著者
原 むつ子
出版者
順天堂大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、マスト細胞が“かゆみ"惹起分子の1つであるIL-31を産生し、アトピー性皮膚炎の“かゆみ"症状の発現に関与するのか否かについて検証した。その結果、抗菌ペプチドによる刺激はマスト細胞にIL-31を誘導すること、かゆみ症状がある皮膚炎の病変部位においてマスト細胞がIL-31を産生していることを見出した。これらの知見は、マスト細胞由来のIL-31がかゆみに関与していることを強く示唆した。
著者
大津 宏康 見掛 信一郎 井尻 裕二 坂井 一雄
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
建設マネジメント研究論文集 (ISSN:18848311)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.101-114, 2006-12-05 (Released:2010-06-04)
参考文献数
14

亀裂性岩盤中でのトンネル掘削においては, 断層破砕帯等の不良地山の出現や突発湧水の発生等により, 多大なコストオーバーランおよび, 長期にわたる工期延長を余儀なくされた事例が数多く報告されている. そのため本研究では, 筆者らがこれまでに示してきた地盤統計学を用いて推定する掘削コストに, 破砕帯の出現あるいは突発湧水等の発生に対する対策工の施工に要するコストを加えた建設コストを推定する手法を提案することを目的とする. 建設コスト評価手法においては, 金融工学分野で用いられるリスクという概念を導入し, リスクカーブや, バリューアットリスクといった評価手法を用いる. 具体的には, 健岩部については岩盤等級分類に基づいて, 支保工を選択し掘削コストを算出する手法をとる. 対策工の施工を要する破砕帯の出現あるいは突発湧水等が発生する可能性の評価については, 不連続性亀裂岩盤における地下水解析に用いられる亀裂ネットワークモデルを適用する. さらに建設コスト評価手法を, 実際の岩盤データを用いて検証し, 掘削コストおよび対策工の施工コストからなるトンネル建設コストの評価結果について示した.
著者
谷口(藤本) 麻起子 金綱 知征 タニグチ(フジモト) マキコ カネツナ トモユキ Makiko Taniguchi(Fujimoto) Tomoyuki Kanetsuna
雑誌
聖泉論叢
巻号頁・発行日
no.20, pp.1-10, 2013

関西圏私立四年制大学在籍の学生187名を対象とした『大学において「心理学」を学ぶことの期待』に関する質問紙調査,及び同20名を対象とした『大学の専攻動機と,その変化過程』に関する半構造化面接調査を実施した.心理学系学生は非心理学系学生に比べて,資格取得を心理学に期待する傾向や,他者の問題解決のための能力獲得を期待する傾向が示されたことから,心理学を学ぶことで臨床心理士をはじめとする対人援助職を志している可能性が推測された.一方面接調査において,「内的なもののため」という動機が心理学系学生にのみみられたことに加えて,「仕事のため」,「適性のため」という動機も,他者理解や他者援助が主軸として置かれていたわけではないことから,動機の側面からみた心理学への期待は他者理解・他者援助よりもむしろ,自己理解・自己援助のためといえた.考察では,これらの質問紙調査と面接調査の結果の矛盾について検討した.
著者
児玉 成未 西河 正行 古田 雅明 齊藤 圭 中村 純子
出版者
大妻女子大学人間生活文化研究所
雑誌
人間生活文化研究 (ISSN:21871930)
巻号頁・発行日
vol.2016, no.26, pp.98-102, 2016-01-01 (Released:2020-03-18)
参考文献数
7

近年,人の心に関わる臨床心理士は医療・福祉・教育・司法・産業など様々な現場において幅広く活躍している.本研究では臨床心理士訓練途中である大学院生と大学院を修了して数年の臨床経験を経たカウンセラーを対象とし,カウンセリング場面における初心者カウンセラーの特徴を抽出し,それらがどのように作用しているのかを検討した.そして大学院を修了したカウンセラーの特徴を抽出し,初心者カウンセラーとの違いを探索的に検討し,それらの違いを明らかにすることで,臨床心理士養成教育へ提言することを目的とした.その結果,大学院生はクライエントの問題を十分に理解していない,うまく対応できていないと感じていた.また,「自分がカウンセラーとして技量を試されているようなプレッシャー」「中断の恐怖」を感じていた.そして,「今後カウンセラーとして働いていく上で適性が脅かされる不安」が明らかとなり,クライエント,指導教員の期待に応えていない葛藤の背景に,より根本的な適性不安があることが示唆された.しかし,大学院を修了したカウンセラーには大学院生に見られたような特徴は見られなかった.これらのことから,大学院生には「誰に何を期待され,自分自身は何を期待しているのかを考えさせる機会を持たせる」などの「型」への固執を引き起こす要因への配慮なり対策が講じられなければ根本的な解決にはならないことが示唆された.
著者
梅崎 修
出版者
法政大学キャリアデザイン学部
雑誌
法政大学キャリアデザイン学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Lifelong Learning and Career Studies (ISSN:13493043)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.523-549, 2012-03

