著者
藤井 義晴 渋谷 知子 安田 環
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.362-370, 1990
被引用文献数
10

1) 発芽・生育試験に, ロジスチック関数をあてはめる生長解析法によるバイオアッセイ手法を用いて, 他感作用候補植物を代表的な雑草や作物から検索した結果, 従来他感作用の報告されているセイタカアワダチソウ, ヨモギ, ヒマワリ, クズ, ライムギ等には活性が見られたが, この他にムクナ, ヨウシュヤマゴボウ, ドクダミ, サトイモ等にも活性を見出した。このようにして検出された他感作用候補植物は, ドクダミ, クズ, ムクナ, ヨウシュヤマゴボウ, ヨモギ等, これまでに薬用植物として知られているものが多かった。<br>2) 今回用いたRICHARDS関数による生長解析の手法を用いれば, 他感作用候補植物が, 発芽のどのレベルに作用しているのか (発芽の開始を遅らせるのか, 最終発芽率を阻害するのか, 発芽の速度=斉一性に影響するのか) が明らかとなる。
著者
岡崎 光良 小河原 公司 稲生 美子
出版者
岡山大学農学部
雑誌
岡山大学農学部学術報告 (ISSN:04740254)
巻号頁・発行日
no.24, 1964-10

1.柑橘類の種子は短命種子でかっ乾燥に弱いといわれている.しかし,種子の発芽力の低下の原因について,水分含量のみでは説明出来ない.また,柑橘類の種子は乳熟中に発芽力を獲得するといわれている.本実験は1961~62年にカラタチ(Poncirus trifoliata Raf.)種子の発芽特性と貯蔵法および発芽力喪失の原因を知るために行なった.2,カラタチ種子は開花後90~105日間に発芽力を獲得し,135日目に最高に達す.その後低下する.しかし,剥皮種子は135日以後も低下することなく,発芽力を最高に持続する.種子は25℃でよく発芽する.しかし剥皮処理をすると20°および25℃よりも30℃で最もよく発芽する.ジベレリンは高温での効果は少ないが,低温での効果がみとめられた.3.30℃の高温で開放貯蔵したものは,発芽力,水分含量ともに急速に減少した.しかし低温で貯蔵したものでは,発芽力および水分含量の減少は徐々であり,20℃区では約25日で,また5℃区では65日に急速に発芽力を失なった.カラタチ種子寿命を持続させるのには,低温で貯蔵するのが有効である.4.砂に貯蔵したときには,密封または開放貯蔵より長く発芽力を持続し,室温下で全然水分を含まない砂に貯蔵したものが最も良かった.5℃で5%の水分を含む砂中に貯蔵したときには65日以上に貯蔵することができず,高温多温下で貯蔵すると貯蔵中に発芽し,低温多温下では種子が凍結したためか発芽力が劣った.5.種々の条件下で55日間貯蔵した種子の発芽力については,剥皮をすれば各区とも完全に近い発芽力を示したが,無処理種子の発芽率では貯蔵条件により,かなりの差がみとめられた.そして,室温下で0%水分含量の砂に貯蔵したものは100%発芽した。
著者
木下 尚子 嶋 一徹 廣野 正樹
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 = / the Japanese Society of Revegetation Technology (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.336-339, 2004-08-31
参考文献数
5
被引用文献数
1

瀬戸内沿岸の山火事跡地斜面に分布する先駆木本類6樹種について埋土深と土壌加熱が種子発芽に及ぼす影響を調査した。その結果,山火事により土壌表層では短時間高温に晒されるが,深さ4 cm程度の土壌では50 ℃以下の温度が長時間継続することが判明し,この深さに埋土されたアカメガシワ,クサギは加熱で発芽促進が認められた。これに対してアカマツは埋土すると発芽できず,耐熱性が低いため火事後の種子供給が必須なことが明らかになった。
著者
近藤 哲也 高橋 朋身 下村 孝
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 = / the Japanese Society of Revegetation Technology (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.28-35, 2000-08-31
参考文献数
20
被引用文献数
5 10

海浜地域におけるハマヒルガオの景観形成素材としての利用および本種の保全を目的として, いくつかの休眠打破処理を試み, 硬実種子であることを確認した。そして硬実性解除のための適切な硫酸処理時間とその機作を明らかにした。ハマヒルガオの種子をシャーレに播種して恒温器内に置き, 発芽の過程を観察した。その結果ハマヒルガオの無処理種子は, 発芽時の温度や光条件そして採取場所, 採取時期, 貯蔵期間にかかわらず, 吸水して発芽できる種子は数%にとどまる硬実種子であった。しかし種皮への針による穿孔, 紙ヤスリによる傷付け, 濃硫酸への浸漬処理によって吸水し発芽が可能になった。それらの処理の中でも硫酸処理がもっとも効率的であった。濃硫酸処理の効果は, 種子採取の場所や時期によって異なったが, 60分から120分の浸漬処理で80%程度の発芽率を得ることができた。濃硫酸に浸漬すると, 初期にはへそ周辺部に, 浸漬時間が長くなると種皮にも亀裂や穴を生じた。この亀裂や穴から吸水し, 発芽が可能になったと考えられた。
著者
牛木 純 赤坂 舞子 手塚 光明 石井 俊雄
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.128-133, 2007
被引用文献数
4

