著者
工藤 真由美 Mayumi Kudo 四條畷学園短期大学保育学科 Shijonawate Gakuen Junior College
出版者
四條畷学園短期大学
雑誌
四條畷学園短期大学紀要 (ISSN:18811043)
巻号頁・発行日
no.40, pp.42-48, 2007

本稿は、いのちが希薄化した今日の社会情勢に鑑み、いのちの重み、大切さを実感できるような、実践的で本質的ないのちの授業を構想することがねらいであり、そのために過去の教育実践を紐解き、そのエッセンスを汲み取ることを主眼とする。横浜の浜之郷小学校の校長、大瀬敏昭氏は自身の闘病から死に至るまでを、その死と直面しつつ生きる心情、絶望と恐れ、希望と勇気を、それらを与えてくれた絵本との出会いというかたちで子どもたちに紹介していく。彼の自己の病状を包み隠さず、平易な言葉で子どもたちに語りかけていく「いのちの授業」の実践記録が、我々に示唆するところは大きい。それは、我々自身が人生から問われたものとして、真摯に日々生きる姿の中にこそ、真の「いのちの授業」が生まれてくるというものであり、また、最後まで学び続け変わることが人間の可能性であり、その点で死は人間にとって成熟する最後のチャンスであるということである。
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンピュ-タ (ISSN:02854619)
巻号頁・発行日
no.587, pp.140-143, 2003-11-17

富士通とNECが相次ぎ、高信頼性パソコン・サーバーの新製品を発売した。クラスタ・システムに対し約半分のコストと、Windows用アプリケーションを設定やチューニングなどの手間をかけずに高信頼化できる導入・運用の容易さが売り物。2001年半ばに登場して以来、ニッチ商品とされてきたが、新規参入の富士通は来年度販売目標7000台と強気だ。
著者
松浦 良充
出版者
教育思想史学会
雑誌
近代教育フォーラム (ISSN:09196560)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.109-121, 2002-12-04 (Released:2017-08-10)

「教育的関係」をめぐって、現在、相反する二つの状況が見られる。教育や人間形成環境における「関係性」の喪失や危機が叫ばれる一方で、これまで「教育的関係」が意識されなかったような、たとえば大学・高等教育などの領域において、その増殖・強化が指摘される。教育学においては、19世紀末から20世紀にかけて教育関係論という認識枠組みが成立したが、それはやがて教育的相互作用論にシフトした。しかしそれは結局「教育的関係」の喪失を追認する役割を果たし、またその危機と増殖というアンビヴァレントな状況を説明する有効な診立てを提供できていない。さらに「教え-学ぶ」という教育関係論の概念装置は、関係性の媒介項として「内容」を想定する場合に、より現実的な認識を提供することを予感させる。ただしこれについても「学び」の強調によって、相互作用論と同様の結果をもたらしている。そこから本稿は、既存の教育学や心理学の影響を受ける以前の、Learning概念の思想史的研究を展望する。
著者
清水 浩
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密機械 (ISSN:03743543)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.290-293, 1985

かつて,レーザプレイボーイ説ということが関係者の間でささやかれた時期があった.レーザは研究に大きな費用を要する割に,応用上の成果が生まれにくいという意味である.これは,レーザの実験室レベルの研究成果にたいして,工業的に使用できるレーザの開発が追いつかなかったことが最大の原因であったと考えられる.ところが,基礎的技術が進んだことにより,最近になって,レーザは,微細加工に,光通信に,医学にと,どんどん応用分野を広げている.<BR>レーザレーダも,この恩恵をこうむり,このごろやっと実用の域に達しつつあるというのが,15年間この分野にたずさわってきた私の実感である.今後は,レーザレーダによる全国の環境や気象のモニタリング網の開発や,スペースシャトル等宇宙からの計測などの応用分野の開発に向けて研究が進むものと期待している.
著者
張堂 興昭
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.28-33, 2018-12-20 (Released:2019-09-07)
参考文献数
7

The biography of Saichō, called Eizan Daishiden was written about 1200 years ago. In the biography, it is written that Saichō was repeatedly petitioning the court to allow monks of the Tendai school at Mount Hiei to become ordained as national public priests under the Bodhisattva Precepts, rather than order the traditional ordination system of the prātimokṣa. But his request was rejected, and he passed away on June 4th in 822. After his death, his supporters, usually bureaucrats, including Tomono Kunimichi, petitioned the emperor with Saichō’s earnest wish again. Finally, on June 11th, 7 days after his death, the request for the Bodhisattva Precepts was allowed.This series of stories has been handed down for 1200 years. However, some reliable reports and works of history have shown that on a day before Saichō’s passing, the emperor had already given permission for the Bodhisattva Precepts.I propose that the description about Saichō’s last moment in the Eizan Daishiden is false.
著者
イスラム マハメッド シャヒドール 松井 年行 吉田 裕一
出版者
日本生物環境工学会
雑誌
生物環境調節 (ISSN:05824087)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.245-251, 1994
被引用文献数
5

