著者
井上 主税
出版者
奈良県立橿原考古学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、朝鮮半島初期鉄器時代~三国時代の鉄・鉄器生産遺跡出土の倭系遺物について検討した。その結果、紀元前2~1世紀には、倭人たちが東南部地域で鉄器生産に関与していた痕跡が認められた。一方、紀元後3~4世紀には東南部地域の鉄・鉄器生産遺跡で、5世紀以降は西南部地域の鉄・鉄器生産遺跡で倭系遺物が出土しているものの、遺構には直接伴っておらず、出土量からみても倭人たちの活動痕跡は限定的なものであった。そのため、現時点では多量の鉄器が副葬された古墳時代の様相から想定される、鉄素材をめぐる朝鮮半島との関連性とは必ずしも一致しない面が認められる。
著者
大田 雄二 岩下 正信 津浦 宏 近藤 隆春 大須賀 朋尚
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.17, no.23, pp.7-12, 1993-03-26 (Released:2017-10-06)

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著者
小林 伸聖
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.87, no.1, pp.21-24, 2018

<p>光が透ける磁石があれば,専門家でなくてもさまざまな新しい用途に期待が膨らむだろう.ことさら磁性材料研究者にとって透明な強磁性体の開発は,その応用のみならず物性面において,魅力ある研究テーマの1つであろうと想像する.本稿では,我々が開発した透明かつ強磁性を示すナノグラニュラー材料について紹介する.ナノグラニュラー材料は,フッ化物などの絶縁体から成るマトリクスにナノメータサイズのFeCo合金などの磁性金属から成るグラニュールがほぼ均一に分散した微細構造を有し,フッ化物マトリクスに起因する良好な光透過性と同時に,FeCo合金グラニュールに起因する強磁性を併せもつ.</p>
著者
人見 哲子 焔硝岩 政樹
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.24, 2012

【目的】 「晴れの国おかやま」のキャッチフレーズで知られている岡山県は、自然災害の少ない県である。しかし、平成21年に発生した台風9号の影響により岡山県は大雨に見舞われ深刻な被害をもたらした。このような、背景から岡山県美作保健所勝英支所が主体となって"みんなでつくる災害時の食生活支援ネットワーク"が立ち上げられ、自助・共助・公助の役割を明確にした"災害時食生活支援のための手引き"、献立集 "食事ホッとカード"(以下ホッとカードと記す)を作成した。このカードは、被災現場での炊き出しで健康な方にも提供でき、少しの工夫で乳幼児や高齢者、病気で食事治療を受けている方にも提供できるメニューを検討し、実際の場面で活用できるか住民らと共に検証した。【方法】(1)幼児から高齢者、特別な配慮が必要な方やアレルギー体質の方等、全てに対応できる献立になっているかを、ネットワークのワーキンググループにおいて検討を行い、繰り返し試作を重ねて決定した。(2)小学生を対象とした「つなげよう人の輪 防災体験inつやま」に参加し、ホッとカードの中から、実際に作ってもらい、試食をし、疑似体験した。【結果・考察】ホッとカードは、誰でも、どこでも、作りやすいことをコンセプトに、写真、タイトル、ライフラインの状況を明記し、献立選びのヒントを載せ、区分ごとに色分け、見やすいようにノンブルを配置した。また、ライフラインの状況に応じた調理方法から、献立を選択できるよう配慮し、字体は大きく、被災経験から紙質は耐水性で破れにくく、水害にも対応した献立集ができあがった。防災体験を通して、幼い子供でも作れる献立内容であった。会場ではホッとカードを拡大したものの掲示や、市販されている備蓄食品の展示を行い、実際に体感することで、幼い頃から知ってもらうきっかけになった。。

1 0 0 0 OA 茶業須要

著者
酒井甚四郎 述
出版者
博雅堂
巻号頁・発行日
1885
著者
小川 義雄 佐田 利行 下山 伸幸
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.59, pp.1-5, 1992-12-21
被引用文献数
1

1.平成3年の台風9,17,19号による長崎県における水稲被害について,農林水産省長崎統計情報事務所,同長崎食糧事務所の資料と水稲奨励品種決定現地調査および作況試験成績によって実態解析を行った。2.平成3年7月29日,早期水稲の出穂〜成熟期間に台風9号が五島,壱岐,県北の早期水稲地帯沿岸を通過し,普通期水稲の出穂〜成熟期間の9月14日および9月27目に台風17号および19号が本県内陸に上陸した。3台風とも大型であり,台風9号は早期水稲に風雨による被害を及ぼし,台風17号,19号は普通期水稲に対して主として潮風による被害を及ぼした。3早期水稲は,生育初期の日照不足による生育不良があったが,これに加え台風9号の影響により品質・収量がかなり低下した。また台風襲来時に乳熟期であった五島地域で穂揃期以前の生育状況にあった壱岐および平戸地域に比べて品質の低下が大きかった。4普通期水稲は,台風17,19号により県下全域で大きな被害を受けた。被害は主として潮風害による品質低下および収量低下であった。その中でも中・晩生種作付地域である諌早平坦部を中心とした東南部地域で減収,品質の低下が大きかった。また,全体的には中・晩生品種が早生品種より被害が大きかった。5.台風被害の地域差および品種間差が大きかったことについては,台風時点に早生品種は登熟が進んで被害をある程度回避したのに対して中・晩生種は出穂期〜乳熟期の最も被害を受けやすい生育状態にあったことと,他方,早生品種は主として中山間の地形的に被害回避可能な地帯に作付けされているのに対して,中・晩生種は潮風をもっとも強く受け易い地帯に作付けされており,両者の相互作用によったものと推察された。
著者
和田 浩一
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.68, pp.67_2, 2017

