著者
井口 貴志 高藤 大介 田岡 智志 渡邉 敏正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CAS, 回路とシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.387, pp.41-46, 2005-11-03

辺重み付き有向グラフをネットワークと呼び, 辺重みの増減という辺操作を考える.なお辺重みを無限から有限に減少(それぞれ, 有限から無限に増加)させることは, 辺の追加(辺の削除)に対応する.動的最短経路問題(DSPPと略記)は次のように定義される: "任意のネットワーク, ソースと呼ばれる指定頂点s, 任意の辺操作系列が与えられたとき, 各辺操作の実行後のネットワークにおける最短経路木を再構成せよ".DSPPの応用として, OSPFやIS-ISのようなリンクステート・アルゴリズムに基づいたルーティングプロトコルにおいて, DSPPを効率良く解くことが必要となる.大規模なネットワークと非常に長い辺操作系列に対する実験結果では, Narvaez(2000年)らがで提案したNST(BF)が, 我々が試した現在の10種類の解法の中で最も高速に解を求めることを示した.また, DSPPを解くには, 静的な解法を繰り返して解くよりも, 動的な解法の方が高速に解を求めることも示した.
著者
坂本 龍哉 多田 昌裕 大村 廉 納谷 太 野間 春生 鳥山 朋二 小暮 潔 佐野 睦夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.45, pp.43-48, 2008-05-15

従来の人物位置推定手法の大半は,(1)観測対象領域内に遮蔽物や仕切りがほとんど存在しない環境,(2)壁などの遮蔽物によって観測対象領域が空間的に完全に分離されている環境,のいずれかを観測対象領域としていた.しかしながら(1),(2)のいずれにも該当しない環境,例えば大型ショッピングモールのように,商品棚や背の低いパーティションといった仕切りは存在するものの,空間的には完全に分離されていない環境(半開放型環境)も少なからず存在する.そこで本研究では,従来考慮されていなかった半開放型環境においても,高い精度で人物位置推定可能な手法を提案する.提案手法は,複数のパーティクルフィルタを取捨選択的に用いることによって,半開放型環境において頻発する人物検知センサの誤反応・検知漏れを逐次検出・修正し,従来手法よりも10%以上高い人物位置推定精度を実現した.
著者
出水 祐樹 佐野 睦夫 西口 敏司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.82, pp.165-170, 2008-08-29

近年,画像処理技術を利用して人間の行動を理解する研究が盛んに行われている.人間の行動を理解することは,人間とコンピュータとの自然なインタラクションを実現するのに必要不可欠である.特に視線は,人間の意図や注意を認識するのに大きな役割を果たしている.視線を検出することができれば,様々なインターフェースに適用できる.例えば,視線情報を利用して人間同士のコミュニケーションを促すエージェントなどが挙げられる.本稿では,AAM (Active Appearance Model) とパーティクルフィルタを用いたノイズにロバストな視線追跡方法について述べる.まず始めに AAM を用いて顔特徴点の抽出を行う.顔特徴点の情報をもとに顔向きの推定を行い,どの方向を見ているのかを検出する.次に AAM で求めた目領域に対して,パーティクルフィルタを用いて視線追跡を行った結果を示す.Recently, by using image processing technology, many methods to understand a human behavior have been proposed. It is essential to understand a human behavior to realize natural interaction between human and computer. Gaze-movement plays a major role to recognize human's intention and attention. Detecting the gaze-movement can make us develop various man-machine interfaces, such as communication agents. This paper proposes gaze tracking method using AAM and Particle Filter. At first, this method extracts the face feature points using AAM. Then it estimates a face direction based on information of the face feature points and exerts gaze tracking to eyes region of the estimated direction by Particle Filter.
著者
阿部 顕治 礒邉 顕生 山根 洋右 小笹 正三郎 吉富 裕之 山田 幸子
出版者
島根大学
雑誌
島根医科大学紀要 (ISSN:03879097)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.45-53, 1991-12

