著者
山本 静雄 栗林 尚志 本田 政幸
出版者
麻布大学
雑誌
麻布大学雑誌 = Journal of Azabu University (ISSN:13465880)
巻号頁・発行日
no.15, pp.267-273, 2008-03-31

ヘモグロビンに代わる潜血の仮の指標として糞便および尿中の炭酸脱水酵素アイソエンザイム-I(CA-I)濃度を酵素免疫測定法(ELISA)により評価した。健康な各種年齢の実験用ビーグル犬113頭(雄50頭,雌63頭)における糞便中のCA-I濃度は,4.3から16.7ng/g便(平均;7.0±2.9ng/g便)であった。3頭の健康なビーグル犬から採取した血液1ml中に含まれるCA-Iは,それぞれ1,047, 1,062および1,150μgであった。自己血(10ml)を胃内へ注入したイヌの糞便CA-I濃度は大変低かった。しかし,自己血(5ml)を上行結腸部へ注入したイヌの糞便CA-I濃度は大変高かった。糞便中のCA-Iの検出は大腸からの出血があるイヌを見分けるのに有用であろう。健康な55頭のビーグル犬から採取した尿を化学的検査で調べた結果,44頭が陰性であったが,これら尿中のCA-I濃度はELISAで1.8から12.6ng/ml(平均;6.9±5.4ng/ml)であった。また,尿の潜血検査の結果が陽性であった11頭のイヌのCA-I濃度は,ELISAで41.2から525.0ng/mlであった。CA-Iは赤血球の特異的な指標ではないが,Hbに対する抗体を用いた特異的な免疫学的検査キットが開発されるまで,CA-Iはイヌの糞便および尿の潜血の検出に用いられるであろう。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ヘルスケア21 (ISSN:13463799)
巻号頁・発行日
no.187, pp.52-55, 2005-05

質が高く効率的な医療を提供するため、各地に疾患別の診療ネットワークを構築する—。厚生労働省が今年2月、現行の医療計画制度を抜本的に見直す案を公表し、病院経営者の注目を集めている。実現すれば、病院の機能再編の動きが活発化するとみられ、各地の医療提供体制の"勢力図"が塗り替わる可能性も出てきた。
著者
宇津 徳治
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.p401-463, 1982
被引用文献数
22

A catalog of earthquakes of magnitude 6 or more felt in Japan and smaller earthquakes which caused damage in Japan from 1885 through 1980 is presented. The catalog also contains unfelt earthquakes of M≧6 which occurred in the vicinity of Japan (region A indicated in the map), but the listing of unfelt earthquakes may be incomplete for the years before 1924. The catalog is incomplete for deep earthquakes before 1900. The main sources of materials are Utsu's catalog of 1979 (revised in 1982) for 1885-1925, the new JMA catalog (1982) for 1926-1960, and the JMA Seismological Bulletin for 1961-1980. Gutenberg-Richter's catalog (1954), ISS, or ISC Bulletins are used for focal coordinates of earthquakes occurring outside of the network of JMA stations. For some earthquakes the author has determined the focal coordinates or magnitudes. Statistical analyses of the catalog and studies of seismicity patterns in relation to the occurrence of great earthquakes will be published elsewhere.
著者
谷本 雅之
出版者
社会経済史学会
雑誌
社会経済史学 (ISSN:00380113)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.88-114,164, 1998

The movement to establish modern enterprises in Meiji Japan was found in rural as well as urban areas. This was made financially possible through the willingness of men of property based in rural areas to invest their capital in such risky ventures. The purpose of this paper is to point out that the motivation behind these activities was linked to the existence of "local society". First, about 250 major stockholders in Niigata prefecture were classified into four groups according to the nature of their stockholdings in 1901. This demonstrated that a significant number of men of property had invested their money in the high risk stocks of local enterprises. Next, case studies were made of two local entrepreneur families, the HAMAGUCHI and the SEKIGUCHI. Both families invested the capital accumulated through their family business of soy sauce brewing in new enterprises and businesses in their local area in the 1890s. In parallel with these business activities, they vigorously participated in local social and political activities. These case studies showed us that their investment activities were closely related to their social and political activities. As these activities were so interlocked in the local areas, we conclude that the existence of "local society", which recent historical studies show to have emerged in the latter half of the nineteenth century, encouraged men of property to invest in local enterprises. "Local society as the spur to enterprise investment" is our contribution to the main theme of this symposium.
著者
島袋 恒男 大城 房美 Shimabukuro tsuneo Oshiro fusami
出版者
琉球大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
琉球大学教育学部教育実践総合センター紀要 (ISSN:13466038)
巻号頁・発行日
no.19, pp.91-104, 2012