トマト (品種レディファースト) 果実の糖含量と酸性インベルターゼ活性に及ぼす炭酸ガス施用 (700~900ppmv) の影響について検討した.炭酸ガス施用を行った果実のブドウ糖と果糖は無施用区 (250~400ppmv) よりも有意に高かったが, ショ糖では有意差が認められなかった.酸性インベルターゼ活性は可溶性のものが細胞壁結合性のものよりも高かった.開花後50日からのインベルターゼ活性の増大は還元糖含量の増大傾向と一致した.さらに, 炭酸ガス施用を行った果実は対照区のものよりもインベルターゼ活性は高かった.炭酸ガス施用は光合成とインベルターゼ活性の増大を導き, 糖含量および果色を向上させるものと考えられた.
著者
臼杵 陽
出版者
一般社団法人 日本オリエント学会
雑誌
オリエント (ISSN:00305219)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.67-82, 1993 (Released:2010-03-12)

The aim of the article is to survey Jewish immigration to Palestine (Aliya) from Yemen, Yemenite settlement in Silwan near the old city of Jerusalem, and their separation from the Sephardi rabbinate in Jerusalem. The article relies upon recent studies on this subject written in Hebrew.The first mass Aliya of Yemenites in 1882 (called 'Aliyat Tarmab according to the Jewish calendar), which was coincident with Bilu's Aliya, that is, the first Zionist Aliya, has been ignored in Zionist's historiography. Recently academic endeavors have been made to explore early history of Yemenites in Jerusalem before World War I, as well as Old Yishuv in general.Yemenites immigrated to the Holy Land, motivated mainly by the messianic aspirations, but found themselves disappointed in difficult situations in Jerusalem. Most of them remained too poor to find their accommodations. Israel Frumkin (1850-1914), editor of ha-Vatzelet, the second Hebrew magazine in Palestine, gave assistance to poor Yemenite immigrants so as to settle them in an Arab village, Silwan (Shiloah in Jewish history), which had been the main community center of Yemenites until the Arab Revolt of 1936.When Yemenites immigrated, they were under the patronage of the Sephardi rabbinate which was recognized as the sole Jewish representative, millet, in Jerusalem by the Ottoman authorities. But later they differed with the Sephardi rabbinate on problems such as Haluka (charitable funds from abroad to Palestine) and Balad Askari (Tax for exemption from conscription), finally to separate as de facto independent kolel (a Jewish community in Palestine from a particularcountry or town) from the Sephardi rabbinate in 1908.
著者
イスラム マハメッド シャヒドール 松井 年行 吉田 裕一
出版者
日本生物環境工学会
雑誌
生物環境調節 (ISSN:05824087)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.185-190, 1995

トマト (品種'レディファースト') 果実の糖含量とショ糖合成・ショ糖リン酸合成酵素活性に及ぼす炭酸ガス施用の影響について検討した.生育申に炭酸ガス施用を行った果実重量, 全糖, 還元糖は無施用区よりも有意に高かった.ショ糖合成酵素活性は開花後50日目まで施肥トマトで高く, その後急激に減少したが, 無施肥区では徐々に減少した.ショ糖合成酵素活性の減少はショ糖濃度の減少を伴った.処理間のショ糖濃度とショ糖合成酵素活性の間に有意差は認められなかった.ショ糖リン酸合成酵素活性は, 生育中比較的一定であった.
著者
青木 利樹 田中 亮 奥住 秀之 大井 雄平
出版者
常葉大学教育部初等課程研究企画部会
雑誌
教育研究実践報告誌 (ISSN:24360112)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.19-26, 2021-03-01

「特別の教科道徳(道徳科)」の改訂に伴い検定教科書(教科書)が導入された。小学校、中学校共に教科書の内容に、障害が扱われていることが注目されている。本稿は、道徳科の教科書を発行している小学校8社、中学校8社のそれぞれ全学年の教科書の内容を網羅的に調査し、道徳科の教科書において、内容項目ごとの障害の扱いの傾向を検討した。小学校の教科書では97教材、中学校では71教材で障害が扱われており、内容項目ごとに見ると、小学校では、「生命の尊さ」で障害を扱うことが最も多く、次いで「思いやり・親切」、「希望と勇気、努力と強い意志」が多かった。また、中学校では「生命の尊さ」が最も多く、次いで「希望と勇気、克己と強い意志」、「思いやり・感謝」が多かった。道徳科は、小学校、中学校の両方で、障害理解教育に関連する重要な教科であることが推察された。
著者
浅山 健
出版者
克誠堂出版
雑誌
麻酔 (ISSN:00214892)
巻号頁・発行日
vol.18, no.10, pp.1010-1016, 1969-10
著者
小關 由紀子
出版者
法政大学大学院デザイン工学研究科
雑誌
法政大学大学院紀要. デザイン工学研究科編 = 法政大学大学院紀要. デザイン工学研究科編 (ISSN:21867240)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-5, 2015-03-31