<p> 本研究の目的は、国際オリンピック委員会(IOC)会長を辞任した直後に立ち上げた万国教育連盟における教育改革の中で、オリンピック・ムーブメントの一要素として位置づけた芸術と美を、ピエール・ド・クーベルタン(1863-1937)がどのように展開していったのかを、連盟の具体的な活動内容とそこでの彼の問題意識とから明らかにすることである。芸術と美に関するクーベルタンの行動と問題意識の一端を明らかにすることは、2020年東京大会に向けて進められている文化プログラムの根源的な意味の問い直しにつなげられよう。本研究で用いた主な史料は、万国教育連盟が4年間に渡って発行した計4冊の機関誌『万国教育連盟報』(1926-1929)である。クーベルタンは「現代都市の教育学的役割」をテーマに開いた1926年の会議(ローザンヌ)では、民衆芸術をトピックの一つとして取り上げ、1928年には美を全体テーマにした会議をエクス・アン・プロヴァンスで開催した。『万国教育連盟報』ではこれらの会議の予告・報告がなされるとともに、ユーリトミー(eurythmie、調和・均衡)をキーワードとした芸術論・美学論が展開されていた。</p>

1 0 0 0 OA 大内町史

著者
大内町史編さん委員会
出版者
東かがわ市
巻号頁・発行日
vol.上, 1985-12-01
著者
和田 浩一
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.67, pp.86_3, 2016

<p> オリンピズムへの無理解に危機意識を募らせつつ1925年にIOC会長を辞任したピエール・ド・クーベルタン(1863-1937)は、その直後に万国教育連盟を創設した。本研究では、4年間に渡って発行された計4冊の連盟報のうち、連盟の活動が総括されている第4号(1928-1929)を取り上げ、IOC会長辞任後にクーベルタンが示した問題意識を明らかにし、オリンピズムの内実を再検討する。連盟報第4号によれば、万国教育連盟の活動には2つの目的があった。1)中等教育や成人教育に対して、従来とは異なる原理に基づいた新しい教育改革プログラムを示すことと、2)「現代都市」が未来の教育学の中枢機関として機能するよう、特定の仕組みや取り組みを示唆することである。オリンピズムとの関連で特に注目すべきは、(1)一般教養はすべての人間が学べるように、そして人生を通した学びとなるようにしなければならない、(2)早期からの専門教育をやめ、「全体を考慮しながら学ぶ」必要がある、という2つの指摘である。IOC会長辞任後に示されたこれらの指摘は、当時のオリンピック・ムーブメントにおいて理解に至らなかったオリンピズムの内実を描くものであると解釈できる。</p>
著者
風間 祥光 棟方 渚 畑 雅之 松原 仁
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2016-GI-36, no.19, pp.1-7, 2016-07-29

人狼ゲームは思考・推理・戦略を必要とするゲームである.近年では将棋やチェスなどの完全情報ゲームの研究はかなり進んでいるが相手の状況に関する情報を不完全な形でしか把握できず,会話によってゲームが進行するような不完全情報コミュニケーションゲームの研究は現在あまり進んでいない.本研究では不完全情報コミュニケーションゲームである人狼ゲームを対象に,プレイヤーの心理状態が発言内容に影響を与えるかを分析するためにゲーム中のプレイヤーの SCR(Skin Conductance Response) を調べた.またゲーム中の議論を書き起こし,SCR を発現している前後の時間の発言を分析した.結果として,疑いを向けられる発言を受けた時,人狼プレイヤーが SCR を発現した.このことから人狼プレイヤーに心理的な刺激を与える発言の種類や状況が推測できた.またそれによって心理的な刺激を受けたプレイヤーの発言内容にも影響が出ていることが示唆された.
著者
岡井 仁志 岩崎 長 吉田 輝久 平野 正史
出版者
Japanese Society of Tea Science and Technology
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.1985, no.62, pp.9-13, 1985-12-01 (Released:2009-07-31)
参考文献数
4

京都府下の多くの玉露,てん茶園では,施肥の際に元出し,元寄せと呼ばれる伝統的な作業が行われている。しかし,この作業の実施時期は秋の根の生長期にあたっており,根系を傷めるおそれがあると考えられるため,元出し,元寄せが枝条の生育に及ぼす影響について検討した。(1)慣行の深さ(約10cm)で元出しが実施された場合,元出し時期が早いほど,その年の枝条の生長,および翌年の枝条発生数が強く抑制される傾向があった。従って,伝統的な元出しの実施時期は,枝条の生育を抑制することの少ない時期であると考えられた。(2)深層(約30cm)まで元出しを行うと,その実施時期に関係なく,個々の枝条の生長,および枝条の発生数が強く抑制された。(3)総括的にみると,元出し,元寄せが連年実施されると,「少数大枝条型」の生育となる傾向があった。また,枝条数の方が一枝新芽重よりも,生葉収量を大きく左右する要因であったために,元出し,元寄せを連年実施した区の生葉収量は,対照区に比べて少なかったものと考えられた。一方,荒茶品質は,元出し,元寄せを行うとやや向上する傾向が認められた。以上のことから,伝統的な元出し,元寄せは,枝条数の確保よりも個々の枝条の生長を重視した施肥慣行であり,この作業によって,生葉収量は減少するが,荒茶品質は向上すると考えられた。なお,本論文のとりまとめにあたっては,農林水産省茶業試験場茶樹第3研究室長青野英也博士から懇切なる助言と指導を賜った。ここに深謝の意を表したい。