This paper is an oral history of Mr. Yoritomo, who works in the front lines of a club which provides male companions for women, and is a dynamic entrepreneur now. The advantage of this oral history is that an internal person, in general, speaks about a host’s unexplored work. He describes the difficulty in communication and the skills which solve this difficulty through the experience of host business in this oral history. His career talk will be useful to the hearing investigators, the students who decide for their career and the workers in service trade.
著者
武山 泰 嶋田 洋一 福田 正
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1990, no.420, pp.135-141, 1990-08-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
7
被引用文献数
13 9

The object of this study is to develop an evaluation system for managing asphalt pavements based on Markov chain model. Deterioration process, reliability, effects of rehabilitation, and steady state probability of asphalt pavements can be evaluated by this system. In this paper, the Markov chain model methodology is explained, and the application of this system to actual asphalt pavements in Tohdku district is described. As the results, transition matrices for asphalt pavement performance are obtained, and the effects of rehabilitation are estimated quantitatively by this system.
著者
熊谷 圭二郎 河村 茂雄
出版者
日本学級経営心理学会
雑誌
学級経営心理学研究 (ISSN:24349062)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.64-73, 2015 (Released:2021-02-09)

本事例は,無気力で不登校傾向を示す男子高校生に対して教育相談担当として関わり,援助を行った事例である。この男子生徒が無気力に振る舞うのは,意欲の低下という原因だけではなく,そうすることで他者との関わりによる心理的傷つきを防衛するという目的と,無気力に振る舞うことで母親からの管理・統制に抵抗し,自己決定感を得ようとする目的があることが予想された。そこで報告者は勇気づけと学校行事を活用することで,援助を行った。その結果,リレーションの形成,自分の行動の目的についての洞察と自己受容,行事への参加・貢献という流れを経てクラスへの所属感を高め,少しずつ学校生活に対する意欲を取り戻していった。このことから防衛と力の誇示を目的として無気力に振る舞う生徒に対する援助として斜めの関係を意識しながら,今できていることを指摘し,勇気づけることは有効な方法であることが示された。また,学校行事への参加・貢献は集団から「受容されている・受け入れられている」「必要とされている・役に立っている」という2つの感覚をもたらし,所属感を高めたことが示された。以上から本事例のような無気力を示す生徒に対する勇気づけと学校行事の活用は,効果的な援助方法の一つであると考える。
著者
草野 篤子 中西 央 小野瀬 裕子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.5-14, 2000-01-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
15

日本国憲法第3章人権条項のうち, 「男女平等」と「教育の機会の平等」を中心としたベアテ草案作成の背景を考察し, ベアテ草案の先進性と限界を見いだした.その結果を以下にまとめる.(1) ベアテ草案作成の状況ベアテは, 語学力を駆使し, 諸外国憲法を参考に引用しながら, 女性の権利, 教育の平等, 労働者の権利等, 「女性と子どもが幸せになるため」の条文を作成した.(2) ベアテの経歴と起草条項の淵源ベアテが起草した, 民主的な近代家族の生成に寄与した女性の権利保障と教育の自由が明文化された条文の淵源として, (1) 母親からの影響, (2) 10年問の在日経験, (3) 米国ミルズ大学での教育, (4) 被抑圧民族であるユダヤ人として受けた差別, (5) 被抑圧ジェンダーである女性として受けた差別の5点を見いだせた.ベアテはこの時弱冠22歳であったが, さまざまな社会や文化に対してグローバルな視野を持ち, 博識であった.(3) 憲法研究会草案との対比日本の民間草案は約12あったが, 国民に目を向けていち早く発表された憲法研究会草案は注目に値する.新たに規定されるべき国民の権利義務として, 「言論学術芸術の自由」「労働の義務」「労働に対する報酬の権利」「休息権」「老年疾病の際の生活保障」「男女平等の権利」「民族人種差別の禁止」をあげている.模範とした諸外国憲法は, 憲法研究会草案を知らないベアテが模範にした憲法と同じであった.ベアテと憲法研究会が参考にした憲法の条文を表1に示した.ベアテ草案と憲法研究会との条文の共通性を表2に示した.憲法研究会草案はGHQ上級職員から高く評価され, その意識の中には取り入れられていたと考えられた.(4) ベアテ草案の先進性および限界ベアテ草案 (GHQ第一次案) の先進的な部分と限界の双方の指摘を試みた.先進的部分として3点あげることができた.第一に, 家庭における男女の平等を規定した第18条, 長子相続の廃止を規定した第20条では, 「家」制度を廃止するだけでなく, 民主的な近代家族の実現を図るために, 家族という私的領域におよんで法的規定を行ったこと.第二に, マッカーサー草案としては最終的に削除されたが, 第19条の母性保護と非嫡出子差別の禁止, 第26条の男女同一価値労働同一賃金は, 後に法制化の課題として残ったこと.第三に, 第21条, 第24条, 第25条で「児童」の権利をとりあげ, この時代に子どもを「保護の客体」ではなく「権利の主体者」としてとらえた起草を行っていることである.次にベアテの限界として2点指摘できた.第一に, 第25条に高齢年金の保障を掲げているものの, ベアテ自身も指摘しているように, 老人社会福祉に関する条項がないこと.第二に, 住居の選択はあるものの, 居住権等の居住の権利に関する条項がないことをあげることができた.
著者
MASUNAGA Ryusuke MIYAKAWA Tomoki KAWASAKI Takao YASHIRO Hisashi
出版者
公益社団法人 日本気象学会
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
pp.2023-010, (Released:2023-02-07)