Four cases of cutaneous gnathostomiasis successively occurred in 1989 were reported with references to the loaches as the source of infection. The patients complained of migratory cutaneous swellings of their faces or the creeping eruption of the body after they took raw loaches at the Japanese restaurant in Tamayu-cho. They were diagnosed as cutaneous gnathostomiasis by their clinical course and immunological tests. Furthermore, loaches obtained from the Japanese restaurant were investigated, which were imported from China. We suspected Gnathostoma hispidum as the infection source, but no Gnathostoma hispidum were found in loaches except many worms of Nematodes, Pallisentis spp.
著者
井倉 法久 力宗 幸男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OIS, オフィスインフォメーションシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.312, pp.1-6, 2004-09-10
被引用文献数
1

国際標準のDAISY仕様のディジタル録音図書は音声だけでなく、文字・画像を利用できるため、障害の有無にかかわらず子供からお年寄りまで利用できるユニバーサル図書である。しかし、その普及は余り進んでいるとは言えず、その原因として、特に、あらかじめ録音した音声とそれに対応する文章との同期を取る作業の煩雑さや面倒さがあげられる。そこで、本稿では、録音された音声データの音声区間を検知、分割後、大語彙連続音声認識システム「Julius」を利用して、その対応関係を調査し、音声と文章との同期を自動的に取ることが出来るツールを構築した。
著者
児島 清秀
出版者
広島大学
雑誌
Memoirs of the Faculty of Integrated Arts and Sciences, Hiroshima University. IV, Science reports : studies of fundamental and environmental sciences (ISSN:13408364)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.193-195, 1993-12-31