This study is intended to clarify the structure of the region Alsace by comparing port towns that developed along the river in Alsace. For each era, clarify 3 topics, REGIONAL STRUCTURE / URBAN AREAS / URBANSTRUCTURE, with a focus on the relationship with the waterways. Through the diachronic analysis from middle ages to modern ages, it is intended to reveal how Alsace had developed associated with waterways.
著者
大石 武士 大塚 章宏 藤田 隆介 黒川 広行 松原 康二
出版者
近畿大学農学部
雑誌
近畿大学農学部紀要 = Memoirs of the Faculty of Agriculture of Kinki University (ISSN:04538889)
巻号頁・発行日
no.33, pp.25-30, 2000-01-01

[Author Abstract]Two experiments were carried out to reexamine the methods for converting coffee residue into poultry feed. In experiment 1, 15% and 30% untreated coffee residue diets were given, and in experiment 2, 15% and 30% boiled and filtered coffee residue diets were given to laying hens. Untreated coffee residue diets decreased the feed intake and egg production. Diarrhea and soft egg shells also resulted from untreated coffee residue diets. The 15% boiled and filtered coffee residue diet significantly improved feed intake and egg production, whereas the 30% boiled and filtered coffee residue diet resulted in low feed intake and egg production compared with the 15% coffee residue diet. Low yolk color and thin eggshells also resulted from the boiled and filtered coffee residue diets.[著者抄録]コーヒーの消費の増大に伴って副産物として多量にコーヒー粕が排出され,その処理にコーヒーメーカーは苦慮している。環境対策や省資源の面から産業廃棄物として処理されているコーヒー粕を有効利用することは意義のあるものと考えられる。コーヒー粕を飼料化するためには,特有の苦みや臭いによる嗜好性の低さを改善する必要がある。手軽で安価に嗜好性を改善するための方法としてコーヒー煮沸・濾過をくり返すことが,鶏のコーヒー粕に対する嗜好性を改善するかどうかを検討するための実験を実施した。市販配合飼料の15%および30%を無処理のコーヒー粕で代替し産卵鶏に給与した実験1では,代替割合に関係なく飼料摂取量は通常の1/2程度まで低下し,産卵率も著しく劣り,軟卵や下痢などの発生が認められた。市販配合飼料の15%および30%を60分間の煮沸・濾過処理を施したコーヒー粕と代替して給与した実験2では,15%の代替では飼料摂取量および産卵率は市販配合飼料を給与した対照区とほとんど差は認められない程度まで改善された。しかし,30%の代替の場合,摂取量,産卵率ともに無処理のコーヒー粕代替飼料に比べれば改善されたが,対照区に比べ有意に劣っていた。従って,コーヒー粕に60分間の煮沸・濾過処理を施せば,15%程度までなら飼料としての利用が可能と思われた。ただし,煮沸・濾過処理コーヒー粕で代替することによって卵殻の厚さや卵黄色調等の卵質の一部に低下傾向が認められるので,これらを防ぐための処方も必要と考えられた。
著者
森川 直
出版者
教育哲学会
雑誌
教育哲学研究 (ISSN:03873153)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.89, pp.145-151, 2004

わが国のペスタロッチ研究史に新たな一ページが加えられた。本書は、学位論文「ペスタロッチ教育思想における宗教的基礎-その形成と展開」 (一九九九年十一月筑波大学) をもとに編まれたもので、著者の積年の研究の集大成とみなされるものである。「まえがき」で、著者は本書について次のように述べている。「本書は、従来もっぱら教育の近代化の先駆者として位置づけられてきたペスタロッチの教育思想と実践を改めて問い直し、ペスタロッチの教育思想と実践の根底には、一般的には『非合理的』、『非近代的』であると批判されがちであった宗教観が、それもきわめて根源的 (ラジカル) な、敬虔主義的で実践的な深い宗教観が、厳然と存在していることをまず論じている。そして、この宗教的基盤こそが、かれの人間観とそれにもとづく人間性尊重に徹する実践的教育思想を支えているということ、また、それゆえにこそ、かれの教育思想は、近代がもたらしたさまざまな負の遺産を克服し、あらたに人類に希望と勇気を与えうる教育を創造する基礎力をもつという意味での現代的意義をもつこと、などをさまざまな角度から論じている。」