High-resolution atmosphere–ocean coupled models are the primary tool for sub-seasonal to seasonal-scale (S2S) prediction. Seasonal-scale sea surface temperature (SST) drift is, however, inevitable because of the imbalance between the model components, which may deteriorate the prediction skill. Here, we examine the performance of a simple flux adjustment method specifically designed to suppress seasonal-scale SST drift through case studies. The Nonhydrostatic Icosahedral Atmospheric Model (NICAM)–Center for Climate System Research Ocean Component Model (COCO) coupled weather/climate model, named as NICOCO, was employed for wintertime 40-day integrations with a horizontal resolution of 14 km for the atmosphere and 0.25° for the ocean components. The coupled model with no flux adjustment suffers SST drift of typically -1.5–2°C in 40 days over the tropical, subtropical, and Antarctic regions. It is found that simple flux adjustment sufficiently suppressed the SST drift. Nevertheless, the lead-lag correlation analysis suggests that air–sea interactions are likely to be appropriately represented under flux adjustment. Thus, high-resolution coupled models with flux adjustment can substantially improve S2S prediction.
著者
松原 伸一
出版者
滋賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究は,学習者の自己教育力を高めるための自己意識形成を支援するシステムの開発に関するものである。本研究の成果は,【encircled 1】授業展開の学習モデルの提案とその支援システムに関するもの,【encircled 2】自己教育力を高めるための分析視点の育成に特化した二値応答接近法の開発に関するもの,【encircled 3】自己教育力を高めるための状況下における質問とその応答に関するものに大別される。【encircled 1】は主に初年度に行われたもので,抽象的で曖昧な自己の持つ意識・概念を分かりやすく表現し,思考活動を活性化させることにより,問題を自ら意識させ,反省を促して,行動変容を自然な形で起こさせるようなソフトな学習(変容)モデルを前提としている。このような視点に立ち授業展開の学習モデル構築のための支援システムとしてハイパーテキストファイル生成システム(HTFGS)を開発した。【encircled 2】は第2年度において開発されたもので,学習環境および支援環境を検討し学習者の思考活動をさらに支援することを目的に,連想の考え方を取り入れ分析的視点の育成に特化した手法であり,これを二値応答接近法(BRAM:Binary Response Approaching Method)と名づけた。この方法は,ある刺激語を学習者に与えて連想させることにより,表出された語(連想語)を対象として,それらを分析するための思考活動を支援する方法である。第3年度においては,本手法を充実させる上で分析手法の拡張・充実が急務であったので,これを整理し分析手法を開発した。ここで開発された二値応答接近法の分析体系は,項目分析,関連分析,応答パターン分析(列パターン分析,行パターン分析,マトリックスパターン分析,2次元ソート分析,応答距離分析)および理由分析である。【encircled 3】については,第3年度に成果を得たもので,情報教育または情報技術教育において学習者が発する質問を状況設定の条件のもとに,被験者による応答実験を行ったものである。

1 0 0 0 うそり

著者
下北史談会 [編]
出版者
下北史談会
巻号頁・発行日
1965