果実は収穫後も成熟過程を継続し,貯蔵物質の加水分解や硬さ・色素・香りなどの変化が起こり,これらの現象を総称して追熟とよんでいる。果実追熟中の軟化は,果実の収穫後の保存期間を決める要因であるため,果樹園芸上重要な意義があり,メカニズムの解明が期待されている。さらに,果実の硬さは,果実の品質の重要な因子でもあるので古くから様々の方法で測定されてきたが,多くの測定法の原理は,一定の深さにプランジャーを押し込むのに要する力で測定する方法であり,物理的モデルに基づく客観的で統一された方法ではない。一方,硬さを粘弾性として解析するレオロジー的測定法として応力緩和法があり,1970年に山本らによって植物に適用された。この測定法は,植物の組織の力学的構造のモデルである粘弾性モデルに基づいた計算式でシュミレーションしてパラメーターを得る。従って,得られたパラメーターは,押し込み法のような単なる硬さの示標ではなく,植物組織の力学的構造の変化を示唆する。しかし,この応力緩和法は植物の繊維組織の両端をクランプではさんで引っ張って測定するため,柔らかい果実を測定するのは困難であった。また,硬さに関係すると考えられる果実の成分の追熟中の化学的変化としては,細胞壁成分のペクチン多糖類が分解して低分子化することがトマト,メロン,イチゴ等多くの果実で報告されており,他の細胞壁成分のヘミセルロースとセルロースに関しても少しは報告されており,これら細胞壁成分の分解が果実軟化の主な原因であると考えられてきた。しかし,果実の貯蔵物質としてデンプンを多く含むような果実のバナナでは,追熟開始後数日でデンプンがほぼ完全に糖化し,ほぼ時期を同じくして果実が軟化するので,デンプンも果実軟化に関係すると示唆されてきた。しかし,デンプンが多いバナナ果肉の細胞壁の分析は困難で信頼できる報告はない。本研究では,この軟化について物理的測定と同時に化学的測定を行い,デンプンを多く含むような果実の追熟中の軟化のしくみを解明した。一番目に応力緩和法を利用して果実の硬さの測定法を開発した。ここでは,すでに追熟中の軟化に関係する成分や酵素の変動が詳しく調べられ,硬さの測定だけで化学的変化との関連が調べられるトマトを材料にした。二番目に追熟中のバナナ果実の硬さの測定と同時にデンプンと細胞壁成分の変化を分析し,バナナ果実追熟中の軟化のしくみを検討し,下記のような研究成果が得られた。植物の細胞壁の物理的性質を測定するために使用されていた応力緩和法を初めて果実軟化の測定に応用し,簡便な硬度測定法を開発した。装置は,培養細胞に力を与えるために開発されたひずみ計(Vitrodyne Liveco社製)に,プローブとしてみがいた釘(直径2.1mm)を7mmの長さに切断し,センサーに接続しているアームに固定した。材料としてトマトを用い,果実の熟度の進行に伴う,極めて狭い範囲の組織の軟化を定量的に表した。方法は厚さ7-8mmの切片を水平なステージにのせ,プローブを一定速度で降下させた。ひずみ計の応力が約5gに達したときを0秒として,降下を止めて組織の応力の減少(緩和)を5秒間隔で60秒まで計測した。得られた応力緩和のデータを山本らの応力緩和の式にパーソナルコンピューターを使用し最小二乗法でシュミレートして3個の応力緩和パラメター,最小緩和時間(T0)・緩和速度(R)・最大緩和時間(Tm)を得た。なおこの方法で得られたパラメーター変化は従来知られていたトマト果実のポリガラクツロナーゼ活性の変化と一致し,物理的測定法と生化学的変化が一致することを見出した。このことは本測定法が軟化度の測定に有効であることを示している。さらに,このひずみ計を使用した果実軟化測定法を改良した。応力緩和法は,一定の荷重をかけてその後の応力の減少を測定するものであるが,軟化の程度が大きいと変位,すなわちプローブの貫入が大きくなる。応力緩和法では変位が一定である方がより正確なパラメーターが得られる。従ってプローブのつきさす深さを一定に保つことができるレオメーター(山電製)を用い, 円錐型プローブを接続した。追熟中の全ての段階で応力緩和を測定できる最適な条件を検討するため,追熟開始前(緑色)と開始後(黄色)のバナナ[Musa(AAA group, Cavendish subgroup)'Giant Cavendish']を用い,果肉の横断切片上の子室の中央部を測定点とした。プローブをつきさす深さは0.2,0.4,0.6mm,つきさす速度は0.05,0.1,0.5,1.0mm/秒を設定した。これらの設定条件で円錐型プローブをつきさし応力緩和データを得て, 3つの応力緩和パラメーターを計算した。これらのパラメーターはつきさす深さと速度で変化し,緑色のバナナではつきさす速度を増していくとT0,Tmともに低下する傾向が,また速度が0.5mm/秒以上でほぼ安定したパラメーターが得られた。
著者
佐藤 淳
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.115, pp.61-68, 2006-11-09
被引用文献数
2

プロジェクタの小型化高性能化に伴い,プロジェクタカメラを用いた新たなシステム実現への期待が高まりつつある.特に近年では,複数のプロジェクタとカメラを用いたマルチプロジェクタカメラや,ダイナミックに位置や姿勢を変えるプロジェクタカメラに関する研究開発などが進展しつつある.本発表では,このような多数のプロジェクタとカメラが存在する場合に現れる特有な多視点幾何を明らかにすると共に,このようなプロジェクタカメラを使った拡張現実感の例などを示す.特に,一見,邪魔物と見られがちなプロジェクタによる影が,プロジェクタカメラシステムの校正や3次元復元などを行う上で非常に重要な役割を果たすことや,プロジェクタカメラをモバイル化したモバイルプロジェクタカメラによる新たなプロジェクタカメラの可能性などに関して述べる.The projector camera system has recently been applied for various new multimedia systems. In particular, multiple camera projector systems and dynamic camera projector systems have been studied recently. In this paper, we show the multiple view geometry for cameras and multiple projectors, and show some applications on augmented reality systems. In particular, we show that shadows made by projector light provide us very important information for calibrating projector camera systems and for reconstructing the 3D structure of the scene. We also show mobile projector camera systems, which can be applied for new multimedia systems.
著者
冨士 仁 古山 恒夫 菅野 文友
出版者
一般社団法人日本品質管理学会
雑誌
品質 (ISSN:03868230)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.91-101, 1996-07-15