高校教師が現在受け持っている「勉強ができる生徒」の抱く気持ちや考えを推測学習・対人・進路CAMI尺度を使って予測させた。その因子分析の結果、第1因子「未知の原因・運・他者の援助」、第2因子「努力・他者の援助」、第3因子「能力・運」、第4因子「未知の原因」を見出した。各因子と教師の成長性との相関分析の結果、勉強のできる生徒の、「教師の援助」や生徒自身の「努力」を強調する教師は、「教育指導への自信」や、「同僚・先輩・職場の雰囲気・生徒との関係や幅広い人間としての成長」の高いことがわかった。反対に、「教育指導への悩み」を感じている教師は、勉強のできる生徒に対して、なぜ勉強ができるのかその「原因がわからない」し、「運や能力や教師の援助」で説明しており、生徒自身の「努力」の過程を理解することができないということがわかった。そして性別、教職経験年数毎の分析を通して教師の予測する勉強のできる子の「推測CAMI」 と「教師の成長性」についての考察が行われた。
著者
真山紘
雑誌
魚と卵
巻号頁・発行日
vol.164, pp.33-40, 1995
被引用文献数
4
著者
宮腰 靖之
出版者
北海道立水産孵化場
巻号頁・発行日
no.60, pp.1-64, 2006 (Released:2011-03-05)

北海道におけるサクラマスOncorhynchus masouの放流効果を評価し、望ましい増殖方法について指針を示すことを目的に、市場での水揚げ尾数、沿岸での遊漁船による釣獲尾数、河川内でのサクラマスの生残率を調べた。これらの調査では、サンプリング理論に基づく調査方法や標識再捕による個体数の推定方法を応用し、サクラマスの生態を考慮した放流効果および資源の評価方法を検討した。得られた調査結果から、種苗放流を含むサクラマスの資源増殖の問題点と今後の展望を述べる。
著者
宮腰 靖之
出版者
北海道立水産孵化場
雑誌
北海道立水産孵化場研究報告 (ISSN:02866536)
巻号頁・発行日
no.60, pp.1-64[含 英語文要旨], 2006-03
被引用文献数
1

北海道におけるサクラマスOncorhynchus masouの放流効果を評価し、望ましい増殖方法について指針を示すことを目的に、市場での水揚げ尾数、沿岸での遊漁船による釣獲尾数、河川内でのサクラマスの生残率を調べた。これらの調査では、サンプリング理論に基づく調査方法や標識再捕による個体数の推定方法を応用し、サクラマスの生態を考慮した放流効果および資源の評価方法を検討した。得られた調査結果から、種苗放流を含むサクラマスの資源増殖の問題点と今後の展望を述べる。
著者
広瀬 健一郎 丸谷 知己
出版者
[九州大學農學部附属演習林]
雑誌
九州大学農学部演習林報告 (ISSN:04530284)
巻号頁・発行日
no.68, pp.p73-84, 1993-03

山地河川においてヤマメ(Oncorhynchus masou masou)が生存システムを確立するためには,産卵空間を備えていることがきわめて重要な条件である.しかし,山地河川では,河床が急勾配であることに起因して時間的にも空間的にも流れが細かく変化し,それに応じて多様なスケールで河床変動が生じている.本研究の目的は,多様な河床地形の位置的な変化と産卵空間との関係を物理的に明らかにすることを目的とする.そのために瀬と淵とが連続して河床地形をつくる堆積作用の卓越した区間において,水深変化,流速変化および淵における底質の砂礫についての粒径変化を分析した.その結果,ヤマメの産卵床は,フルード数が1の常流域と射流域の間に位置し,しかも一定の粒径組成をもつ粗砂,細礫,礫で満たされていることが必要なことがわかった.河川地形学でいうプール―ステップが小規模な河床変動によって形成されており,このような空間はそのプール下端郡に見られること,さらにそのプールは中規模の河床変動によって形成される体積の大きいプールの連続区間において見られることがわかった.
著者
川端 輝江 古 息珠 柴田 茂男 長谷川 恭子 澤井 廣量 李 寧遠 劉 麗雲 村上 秀親 小川 久恵 矢ヶ崎 信子 松田 康子 岩間 範子
出版者
社団法人 日本循環器管理研究協議会
雑誌
日本循環器管理研究協議会雑誌 (ISSN:09147284)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.109-117, 1993

循環器疾患死亡率に各々特徴を持つ日本の2地区 (山梨県および沖縄県) と沖縄県に隣接している中華民国 (台湾) における計3地区に在住する中高年齢者を対象とし, 健康診断を行った。そこで, 我々はこれらの地区において, 循環器疾患の指標となりうる肥満度, 血圧, 血清脂質の諸検査結果を主成分分析法により検討した。<BR>主成分分析の結果, 得られた2次元図の各象限の特徴を表現すると, 1.高血圧型, 2.肥満, 血清中性脂肪高値, HDL-コレステロール低値型, 3.低血圧, 血清HDL-コレステロール低値型, 4.やせ, 血清中性脂肪低値, HDL-コレステロール高値型となった。<BR>男性では, 山梨県対象者は血清中性脂肪高値および肥満の者が約2割いた。沖縄県対象者では全体の3割強が高血圧型であった。台湾対象者では軽度の肥満および中性脂肪高値型と低血圧および血清HDL-コレステロール低値型が, あわせて約3割以上であった。<BR>女性では, 山梨県対象者に対して, 沖縄県対象者では血清総コレステロール, HDL-コレステロールの平均値が従来の成績同様高かったが, その他の項目においては, 極端に正常値からはずれた検査値を持つ者は少なく, 特徴的な分布はみられなかった。台湾対象者では, 肥満, 血清中性脂肪高値およびHDL-コレステロール低値型に属する人は約4割であり, 循環器疾患のリスクが高い集団と推察される。