国内に発生する雑草イネの生態的特性を明らかにすることを目的として,2003年に長野県から採取した74集団,岡山県から採取した40集団の発芽様式と休眠性の特徴について,出穂後100日目の発芽試験によって調査した。その結果,雑草イネ集団の約25%は休眠性を持ち,最高で播種後約200日目に発芽する種子を持つ集団も存在した。発芽様式は集団によって多様であったが,播種後30日目の発芽率と発芽率が95%に達するのに要した日数との関係から,大別して3タイプの発芽様式があると考えられた。最も多かったのは,栽培品種と同様に播種後30日以内に95%以上の種子が発芽する集団(以下,GP1,全体の約75%)であった。これに対し,GP1よりも発芽は遅延するが,播種直後から日数に応じて徐々に発芽が進む集団(以下,GP2,全体の約18%),あるいは播種直後はほとんど発芽しないが,一定期間を過ぎると急速に発芽が進む集団(以下,GP3,全体の約7%)も存在した。上記の発芽様式を持つ雑草イネ集団の割合を発生地区ごとに比較すると,GP2あるいはGP3の集団の割合が高い地区は,長野県と岡山県の雑草イネが高い密度で発生している地区であることが共通していた。以上の結果から,国内に発生する雑草イネの休眠性は概して栽培品種と同程度だが,一部地域には休眠性の深い集団も存在し,その集団の休眠性は発生密度と関連する可能性が示唆された。
著者
市原 実 和田 明華 山下 雅幸 澤田 均 木田 揚一 浅井 元朗
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.41-47, 2007
被引用文献数
3

種子の乾熱処理および火炎放射処理が帰化アサガオ類(ホシアサガオ(<i>Ipomoea triloba</i>),マメアサガオ(<i>I. lacunosa</i>),マルバアサガオ(<i>I. purpurea</i>),マルバアメリカアサガオ(<i>I. hederacea</i> var. <i>integriuscula</i>)およびマルバルコウ(<i>I. coccinea</i>))の発芽に及ぼす影響と,火炎放射後の湛水が種子の生存に及ぼす影響について調査した。80&deg;Cで30分間乾熱処理した場合,5草種の発芽率(吸水,膨潤した種子の割合)は21.1&sim;97.8%であった。マメアサガオ(21.1%)とマルバアサガオ(47.8%)を除く3草種は,72.2&sim;97.8%と高い発芽率を示した。一方,火炎放射処理を3秒間行った場合,発芽率は94.4&sim;100.0%と5草種ともほぼ完全に発芽した。さらに火炎放射処理後の種子は湛水条件下に2ヶ月間埋土されることにより,5草種全てにおいて100%死滅することがわかった。本研究より帰化アサガオ類の防除において,種子散布後に圃場地表面を火炎放射処理し,その後湛水することが有効であることが示唆された。
著者
高橋 成人
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.65, no.9, pp.p1047-1053, 1990-09
著者
内野 彰 山口 誠之
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.58, pp.39-40, 2005-12

ジクワット・パラコート混合剤は非選択性除草剤として市販される除草剤であり、水稲作では秋期稲刈り取り後や春期耕起直前などの雑草防除に使用される。パラコート単剤およびジクワット・パラコート混合剤については、従来の茎葉処理剤として雑草を枯殺する効果に加え、種子処理により種子の幼芽・幼根の伸長を抑制する効果のあることがイネや数種の雑草で報告されている。このことから、こぼれ籾発芽防止や雑草イネの防除への応用試験が行われ、雑草発生抑制効果の実用性についても検討されている。本試験では、こうした効果の積雪寒冷地での実用性を検討するため、ノビエ種子への効果を積雪前秋期処理と融雪後春期処理で比較し、水稲種子への効果を処理後土中に保存した場合と処理後土壌表面に保存した場合で比較した。
著者
平塚 伸 渡辺 学 河合 義隆 前島 勤 川村 啓太郎 加藤 尉行
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.62-67, 2002-01-15
参考文献数
10
被引用文献数
5 9

ギ酸カルシウムによるニホンナシの摘花効果と, その機構について検討した.1%のギ酸カルシウム溶液を受精前の雌ずいに散布すると, 柱頭への花粉の付着と花柱内の花粉管伸長が明確に抑制され, 30&acd;40%の果実が落果した.一方, 同濃度の酢酸カルシウムや乳酸カルシウム溶液による摘花効果は認められなかった.有機酸カルシウムが花粉発芽に及ぼす影響をin vitroで比較すると, ギ酸カルシウムは他の塩より明らかに強い抑制力を示した.有機酸について同様に調査した結果, ギ酸の発芽抑制作用は際立っていた.以上の結果より, ギ酸カルシウムによるニホンナシの摘花機構は, ギ酸による受精阻害と考えられた.摘花されなかった果実の生長や成熟期の果汁糖度は, 対照区と殆ど差が認められなかった.このように, ギ酸カルシウムはニホンナシの摘花剤として利用できる可能性が示された.
著者
田口 精一
出版者
慶應義塾大学法学研究会
雑誌
法學研究 : 法律・政治・社会 (ISSN:03890538)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.123-125, 1979-11

浅井清先生追悼記事