著者
伊藤 泰介
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.131, no.4, pp.701-706, 2021-04-20 (Released:2021-04-21)
参考文献数
22

男性型,および女性型脱毛症の治療の治療は情報が溢れており,医療者も患者も振り回されがちである.しかし科学的根拠の有無という見地に立てば,それら情報整理は意外にもシンプルである.適切な診断のもと,それぞれの治療方法の根拠と有害事象をよく理解した上で選択できるようにまとめられている診療ガイドラインのエッセンスを概説した.
著者
伊藤 久志 谷 晋二
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.105-115, 2011-05-31 (Released:2019-04-06)

本研究は、導尿スキルの習得が困難であった特定不能の広汎性発達障害を合併する二分脊椎症の男児 に対して導尿スキル訓練を実施した事例の報告である。介入を進めるにあたって、まず課題分析を実施 し、導尿スキル訓練時には課題分析表の提示、所要時間のフィードバック、強化価の高い強化子の設定 をすることを母親に提案し、それに基づき母親が導尿スキル訓練を実施した。その結果、対象児は以下 の標的行動を習得することができた。(1)カテーテルを持って、ゼリーをつける、(2)カテーテルを チューブから抜いて、カテーテルを持つ、(3)カテーテルを尿道に入れる、(4)カテーテルを尿道の奥 まで入れる。さらに、学校では、対象児が習得した下位行動以外の部分については教師と看護師の援助 を受けることで、導尿を実行することができるようになった。考察では、「援助付き導尿の確立」と 「合併する障害の特性への配慮」という観点から検討した。
著者
稲吉 直哉 白倉 祥晴
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.H2-166_2, 2019 (Released:2019-08-20)

【はじめに】頸椎症性筋萎縮症(以下Keegan型頚椎症)は上位近位筋の筋力低下を主症候とし、感覚障がいがないか軽微なことが多い。Keegan型頚椎症は自然回復の報告も多いが、高齢になるほど、回復率も下がるとする報告や徒手筋力テスト(以下MMT)2以下では手術の方がよいという報告などがあるが、手術療法、保存療法のどちらが良いか一定の見解は示されていないことが現状である。また保存療法の報告はあるが、運動療法の報告は特に少ない。そこで今回、Keegan型頚椎症に対する運動療法により症状が改善されたので報告する。【症例紹介】84歳代男性。左利き。鍋の焦げを取るためスポンジで強く擦り、翌日より右肩痛と挙上困難感出現。2週間ほど様子を見たが、疼痛は緩和したが右肩挙上困難感が残存し、当院受診。手術の希望はなく、外来リハビリテーション開始した。X線、MRI所見では、C3/4、C4/5、C5/6、C6/7に椎間板の軽度膨隆を認めた。棘上筋の変性は認めたが連続性は保たれていた。神経内科診察により、他の運動ニューロン疾患は否定された。【介入方法】初期理学療法時、主訴は右肩挙上困難のみで疼痛・しびれ・感覚障がいの訴えはなかった。Shoulder36V.1.3:45点、MMT右肩屈曲1、肘屈曲4、ほかの筋群には著明な筋力低下なし。右肩関節可動域(以下ROM)屈曲Active10°、Passive160°、肘屈曲Active・Passiveともに制限なし。頚部のROMは左側屈・左回旋制限が認められた。右肩屈曲動作時には右肩甲帯の挙上が認められ、右僧帽筋上部線維、右肩甲挙筋に圧痛が認められた。また座位姿勢はHead Forward姿位であった。介入当初より右肩屈曲Passive ROM制限予防のため、右肩関節のROM-ex、僧帽筋上部線維、肩甲挙筋に対し、横断伸長法を実施した。右肩三角筋の萎縮を認めたため、三角筋に対し低周波療法(Inter Reha社)を実施した。低周波療法実施肢位は背臥位、redcord(Inter Reha社)を使用し、頸椎はNeutral position位になるよう、頸椎牽引を行い、右上肢は自重を免荷した。低周波が流れるタイミングで自動介助運動を行った。刺激強度は疼痛のなく三角筋の収縮が確認できる強度で5秒間通電し、5秒間休息を1セットとし、20分間実施した。また頚椎のHead Forward姿位改善のため、頚部深部屈筋群のエクササイズを行った。リハビリテーション介入5週目から徐々に右肩関節屈曲可動域Activeが徐々に改善が認められ、介入10週目で右肩関節屈曲可動域Active 90°まで回復。また右肩屈曲90°保持も可能となった。頚部のROMも側屈、回旋ともに左右差はほぼなくなった。この週より自動介助運動の肢位を背臥位から右肩上の側臥位へ変更し、三角筋の収縮が触知できるようになったので低周波療法から中周波療法へと変更した。介入13週目Shoulder36V.1.3 :116点、MMT右肩屈曲3、右肩ROM屈曲Active120°であった。【結論】乾は1)Keegan型頚椎症の予後予測では発症期間が6ヶ月未満、MMT3以上が予後良好であり、また、年齢も高齢になればなるほど予後不良となると報告している。齋藤2)は罹患期間が長く、筋萎縮が顕著であれば筋萎縮から手術により圧迫が解除されても筋が線維化し回復が望めない可能性があると報告した。そのため筋萎縮から線維化を防ぐため低周波・中周波療法を実施した。また、安藤3)は保存的治療・予防には頚椎の良い姿勢を保持することが重要と報告している。今回はHead Forward姿位改善のため、緊張筋である僧帽筋上部線維、肩甲挙筋に対し、筋緊張緩和を行い、頚部深部屈筋群の促通を実施し、良肢位保持へと誘導した。Keegan型頚椎症は筋萎縮から線維化防止と頚椎良肢位保持のため、電気療法と運動療法の併用は検討の余地があると考えられる。【参考文献】1)乾義弘 新原著レビュー:頚椎症性筋萎縮症に対する保存的および手術的治療の臨床成績とその予後予測因子 20122)齋藤貴徳 近位型頚椎症筋萎縮症 20163)安藤哲朗 頚椎症の診療 2012【倫理的配慮,説明と同意】本研究は、当院倫理委員会にて承認を得た。患者にはヘルシンキ宣言に基づいて文書と口頭にて意義、方法、不利益等について説明し同意を得て実施した。
著者
吉高 淳夫 松井 亮治 平嶋 宗
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.1696-1707, 2006-06-15

