著者
藤井 公一 加瀬 建一
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.333-335, 2020-03-31 (Released:2020-03-31)
参考文献数
4

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺は, 甲状腺機能亢進に伴って低カリウム血症をきたし脱力発作を呈する疾患で, ほとんどが20〜40歳代の男性に発症する。甲状腺機能亢進の原因は, ほとんどがバセドウ病であり, 発症を契機に診断に至ることが多い。発症の誘因としては, 運動, 飲酒や炭水化物の大量摂取があり, 自験例でも, 2例で運動または炭水化物摂取との関連を疑った。甲状腺腫大があることや血液検査でクレアチニンが低値であることが診断の手がかりとなる。 著明な低カリウム血症により致死的不整脈を合併することがあるため, 早期のカリウムの補正が必要である。ただし, 甲状腺中毒性周期性四肢麻痺の低カリウム血症の機序は細胞内移動であり, 補正も速やかに可能となることが多く, 逆に高カリウム血症に至らないよう補正速度に注意を要する。
著者
島本 実
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.53-66, 2001-06-20 (Released:2022-07-30)
参考文献数
21

本論文はファインセラミックス産業を題材に,その発展過程を行為システムの視点から分析するものである.この産業は1981年より技術政策の対象とされ,現在では2兆円産業に迫る成長を遂げた.しかし,その過程を複数主体の行為システムと把握すれば,そこには政策を指標とした複数の企業の資源の集中によって間隙が発生し,その間隙に位置した企業によってこの産業の発展がもたらされたというメカニズムが浮かび上がる.
著者
加藤 昭七郎
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3-4, pp.123-140, 1957-12-25 (Released:2010-03-11)
参考文献数
10

Assuming the fluid motion of vT1°-type (expression (3.1) in §3), we have studied here the time characteristics of self-exciting fluid dynamos. As a result of theoretical calculations, it has been found that three magnetic fields expressed by three surface spherical harmonics Ymn-1, Ymn and Ymn+1((n, m)-harmonics in §3) can coexist independently of other magnetic fields. These three magnetic fields oscillate concurrently in intensity quasi-periodically with time, the frequency being proportional to order m, fluid velocity and depth of the fluid layer. The westward drift of the earth's magnetic field and also the reversal of the magnetic field of the sun may be well explained by the above results. The periodical dynamo presented here may also be appropriate as a model for magnetic variable stars.
著者
横井 喜充 ソコロフ ディミトリ
出版者
Institute of Industrial Science The University of Tokyo
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.11-13, 2018-01-01 (Released:2018-01-30)
参考文献数
11

経路積分法を用いて平均場ダイナモ方程式が考察される.磁場の発展は三次元Wiener ランダム過程として取り扱われ,流体粒子の軌跡の全てにわたってのWiener 積分を実行することで平均磁場の方程式が導かれる.方程式の形式は従来の平均場方程式と同じである.しかし,この方程式は磁場による力を受けた速度場について導かれたものである.その意味で,非線型ダイナモの平均場方程式と言える.
著者
岡 真由美 深井 小久子 木村 久 向野 和雄
出版者
JAPANESE ASSOCIATION OF CERTIFIED ORTHOPTISTS
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.139-144, 1999-07-25 (Released:2009-10-29)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

Intensive orthopticsにより良好な結果を得た陳旧性の後天性眼球運動障害例の治療経過と視能矯正管理の方法について報告した。症例は33歳の男性で、主訴は複視と動揺視である。第4脳室周囲上衣腫の摘出後に眼球運動障害、複視、眼振が出現した。約2年後、当科に入院し40日間視能訓練を施行した。退院後、北里大学病院眼科で眼振に対する治療を開始した。視能訓練の効果は、斜視角の改善率、融像能率、日常生活上の不自由度で判定した。治療前は融像衰弱(融像能率0%)であった。眼位は9Δ内斜位と右眼2Δ上斜位斜視で輻湊不全と眼振を伴っており、核上、核間、核下性眼球運動障害を示した。視能訓練は、Visual orientation trainingとConvergence trainingを行った。訓練8日目には輻湊近点の改善が認められ、融像能率は66%、改善率は82%になった(第I期)。訓練9日目よりFusion lock trainingを行い、訓練40日目に融像能率は78%になった(第II期)。退院後はSG fusion trainingと眼振治療を行った。訓練1年目に動揺視は軽減し、融像能率が100%、改善率が92%になった(第III期)。不自由度は訓練前100点から訓練後22点に回復した。本例において視能訓練が奏効したポイントは、斜視角が小さいこと、融像衰弱であったこと、患者の訓練意欲にあると考えた。
著者
星原 徳子 岡 真由美 河原 正明
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.229-235, 2016 (Released:2017-02-28)
参考文献数
24

【目的】麻痺性斜視における融像の異常な状態(融像状態)別の視能訓練成績を分析し、家庭訓練を中心とした視能訓練方法を検討した。【対象および方法】対象は、視能訓練を施行した麻痺性斜視58例で、年齢は30~87歳であった。融像状態は、潜伏融像、部分融像、狭い融像野に分類した。視能訓練は、衝動性眼球運動訓練、輻湊訓練、fusion lock training、プリズム療法を行った。治癒度は4段階とし、治癒度Ⅰは融像野が30°以上とした。【結果】融像状態は、潜伏融像27例、部分融像27例、狭い融像野14例であった。治癒度Ⅰの獲得が高率であったのは部分融像21例(78%)と狭い融像野11例(79%)であった。潜伏融像は治癒度Ⅰの獲得が低率であった。治癒度Ⅰを獲得できた狭い融像野では、プリズム療法が高率であった。全ての融像野で衝動性眼球運動訓練の実施率が高く、狭い融像野と部分融像においては衝動性眼球運動訓練とfusion lock trainingの組み合わせが多かった。【結論】家庭訓練は、融像野が存在する場合にはプリズム装用下で衝動性眼球運動訓練とfusion lock trainingを組み合わせ、潜伏融像では衝動性眼球運動訓練が有用であった。