ソフトウェアのプロジェクトの見積りや管理のために,これまでに様々な特性を測定する試みがなされてきた.プログラムの複雑さの尺度もその一つであり,早期にプログラムの品質を予測する有力な手段となっている.従来は,複雑さの尺度を単独または複雑さの特質ごとに使用している研究がほとんどであり,複合的な尺度は花田らの研究などごく少数しか提案されていなかった.本論文では,従来の制御構造などの特質に関するの尺度の他に,新しくプログラミング・スタイルにも着目した.そして,ソフトウェアの信頼性の指標として,プログラムの欠陥の密度と複雑さの尺度との関係を分析した.すなわち,欠陥の密度と各尺度との相関係数の検定によって,複雑さの尺度が信頼性の指標として有効かどうかを検討した.また有効な尺度について,プログラムの欠陥の密度を少なくするための最適値も検討し,プログラムの作成時およびテスト時の指針として示す.そして,重回帰分析によって有効な尺度を複合化し,プログラム完成時の品質予測を可能にした.
著者
鈴木 仁一 山内 祐一 堀川 正敏
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.17, no.5, pp.292-298, 1977-10-01

β-ブロッカーが循環器系心身症の愁訴改善に有用であるとの報告は1965年にすでになされているが, われわれは, 精神薬理学的実験によって, その作用機序を解明することにした。実験対象は冠不全 5,NCA 5,本態性高血圧症 2,陳旧性心筋梗塞 1 の合計13例で, いずれも発症または経過に心理的要素が重大な影響をもつ心身症例である。これらの患者に, われわれの考案した鏡映描写試験により心理的ストレスを与えると, 動悸, 前胸部不快感などの自覚症状が発生するだけでなく, 血圧の上昇, 心拍数の増加, 心電図上で不整脈, ST-T異常が起こり, しかもその異常は尿中カテコールアミンの排泄増加および血中カテコールアミンの指標としてのFFAの増加と正の相関を示す。そこで鏡映描写試験前にβ-ブロッカーを内服させて前処理をしてみたところ, 自覚症状は発生せず, 血圧上昇, 心拍数増加は推計学的に有意の差で阻止され, 心電図にも異常所見は現われなかった。しかし, 尿中カテコールアミンおよび血中FFAは非処置群と同様に増加していた。以上のことにより, β-ブロッカーは心理的原因によって起こる循環器系異常を, 生体が生理的に反応してくる以前に, β-受容体の段階で阻止できることを明らかにすることができた。
著者
草部 博輝 中森 眞理雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.48, no.15, pp.34-46, 2007-10-15

資源制約付きプロジェクトスケジューリング問題(Resource Constrained Project Scheduling Problem: RCPSP)は,多くの古典的スケジューリング問題の一般化されたモデルである.本稿は,利用可能な再生型資源量の時刻による変化と,各アクティビティが要求する再生型資源量の時間による変化を取り入れた,RCPSP/t モデルに,タイムラグの概念を追加した拡張モデル,RCPSP/t+ モデルを取り扱う.本稿において,我々はRCPSP/t+ モデルの解法として,タブーサーチアルゴリズムを提案し,ILOG CPLEX から得られた最適解と比較することにより,解の精度を評価する.Resource-constrained project-scheduling problem (RCPSP) is a general model of several classical scheduling models. In this paper, we suggest the scheduling model RCPSP/t+, which is added the time windows to the model of RCPSP/t having the changing of limit of renewable resources in project term and of requirement of renewable resources in each activity's processing time. We present a tabu search algorithm for the RCPSP/t+ and evaluate the solution accuracy comparing the oplitmal solution of ILOG CPLEX.