映画やテレビドラマといったコンテンツにおいて,アクセスの柔軟性・多様性を実現するためには,特定の雰囲気や印象を強調する演出,すなわちコンテンツに埋め込まれた感性情報を検出し,それを反映させることが重要である.様々な演出技法を述べた「映画の文法」では,ズームやドリーなどのカメラワークは,ある場面の雰囲気や印象を強調するための重要な演出手法として位置づけられている.カメラワーク検出に関する先行研究では,映像主体の視覚上の変化という観点ではほぼ同様であるが演出意図が大きく異なる,ズームイン?キャラクタドリー,ズームアウト?プルバック間の弁別ならびにそれらの検出を,動物体の存在を前提として十分な精度で検出することは未解決であるため,カメラワークによる演出を検出できない.本論文では,上記カメラワークを区別して検出することにより,カメラワークによる演出効果により映像に込められた感性情報を抽出する手法を提案する.さらに,動物体存在下で上記カメラワークを検出,弁別し,カメラワークに基づく演出,すなわち感性情報を検出するという目的に対する提案手法の有効性を評価した.
著者
山本 久志 浜田 康平 長塚 豪己
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.218-225, 2009-10-15 (Released:2017-11-01)
参考文献数
16

ある試行列において,同じ結果がk回またはk回以上連続して発生したものをオーダーkの連と呼ぶ.本論文では.s種類の結果を有するn回の試行におけるオーダーkの連の数の確率分布について考える.連を数える方法として4種類のカウント方法が提案されているが,本論文では,オーバーラップを許さない場合(TYPE I)にオーダーkの連の数の確率分布を効率的に計算するための算出方法を提案する.そして,提案した算出方法の効率性の評価のために計算時間オーダーを求め,さらに数値実験により全数列挙法と計算時間の比較を行う.その結果,本論文で提案する算出方法が,特に試行回数nが大きなシステムにおいて効果的である事を示す.
著者
S. Dillon Ripley Bruce M. Beehler
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.165-174, 1989-09-30 (Released:2008-11-10)
参考文献数
28
被引用文献数
1 1

インド産のクビワスナバシリ Jerdon's Courser Rhinoptilus bitorquatus は一時絶滅と考えられていたが(1952~1982),Bhushan(1986)によって再発見された。本種に近縁のアフリカとインドの8種を19の形質(形態特徴と昼夜行性)についてPAUP分岐分析法(相対形質を0と1または2,3と置く)で比較したところ,アフリカ産のウロコクビワスナバシリR.cinctusと近い姉妹種であることが証明された。これは生物地理学的に東アフリカからアラビアを介してインドに連なる乾燥帯があったことを示唆し,このアフリカーインド動物相(Afro-Indian fauna)は他の鳥類約40種や獣類でも立証される(一般にはアジアーインド系の湿性林が重視されるが)。この希種の保護には姉妹種 R.cinctus を人工繁殖させ本種 R.bitorquatus の卵を孵化させる方法をとれば,生息地保護や教育に加えて効果があると思う。
著者
橋本 将人 井ノ上 寛人 佐藤 美恵 郭 素梅 小黒 久史
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 36.39 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.13-16, 2012-10-08 (Released:2017-09-21)
参考文献数
4

カメラワークは映像作品のクオリティに大きく関与する要素の一つである.CG空間上にカメラワークを設定することで映像を作成する場合,映像の作成者にはカメラワークに関する専門家の持つ感性が必要とされる.このような背景から,適切なカメラワークを自動制御する技術に関する研究が進められている.本研究ではCGによる映像の作成に関して,観賞条件に適合したカメラワークを自動的に決定する手段を感性評価に基づき検討してきた.本稿では,感性評価の要因を解明する一つの指標として,観賞時の視線の推移に注目し,視線計測実験を実施した.その結果から,カメラワークが観賞者に与える印象と視線の動きの関係性を探った.

1 0 0 0 笠岡市史

著者
笠岡市史編さん室編
出版者
笠岡市
巻号頁・発行日
1983
著者
本田 元志 廣澤 覚 三村 充 早水 督 北口 紗織 佐藤 哲也
出版者
一般社団法人 日本繊維機械学会
雑誌
Journal of Textile Engineering (ISSN:13468235)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.47-54, 2020-06-15 (Released:2020-09-01)
参考文献数
21
被引用文献数
2

In this paper, we propose a convolutional autoencoder with a new structure for unsupervised learning when the purity of the training data is not guaranteed. This autoencoder has two unique features: the target area is reconstructed from the surrounding areas and the L2 loss is predicted simultaneously. The superiority of this model was verified using SEM images of defective nanofibrous materials by calculating the AUC value. The results of our experiments with the training data contaminated by defective data show that the former feature improves the robustness against contamination of the training data and the latter improves the accuracy. Although this approach did not achieve the highest accuracy, it could reduce the cost of annotation for practical use. Furthermore, we applied our method to images of NISHIJIN textiles and found that it worked well for some types of textiles.