院や温泉療法センターで働き、また、開業権も持つ。  一方、ウェルビーイングを目的とした施術は法的規制を受けず、医療的目的で行われるmassageとは区別されており、エステティシャンの資格を持つ人が主に行っていた。
著者
坂上 貴洋
出版者
物性若手夏の学校準備局
雑誌
物性若手夏の学校テキスト 第67回物性若手夏の学校 (ISSN:27582159)
巻号頁・発行日
pp.293-303, 2023 (Released:2023-02-07)

細胞内での DNA、クロマチンの振る舞いについて、物理学の視点から講義する。生物の遺伝情報は塩基配列という形で DNAに蓄えられており、細胞内における DNAやクロマチン (DNA とタンパク質の巨大な複合体) の動態は遺伝子発現と密接に関連する。DNAの構造には明確な階層性が見られ、その振る舞いはスケールに依存する。例えば、たんぱく質との相互作用の舞台となる数十塩基対のスケールでは、二重螺旋構造を反映した弾性的な振る舞いを示す。他方、サブミクロン以上のスケールでは、屈曲性に富む高分子の振る舞いを示す。これらのことを念頭におき、DNAやクロマチンの多様な振る舞いと、そこに見られる普遍的な法則について理解を深めることを目指す。
著者
柘植 一希 大中 創太 今井 峻平 元木 悟
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.185-195, 2017 (Released:2017-06-30)
参考文献数
30
被引用文献数
1 2

スイートコーンは,野菜類のなかでも収穫後の品質劣化が早い品目である.品質劣化のうち,子実に凹みや隙間が発生するしなびは,生産から販売までの各現場で問題となっている.また,スイートコーンは,収穫後に苞葉を取り除いた形態や,柄や茎を付けた形態に調製することが可能である.本研究では,スイートコーンのしなびの発生に着目し,しなび評価基準を作成するとともに,3品種を用い,貯蔵形態が貯蔵性に及ぼす影響を明らかにするため,しなび評価,重量減少率および部位別の水分含量の貯蔵形態別の経時変化を温度10°Cおよび湿度70~80%の暗黒条件下で貯蔵し,収穫14日後まで調査した.しなび評価は,いずれの品種も,「むき」が収穫3日後からほかの貯蔵形態に比べて有意に高い点数を示し,「むき」のしなびは,ほかの貯蔵形態に比べて早期に発生することが明らかになった.「むき」の重量減少率は,‘ゴールドラッシュ’ では収穫3日後から, ‘味来390’ では収穫10日後から「慣行」に比べて有意に高い値または傾向を示した.「むき」の子実の水分含量は,いずれの品種も重量減少率とほぼ同じ収穫後日数から,「慣行」に比べて有意に低い値を示した.「むき」の穂全体の水分含量の減少率は,いずれの品種も,「慣行」に比べて高い傾向であったことから,苞葉を取り除くことにより,穂全体の水分が著しく消耗するものと考えられた.播種時期による比較では,いずれの播種時期および品種においても,「むき」はしなびが収穫3日後以内に発生したが,その要因と考える重量減少率および子実の水分含量の影響は,播種時期および品種によって異なった.以上の結果,しなびのおもな要因は,子実からの水分の消耗と考えられるが,今後はさらに品種数を増やし,子実の硬さや呼吸量,炭水化物含量の消長などを調査することにより,しなびの発生に影響を及ぼす要因をさらに詳しく検討する必要がある.
著者
楠 恒輝 加藤 純 佐藤 充
雑誌
コンピュータシステム・シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2022, pp.56-62, 2022-11-28

近年,大規模計算の需要の高まりとともに,HPC(High Performance Computing)とクラウドが融合した HPC クラウドが注目されている.HPC クラウドでは,通常のクラウドのインフラとは別に HPC クラウド専用のインフラを構築・運用しているのが現状であり,通常のクラウドのインフラで HPC アプリケーションを実行できれば,インフラのTCO(Total Cost of Ownership)を最適化できる.本稿では,インフラの共有化を目指して,HPC に特有である OS がアプリケーションの性能低下を引き起こす OS ノイズの影響を定量評価する.OS ノイズのうち,クラウド環境に特有である仮想化と HPC アプリケーションで頻繁に使用され他テナントに影響を与えやすい通信処理・ファイル I/O による Write back 処理の 3 点に着目して評価する.HPC クラウドでよく使われるアプリケーションを用いた評価で,Kubernetes 環境の仮想化により 1% 未満,他テナントの Write back 処理,通信処理によりそれぞれ最大 7%,22% 性能が低下することを示した.これにより,HPC クラウドの基盤として Kubernetes が利用可能であることと,通信処理と Write back 処理による OS ノイズが我々の目指すインフラ共有化の課題であることを示した.
著者
玉木 彰 大島 洋平 解良 武士
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.DcOF1088, 2011 (Released:2011-05-26)

【目的】呼吸理学療法では,胸郭柔軟性の改善を目的に,胸郭伸張法,肋骨の捻転,胸郭の捻転,シルベスター法などの徒手的な胸郭可動域練習を実施している。これらの治療対象は呼吸器疾患のみならず,神経筋疾患や脳血管障害患者など幅広く,呼吸理学療法におけるコンディショニングの一つとしてプログラムに組み込まれることが多い。ところで,これらの胸郭可動域練習によって期待できる治療効果としては,胸郭柔軟性の改善だけでなく,換気量の増大,胸郭周囲筋の筋緊張抑制,リラクセーションなどが挙げられているが,これらの効果を裏付ける根拠となるデータは殆どないのが現状である。そこで本研究では,徒手的な胸郭可動域練習の効果を明らかにする目的で,治療前後における肺・胸郭のコンプライアンスや呼吸運動出力などを分析し,胸郭可動域練習の生理学的意義について検討した。 【方法】対象は健常な成人男性13名とした。年齢は22.1±2.8歳,身長は176.1±5.4cm,体重は66.5±9.7kgであった。各対象者に対し,初めにスパイロメーター(ミナト医科学社製AS-407)を用いて肺活量(VC)を測定した。測定は3回行い最大値を採用した。次に背臥位となり安静時の一回換気量,呼吸数などの換気パラメーターおよび,呼吸運動出力の指標として気道閉塞圧(P0.1)を測定した。方法は気道閉塞装置(Inflatable Balloon-Type™ Inspiratory Occlusion)に流量計とマスクを直列に接続し,対象者の口から息が漏れないよう,測定担当者が固定した。さらに最大吸気位からゆっくり力を抜いて段階的に息を吐かせ,各肺気量位における肺容量と気道内圧の関係から圧量曲線を求め,肺・胸郭のコンプライアンスを測定した。これらの測定を以下に示す胸郭可動域練習の治療前後で同様の手順で実施した。 治療として実施した胸郭可動域練習は,全て背臥位における徒手胸郭伸張法,肋骨の捻転,胸郭の捻転の3種類とした。手技方法は,「呼吸理学療法標準手技(2008)」に掲載されている方法に準じて両側の胸郭に対し実施した。治療時間は実際の臨床を想定し,各手技の実施時間を約2分間,合計約6分間とした。統計解析は,治療前後における各測定項目について,対応のあるt検定を実施し,有意水準は5%未満とした。【説明と同意】全ての被験者には,本研究の主旨を口頭および書面で説明し,同意を得た上で測定を実施した。【結果】肺活量は治療前後でそれぞれ,4.98±0.57L,5.01±0.61Lと有意な増加は認められず,また圧量曲線から求めた肺・胸郭のコンプライアンスは治療前後でそれぞれ,5.22±1.59L/cmH2O,5.65±1.86 L/cmH2Oと有意な改善は認められなかった。一方,安静時のおける一回換気量も治療前後で変化が認められなかったにも関わらず,呼吸運動出力を示すP0.1(1.81±0.45cmH2O,1.18±0.45cmH2O)や呼吸数(14.21±4.33回/分,12.76±3.59回/分),吸気時間(1.96±0.54秒,2.64±0.84秒),呼気時間(2.32±0.55秒,2.84±0.78秒),吸気呼気時間比(0.85±0.11,0.93±0.13)には治療前後で有意な改善が認められた。【考察】本研究では,呼吸理学療法におけるコンディショニングとして実施されている胸郭可動域練習の生理学的意義について,呼吸機能や肺のコンプライアンス,呼吸運動出力の面から検討した。その結果,肺活量や肺のコンプライアンスには治療前後における改善は認められなかったが,P0.1や吸気時間,呼気時間などにおいて有意な改善が認められた。P0.1は中枢からの呼吸運動出力を反映すると考えられ,横隔神経活動との相関があることから,呼吸努力を間接的に捉えることができるため,呼吸困難に関する研究の指標として使われている。したがって,従来は胸郭可動性を改善することで胸郭柔軟性(胸郭コンプライアンス)や肺活量(肺のコンプライアンス)の改善などが得られると考えられてきたが,本研究の結果から,胸郭可動域練習の生理学的意義は呼吸運動出力の低下,すなわち呼吸困難の軽減やリラクセーション効果であることが示唆された。【理学療法学研究としての意義】 本研究の結果は,これまで実施されてきた胸郭可動域練習の効果に関する生理学的意義を明らかにするものであり,今後の呼吸理学療法のエビデンス作りに寄与するものである。
著者
小林 真
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.102-111, 2015 (Released:2015-08-25)
参考文献数
36
被引用文献数
4 2

発達障害のある青年に,様々な精神疾患や行動障害などの2次障害が発症することが知られている。この展望ではまず,ASD者やADHD者に2次障害が発症するメカニズムを解明する必要性があることを訴えた。次に,青年に対する高等学校や高等教育機関での支援の実態を紹介した。高等学校では学校間に支援体制の差があり,高等教育機関では事例や小集団での支援の実践研究が始まったばかりであることを紹介した。最後に今後の研究課題として,本人の自己理解につながるアセスメントツールの開発,仲間による発達障害の理解を促す心理教育プログラムの開発,保護者支援の必要性を提唱した。
著者
中野 勇治 朝倉 光司
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.83, no.9, pp.1429-1434, 1990-09-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
18
被引用文献数
2 1

Total nasal resistance measurements in 40 patients with obstructive sleep apnea syndrome (OSA) and 31 non-snorers were performed.Active anterior rhinomanometry was performed with a Nippon Kohden MPR-2100 rhinomanometer to measure inspiratory and expiratory total nasal resistance in both the upright and the supine positions.Nasal resistance values of each nostril were measured at a fixed pressure gradient sample point of 1.0cm H2O. Total nasal resistance values were calculated by a formula.Of the 40 OSA patients 24 were treated surgically, two with tonsillectomy, one with uvuloplasty, and 21 with uvulopalatopharyngoplasty (UPPP).The mean total nasal resistance values were compared between the 40 OSA patients and the 31 non-snorers, and before and two months after operation in 24 OSA patients treated surgically.The mean expiratory and inspiratory total nasal resistance values of the 40 OSA patients were significantly higher than those of the 31 non-snorers in both the upright and the supine positions.There was no correlation between the apnea index and the nasal resistance values in the 40 OSA patients.In the 24 OSA patients treated surgically there was no significant difference in nasal resistance before and two months after the operation.
著者
臼井 信郎
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.357-365, 1981 (Released:2011-11-04)
参考文献数
6

A number of procedures are available for objective evaluation of nasal passage. Our knowledge is still limited, however, with respect to the transition of ventilation from nasal to mouth breathing caused by increasing nasal obstruction.We selected seven patients who had to breathe through the mouth besides the nose in unilateral nasal breathing because of severe nasal obstruction, measured nasal resistance, total and unilateral (right, left), as well as pulmonary resistance in nasal and mouth breathing among them, and analyzed the obtained data with Rohrer's formula.The results were as follows:1) The patient breathed through the nose when nasal resistance was equal to pulmonary resistance consistent with mouth breathing.2) The patient complained of a suffocating sensation when unilateral nasal resistance exceeded pulmonary resistance consistent with bilateral nasal breathing, and began to breathe through the mouth.3) In concomitant mouth breathing initiated to remove the suffocating sensation due to unilateral nasal breathing, pulmonary resistance was lower than that in bilateral nasal breathing.4) Pulmonary resistance in simultaneous unilateral nasal and mouth breathings fell to 1.8 times that in mouth breathing.The above findings indicate that the point of transition from nasal to mouth breathing lies where pulmonary resistance in nasal breathing becomes roughly twice as high as nasal resistance in that or pulmonary resistance in mouth breathing.